発表年:2023年
ez的ジャンル:スーパー・ユニット系R&B/Hip-Hop
気分は... :謎めいた社会?
新作からRobert Glasper、Kamasi Washington、Terrace Martin、9th Wonderという4人が結集したスーパー・ユニットDinner Partyの2ndアルバム『Enigmatic Society』です。
Dinner Partyは、『Black Radio』(2012年)でジャズ界に革命をもたらした先鋭ジャズ・ピアニストRobert Glasper、L.A.ジャズ・シーンを牽引するサックス奏者Kamasi Washington、ジャズ・ミュージシャンとHip-Hopビートメイカーという2つの側面を持つTerrace Martin、人気Hip-Hopプロデューサー9th Wonderによるユニット。
GlasperとMartinが参加しているスーパー・ユニットR+R=Nowのツアー中に、二人が意気投合したのがDinner Party結成のきっかけだそうです。
2020年に1stアルバム『Dinner Party』をリリースし、そのリミックス・アルバム『Dinner Party: Dessert』(2020年)は、2022年のグラミー賞でBest Progressive R&B Albumにもノミネートされました。
ジャズ・ミュージシャン×Hip-Hopビートメイカーのユニットですが、基本的にはR&B/Hip-Hop作品です。
2ndアルバムとなる本作は、美しさと脆さが同居するようなトラックが印象的な1枚に仕上がっています。
アルバムには1st『Dinner Party』にも参加していたPhoelixはじめ、Tank、Arin Ray、Anthony Clemonsがフィーチャリングされています。
また、Terrace Martin、9th Wonder、Robert Glasperというメンバー以外にHi-Tek、Sounwave、Trevor Lawrence Jr.もプロデューサーとして参加しています。
Mtume「Juicy Fruit」をサンプリングしたシングル「Insane」、優しくも切ない「For Granted」が僕のお気に入り。、
それ以外に、メロウな「Breathe」、Daryl Hall & John Oates「I Can't Go for That (No Can Do)」を引用した「Can't Go」、ピースフルな「Love Love」といった9th Wonderプロデュースのトラックが僕のオススメです。
印象的なアルバム・ジャケを手掛けたのはKamasi Washingtonの妹のAmani Washington。
派手さはありませんが、スーパー・ユニットならではの音世界を楽しみましょう。
全曲紹介しときやす。
「Answered Prayer」
Robert Glasper/Terrace Martinプロデュース。Phoelixをフィーチャー。 Glasperの美しいピアノのみをバックにした前半から、後半はコーラスとKamasiのサックスが加わります。
https://www.youtube.com/watch?v=3Ro6K1hTUd4
「Breathe」
9th Wonder/Terrace Martinプロデュース。Arin Rayをフィーチャー。9th Wonder好きの人であれば気に入るであろうビートの効いたメロウ・トラックです。
https://www.youtube.com/watch?v=OUhJma5eZYI
「Insane」
Sounwave/Terrace Martinプロデュース。Anthony Clemonsをフィーチャー。シングルにもなったキャッチーなトラックです。Mtume「Juicy Fruit」をサンプリングした哀愁ミディアム・グルーヴ。オートチューンを交えた憂いを帯びたヴォーカルと美しくも切ないサウンドがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=Q5uAgCc3yjw
「Watts Renaissance」
Hi-Tek/Terrace Martinプロデュース。トライバル&ミステリアスなインスト。Kamasiのサックスがむせび泣きます。
https://www.youtube.com/watch?v=1v9OkbTQNXM
「For Granted」
9th Wonder/Terrace Martinプロデュース。Arin Rayをフィーチャー。力強いビートとArin Rayの優しくも切ないヴォーカルが織り成す美しい音世界に魅せられます。「Insane」と並ぶ僕のお気に入り。
https://www.youtube.com/watch?v=NUzmWutOCzw
「Secure」
Terrace Martinプロデュース。Phoelix/Tankをフィーチャー。エフェクトをかけたヴォーカル・ワークが印象的なビートレス・トラックです。
https://www.youtube.com/watch?v=Xb6Ak6BHEZo
「Can't Go」
9th Wonder/Terrace Martinプロデュース。Phoelixをフィーチャー。Daryl Hall & John Oates「I Can't Go for That (No Can Do)」を引用したミディアム・グルーヴ。不気味な脱力感があります。
https://www.youtube.com/watch?v=6ZINgSkEw1w
「The Lower East Side」
Terrace Martin/Trevor Lawrence Jr.プロデュース。少しアフロ・ファンク・テイストのインスト。
https://www.youtube.com/watch?v=fmpn00vGgks
「Love Love」
9th Wonder/Robert Glasper/Terrace Martinプロデュース。Arin Rayをフィーチャー。ラストはピースフルなメロウ・ソウルで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=b-gpj_I-kVI
1st『Dinner Party』はCD化されていませんでしたが、本作のCD化に合わせてこちらもCD化されました。
『Dinner Party』(2020年)