2023年07月02日

Emm Gryner『Business & Pleasure』

AORにアプローチした1枚☆Emm Gryner『Business & Pleasure』

発表年:2023年
ez的ジャンル:カナディアン女性SSW系AOR
気分は... :画像復旧せず・・・(泣)

新作からカナダの女性シンガー・ソングライターEmm Grynerの最新作『Business & Pleasure』です。

Emm Grynerは1975年カナダのオンタリオ州出身の女性シンガー・ソングライター。

1995年にデビュー・アルバム『And Distrust It』をリリース以来、コンスタントに作品をリリースし続け、カナダ版グラミーのジュノー賞にも3回ノミネートされている実力派シンガーです。

ロック・ファンにはDavid Bowieのバンドへの参加でも知られていますね。

また、ソロ活動以外にハード・ロック・プロジェクトTrapper、女性フォーク・トリオTrent Severnなどでも作品をリリースしています。

このように幅広い音楽性を持つEmm Grynerが今回アプローチしたのはAOR。

彼女はMichael McDonaldの大ファンで当初はMichael McDonaldにコンタクトを取ろうとしていたらしいですが、そんな流れでMichael McDonaldや奥方Amy Hollandと一緒に仕事をしたいたFred Mollinに辿り着いたようです。

そのFred Mollinをプロデューサーに迎え、彼の拠点であるナッシュビルでレコーディングされたのが本作『Business & Pleasure』です。

楽曲はEmm Grynerと公私のパートナーMichael Holmesによるものが中心です。

オリジナルではシティ・ソウル調の「Loose Wig」、ウエストコースト調の「Valencia」、哀愁メロウ・ポップ「The Chance」Donald Fagen「I.G.Y.」へのオマージュ「The Second Coming」。メロウ・ボッサ「Strangers and Saints」、哀愁メロウな「Burn The Boats」がオススメです。

また、「Real Love」The Doobie Brothers)、「City Nights」(オフコース)、「What You Won't Do For Love」Bobby Caldwell)というカヴァー3曲にも注目です。
※後者2曲は国内盤ボーナス・トラック。

最初からAORに傾倒したアーティストではなく、かなりのキャリアを有する実力派アーティストによるAORアプローチだからこそ成功している部分もあると思います。

これから夏に向けて重宝しそうな1枚になりそうです。

全曲紹介しときやす。

「Loose Wig」
Bryden Baird/Emm Gryner/Michael Holmes作。シティ・ソウル調の開放的なメロウ・グルーヴがオープニング。真夏のドライブ・ミュージックといった雰囲気がサイコーです。Donald Fagenのインタビュー記事にインスパイアされて書かれた楽曲なのだとか。

「Jack」
Emm Gryner/Michael Holmes/Stephan Szczesniak作。タイトルは大ヒット曲「All I Need」(1984年)で知られるUS俳優/シンガーJack Wagnerのこと。EmmからJackへのラブレターということのようです。80年代の香りのするメロウ・ポップに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=4xWl_MudQV4

「Valencia」
Emm Gryner/Michael Holmes作。80年代ウエストコーストAORといった雰囲気のメロウ・ポップ。AOR好きの人であれば大満足の1曲だと思います。80年代ムード満点のサックス・ソロもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=cjOnhmj895A

「Summertime」
Emm Gryner/Michael Holmes作。ポップ・ソウル調のサマー・グルーヴ。Martha & The Vandellas「Dancing in the Street」の引用も楽しいです。

「The Chance」
Emm Gryner/Michael Holmes/Lyle Molzan作。Emm本人が一番気に入っている曲なのだとか。Michael McDonaldの影響を感じる哀愁メロウ・ポップ。この甘く危険な香りのする哀愁感って80年代ならではものでしたね。

「Queen」
Emm Gryner/Michael Holmes/Nigel Powell作。ピアノのみをバックにEmmがしっとりと歌い上げるジェントル・バラード。

「The Second Coming」
Emm Gryner/Michael Holmes作。これはモロにDonald Fagen「I.G.Y.」へのオマージュですね。サウンドも曲調も「I.G.Y.」しています。

「Strangers and Saints」
Bryden Baird/Emm Gryner/Michael Holmes作。ロマンティックなメロウ・ボッサ。少し抑えたトーンのヴォーカルがボッサ・サウンドとよくマッチしています。

「Burn The Boats」
Emm Gryner/Michael Holmes作。これもAOR好きの心を擽る曲調ですね。Emmの透明感のあるヴォーカルが哀愁メロウな曲調の組合せがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=KGdvPGGllb4

「Don't Give In」
Emm Gryner/Michael Holmes/Sean Kelly作。80年代の青春映画のサントラに収録されていそうなポップ・ロックです。

「Real Love」
The Doobie Brothersのカヴァー(Michael McDonald/Patrick Henderson作)。
オリジナルは『One Step Closer』(1981年)収録。ここではオリジナルのMichael McDonaldならではの曲調を封印し、しっとりとしたピアノ・バラードで聴かせてくれます。

「City Nights」
国内盤ボーナス・トラックその1。なんとオフコースのカヴァー(Kazumasa Oda/Jimmy Compton/Philip H. Rhodes)。オリジナルはシングル「緑の日々」(1984年)のB面。ここではオリジナルの雰囲気に忠実なカヴァーで楽しませてくれます。

「What You Won't Do For Love」
国内盤ボーナス・トラックその1。今年3月惜しくも逝去したミスターAOR、Bobby Caldwellの名曲「風のシルエット」をカヴァー(Bobby Caldwell/Alfons Kettner作)。オリジナルは『Bobby Caldwell』(1978年)収録。少し抑えたトーンながらもブルーアイド・ソウル調の素敵なカヴァーに仕上がっています。

Emm Grynerの他作品もチェックを!

『Public』(1998年)


『Science Fair』(1999年)


『Dead Relatives』(2000年)


『Asianblue』(2002年)


『Songs of Love and Death』(2005年)


『The Summer of High Hopes』(2006年)


『Goddess』(2009年)


『Gem and I』(2010年)


『Northern Gospel』(2011年)


『Torrential』(2014年)


『21st Century Ballads』(2015年)


ご興味がある方はEmm Grynerのが組んでいた女性フォーク・トリオTrent Severnの作品もチェックを!

Trent Severn『Trent Severn』(2013年)


Trent Severn『Trillium』(2015年)
posted by ez at 00:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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