発表年:2014年
ez的ジャンル:UKクロスオーヴァー経由L.A.ジャズ
気分は... :第二幕の始まり・・・
今回はMark De Clive-Lowe『Church』(2014年)です。
ニュージーランド人の父と日本人の母を持ち、"西ロンドンのHerbie Hancock"とも呼ばれたプロデューサー/キーボード奏者/DJMark De Clive-Lowe(MdCL)に関して、当ブログでこれまで紹介したのは以下の4枚。
『Six Degrees』(2000年)
『Tide's Arising』(2005年)
『Journey 2 The Light』(2007年)
『Renegades』(2011年)
今年、Pharoah Sandersへのトリビュート作品『Freedom - Celebrating the Music of Pharoah Sanders』をリリースしたMdCL。
これまで当ブログで紹介してきた4枚は西ロンドン仕込みのブロークン・ビーツ/クロスオーヴァー作品であり(『Renegades』はL.A.録音ですが)、僕の好きなMdCLはこの路線でした。
一方、今回紹介する『Church』(2014年)以降は、L.A.を拠点にジャズ的アプローチの作品をリリースするようになります。その意味でMdCL第二幕の始まりといえるでしょう。
アルバム・タイトルの"Church"とは、MdCLがL.A.でスタートしたイベントの名からとったものです。
全13トラックのうち、10トラックがN.Y.でのセッション、3トラックがL.A.でのセッションです。
Mark De Clive-Lowe(p、el-p、syn、sampling、beats、electronic manipulation)に加えて、N.Y.セッションにはTivon Pennicott(sax、fl)、Duane Eubanks(tp)、Robin Eubanks(tb)、Tim Lefebvre(b)、Nate Smith(ds)、L.A.セッションにはMiguel Atwood-Ferguson(viola)、Josiel Perez Hernandez(tp)、Low Leaf(harp)、Ben Shepherd(b)、Jamire Williams(ds)、Contra Mestre Xingu(berimbau、vo)、Tim Stewart(g)といったミュージシャンが参加しています。
また、Nia Andrews、John Robinson、theeKIDICARUSといったヴォーカリスト/ラッパーが参加しています。
改めて参加ミュージシャンを眺めると、Miguel Atwood-Ferguson、Nate Smith、Jamire Williamsの参加が目を引きます。
ジャズ的アプローチの作品といっても、ブロークンビーツ、ダブステップ、フューチャー・ジャズ、Hip-Hop的アプローチのトラックもあるので、従来からのMdCLファンもそれなりに楽しめると思います。当時はかなり違う世界へ行ってしまったような印象を受けましたが、改めて聴くとそれほどでもないですね。
MdCL第二幕を楽しみましょう!
全曲紹介しときやす。
「The Mission」
John Robinsonのラップをフィーチャー。人力ジャジーHip-Hopなオープニング。RGE『Black Radio』(2012年)の影響もあるのかもしれませんが、コチラの方がジャジーHip-Hopしています。
https://www.youtube.com/watch?v=eoih5x2A_-Q
「Nova Roda」
Contra Mestre Xinguをフィーチャー。トライバルな演奏に、フューチャリスティックなアクセントを織り交ぜた時空を超えた雰囲気のトラックです。
https://www.youtube.com/watch?v=mzMn4kmQVbI
「Brukstep」
人力ブロークンビーツという雰囲気の演奏であり、従来からのMdCLファンも楽しめる演奏です。一方で、MdCLのピアノはしっかりジャズしています。
https://www.youtube.com/watch?v=BQCx1kW3kMc
「The Processional」
L.A.ジャズ・ミーツ・MdCLといった雰囲気の演奏です。L.A.ジャズ好きの人は楽しめるスケールの大きな演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=DEbBfIKvfx8
「Now Or Never」
Nia Andrewsをフィーチャー。Nia Andrewsのソウルフル・ヴォーカルが引き立つ、モダンな新世代ジャズに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=TKLhzHb3W2A
「Ghaziya」
"西ロンドンのHerbie Hancock"とも呼ばれたMdCLらしいフューチャリスティックなコズミック・ファンク。MdCLファンとしてはこういう演奏も聴きたいですよね!
https://www.youtube.com/watch?v=ZVKci2pWjSA
「Sketch For Miguel」
タイトルの通り、Miguel Atwood-Fergusonとの共演を楽しめる演奏です。幻想的なL.A.ジャズ・ワールドにMdCLがうまく溶け込んでいます。
https://www.youtube.com/watch?v=aPVrVmyoRPM
「Hollow」
Nia Andrewsをフィーチャー。メロウ・エレピと美しいホーン・サウンドがNia Andrewsの艶やかなヴォーカルを包み込みます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZUB02jBCWP8
「Prayer」
2分半に満たない演奏ですが、ジャズにアプローチするMdCLの美学を感じられる演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=2uSbomGF9ME
「Imam」
Dollar Brand Quartetのカヴァー(Abdullah Ibrahim(Dollar Brand)作)。オリジナルは『Africa - Tears And Laughter』(1979年)収録。オリジナルの持つ格好良さをモダンにアップデートしたようなエキサイティングな演奏にグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=7P_bVlxKBSw
「Sun Up Sun Down」
TheeKIDICARUSのラップをフィーチャー。オープニングの「The Mission」と同じくHip-Hop的な演奏ですが、コチラの方がジャズ・ミュージシャンによるHip-Hop感はあり、その意味ではRGE『Black Radio』的かもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=QJajJS8ODk8
「Mason's Galaxy」
Charles Earlandのカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Leaving This Planet』(1974年)収録。オリジナルをフューチャリスティックにアップデートさせた感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=EydH1E5huOA
「Distractions」
Nia Andrewsをフィーチャー。ジャズ×ダブステップのクロスオーヴァーを楽しめる演奏です。西ロンドン時代のMdCLファンも楽しめる内容なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=Uvl3dhyEsoo
MdCLの他作品もチェックを!
『Six Degrees』(2000年)
『Tide's Arising』(2005年)
『Journey 2 The Light』(2007年)
『Renegades』(2011年)
Mark de Clive-Lowe & Rotterdam Jazz Orchestra『Take the Space Trane』(2013年)
『Heritage』(2019年)
『Church Sessions』(2019年)
Mark de Clive-Lowe/Andrea Lombardini/Tommaso Cappellato『Dreamweavers』(2020年)
『Freedom - Celebrating the Music of Pharoah Sanders』(2022年)