発表年:1978年
ez的ジャンル:中期Stones
気分は... :Charlieよ、安らかに・・・
先月24日に逝去したCharlie Watts(1941-2021年)を偲んで、The Rolling Stonesを取り上げたいと思います。
セレクトしたのは『Some Girls』(1978年)です。
これまで本ブログで紹介してきたThe Rolling Stones作品は以下の11枚(発売年順)。
『12 X 5』(1965年)
『The Rolling Stones, Now!』(1965年)
『December's Children (And Everybody's)』(1965年)
『Aftermath』(1966年)
『Between the Buttons』(1967年)
『Beggars Banquet』(1968年)
『Let It Bleed』(1969年)
『Sticky Fingers』(1971年)
『Exile on Main St.』(1972年)
『Black And Blue』(1976年)
『Emotional Rescue』(1980年)
僕が初めてリアルタイムで聴いたStonesの新作は『Emotional Rescue』(1980年)でしたが、その直前に初めてアルバム単位で聴いたStones作品が、友達から借りた『Some Girls』(1978年)のレコードでした。
当時中学生であった僕にとって、それまでは「(I Can't Get No) Satisfaction」、「Jumpin' Jack Flash」といった60年代Stonesのイメージが強く、オープニングの「Miss You」を聴いたとき、"Stonesってこんな感じだっけ?"とかなり戸惑った印象があります。当時の僕はロック的な格好良さを求めていたので、ディスコ・ビートの「Miss You」に面食らったのでしょうね。
本作『Some Girls』(1978年)は『Black And Blue』(1976年)以来、ライヴ・アルバム『Love You Live』(1977年)を挟み、2年ぶりのスタジオ録音作となります。Ron Woodが正式メンバーとしてフル参加した初のスタジオ作にもなります。
ファンならばご存知の通り、当時のStonesはKeithのカナダ、トロントにおけるヘロイン不法所持による逮捕という大トラブルを抱え、グループ解散説も流れた状態でした。また、音楽的にもパンク/ニューウェイヴが台頭しはじめ、Stonesは旧世代ロックというレッテルを貼られ、苦しい状況でした。
そんな中で起死回生の1作としてリリースされたのが本作『Some Girls』(1978年)です。
アルバムはUSチャート第1位、UKチャート第2位の大ヒットとなり、Stonesの健在ぶりを示すことができました。
Mick Jagger(vo、g、p、per)、Keith Richards(g、vo、b、p)、Ron Wood(g、back vo、b、ds)、Charlie Watts(ds)、Bill Wyman(b、syn)というメンバー5人以外に、Ian McLagan(el-p、org)、Sugar Blue(harmonica)、Mel Collins (sax)、Simon Kirke(congas)が参加しています。
プロデュースはThe Glimmer Twins(Mick Jagger/Keith Richards)。
The Temptationsのカヴァー「Just My Imagination (Running Away with Me)」以外は、Jagger/Richardsによるオリジナルです。
本作で目を引くのは、前述の「Miss You」におけるディスコ・ビートの導入と、「Lies」、「Shattered」に代表されるパンク/ニューウェイヴを意識した演奏です。
一方で、Charlieの力強いビートが聴ける「When the Whip Comes Down」や「Some Girls」などは、昔からのStonesファンが楽しめる演奏ですし、前述の「Just My Imagination (Running Away with Me)」、シングル・ヒットした「Beast of Burden」のようなソウル・チューンには成熟したStonesならではの魅力を感じます。
改めて聴くと、バンドの危機をバネにして、本来のStonesらしさを見つめ直しつつ、80年代への新スタイルを模索する興味深い1枚に仕上がっていると思います。
全曲紹介しときやす。
「Miss You」
アルバムからのリード・シングルとして、USチャート第1位、UKチャート第3位となった大ヒット・シングル。現状ではStones、最後のUSチャートNo.1シングル。前述のようにディスコ・ビートの導入が見事にハマりました。当時でいえば、Rod Stewart「Da Ya Think I'm Sexy?」と並ぶ、ロック・スターの大ヒット・ディスコ・チューンでした。正直、初めて聴いたころは大して好きではありませんでしたが、僕自身が黒人音楽をよく聴くようになってからは、一気に好きになりましたね。スタジオ前作『Black And Blue』からの流れで聴けば、同作オープニングを飾った「Hot Stuff」が「Miss You」へと繋がっている気がします。
https://www.youtube.com/watch?v=PKVXSo9ROpg
当ブログでも紹介したMusiq Soulchild、Leela Jamesヴァージョンをはじめ、Mirwais、The Dynamics、Etta James等がカヴァーしています。
Musiq Soulchild「Missyou」
https://www.youtube.com/watch?v=0Is8MdtlCgE
Leela James「Miss You」
https://www.youtube.com/watch?v=3lrtnmysr2U
Mirwais「Miss You」
https://www.youtube.com/watch?v=VssSKwHaBPE
The Dynamics「Miss You」
https://www.youtube.com/watch?v=bxhVj7LB61c
Etta James「Miss You」
https://www.youtube.com/watch?v=F9-3meaGF-U
また、King Tee「Diss You」、Onyx feat. X-1「Broke Willies」、Snoop Dogg feat. Kokane「Y'all Gone Miss Me」、Daddy Freddy「Born Christian」、Seventy-Six of the Dark Myndz「Waiting So Long」、N2Deep「Deep N2 the Game」、Organiz'「Are U Ready (Miss You)」等のサンプリング・ソースとなっています。
King Tee「Diss You」
https://www.youtube.com/watch?v=fRbfnI89Q7s
Onyx feat. X-1「Broke Willies」
https://www.youtube.com/watch?v=zQYm1GMst_Q
Snoop Dogg feat. Kokane「Y'all Gone Miss Me」
https://www.youtube.com/watch?v=UVzBr9T36XE
Daddy Freddy「Born Christian」
https://www.youtube.com/watch?v=aJFiRT7cJoc
Seventy-Six of the Dark Myndz「Waiting So Long」
https://www.youtube.com/watch?v=FtZVNLTpQeg
N2Deep「Deep N2 the Game」
https://www.youtube.com/watch?v=TWU3ZUJDQPs
Organiz'「Are U Ready (Miss You)」
https://www.youtube.com/watch?v=bFA-RV5WA1A
「When the Whip Comes Down」
ロック・バンドとしてのStonesを聴きたいファンを安堵させてくれる、Stonesらしいロック・チューン。Charlieの力強いビートが演奏を牽引します。
https://www.youtube.com/watch?v=fwgGdfp-kc0
「Just My Imagination (Running Away with Me)」
The Temptations、1971年の大ヒット曲をカヴァー(Norman Whitfield/Barrett Strong作)。ソウル名曲を自分たちのオリジナルであるかのように聴かせてしまうのは、さすがStonesという気がしますね。ロック・バンドとしての成熟を感じるコクのある演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=_FDlZPOLn0M
「Some Girls」
タイトル曲はブラック・フィーリング溢れる演奏です。Sugar Blueのハーモニカが印象的ですね。ここでもCharlieのパワフルなビートを満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=hKOr0yzZcro
「Lies」
スピーディーに直線的に疾走するロックン・ロール。パンク世代への対抗心を剥き出しにした演奏かもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=XRTXx4NdodU
「Far Away Eyes」
ここからがオリジナルLPのB面。『Let It Bleed』(1969年)あたりに入っていてもおかしくないようなカントリー調の仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=1n-2vgbk6w4
「Respectable」
軽快なロックン・ロールで駆け抜けます。パンク世代からの突き上げに対して、ロック・バンドとしての矜持を示したかのような演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=S0hl5WmTTPo
「Before They Make Me Run」
Keithがリード・ヴォーカルをとる、Keithファンにはたまらない1曲。Keithのヘロヘロなヴォーカルの味わいがサイコーです。勿論、Keithらしいギターも満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=KWqxFMUnskw
Steve Earle and Supersuckers、Great Lake Swimmers、Blue Jean Junkiesがカヴァーしています。
Steve Earle and Supersuckers「Before They Make Me Run」
https://www.youtube.com/watch?v=BVbI8fv03ps
Great Lake Swimmers「Before They Make Me Run」
https://www.youtube.com/watch?v=cReTaLCZHf4
「Beast of Burden」
アルバムからの2ndシングルとして、USチャート第8位のヒットとなりました。Curtis Mayfieldあたりに通じる雰囲気のミディアム・ソウル・チューン。こういうソウル・チューンで他のロック・バンドの追随を許さないのがStonesですね。
https://www.youtube.com/watch?v=RlV-ZFyVH3c
Bette Midler、Billy Valentine等がカヴァーしています。
Bette Midler「Beast of Burden」
https://www.youtube.com/watch?v=zsqf-ORB37Q
Billy Valentine「Beast of Burden」
https://www.youtube.com/watch?v=WUwrzeNNQfI
「Shattered」
ラストは、次作『Emotional Rescue』(1980年)を予感させるニューウェイヴ調の演奏で締め括ってくれます。昔は大していい演奏だと思いませんでしたが、今はこのニューウェイヴなStonesが大好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=3_Y5J0ka4_k
Fresh Kid Ice「Demon」等のサンプリング・ソースとなっています。
Fresh Kid Ice「Demon」
https://www.youtube.com/watch?v=9ZGQOb8f9Qk
The Rolling Stonesの過去記事もご査収ください。
『12 X 5』(1965年)
『The Rolling Stones, Now!』(1965年)
『December's Children (And Everybody's)』(1965年)
『Aftermath』(1966年)
『Between the Buttons』(1967年)
『Beggars Banquet』(1968年)
『Let It Bleed』(1969年)
『Sticky Fingers』(1971年)
『Exile on Main St.』(1972年)
『Black And Blue』(1976年)
『Emotional Rescue』(1980年)