発表年:2022年
ez的ジャンル:リオ・オルタナ・ポップ第三世代
気分は... :2022年ベスト・ブラジリアン・アルバムの有力候補!
ブラジルもの新作からリオのオルタナ・ポップ第三世代によるバンドBala Desejoのデビュー・アルバム『Sim Sim Sim』です。
Bala Desejoは、Dora Morelenbaum(vo、metalofone、g)、Julia Mestre(vo)、Lucas Nunes(vo、g、org、el-p、p、theremin)、Ze Ibarra(vo、g、syn、el-p、p、theremin、fl)という4名のリオのオルタナ・ポップ第三世代アーティストが結成したバンド。
Dora Morelenbaumは、ブラジル音楽シーンを代表するチェロ奏者Jaques Morelenbaumと女性シンガーPaula Morelnbaumの娘。Julia Mestreは、既にソロ・アルバム『Geminis』(2019年)をリリースしている女性シンガー・ソングライター。
Lucas Nunesは、当ブログでも紹介したCaetano Veloso『Meu Coco』(2021年)の共同プロデュースで一躍注目されるようになったアーティストであり、Caetanoの息子Tom Veloso所属のバンドDonicaのメンバーでもあります。Ze IbarraもDonicaのメンバーであり、前述の『Meu Coco』にも参加しています。
10代からの知り合いであった4人が、2020年より共同生活を始めたことがBala Desejo結成のきっかけとなったようです。
そんなBala Desejoのデビュー・アルバム『Sim Sim Sim』ですが、一部では2022年のベスト・ブラジリアン・アルバムに挙げられるなど評価の高い1枚です。
プロデュースはBala Desejoとリオのオルタナ・ポップ第三世代の筆頭格Ana Frango Eletrico。
当ブログでもお馴染みのミナス出身の男性SSW、Leonardo Marquesがミックスを手掛けたトラックもあります。
「Nana Del Caballo Grande」以外はメンバーらによるオリジナルです。
優しくはつらつとしたヴォーカルと美しいアレンジの爽快メロウ・サウンドが絶妙にマッチした至極のオルタナ・ポップ作品に仕上がっています。"トロピカリア〜ブラジル音楽黄金期の伝統を現代に蘇らせた"という国内盤CDの帯の謳い文句も頷ける内容です。
とりあえず「Baile de Máscaras (Recarnaval)」、「Lua Comanche」、「Dourado Dourado」、「Lambe Lambe」、「Muito So」あたりを聴けば、本作の魅力を実感できると思います。
2022年のベスト・ブラジリアン・アルバムの呼び声に相応しい1枚を楽しみましょう。
全曲紹介しときやす。
「Embala Pra Viagem」
プロローグ的な小曲でアルバムは幕を開けます。
https://www.youtube.com/watch?v=dqhCrK6Dirc
「Baile de Máscaras (Recarnaval)」
Bala Desejoの魅力を象徴するトラック。4人の爽快ヴォーカルを軽やかに聴かせてくれます。ストリングス&ホーンが華やかな雰囲気を演出してくれます。2ndアルバム『Casas』(2018年)が高い評価を得たRubelやブラジルのリズム・マスターMarcelo Costaも参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=tUfQaAWSh_k
「Lua Comanche」
サンバ・ソウル調の仕上がり。爽快メロウ・フィーリングがグッド!軽やかさとエレガントさが同居しているのも僕好み。
https://www.youtube.com/watch?v=nitlMjTzuaU
「Clama Floresta」
熱帯雨林保護のメッセージが込められたアコースティック・レゲエ調のメロウ・チューン。開放的なムードがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=jlz2qD7sk84
「Dourado Dourado」
アコースティックな音色と優しい歌声が織り成す素敵なラブソング。陽だまりのフォーキー・ポップといった雰囲気がたまりません。終盤は開放的なラテン・モードに変わり、二度楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=PvNUJg7IGT8
「Nesse Sofa」
少しブルージーな仕上がり。2週前に最新2ndアルバム『Mil Coisas Invisiveis』を紹介したばかりのTim Bernardesがギターでゲスト参加しています。彼のギターで一気にサイケ風味になるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=MA06fPqBksk
「Nana Del Caballo Grande」
アルゼンチン人の男女フォーク・デュオLos Juglaresのカヴァー(Frederico Garcia Lorca/Sergio Aschero作)。オリジナルは『Lorca』(1973年)収録。4人が共同生活を始めたときから、よく一緒に歌っていた曲らしいです。哀愁フォーキーを素敵なヴォーカルワークで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=4tu85kZ9gAM
「Chupeta」
アルバム後半の始まりを告げるインタールード的な小曲。
https://www.youtube.com/watch?v=JBpMYZJ08-s
「Lambe Lambe」
4人に加え、もう一人の共同生活者であったJoao Gil(Gilberto Gilの孫)との共作。Joao Gilもゲスト参加し、さらにRubelもバック・コーラスで参加しています。トロピカリアに通じる軽快なポップ・ロックですが、Rita Lee、Caetano Veloso、Gilberto Gilといった偉大な先輩ブラジル人アーティストに関連する言葉が登場するのもお楽しみ!
https://www.youtube.com/watch?v=VGcZLApC4KE
「Passarinha」
ポルトガル語とスペイン語のミックスで歌われる哀愁チューン。少しノスタルジックな雰囲気がいい感じ。ラストのMarcelo Costaのビリンバウがいい余韻を与えてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=VOOXAy_bjTk
「Sim Sim Sim」
タイトル曲は約35秒のヴォイス・コラージュ。
https://www.youtube.com/watch?v=TiHCv6gOy50
「Muito So」
サウダージ・モードのアコースティック・メロウ。美しいストリングス&ホーン・アレンジもいい雰囲気です。何ともやるせない感じがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=bT7Wi4QidVA
「Cronofagia (O Peixe)」
邦題「時間泥棒(魚)」。哲学的な歌詞がブラジル人アーティストらしいですね。そんな歌詞と連動するような美しくもミステリアスなサウンドが展開されます。
https://www.youtube.com/watch?v=ARU4dVZ1qcE
「Faixa Tecnica」
ラジオ番組仕立てで、参加ミュージシャン、スタッフが紹介されていきます。
https://www.youtube.com/watch?v=1JSAnAoRrTo
いよいよサッカーW杯も3位決定戦、決勝の2試合のみですね。
正直、3位決定戦っていつもあまり興味なかったのですが、今回の「モロッコ対クロアチア」は面白そうですね。終わってみれば、一番の死の組であったグループFの1位、2位チームの再戦。今大会の台風の目となった両チームの名勝負を期待しています。