発表年:2023年
ez的ジャンル:レジェンドDNA系ボサノヴァ
気分は... :受け継がれていくべきもの・・・
今回はコスモポリタンなブラジル人シンガーBebel Gilbertoの最新作『Joao』です。
“ボサノヴァの父”と呼ばれるブラジル音楽界の巨人Joao GilbertoとMiuchaの娘Bebel Gilbertoについて、これまで以下のアルバムを紹介済みです。
『Tanto Tempo』(2000年)
『Bebel Gilberto』(2004年)
『Moment』(2007年)
『All In One』(2009年)
『Tudo』(2014年)
最新作『Joao』はタイトルが示す通り、父Joao Gilbertoのレパートリーのカヴァー集です。
偉大なミュージシャンJoao Gilbertoを父に持つBebelが、同じアーティストとしていつかは取り組まねばならないテーマだったのでしょうね。アーティストとしての円熟味を増した今がそのタイミングということなのでしょう。
プロデュースはBebel Gilberto自身と前作『Agora』(2020年)もプロデュースしていたThomas Bartlett。
さらにGuilherme Monteiroがギター&ギター・アレンジを手掛け、アルバムに大きく貢献しています。
Joao Gilbertoのレパートリーということですが、全11曲中Joaoを代表する名盤『Joao Gilberto』(1973年)からのセレクトが4曲、それ以外に『Joao Gilberto』(1961年)、『Getz/Gilberto』(1964年)、『Getz/Gilberto #2』(1966年)、『Ela E Carioca(En Mexico)』(1970年)、『Amoroso』(1977年)、『Joao Voz E Violao』(2000年)等の収録曲がセレクトされています。
父が歌ったボサノヴァ名曲の数々をBebelが父への想いも込めて歌い上げています。
個人的には「Adeus America」、「E Preciso Perdoar」、「Ela E Carioca」、「Caminhos Cruzados」、「Desafinado」、「Voce E Eu」あたりがお気に入りです。
父娘の写るジャケにも思わず感情移入してしまいますね。
全曲紹介しときやす。
「Adeus America」
Geraldo Jacques/Haroldo Barbosa作。Os Cariocasの名曲カヴァー。Joaoヴァージョンは『Live In Montreux』(1987年)、『Joao Gilberto In Tokyo』(2004年)等に収録されています。Bebel曰く、この曲は父Joaoのストーリーであり、今はBebel自身のストーリーなのだとか。コスモポリタンなGilberto親子を象徴する曲なのかもしれませんね。リラックスした雰囲気の中にもエレガントな品格を感じるボサノヴァに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=5j23m-OORSg
本曲に関して、当ブログではLuciana Souza、Bossacucanovaのカヴァーも紹介しています。
「Eu Vim Da Bahia」
Gilberto Gil作。『Joao Gilberto』(1973年)収録曲。父Joaoの故郷バイーアを祝福する楽曲。小気味よさの中に粋なセンスを感じる軽快ボッサです。
https://www.youtube.com/watch?v=8Pa4S6e49co
本曲に関して、当ブログではDaniela Basso/Ernesto Salgueiroのカヴァーも紹介済みです。
「E Preciso Perdoar」
Alcyvando Luz/Carlos Coqueijo作。『Joao Gilberto』(1973年)収録曲。この曲自体が大好きです。ここではギターのみならずピアノも加わったボッサ・グルーヴに仕上がっています。Bebelのシンガーとしての魅力がよくわかるのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=yo6H80-O32U
本曲に関して、当ブログではAmbitious Lovers、Adam Dunning、Isabelle Antena、Bossacucanova、Gretchen Parlatoのカヴァーも紹介済みです。
「Undiu」
Joao Gilberto作。『Joao Gilberto』(1973年)収録曲。少しミステリアスな仕上がり。Guilherme MonteiroのギターとBebelのヴォーカルの一体感が実にいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=voVBofKOnqU
「Ela E Carioca」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Moraes作。Joaoヴァージョンは『Ela E Carioca(En Mexico)』(1970年)収録。「She's a Carioca」のタイトルでも知られる名曲ですね。ここではリラックスした雰囲気の中で、Bebelが艶っぽいヴォーカルを聴かせてくれるビューティフル・ボッサに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=BE4mDbvRcug
本曲について、当ブログではAstrud Gilberto、Walter Wanderley、Celso Fonseca、Vinicius Cantuaria、Till Bronner、Gretchen Parlato、Os Catedraticos、Joyce & Toninho Hortaのカヴァーを紹介済みです。
「O Pato」
Jaime Silva/Neuza Teixeira作。『Getz/Gilberto #2』(1966年)収録曲。軽快なテンポに乗って、Bebelが快活に歌い上げる楽しげな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=_cO5-IXPPUc
本曲について、当ブログではSergio Mendes & Brasil'66、Lennie Dale & Sambalanco Trio、Jon Hendricks、Samba Trio、Bruno Battisti D'Amarioのカヴァーを紹介済みです。
「Caminhos Cruzados」
Antonio Carlos Jobim/Newton Ferreira De Mendonca作。『Amoroso』(1977年)収録曲。曲自体はアルバムで一番好きなので、このカヴァーは大歓迎です。Bebel曰く、歌うのが一番難しい曲だったそうですが、その分仕上がりは完璧なのでは?Bebelの優しい歌声が聴く者を包み込んでくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=24oG6A7OdOI
本曲について、当ブログではIve Mendes、Nicola Conte/Stefania Dipierro、Gal Costaのカヴァーも紹介済みです。
「Desafinado」
Antonio Carlos Jobim/Newton Ferreira De Mendonca作。『Getz/Gilberto』(1964年)収録曲としてお馴染み。『Joao Voz E Violao』(2000年)等にも収録されています。お馴染みの名曲はさり気ない雰囲気で歌い上げます。このサラッと感が魅力だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=o7hcLGhTBgw
本曲について、当ブログではNara Leao、Roberto Menescal、Gary McFarland、Tania Maria、Os 3 Morais、O Quarteto、Gal Costa、Nico Gomez & His Orchestra、Laurindo Almeida & The Bossa Nova Allstars、Tamba Trio、Clare Fischerのカヴァーを紹介済みです。
「Valsa」
Joao Gilberto作。『Joao Gilberto』(1973年)収録曲。少しワルツ調のエレガントな演奏と晴れやかなBebelのスキャットがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=3DZ3xOIJ3Yw
「Eclipse」
Margarita Lecouna作。『Ela E Carioca(En Mexico)』(1970年)、『Joao Voz E Violao』(2000年)等に収録。Gilberto一家がメキシコ滞在時に書かれた楽曲であり、スペイン語で歌われます。少しノスタルジックな雰囲気が印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=NCjJszGEZng
「Voce E Eu」
Carlos Lyra/Vinicius de Moraes作。『Joao Gilberto』(1961年)、『Joao Voz E Violao』(2000年)等に収録。ラストは疾走感が心地よい、僕好みの軽快なメロウ・ボッサ・グルーヴで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=8ztehA8C0Dw
本曲について、当ブログではNara Leao、Roberto Menescal、Paul Winter With Carlos Lyra、Adam Dunning、Joyce、Christiane Legrand、Jon Hendricks、Maysaのカヴァーを紹介済みです。
Bebel Gilbertoの過去作品もチェックを!。
『Tanto Tempo』(2000年)
『Bebel Gilberto』(2004年)
『Moment』(2007年)
『All In One』(2009年)
『Tudo』(2014年)
『Agora』(2020年)