発表年:1974年
ez的ジャンル:Quincy流ブラック・ミュージック
気分は... :やっと紹介できましたぁ!
もう9月ですね。
9月生まれの僕としては、やはり特別な月ですねぇ。
別に何か特別なイベントがあるわけではないのですが。
今日は最初The Brothers Johnsonを紹介しようと思って、エントリーを書きかけたのですが...書きはじめてから“この兄弟ってQuincy Jonesの肝煎りだよなぁ”と思い出し、“そろそろQuincyに行かないとねぇ”と方向転換へ
でもって、セレクトし直したのがQuincy Jones『Body Heat』(1974年)です。
これまで何度かQuincyを紹介しようと思ったのですが、たまたまその時の気分が『Big Band Bossa』(1963年)や『The Dude』(1981年)あたりだったので断念してしまいました。個人的にQuincyを紹介するとすれば、最初の1枚は絶対『Body Heat』しかないと思っていたので。
僕が最初にQuincy Jonesの音楽に出会ったのは、米TVドラマ『Roots』(1977年)の音楽でした。
Alex Haleyが黒人奴隷だった自らの祖先を描いたベストセラー長編小説をドラマ化です。日本でTV放映された時は確か小学生だったと思いますが、かなり感動して観ていました。その感動を盛り上げていたのがQuincyの音楽でした。当時の僕はQuincy Jonesという名は知りませんでしたが、その音楽は今でも鮮明に憶えています。
Quincy Jonesの名を明確に認識したのは、やはりMichael Jackson『Off The Wall』、『Thriller』の2枚ですね。後はこの2枚の間に発表されたQuincy自身の『The Dude』(1981年)がリアルタイムで聴いた最初のアルバムでした。アルバムというよりも「Ai No Corrida」の♪愛のコォ〜リ〜ダァ♪の印象が強すぎましたが(笑)
あとは、スーパースターが一同に会した「We Are The World」のプロデュースのインパクトも大きかったですね。このあたりでQuincy Jones=米ポピュラー音楽のボスみたいなイメージが僕の中で出来上がりましたかね。
この固定的なイメージに支配されていたため、長い間Quincy Jonesの音楽と一定の距離を置いていた気がします。
そんな僕の固定イメージを払拭してくれた作品が本作『Body Heat』です。
とてもソウル/ファンクといったブラック・ミュージックというものを意識した作品ですね。
それまでジャズ的なイメージが強かったQuincyが、前作『You've Got It Bad Girl』(1973年)あたりからブラック・ミュージック的なアプローチを打ち出し、さらにそれを全面に推し進めたのが本作『Body Heat』ということですかね。
一言でいうと、この頃のソウル/ファンクのトレンドをうまく取り入れたブラック・ミュージック・アルバムというカンジですかね。全9曲中8曲がボーカル入りというのがは嬉しいですね。
個人的には、この頃ミラクルな作品を発表し、最盛期だったStevie Wonderの一連の作品に近い肌触りを感じますね。
参加ミュージシャンが凄いですね。主なところだけでも、Herbie Hancock、Bob James、Richard Tee、Dave Grusin、Billy Preston、Wah Wah Watson、David T. Walker、Eric Gale、Phil Upchurch、Chuck Rainey、Bernard Purdie、James Gadson、Paul Humphrey、Hubert Laws、Leon Ware、Al Jarreau、Minnie Riperton等の豪華さです。
「Body Heat」、「One Track Mind」、「If I Ever Lose This Heaven」の3曲を提供し、ボーカルも務めているLeon Wareがかなりの存在感を示していると思いマス。Leon Ware大好きの僕としては、そのあたりが最大の聴きどころなのですが。
このQuincyのアプローチはリスナーにも受け入れられ、ジャズとR&Bのアルバムチャートで第1位、ポピュラーチャートでも第6位の好結果を残しました。
ちなみに本作のレコーディング終了の直後に脳内血管が破裂したQuincyは2度の大手術をし、奇跡の生還を果たしたそうです。
いろんな意味でQuincyのターニング・ポイントなった1枚なのでは?
全曲紹介しときやす。
「Body Heat」
タイトル曲はQuincy/Bruce Fisher/Leon Ware/Stan Richardson作品。Leon WareとBruce Fisherがボーカルを務めています。スタイリッシュなソウル・チューンといった感じですね。
Leon Wareは本ブログで紹介した自身のアルバム『Musical Massage』(1976年)でも本曲を取り上げています。Quincyも自身がプロデュースしたRufus & Chaka Khan『Masterjam』(1979年)の中で再演していますね。Leon Ware、Chaka Khan共に大好きな僕としてはこれらも大のお気に入りです。
「Soul Saga (Song of the Buffalo Soldier) 」
黒さという点でいえば、黒人ばかりの騎兵隊 Buffalo Soldierをテーマにした本曲は強烈に黒いですね。とてもニューソウル的なものを感じる仕上がりですな。本アルバムの中でも重要な1曲のように思います。
「Everything Must Change」
ボーカルを務めるBernard Ighnerの作品。Stevie WonderやDonny Hathawayの作品あたりに感じる崇高さを持ったバラッド。サウンド的にもからりStevie風ですね。 本曲とは別に「Boogie Joe, the Grinder」の後に約1分のRepriseも収録されています。
「Boogie Joe, the Grinder」
Quincy/Dave Grusin/Tom Babler作品。ファンク的なカッチョ良さで言えば、この曲が一番カッチョ良い気がします。IsleysとStevieが合体したような雰囲気が好きですね。
「One Track Mind」
QuincyとLeon Wareの共作。Leon Wareがボーカルも務めています。Curtis Mayfieldあたりが好きな人向けの、ユル〜い感じがカッチョ良いファンキーなミッド・グルーヴです。
「Just a Man」
カナダ人SSWのValdyの作品をコンテンポラリーなソウルで聴かせてくれます。
「Along Came Betty」
本作唯一のインスト・ナンバー。オリジナルはArt Blakey & The Jazz Messengersの名盤『Moanin'』に収録されていますね(Benny Golson作品)。(多分)Hubert Lawsのフルートが涼しげな爽快フュージョンに仕上がっています。
「If I Ever Lose This Heaven」
シングルカットもされた本作のハイライト。Leon Ware & Pam Sawyer作品。Leon WareはAl Jarreau、Minnie Ripertonと共にボーカルも務めています。この官能グルーヴはまさにLeon Wareワールドですね。この官能グルーヴの導入こそがQuincyの本作の大きな狙いとしてあったのでは?
本ブログでも紹介したAverage White Bandの大ヒット・カヴァーをはじめ、Sergio Mendes、Maxine Nightingale、Coke Escovedo、Nancy Wilsonなど多数のカヴァーがありますね。サンプリング・ネタとしても使われています。
『Smackwater Jack』(1971年)、『Mellow Madness』(1975年)あたりも未入手なので欲しいですね。
ありがとうございます。
ギターをはじめSoul Sagaの持つ独特のブラック・フィーリングはいいですね。