発表年:2022年
ez的ジャンル:UKロック・スーパー・ユニット
気分は... :『OK Computer』から25年・・・
新作から偉大なUKロック・バンドRadioheadのThom YorkeとJonny Greenwoodと、UK新世代ジャズを牽引するグループSons Of KemetのメンバーであるTom Skinnerによるスーパー・ユニットThe Smileのデビュー・アルバム『A Light For Attracting Attention』です。
UKを代表する世界的ロック・バンドRadioheadに関して、これまで当ブログで紹介したのは以下の3枚。
『The Bends』(1995年)
『OK Computer』(1997年)
『Kid A』(2000年)
また、Tom Skinnerがメンバーとして活動するSons Of Kemetに関して、これまで当ブログで紹介したのは以下の2枚。
『Your Queen Is A Reptile』(2018年)
『Black To The Future』(2021年)
2021年5月の配信イベントへのサプライズ・ゲストとしてその存在が明らかになったThe Smile。Radioheadの中心メンバーによる新ユニットということで大きな話題となりました。
このスーパー・ユニットに惹かれる多くの人は、RadioheadやThom Yorkeのファンの方なのでしょうね。
僕の場合、Radioheadも聴いていましたが、殆ど『Kid A』(2000年)までで止まっている感じですし、当ブログで最後にRadioheadをエントリーしたのも13年以上前です。その意味でRadioheadファンとはとても言えない状態です。
それよりも僕がTom Skinnerに興味を持ったのは、Sons Of KemetのドラマーTom Skinnerが参加している点です。
南ロンドンのUK新世代ジャズ作品は当ブログでも数多く取り上げており、その中でもShabaka Hutchings率いるSons Of Kemetは特別な存在感を持つグループです。そのSons Of KemetのドラマーTom SkinnerがRadioheadメンバーと合流すると、UKロックとUKジャズがどのように融合するのか聴いてみたい!となった次第です。
Tom Skinnerのみならず、同じくSons Of KemetのメンバーTheon Crossもゲスト参加しており、益々興味が湧いてきました。
プロデュースはお馴染みNigel Godrich。
Thom Yorke(vo、syn、p、g、b、vocoder、sequencer)、Jonny Greenwood(syn、p、g、b、key)、Tom Skinner(ds、per)というメンバー以外に、London Contemporary Orchestra、Jason Yarde(sax)、Robert Stillman(sax、Clarinet)、SEED EnsembleのChelsea Carmichael(fl)、Sons Of KemetのメンバーTheon Cross(tuba)、Theonの兄弟Nathaniel Cross(tb)、Byron Wallen(tp)、Tom Herbert(double b)、Dave Brown(double b)がゲスト参加しています。
楽曲はすべてメンバーとNigel Godrich。
アルバムはUKチャート第5位、USチャート第19位となっています。
Radiohead/Thom Yorkeファンが本作をどう感じるのかわかりませんが、僕は十分楽しめる1枚でした。
若々しいロック・サウンド、Radioheadらしいメランコリックな音世界、Tom Skinner起用の効果を感じるリズミックな演奏がバランス良く配されていると思います。
個人的には「The Opposite」、「You Will Never Work in Television Again」、「Thin Thing」、「Free in the Knowledge」、「A Hairdryer」あたりがオススメです。
『OK Computer』(1997年)から25年、時の流れを感じます。
全曲紹介しときやす。
「The Same」
不穏な空気に包まれたオープニング。無機質なサウンドのレイヤーがだんだん厚みを増して押し寄せてきます。
https://www.youtube.com/watch?v=4rDaqGv4AIE
「The Opposite」
Tom Skinnerのドラム・ソロと共に始まるリズミックな演奏です。少しダークな雰囲気もいいですね。Tom Skinner起用の効果を感じられる本曲を試聴して購入を決めました。
https://www.youtube.com/watch?v=72z6FJsVcbs
「You Will Never Work in Television Again」
1stシングルとして先行リリースされていた曲。ニュー・ウェイヴ/ポストパンクな若々しいロック・サウンドで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=-EB5NhI2RQQ
「Pana-vision」
4thシングル。ピアノ、ベース、ドラム、オーケストレーションによるミステリアスな哀愁チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=wKXQhFXlFs4
「The Smoke」
2ndシングルとして先行リリースされていた曲。骨格はギター、ベース、ドラムによるシンプルなロックですが、ホーン隊の控えめなアクセントで薄らとUKジャズなスパイスを効かせているのが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=tEPEqZnTwdo
「Speech Bubbles」
美しくも切ないメランコリック・チューン。London Contemporary Orchestraのオーケストレーションの効果で、あまりダウナーになりすぎないのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=GWiWIN9TKBs
「Thin Thing」
6thシングル。この演奏は僕好み。ニュー・ウェイヴ/ポストパンクを2022年仕様にアップデートした感じがいいですね。UK新世代ジャズ好きの人が聴いて楽しめるロック・チューンなのでは?
ヴォコーダーも使っています。
https://www.youtube.com/watch?v=J1_Cf55cS8I
「Open the Floodgates」
ギター、ピアノ、シーケンサーというドラムレスによるサウンドスケープ的な仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=yyq-YwrUJhw
「Free in the Knowledge」
5thシングル。London Contemporary Orchestraのオーケストレーションも含めた厳かな美しさが印象的です。安息の地に辿り着いた感慨深さのようなものを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=CXbncoiKLn8
「A Hairdryer」
UKジャズ×Thom Yorkeらしさが感じられる演奏です。Tom Skinnerによるトライバル・リズムに乗って、Thom Yorkeらしいメランコリック・ワールドが展開されます。
https://www.youtube.com/watch?v=U5r4S4YjkF8
「Waving a White Flag」
シンセ・サウンドを強調した哀愁チューン。ここでもLondon Contemporary Orchestraのオーケストレーションとの融合が美しいです。
https://www.youtube.com/watch?v=RlHEPF4Pqos
「We Don't Know What Tomorrow Brings」
ニュー・ウェイヴ期にロックを聴き始めた僕にとって、1周回って新鮮な印象を受ける軽快な演奏です。哀愁モードで疾走します。
https://www.youtube.com/watch?v=3oEkWwX9iX4
「Skrting on the Surface」
3rdシングルとして先行リリースされていた曲。以前からRadioheadでも演奏されていた楽曲のタイトル、歌詞を一部改変したもの。本編ラストはThom Yorkeらしい哀愁チューンでメランコリックに締め括ってくれます。終盤の揺らめきながら沈んでいくような雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=_nmutqhuWFE
「Open The Flood Gates [Live]」
国内盤CDボーナス・トラック。「Open the Floodgates」のライヴ・ヴァージョンです。
https://www.youtube.com/watch?v=Nj1Qu7zOwNM
ご興味がある方はRadiohead、Sons Of Kemetの過去記事もご参照ください。
Radiohead『The Bends』(1995年)
Radiohead『OK Computer』(1997年)
Radiohead『Kid A』(2000年)
Sons Of Kemet『Your Queen Is A Reptile』(2018年)
Sons Of Kemet『Black To The Future』(2021年)