発表年:2022年
ez的ジャンル:アルゼンチン女性シンガー・ソングライター
気分は... :八分儀の向こうにあるのは・・・
2023年最初の新作はアルゼンチンの女性シンガー・ソングライターDelfina Mancardoのデビュー・アルバム『Octante』です。
全8曲約26分。フル・アルバムというよりミニ・アルバムに近い長さですが、中身はかなり充実しています。
Delfina Mancardoはアルゼンチン、ブエノスアイレス出身の女性シンガー・ソングライター。
2019年に配信シングル「Fin」でミュージシャンとしての本格的活動をスタート。本作『Octante』がデビュー・アルバムとなります。
楽曲はすべてDelfina Mancardoのオリジナル。
Daniel Schnockがプロデュース&アレンジを手掛けています。
Delfina MancardoとDaniel Schnockが本作のヒントとしたのは、ブラジル、リオのオルタナ・ポップ第三世代アーティストRubelの『Casas』(2018年)なのだとか。当ブログでも『ezが選ぶ2019年の10枚』にセレクトしたお気に入りの1枚です。
それ以外にもDelfina Mancardoは、Joni MitchellなどのUSシンガー・ソングライター、Carlos Aguirre、Aca Seca Trioなどのアルゼンチン・コンテンポラリー・フォルクローレ、Moonchildなどの次世代ネオソウルからも影響を受けているようです。
個人的にはMoonchildあたりが好きな人も楽しめる1枚なのではないかと感じました。
初めて聴くのに、どこか懐かしさを感じる安らいだ雰囲気がいいですね。室内楽的なエッセンスを違和感なく取り入れている点も印象的です。
とりあえず、「Paraguas Multicolor」、「Little Red Boat」、「Laugh Some More」あたりを聴けば、本作の魅力を実感できると思います。
アルバム・タイトルの『Octante』とは、八分儀(航海などで用いられる水平方向の角度を測るための道具)のことです。
大海に乗り出したDelfina Mancardoが八分儀を用いて目指す場所はどこか?
これからが楽しみなアーティストです。
全曲紹介しときやす。
「N16°31.55’. E111°46.1’」
"ドラゴンホール"と呼ばれる中国近海の地球上で最も深いブルーホールの経度・緯度がタイトルとなったオープニング。ピアノとヴォーカルの多重録音による、どこか懐かしさを感じるアルバムのプロローグ。
https://www.youtube.com/watch?v=5QPZRJd-05w
「Desandar」
室内楽的な雰囲気をうまく取り込んだ1曲。それでも背伸びしすぎず、普段着モードのナチュラルさがいいですね。みずみずしい美しさが魅力です。
https://www.youtube.com/watch?v=HnnCrqxKui0
「Laugh Some More」
英語で歌われているせいか、Moonchildなどの陽だまり系次世代ネオソウルに通じる魅力があります。Moonchild大好きな僕は大歓迎です。
https://www.youtube.com/watch?v=w9q2Mt3EP0Q
「rompiente」
1分半に満たない小曲ですが、寂しげな雰囲気にグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=6kf8UaN67HQ
「Little Red Boat」
本作を象徴する1曲。美しいストリングスをバックに、安らぎのフォーキーで癒してくれます。本曲のPVには船に乗り、八分儀(octante)を駆使しながら、「N16°31.55’. E111°46.1’」の場所を目指すというアルバム全体のコンセプトが盛り込まれています。
https://www.youtube.com/watch?v=Zr-VH9BzX08
「octante」
タイトル曲は波の音とピアノの旋律を組み合わせたサウンドスケープ的な小曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=kZFnBloeO3I
「Hago lo Que Siento :)」
さり気ないですが、Delfinaのピュアな歌声が胸に沁みてくる美しい1曲に仕上がっています。後半の美しいストリングスとヴォーカル・ワークもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=xnrrRK4pwPY
「Paraguas Multicolor」
僕の一番のお気に入り。ラストはアルゼンチン版次世代ネオソウルと呼びたくなる、モダンで感動的な1曲で締め括ってくれます。サウンド・センスも抜群です。
https://www.youtube.com/watch?v=61tK9F349IY
3連休ですが、やることリストの項目が多く、慌ただしい3日間になりそうです。