発表年:2022年
ez的ジャンル:Z世代新星デュオ
気分は... :おそるべしZ世代!
新作アルバムからKAWAII×超絶テクのZ世代男女デュオDOMi & JD Beckのデビュー・アルバム『Not Tight』です。
DOMi & JD Beckは、フランス出身の女性キーボード奏者Domitille DegalleとUSテキサス州ダラス出身のドラマーJD Beckによる男女デュオ。2018年に結成されました。Domitille Degalleはポップなビジュアルが印象的ですが、こう見えて名門バークリー音楽大学で学んでいます。
二人はソーシャルメディアを主戦場として活動するなかで注目されるようになります。
そんな彼らの名を一躍有名にしたのは、当ブログでも紹介したBruno MarsとAnderson .Paakによるスーパー・プロジェクトSilk Sonicのヒット・シングル「Skate」でしょう。作者のなかに二人の名がクレジットされています。
そんなZ世代新星デュオのデビュー・アルバムが本作『Not Tight』です。
Anderson .Paakが設立した新レーベルApeshitと名門Blue Noteからのリリースです。
プロデュースはDOMi & JD Beck自身。
アルバムにはAnderson .Paakをはじめ、Thundercat、Herbie Hancock、Snoop Dogg、Busta Rhymes、Mac DeMarco、Kurt Rosenwinkelといったビッグネームがゲスト参加しています。
このゲスト陣の名を眺めただけでも、いかにDOMi & JD Beckが期待されているかがわかりますね。
アルバム全体を聴いた印象としては、『Drunk』(2017年)、『It Is What It Is』(2020年)といった超絶ベーシストThundercatのメロウ路線の近作からの影響が大きいように感じました。
聴く前は同じ男女デュオということで、Louis Coleと女性シンガーGenevieve ArtadiによるL.A.ポップ・ユニットKNOWERのイメージに近いのかなぁ・・・なんて勝手にイメージしていましたが、ポップ・ユニットというよりはジャズ・ユニットと呼ぶほうが相応しいと思います。
ビジュアルに惑わされてはいけない、おそるべしZ世代新星デュオです。
全曲紹介しときやす。
「Louna's Intro」
ストリングス、ハープ、フルートも入った美しいイントロ。
https://www.youtube.com/watch?v=nU55ar-O2V0
「Whatup」
Z世代ドラマーらしいJD Beckのドラミングを楽しめます。DOMiのキーボード&シンセ・ベースも含めてThundercatに通じるこの音世界を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=vibu64hLumI
「Smile」
ローファイ新世代ジャズとでも呼びたくメロウなインスト。二人で初めて作ったトラックなのだとか。ドラムとキーボード&シンセ・ベースだけで満足感のあるサウンドをクリエイトできるのが素晴らしいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=SmRppchB8vs
「Bowling」
Thundercat参加曲その1。DOMiとThundercatがヴォーカルをとります。これまで述べたとおり、彼ら自身がThundercatの近作に通じるサウンドなので、そこへ本家がベースで加わるとハマりすぎです。Thundercatのアルバムの1曲と嘘をついても、みんな信じてしまうのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=_oABY8oc7tc
「Not Tight」
Thundercat参加曲その2。タイトル曲はThundercatのベースとそれに呼応するDOMiのキーボードのやりとりが面白いですね。メロウなアウトロもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=IBAJCUcxQlE
「Two Shrimps」
カナダ人シンガー・ソングライターMac DeMarcoとの共演。JD Beckのドラムンベース的なドラミングと、メロウな上ものの組み合わせが僕好み。Mac DeMarcoのリード・ヴォーカルとDOMiのバック・コーラスの組み合わせもいいバランスです。
https://www.youtube.com/watch?v=7LKuBAi_gf4
「U Don't Have to Rob Me」
DOMiとJD Beckの二人がヴォーカルをとるローファイ・ポップ。このユニットのポップでKAWAII魅力を楽しめます。どこか儚い感じもZ世代らしいのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=G3nhULRaKNg
「Moon」
Herbie Hancockとの共演。ピアノとヴォコーダーで盛り上げてくれます。80年代Herbie HancockがZ世代サウンドと出会った感じでしょうか。DOMi & JD Beckのジャズ・ミュージシャンの側面がよく浮かび上がってくるトラックです。
https://www.youtube.com/watch?v=78A7seC9odE
「Duke」
このユニットらしい美しくも儚いサウンドに惹かれます。DOMiのキーボードの不安げな音色と響きが絶妙です。
https://www.youtube.com/watch?v=ajis9XmJlAU
「Take a Chance」
Anderson .Paak参加。基本はThundercat的なメロウ・チューンですが、Anderson .Paakのクセのある声質のラップとのコントラストが面白いです。
https://www.youtube.com/watch?v=jJVe_6N8cLY
「Space Mountain」
Thundercatの初期作品を思い出すビートミュージック的なインストに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=hnhvoYeT48Q
「Pilot」
Anderson .Paak、Snoop Dogg、Busta Rhymes参加。まぁまぁクセのある声のゲスト3名ですが、DOMi & JD Beckの音世界に合わせて、抑えたトーンのラップを聴かせてくれます。これが大正解!三者三様の声質がいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=rPC1g9oe2_8
「Whoa」
現代ジャズ・ギターの皇帝Kurt Rosenwinkel参加。トリオ演奏による新世代ジャズとして楽しめる演奏です。特にJD BeckとKurt Rosenwinkelのエキサイティングな絡みがいいですね。本作が名門Blue Noteからリリースされた理由がよくわかるトラックです。
https://www.youtube.com/watch?v=6_vvZcUrByA
「Sniff」
JD Beckによる人力ドラムンベースなドラミングによる疾走感が気持ちいい1曲。クラブミュージック好きの人も楽しめるでは?
https://www.youtube.com/watch?v=T_GVKklw_ZU
「Thank U」
イントロと同じくストリングス、ハープ、フルート等による美しい余韻でアルバムは幕を閉じます。
https://www.youtube.com/watch?v=vnnUcyWMk4I
ユニットの成り立ちや注目される流れも含めてZ世代らしいアーティストですね。