発表年:2022年
ez的ジャンル:次世代UKジャズ/コズミック・ジャズ
気分は... :年内最後の新作紹介!
年内最後の新作紹介は、注目のUKジャズ作品The Comet Is Coming『Hyper-Dimensional Expansion Beam』です。
The Comet Is Comingは、次世代UKジャズを牽引する最重要ミュージシャンの一人、Shabaka HutchingsさらにはDanalogue、Betamaxの3人から成るコズミック・ジャズ・トリオ。
これまで『Channel the Spirits』(2016年)、『Trust in the Lifeforce of the Deep Mystery』(2019年)という2枚のアルバムをリリースしています。
これまでShabaka Hutchingsのソロ・リーダー作や彼のもう一つのユニットSons Of Kemetについては紹介してきましたが、The Comet Is Comingは初めてのエントリーとなります。
Shabaka HutchingsのソロやSons Of Kemetの諸作はアフロ・ジャズ寄りのアプローチのイメージが強いですが、The Comet Is Comingはそれらとは少し肌触りの異なるハイパー・コズミック・ジャズを聴かせてくれます。
本作『Hyper-Dimensional Expansion Beam』は、ミニ・アルバム『The Afterlife』(2019年)以来の新作となります。
演奏はShabaka Hutchings(sax、shakuhachi)、Danalogue(syn、key、per、field recording)、Betamax(ds、per、syn)というメンバー3人のみ。
プロデュース&アレンジはDanalogueとBetamax。
ソングライティングはすべてメンバーのオリジナル。
従来のThe Comet Is Coming作品よりもトランス・モードのダンサブル・サウンドが目立つのは本作の特徴かもしれません。
「Code」、「Technicolour」、「Pyramids」、「Frequency Of Feeling Expansion」、「Atomic Wave Dance」、「Mystik」で本作らしいダンサブル・サウンドを楽しめます。
それ以外にもアンビエントな「Lucid Dreamer」、Shabakaが尺八をプレイする「Aftermath」、重低音が印象的なダブステップ「The Hammer」あたりも楽しめます。
UKクラブミュージック好きの人も楽しめる次世代UKジャズ作品です。
全曲紹介しときやす。
「Code」
先行シングルにもなったオープニング。メタリックな質感のマシン・ビートのテクノ調トラック。Shabakaのサックスも何処となくデジタルな肌触りがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=eUiI1SJqgRo
「Technicolour」
Sons Of Kemetをハイパー・コズミック化したようなフューチャリスティック・サウンドが展開されます。
https://www.youtube.com/watch?v=VN5VtWncH0A
「Lucid Dreamer」
冬の星空の光景がよくアンビエント感のあるコズミック・ジャズ。広大な宇宙のようなサウンドの広がりがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=S7imxAIydR4
「Tokyo Nights」
東京の名が冠されたインタールード的な小曲ですが、ハイパー・コズミックな格好良さがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=5lPGcFIFVNE
「Pyramids」
本作を象徴するダンサブルでフューチャリスティックなエレクトリック・ジャズ。Shabakaのサックスもハイパー・サウンドにシンクロしたプレイになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=I68JFIDw798
「Frequency Of Feeling Expansion」
僕の一番のお気に入り。冬の星空のダンシング・ジャズ。次世代UKジャズらしいブロークンビーツ調のダンサブルなコズミック・ジャズを満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=XboK5orRST8
「Angel Of Darkness」
タイトルの通り、暗黒のコズミック・ジャズといった趣の不穏なミステリアス感が印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=JUUZR2npUds
「Aftermath」
このトラックはモロにテクノですね。ここでのShabakaは尺八をプレイ。尺八が加わることで、テクノ×ジャズなクロスオーヴァー感が出るのが面白いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=1UUeNimzIFk
「Atomic Wave Dance」
ライナーノーツに80年代に活動していたポスト・パンク系UKジャズ・ファンク・バンドPigbagを思わせると書いてありましたが、確かにそんな雰囲気です。Sons Of KemetにもPigbagに通じる演奏があるので、ShabakaがPigbag好きなのかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=jOwRSsOe0zY
「The Hammer」
重低音が印象的なダブステップ×ジャズのクロスオーヴァー。スペイシーなアクセントも加わり、広大な宇宙のジャズ・ワールドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=MdX78nKEvEw
「Mystik」
本編ラストは、フリーキー&トライバル&コズミックなクロスオーヴァー・ジャズで締め括ってくれます。前半の展開はPink Floyd『Dark Side Of The Moon』(1973年)の「On The Run」を思い出させます。
https://www.youtube.com/watch?v=TcYDgmQceMk
「Levitation」
国内盤CDボーナス・トラック。約1分の小曲です。
The Comet Is Comingの他作品もチェックを!
『Channel the Spirits』(2016年)
『Trust in the Lifeforce of the Deep Mystery』(2019年)
『The Afterlife』(2019年)