発表年:2023年
ez的ジャンル:UKクラブジャズ/ラテン・ジャズ
気分は... :次世代ジャズもいいけど・・・
新作からUKクラブジャズ/ラテン・ジャズ作品、Chris Bangs『Firebird』です。
Chris Bangsは1958年、ロンドン生まれのDJ/プロデューサー/コンポーザー/ミュージシャン。
80年代後半からのUKアシッド・ジャズ・ブームにおいて「Acid Jazz」というネーミングを生み出した張本人が当時DJとして活躍していたChris Bangsです。それ以降もThe Quiet BoysやYada Yada(Mick Talbotとのユニット)での活動をはじめ、UKクラブジャズ・シーンで活躍しています。
最近ではMick Talbotとの共演アルバムChris Bangs & Mick Talbot『Back to Business』(2022年)で話題となったChris Bangsですが、間髪入れずソロ名義の新作も届けてくれました。
そんな最新作『Firebird』はクラブジャズ好き向けのグルーヴィーなラテン・ジャズ作品に仕上がっています。
近年のUKジャズは次世代ジャズ・ミュージシャンの活躍がめざましいですが、そんな流れとは無縁のクラブジャズ/ラテン・ジャズで貫き通しているのがいいですね。
プロデュースはChris Bangs。
レコーディングにはChris Bangs(ds、per、b、p、prog)以下、Nigel Price(g)、Janette Mason(p)、Stephen "Jaffa" Jeffries(syn、org)、Ernie Mckone(b)、Dave Priseman(tp)、Simon Bates(sax)、Roger Beaujolais (vibe)、Mary Carewe(vo)等のミュージシャンが参加しています。
Cal Tjaderのカヴァー「Samba Do Sueno」、Dom Um Romaoのカヴァー「Kitchen (Cosina)」以外はChris Bangsのオリジナルです。
「Samba Do Sueno」、「Firebird」、「Sambara」、「Bam Bam」、「Kitchen (Cosina)」あたりが僕のお気に入り。
久々に新作でクラブジャズらしいクラブジャズに出会った気がします。
改めて自分がクラブジャズも好きなのだと気づかされました。
全曲紹介しときやす。
「Samba Do Sueno」
人気ヴァイヴ奏者Cal Tjaderのカヴァー(オリジナル・タイトルは「Cal Tjader Samba Do Sueno」)。オリジナルはアルバム『Along Comes Cal』(1967年)収録。ラウンジ・ジャズの寛いだ雰囲気とグルーヴィーなクラブジャズの格好良さのいいとこ取りのラテン・ジャズ・ダンサーに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=uqa3VawOyGg
オリジナルとの聴き比べも楽しいのでは?
Cal Tjader「Samba Do Sueno」
https://www.youtube.com/watch?v=bWQdYoegWAo
「Firebird」
タイトル曲はイタリアのクラブジャズ人気レーベルSchemaの作品群を彷彿させるフロア仕様の疾走するクラブジャズに仕上がっています。パーカッシヴな展開やムーグのコズミックな響きも僕好み。
https://www.youtube.com/watch?v=Ex-orI-zXUA
「Dinamita」
ラテン・ジャズ色を前面に打ち出したトラック。こういうのを聴くと80年代のUKシーンを思い出しますね。
https://www.youtube.com/watch?v=x2gIQoYoSMo
「Ritmo Picante」
前の「Dinamita」の流れを受け継ぐようなラテン・ジャズですが、こちらはフェンダー・ローズの音色が印象的ですし、遊び心のある演奏になっています。
https://www.youtube.com/watch?v=m-GwQD6uMUY
「Sambara」
女性スキャット入りのフロア仕様のブラジリアン・ジャズ・ダンサー。これも2000年代のSchema作品好きの人が喜びそうな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=pXITyqjqkoI
「East Coast」
タイトルからも窺えますが、UKジャズというよりもUSフュージョン寄りのアーバン・ジャズ・ダンサーといった仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=QunO6iSjbZU
「Bam Bam」
個人的には一番のお気に入り。クラブジャズ好きにはたまらない雰囲気の仕上がりです。オリジナルですが有名曲のカヴァーと錯覚するほど聴き覚えのある感じがします(笑)。ヴァイヴの音色が実に心地好いです。
https://www.youtube.com/watch?v=lxguINPl0kc
「Kitchen (Cosina)」
ブラジルの人気ドラマーDom Um Romaoのカヴァー。オリジナルはアルバム『Spirit Of The Times (Espirito Du Tempo)』(1975年)収録。アッパーなサンバ・グルーヴで楽しませてくれます。クラブジャズ好きには満足度高いはず!
https://www.youtube.com/watch?v=X25xUk4siB0
オリジナルとの聴き比べも楽しいのでは?
Dom Um Romao「Kitchen (Cosina)」
https://www.youtube.com/watch?v=QTpkk_DLyV4
「Circuit Break」
Nigel Priceのギター、Stephen "Jaffa" Jeffriesのハモンド・オルガンが格好良いグルーヴィー・ジャズ。他のトラックにはモッド・ジャズな格好良さがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=Z6B4nezPEyc
「Lifetimes」
ラストはMary Careweのスキャット入りのコズミック&ダンサブルなグルーヴィー・ジャズで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=KJK0R0QWUzY
Chris Bangsの他作品もチェックを!
『Takin' Care of Business』(1999年)
『Fuck Acid House This Is Acid Jazz』(2008年)
Chris Bangs & Mick Talbot『Back to Business』(2022年)