発表年:2022年
ez的ジャンル:インド系イギリス人シタール奏者
気分は... :ブラフマン/アートマンを感じる・・・
インド系イギリス人のシタール奏者Jasdeep Singh Degunのデビュー・アルバム『Anomaly』です。
神秘的なシタールの音色が大好きな僕。これまでシタール奏者の作品やシタールの音色が印象的な作品も数多く紹介してきましたが、シタール奏者の新作を紹介するのは、17年近く当ブログに投稿してきて初めてだと思います。
正直、本作の主役Jasdeep Singh Degunのことは、ほとんど知りません。ネットで調べたら、イングランド、リース出身で、2009年頃からレコーディング活動を行っているようです。
ネットで"新星シタール奏者の最新作"という情報を得て、試聴してみたらモロに僕好みだったので購入に至りました。
そんなJasdeep Singh Degunのデビュー・アルバム『Anomaly』ですが、古典的インド音楽を伝統を受け継ぎつつ、プログラミングなども交えてモダンなセンスで聴かせてくれるのが魅力です。
プロデュースはJasdeep Singh Degun自身とDavid McEwan。
レコーディングには90年代から活躍し、20枚近くのアルバムをリリースしている、著名なインド系イギリス人ミュージシャンNitin Sawhneyをはじめ、Roopa Panesar(sitar)、Pirashanna Thevarajah(kanjira)、Kirpal Panesar(esraj)、Upneet Singh(tabla)等も参加しています。
インド音楽やシタール奏者のアルバムを初めて聴く人でも、モダンな仕上がりで比較的聴きやすいのではないかと思います。
美しく、神秘的で、コズミックなシタール・ワールドをご堪能ください!
全曲紹介しときやす。
「Anomaly」
Jasdeep Singh Degun作。イングランドに住むインド系の自分という"例外的な存在"をテーマとしたタイトル曲がオープニング。シタール、エスラジ(インドの弦楽器)、ソーマンダル(インドハープ)、タブラ、チェロらが織り成す、美しくも切ない演奏が印象的です。バロック的な雰囲気に加えて、中国・日本の古典音楽的な叙情感もあるのが不思議です。
https://www.youtube.com/watch?v=t8NlmH5ixaY
「Veer」
Jasdeep Singh Degun作。ストリングスを配した深遠なシタール演奏。西洋と東洋の融合といった雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=H_1_ZeTLPQs
「Translucence」
Jasdeep Singh Degun/Nitin Sawhney作。Nitin Sawhneyとのコラボ。Jasdeep Singh Degunのシタール、Nitin Sawhneyのギター&プログラミングが神秘的コズミック・ワールドへ誘ってくれます。目を閉じて聴けばブラフマン/アートマンを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=zmZGwPN6D6E
「In Search of Redemption」
Jasdeep Singh Degun作。シタール、カンジーラ(インドのフレームドラム)等の組み合わせによる南インド・ムードを存分に満喫できる演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=nhcqfZEFgyk
「Sajanava」
Jasdeep Singh Degun作。二人の女性ヴォーカルをフィーチャーし、ストリングスを配したビューティフルな仕上がり。祈りのようなヴォーカルが夢の中へ誘ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=f5lhQMWwDbU
「Enigma 7.5」
Jasdeep Singh Degun/Jason Singh作。シタール、低音ベース、ドラム、タブラ、サントゥール(伝統的な打弦楽器)が織り成す、美しくも神秘的な音世界に吸い込まれます。インド古典のエッセンスをモダンに聴かせてくれるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=GObv9UYdVxQ
「Undertow」
Jasdeep Singh Degun/Francois Kirmann作。シタール×エレクトロニカによる"真夏の星空のサウンドスケープ"とでも呼びたくなる演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=o7aX9oTaqyw
「Rageshri」
Jasdeep Singh Degun/Pirashanna Thevarajah作。インド楽器の素晴らしいアンサンブルを楽しめる演奏です。モロに古典的インド音楽の雰囲気なのに、2022年仕様にアップデートされている感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=gjJf2AKqoyI
「Ulterior Motives」
Jasdeep Singh Degun作。悲しい結末のドラマのエンディング・テーマのような美しくも切ない演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=1p-FSO7-e8s
「Nadia」
Nitin Sawhney作品をJasdeep Singh Degunがアレンジ。基本はインド古典の伝統を受け継ぐ演奏ですが、最初と最後のドラムンベース調のダンサブルなリズムは90年代のTalvin Singhあたりを思い出させてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=zKYZ08Rpemg
「Mahogany」
Jasdeep Singh Degun作。同じシタール奏者Roopa Panesarとの共演。約21分の長尺ですが、私たちがイメージする古典的なシタール演奏を存分に楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=1Pgd8jTjs54
「Redemption (Reprise)」
Jasdeep Singh Degun作。ラストは「In Search of Redemption」の美しいリプライズで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=n9bsmnGmxg8
民主主義の根幹を揺るがす暴挙のせいで、どうも気持ちがどんよりする週末です・・・