録音年:1964年
ez的ジャンル:なんちゃってボサノヴァ系ジャズ・ボーカル
気分は... :ちょっとブルーなボッサ気分!
ようやく夏らしい暑さになってきましたね。
でも、気分は相変わらず晴れ晴れせず...
Joanie Sommersは、50年代末から60年代半ばにかけて活躍した女性ジャズ・シンガー。1962年の「内気なジョニー(Johnny Get Angry)」のヒットで有名デス。当時はキュートな魅力でアイドル的な人気があったみたいですね。
そんな当時のJoanie Sommersを知らない世代からも絶大な人気誇る1枚が本作『Softy, The Brazilian Sound』(1964年)です。タイトルの通り、Sommersが当時流行のボサノヴァを歌った作品っす。ブラジル出身のギタリストLaurindo Almeidaがアレンジャー/ミュージカル・ディレクターとして全面バックアップしています。
本作が録音された1964年といえばAstrud GilbertoをフィーチャーしたStan Getzの「The Girl From Ipanema(イパネマの娘)」が大ヒットした年ですね。本作もそれに影響を受けてレコーディングされたんでしょうね。
ちなみにLaurindo AlmeidaはStan Getzと1963年に『Getz/Almeida』という共演アルバムをレコーディングしており、本作と同じ1964年には「The Girl From Ipanema」を録音し、グラミー賞の最優秀ジャズ演奏賞を受賞していマス。
『Softy, The Brazilian Sound』に話を戻すと、正直本格派ボサノヴァではない“なんちゃって”ボサノヴァなのですが、“シュガー・ヴォイス”と呼ばれたSommersのソフト・ヴォイスと涼しげなボサノヴァ・サウンドがマッチしていて捨て難い魅力がありますね。
オススメ曲を紹介しときやす。
「Meditation」
ボサノヴァのパイオニアAntonio Carlos Jobimの作品(原題「Meditacao」)。トロトロにとろけそうなロマンティック・チューン。甘く気だるいSommersのボーカルが実にいいですね。
「Dear Heart」
Glenn Ford主演の映画『Dear Heart』の主題歌(Henry Mancini作品)。この曲はポピュラー・ボーカルというカンジですね。
「Watching The World Go By」
映画『The Luck Of Ginger Coffey』の主題歌。なかなかエレガントなアレンジがいいですな。
「Quiet Nights」
「Corcovado」の原題でお馴染みのAntonio Carlos Jobim作品。甘く優雅なカフェ・ミュージックってカンジがいいっす。かなりのお気に入り曲です。
「Softly, As I Leave You」
Frank Sinatraのヒットで知られるナンバー。ボサノヴァ・ムードを堪能するにはピッタリの1曲なのでは?
「I Could Have Danced All Night」
Audrey Hepburnの映画で有名なミュージカル『My Fair Lady』のナンバーですね。このスタンダードをなかなか小洒落たボッサ・チューンに仕上げていマス。かなり好きですね!
「You Can't Go Home Again」
以前に紹介したHank Mobley「Recado Bossa Nova」を作曲したDjalma Ferreiraの作品。最もボサノヴァらしい本曲がアルバムのハイライトかもしれませんね。
「Carnival」
「カーニバルの朝」という邦題のこの曲は、フランス映画『Orfeu Negro(黒いオルフェ)』の主題歌ですね(作詞Antonio Maria、作曲Luiz Bonfa)。本ブログではDexter Gordonの絶品バージョンを紹介していますね(アルバム『Gettin' Around』収録)。このSommersバージョンも独特の哀愁感が漂ってきます。
「Old Guitaron」
この曲のみ本作のために書かれた新曲デス。Sommersのキュートな魅力が引き出された1曲。
「That's All」
Nat King Coleのバージョンで有名な曲。個人的にはアルバムの一番のお気に入りです。ソフト&メロウなボッサ・チューンを期待する方には絶対オススメです。魅惑のギターがサイコーですね。
こんなロマンティックなアルバムを聴きながら、ゆっくり眠りたいけれど今日も朝まで寝れそうにもない...