発表年:1996年
ez的ジャンル:アート系Hip-Hop
気分は... :(石ちゃん風に)マ〜ウ〜!
久々のA Tribe Called Quest(ATCQ)です。
『Midnight Marauders』(1993年)、『The Low End Theory』(1991年)に続く3枚目は4thアルバム『Beats Rhymes & Life』(1996年)です。
ATCQの場合、2nd『The Low End Theory』、3rd『Midnight Marauders』の2枚である意味サンプリングによるHip-Hopを完成してしまった感がありますよね。
なので、この4枚目以降は周囲の期待値が相当高まった分、かなりのプレッシャーだった思いますね。
そのせいか、本作『Beats Rhymes & Life』や続く5thアルバム『Love Movement』に対する評価って辛口のものが多いですよね。僕はミーハー的にATCQが好きなので、全作品どれでもOKなのですが....
本作の特徴は何と言っても、1曲を除いてThe Ummahがプロデュースをしていることですよね。
The Ummahは、Q-Tip、Ali Shaheed MuhammadというATCQメンバー二人に故Jay Dee (J Dilla) を加えたプロデュース・チーム。本作『Beats Rhymes & Life』でその名を初披露したのではと思います。僕も本作を購入した直後は“The Ummahって何者よ!”と思った記憶があります。当時は今みたいに情報が豊富ではなかったし、後の大プロデューサーJay Dee (J Dilla) だって当時は無名の存在でしたからね。
肝心の中身の方は、サンプリング+αのHip-Hopサウンドの構築を目指したThe Ummahの意欲作だと思うのですが、その硬質でクリアなサウンドが批判の対象ともなりましたよね。僕は全然違和感なく『Midnight Marauders』の進化形として聴いていましたが...当時あれこれ文句言っていた人はその後のJay Deeの大活躍はどのように映ったんですかね。
あとはシングルにもなった「Stressed Out」でのFaith Evansのフィーチャリングなどもマイナスのイメージになってましたよね。僕も恥ずかしながら、当時はFaith Evans(というよりその周辺)をウサン臭いと思っていたので、それについては好意的ではありませんでしたが(笑)
あとは苦節10年今年ようやく『Don't Quit Your Day Job!』でメジャー・デビューを果たしたConsequenceの参加曲が6曲と目立っています。
オススメ曲を紹介しときやす。
「Get a Hold」
硬質かつ太めのビートの重量感が印象的ですね。これを無機質と感じるか、クールでカッチョ良いと感じるかで大きく評価は異なりますね。The Cyrlle「The Visit」ネタ。
「Motivators」
おとぼけモードな感じのATCQを楽しめます。彼ら独特の浮遊感も健在です。Michael Urbaniak「Sound Pieces」ネタ。Consequence参加曲です。
「Jam」
かなり好きな1曲。この曲などは従来通りサンプリングを前面に押し出した作りなのですが(笑)Howard Roberts Quartet 「Dirty Old Bossa Nova」ネタのループがとても気持ちいいですね。Consequence参加曲。
「Crew」
2分にも満たない小品ですが、ハイハットの響きと流麗な旋律の絡みがとても好きですね。
「1nce Again」
シングルにもなりました。Heavy D. & The BoyzやTeddy Rileyの「Is It Good to You」へのフィーチャーでお馴染みのTammy Lucasが参加しています。Gary Burton「I'm Your Pal」ネタの気持ちいいヴァイヴのループとTammy嬢のボーカルの組み合わせが実に華やかなムードにしてくれます。素直にこのキャッチーさが大好きです。Cannonball Adderley「Untitled(『Black Messiah』収録)」ネタ。
「Mind Power」
クリアなビートにKool & The Gang「N.T.」のネタの上モノが乗っかっている気持ちいい1曲。Consequence参加。
「The Hop」
シンプルかつクリアなトラックがなんかクセになります。Henry Franklin「Soft Spirit」ネタ。
「Separate/Together」
ATCQらしい浮遊感が好きですね。James Brown「Funky Drummer」からJBの声ネタを使っています。
「What Really Goes On」
「Separate/Together」からシームレスに続くところが好きですね。この硬質なビート感のカッチョ良さがたまりません。個人的には本作で一番好きかもしれません。James Brown「Make it Funky」、Ohio Players「Pain」ネタ。
「Word Play」
真夜中モードの妖しげなメロウHip-Hopって感じでしょうか。基本的にこのタイプの曲は大好きですね。Rodney Franklin「The Watcher」ネタ。Consequence参加曲。
「Stressed Out」
前述のFaith Evansをフィーチャーしたシングル曲。当時は本曲でのFaith Evansの華やかさや曲自体のキャッチーさを素直に“好き”といえませんでしたが、Faithも好きになった現在ではイチオシ曲としてオススメします(笑)
Consequenceに加え、De La SoulのMaseがスクラッチで参加しています。Anita Baker「Good Love」ネタ。
本作の評判の悪さの要因の1つに“ジャケが駄目”という意見も多いみたいですね。僕はあえてB級感を狙ったこのデザインが結構好きだったりしますが...というか要はATCQに関するものは基本的に全てOKなのですが(笑)
Jay DeeはRunnin'の人ってイメージでUmmah以降のテクノ的な音作りはATCQ同様熱くなれませんでした。その後の世代の人って感じです。
Ummah出現辺りでHiphopから離れた人って多いかもしれないですね。
それとPrimoの打ち込み路線がわたしがHiphopを聴かなくなった決定打だったりします。
ありがとうございます。
>Ummah出現辺りでHiphopから離れた人って多いかもしれないですね
なるほど。当時、僕はそこまで深く考えてHip-Hopを聴いていなかったかもしれません。まぁ、元来節操無く何でも聴く性分なもので(笑)
ただし、自分のHip-Hopコレクションを眺めると、90年代前半の作品と比較して後半の作品は少なく、その意味で僕も90年代前半のHip-Hop作品の方がしっくり来ていたのかもしれません。