
発表年:2009年
ez的ジャンル:名人ギタリスト系メロウ・サンバ/ボサノヴァ
気分は... :素晴らしき置き土産・・・
今回はアルゼンチン人ギタリストAgustin Pereyra Lucenaの『42:53』(2009年)です。
「私のルーツはアルゼンチンにあって、憧れはブラジルにある」と、アルゼンチン人ながらもブラジル音楽に大きく影響を受けたギタリストAgustin Pereyra Lucena(1948-2019年)に関して、当ブログで紹介した作品は以下の6枚(発売順)。
『Agustin Pereyra Lucena』(1970年)
『Climas』(1973年)
『Ese Dia Va A Llegar』(1975年)
Candeias『Sambaiana』(1976年)
『La Rana』(1980年)
『Miradas』(1998年)
1つ前のAgustin Pereyra Lucenaのエントリーが、2016年の『Climas』(1973年)でしたが、その後2019年に彼は惜しくも逝去してしましました。今回の記事を書くために確認して初めて知りました。
本作『42:53』(2009年)は、『Acuerdos』(2000年)以来約9年ぶりのアルバムであり、おそらく彼のラスト・スタジオ・アルバムではないかと思われます。
プロデュースはSergio Liszewski。
アルゼンチン在住のブラジル人女性シンガーであり、『Miradas』(1998年)にも参加していたAdriana Riosが5曲でヴォーカルをとっています。
彼女のアルバム『Cadapaju, Terra Da Inocencia』(2012年)は当ブログでも紹介しましたが、『ezが選ぶ2013年の10枚』でセレクトしたほどのお気に入り作でした。
話を本作に戻すと、Adriana Rios以外にもMauricio Einhorn(harmonica)、Leandro Braga(el-p)といったブラジル人ミュージシャンや、Helena Uriburu(vo)等も参加しています。
楽曲はすべてAgustin Pereyra Lucenaのオリジナルです。
Adriana Riosを大きくフィーチャリングしているので、アルバム全体が実に華やかです。また、アレンジが想像以上にモダンなのも本作の魅力アップにつながっています。
こんな素晴らしいアルバムを聴いてしまうと、その逝去が益々惜しまれます。
彼が残した至極の音世界を大切に聴き込みましょう。
全曲紹介しときやす。
「Verbo Amar」
Agustin Pereyra Lucena/Guilherme Godoy作。ブラジル人SSW、Guilherme Godoyが作詞を手掛けたオープニング。Adriana Riosの透明感のあるヴォーカルが映えるメロウ・サンバ。2009年ならではのモダンなアレンジが冴えます。Mauricio Einhornのハーモニカもいい味出しています。
https://www.youtube.com/watch?v=WiYQNfNyyEI
「Bossa Cuasi Nova」
Agustin Pereyra Lucena作。Agustin自身がスキャットを披露するメロウ・サンバ。Agustinのギターの響きが実に心地好いです。涼しげなフルートもグッド!
「Pisadas En El Mar」
Agustin Pereyra Lucena/Adriana Rios作。Leandro Bragaのミステリアスなエレピが印象的なアコースティック・メロウ。Adriana Riosのウィスパー・ヴォーカルがフィットしています。
「De Agua Y Viento」
Agustin Pereyra Lucena作。ブラジルの大自然をイメージさせるインスト。Baden Powellあたりのテイストをモダンにアレンジしたような雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=JTCMw0xTEus
「Luna Clara」
Agustin Pereyra Lucena/Adriana Rios作。Adriana Riosのウィスパー・ヴォーカルの魅力全開のメロウ・ボッサ。Mauricio Einhornのハーモニカがロマンティックなサンセット・ムードを演出してくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Jl3SrkmfIzI
「Picaron」
Agustin Pereyra Lucena/Andres Laprida作。Agustinと同じくブラジル音楽に傾倒するアルゼンチン人ギタリストAndres Lapridaとの共作。『Miradas』(1998年)でも二人は共作していました。Agustinのギターを存分に楽しむためのトラックですね。中盤以降は
Helena Uriburuのスキャットが入り、華やかさが増します。
「Transparente」
Agustin Pereyra Lucena作。Agustinのギターのみの演奏であり、彼のギターの美しい音色を存分に堪能できるインストです。
https://www.youtube.com/watch?v=M6NVRNDBKZs
「Por Eles」
Agustin Pereyra Lucena/Adriana Rios作。Adriana RiosとAgustinがヴォーカルをとるメロウ・ボッサ。Joao Gilberto、Carlos Lyra、Antonio Carlos Jobim、Baden Powellといった偉大なブラジル人アーティストの名が歌詞に登場します。ここでもMauricio Einhornのハーモニカが存在感を示しています。
「Planicie (El Llano)」
Agustin Pereyra Lucena作。Fabian Saumaとのデュオ・ギター演奏を聴かせてくれます。寂しげなフルートも含めてブラジル・モードの憂いを感じる演奏です。
「Vem Viver」
Agustin Pereyra Lucena/Adriana Rios作。Adriana Rios『Cadapaju, Terra Da Inocencia』(2012年)でも再演された楽曲。順番が逆ですが、僕は爽快メロウ・サンバのAdriana Riosヴァージョンで本曲をとても気に入ったので、小気味よい本ヴァージョンも大好きです。
Adriana Rios「Vem Viver」 ※ライヴ音源
https://www.youtube.com/watch?v=kv70BFG41Sk
他のAgustin Pereyra Lucena作品もチェックを!
『Agustin Pereyra Lucena』(1970年)

『Climas』(1973年)

『Ese Dia Va A Llegar』(1975年)

Candeias『Sambaiana』(1976年)

Agustin Pereyra Lucena Quartet『La Rana』(1980年)

『Puertos de Alternativa』(1986年)

『Miradas』(1998年)

『Acuerdos』(2000年)