発表年:2022年
ez的ジャンル:進化形ジャズ
気分は... :気負わず自然体で!
新作アルバムから進化形ジャズの牽引者Robert GlasperのBlack Radioシリーズの第3弾『Black Radio III』です。
1978年、テキサス州ヒューストン出身のジャズ・ピアニストRobert Glasperに関して、これまで当ブログで紹介した作品は以下の10枚(Robert Glasper Experiment(RGE)名義や彼の参加ユニットR+R=Nowの作品も含む)。
『In My Element』(2007年)
『Double Booked』(2009年)
『Black Radio』(2012年)
『Black Radio Recovered: The Remix EP』(2012年) ※リミックスEP
『Black Radio 2』(2013年)
『Covered』(2015年)
Miles Davis & Robert Glasper『Everything's Beautiful』(2016年)
『ArtScience』(2016年)
R+R=Now『Collagically Speaking』(2018年)
『Fuck Yo Feelings』(2019年)
『Fuck Yo Feelings』(2019年)でBlue Noteを離れ、Concord傘下のLoma Vistaと契約したRobert Glasper。
映画『The Photograph』(2020年)のサントラ提供を挟んで、『Fuck Yo Feelings』以来のスタジオ・アルバムとしてLoma Vistaからリリースされたのが『Black Radio III』です。
『Black Radio』(2012年)、『Black Radio 2』(2013年)に続く、9年ぶりのシリーズ第3弾となった『Black Radio III』。
これまでの2作はRobert Glasper Experiment(RGE)名義でしたが、本作はRobert Glasperのソロ名義です。
本作でも豪華なシンガー/ラッパーがフィーチャリングされています。
Q-Tip、Esperanza Spalding、BJ The Chicago Kid、H.E.R.、Meshell Ndgeocello、Lalah Hathaway、Common、Musiq Soulchild、Posdnous(Pos)(De La Soul)、Gregory Porter、Ledisi、PJ Morton、India.Arie、Jennifer Hudson、Killer Mike、Big K.R.I.T、Amir Sulaiman、D Smoke、TiffanyGouche、Yebba、Ant Clemonsという面々です。
レコーディングにはRobert Glasper (key、p、el-p、ds)以下、Derrick Hodge (b、strings)、Chris Dave (ds)という『Black Radio』(2012年)を共に創り上げたRobert Glasper Experiment(RGE)最強メンバー、同じくRGEの同僚Jahi Sundance(turntables)、 R+R=Nowの盟友であるTerrace Martin(sax、syn)、Justin Tyson (ds、key)というメンバーが名を連ねます。
それ以外にもDJ Jazzy Jeff (turntables)、Christian Scott aTunde Adjuah (spoken word)、Isaiah Sharkey(g)、Marlon Williams(g)(元Fishbone)、Burniss Travis II(b)、 Pino Palladino(b)、Thaddaeus Tribbett(b)、Cory Henry(organ)、Bryan-Michael Cox(synths)、Keyon Harrold(tp)、Marcus Strickland(b-cl)等がレコーディングに参加しています。
プロデュースはRobert Glasper自身。
Terrace Martin、Jahi Sundance、Bryan-Michael Coxとの共同プロデュース曲もあります。
さすがに『Black Radio』(2012年)リリース時のようなインパクトはありませんが、逆にいえば、ジャズとR&B/Hip-Hopというジャンルの境を意識することなく聴くのが当たり前の時代になったということだと思います。その意味で Glasperの果たした役割の大きさを再確認できます。
気負うことなく自然体のBlack Radioワールドを楽しみましょう。
全曲紹介しときやす。
「In Tune」
Amir Sulaimanをフィーチャー。Glasperのピアノをバックに、Amir Sulaimanがスポークン・ワードが響きます。薄らとKeyon Harroldのトランペットもき聴こえてきます。
https://www.youtube.com/watch?v=U7s5S4imC5g
「Black Superhero」
Killer Mike, BJ The Chicago Kid,Big K.R.I.Tをフィーチャー。DJ Jazzy Jeff、Christian Scott aTunde Adjuah参加しています。Glasper、Hodge 、Daveのトリオ演奏に、DJ Jazzy Jeffのターンテーブルが絡んでくるあたりがBlack Radioらしいですね。BJ The Chicago KidのヴォーカルとKiller Mike、Big K.R.I.Tのラップのバランスもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=2z8piOggNsw
「Shine」
D Smoke & TiffanyGoucheをフィーチャー。このトラックではGlasperがドラムも担当しています。TiffanyGoucheの女性ヴォーカルに、D Smokeのラップが絡むメロウR&B調の仕上がりです。終盤のKeyon Harroldのミュート・トランペットもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=v5757BToo0M
「Why We Speak」
Q-Tip & Esperanza Spaldingをフィーチャー。ここでのリズム隊はJustin TysonとBurniss Travis II。Esperanzaのキュート・ヴォーカルが映えるドリーミー・メロウ・チューン。Q-Tipの出番は短いですが、Qちゃんらしいフロウで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=kVdYZARwie0
「Over」
Yebbaをフィーチャー。この曲もリズム隊はJustin TysonとBurniss Travis II。Jahi Sundanceのターンテーブルも加わります。Glasperの美しいピアノをバックに、Yebbaが透明感のあるヴォーカルを聴かせてくれるミディアム・グルーヴです。なかなかキャッチーです。
https://www.youtube.com/watch?v=wgeoQ45zHA4
「Better Than I Imagined」
H.E.R. & Meshell Ndgeocelloをフィーチャー。リズム隊はHodgeとJustin Tysonという組み合わせ。H.E.R.が彼女らしい憂いを帯びたヴォーカルを聴かせてくれます。Ndgeocelloのしみじみとしたスポークン・ワードもいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=3MNiu8ISOPk
「Everybody Wants To Rule the World」
Lalah Hathaway & Commonをフィーチャー。Tears for Fears、1985年の大ヒット曲のカヴァーです。テンポを落とし、Lalah Hathawayの雰囲気のあるヴォーカルが映えるようにしていますが、それでもJustin Tysonの乾いたビートをしっかり効かせているのがいいですね。終盤はCommonがラップで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=m_lRJ_T5xYg
「Everybody Love」
Musiq Soulchild & Posdnous(Pos)(De La Soul)をフィーチャー。GlasperとJahi Sundanceの共同プロデュース。Musiq Soulchildが素晴らしいヴォーカル・ワークで魅せてくれます。De La Soul好きとしてはPosのラップが聴けるのも嬉しい限りです。
https://www.youtube.com/watch?v=aCf3pWK8Ddg
「It Don't Matter」
Gregory Porter & Ledisiをフィーチャー。ここでのリズム隊はPino PalladinoとDaveという組み合わせ。Gregory Porter & Ledisiという実力派シンガー二人が素晴らしい歌声で魅せてくれるミディアム・バラード。Glasperのメロウ・エレピが映えます。
https://www.youtube.com/watch?v=MYV8664GNgo
「Heaven's Here」
Ant Clemonsをフィーチャー。GlasperとBryan-Michael Coxの共同プロデュース。Ant Clemonsのオートチューン・ヴォーカルが映えるビューティフル・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=xiKszKDEiWQ
「Out of My Hands」
Jennifer Hudsonをフィーチャー。GlasperとTerrace Martinの共同プロデュース。本作では異色の4つ打ちのダンサブル・チューン。Jennifer Hudsonのパワフル・ヴォーカルともに疾走します。
https://www.youtube.com/watch?v=vG_T-N_zFaY
「Forever」
PJ Morton & India.Arieをフィーチャー。二人の素晴らしいヴォーカルに魅せられる感動バラード。終盤にはJustin Tysonが印象的なドラミングを披露してくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=cQN_hlYIYyQ
「Bright Lights」
GlasperとTerrace Martinの共同プロデュース。Ty Dolla $ignがヴォーカル参加。ラストはGlasperのピアノとJustin Tysonのドラムのみのバッキングで、Ty Dolla $ignが祈るような歌声を聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZDOZlEtpOok
Robert Glasper関連の過去記事もチェックを!
『In My Element』(2007年)
『Double Booked』(2009年)
Robert Glasper Experiment『Black Radio』(2012年)
Robert Glasper Experiment『Black Radio Recovered: The Remix EP』(2012年)
Robert Glasper Experiment『Black Radio 2』(2013年)
『Covered』(2015年)
Miles Davis & Robert Glasper『Everything's Beautiful』(2016年)
Robert Glasper Experiment『ArtScience』(2016年)
R+R=Now『Collagically Speaking』(2018年)
『Fuck Yo Feelings』(2019年)