発表年:2007年
ez的ジャンル:スーパーHip-Hopクリエイター
気分は... :きゃわゆいナリ!
既に多くのブログでレビューされまくっているので今さらかもしれませんが、Kanye Westの話題の新作『Graduation』です。
いわゆる大物アーティストの話題作というヤツに抵抗感がある僕ですが、迷わず発売日に購入していました(笑)
必要以上にKanye Westを持ち上げるつもりはありませんが、それでも『The College Dropout』(2004年)、『Late Registration』(2005年)の2枚は素直にいい作品だと思いましたし、本作『Graduation』も期待していなかった分、期待以上の作品をドロップしてくれた気がしマス。
本国では中身以上に50 Cent『Curtis』との売上・チャート争いが注目されていましたが、結果は蟹江さんの圧勝でしたね(50 Centが約69万枚、蟹江が約96万枚)。
「蟹江 vs. 50 Cent」という対決をイメージした場合、僕の感覚で言えば、50 CentはHip-Hop好きしか聴かないHip-Hopだけど、蟹江はHip-Hop好き以外も聴くHip-Hopだから蟹江が勝つのが当たり前だろ!なんて思っていたのですが、どうなんでしょうかね。それとも自民党総裁選の麻生氏の如く50 Centが善戦したのでしょうか?
ちなみに僕の場合、50 Cent『Curtis』を購入することはまずありません。せいぜいMTVでPVを観るくらいかなぁ。僕のようなオヤGリスナーは蟹江はOKだけど、50 Centはちょっとねぇ...みたいな人が多いのでは?
さて、その『Graduation』ですが、これからのHip-Hopの進む方向に一石を投じたアルバムと言えるのでは?
話題性十分の村上隆デザインのジャケがHip-Hopらしからぬ可愛さですよねぇ。
このジャケも含めて、Kanyeが本作で狙ったのはHip-Hopのネクスト・レヴェルへの引き上げ、すなわち従来型Hip-Hopからの脱却だったのでは?
『Graduation(卒業)』というアルバム・タイトルも含めてそんな気がします。
そう考えると、先の50 Centとの比較で書いた“Hip-Hop好き以外も聴くHip-Hop”という視点はそんなに的外れではないように思います。Hip-Hopの裾野を広げると説明した方がより適切かもしれませんが。
それを裏付けるように、中身の方はかなりバラエティに富んだ内容になっていますね。
新たなアプローチも含めて、様々な角度からHip-Hopを楽しめる構成はさすがというカンジですね。結果として、ポピュラー・ミュージックとしてのHip-Hopの枠組みを広げることに成功していると思いマス。
前作『Late Registration』のようなソウルフル路線を期待した人は多少肩透かしを食ったかもしれませんが、僕などは『The College Dropout』、『Late Registration』以上に楽しめた!というのが感想です。
Kanyeは何から卒業したのか?
そんな視点からKanyeのアプローチを考えると、楽しめるアルバムだと思いマス。
全曲紹介しときやす。
「Good Morning」
卒業の朝の目覚めといったカンジでしょうか。静かですが強い決意を感じるオープニングですね。Elton John 「Someone Saved My Life Tonight」をサンプリングしています。Jay-Zも「The Ruler's Back」ネタで参戦しています。
「Champion」
個人的には一番のお気に入り曲。カラフルで疾走感のあるトラックが実にキャッチーでいいですよね。しかもサンプリング・ネタが大好きなSteely Danの「Kid Charlemagne」とくれば、もう堪りませ〜ん。オッパッピーですっ☆
「Stronger」
既にシングルヒットしているのでお馴染みですね。Daft Punk「Harder, Better, Faster, Stronger」をサンプリングしたHip-Hopらしからぬトラックは本アルバムを象徴するものですよね。まさに新たな領域に踏み込んだHip-Hopの裾野を広げる曲ですね。わけのわからん日本語テロップが流れるPVには笑ってしまいましたが(笑)ちなみにTimbalandがプログラミングで参加しています。Edwin Birdsong 「Cola Bottle Baby」ネタ。
「I Wonder」
Labi Siffre 「My Song」ネタのこの曲は『Late Registration』からの流れを汲む叙情的な曲ですね。
「Good Life」
「Stronger」の次のシングルになるのがこの曲。旬のシンガーT-Painをフィーチャーし、バック・コーラスにはNe-YoとJohn Legendが参加という豪華布陣です。KanyeとDJ Toompの共同プロデュースでドラム・プログラミングでTimbalandが参加していマス。T-Painらしいボコーダー使いのボーカルと重厚なトラックのバランスが絶妙ですな。こちらも大ヒット間違いナシ!といったカンジでしょうか。Michael Jackson 「P.Y.T.」ネタ。
「Can't Tell Me Nothing」
アルバムからの先行シングル。この曲もKanyeとDJ Toompの共同プロデュースです。Young JeezyとSneaky Sound SystemのボーカルConnie Mitchellがバック・ボーカルで参加していマス。いかにもサウスってカンジの仕上がりですね。僕はこの手はあまり得意ではありませんな(笑)それよりも「Flashing Lights」にも参加しているConnie Mitchellの存在が気になりマス。
「Barry Bonds」
Lil Wayneをフィーチャーしたこの曲はKanyeではなくNottzがプロデュースしていマス。MLBホームラン記録を今年塗り替えた“汚れた英雄”バリー・ボンズをタイトルにしたこの曲もサウスしています。♪コンニチハ〜♪なんて日本語が聴けるのは面白いですが、僕には少し退屈かなぁ。Mountain 「Long Red」ネタ。
「Drunk and Hot Girls」
Mos Defをフィーチャー。Can 「Sing Swan Song」をサンプリングなんてあたりが激シブの哀愁トラックが印象的ですな。
「Flashing Lights」
Dweleをフィーチャー。Omarion『21』などを手掛けたことで個人的にかなり注目しているプロデューサーEric Hudsonとの共同制作です。期待を裏切らないエレガントなトラックにニンマリ。前述のConnie Mitchellがバック・ボーカルで参加していマス。
「Everything I Am」
Public Enemy「Bring The Noise」を擦るDJ Premierのスクラッチをフィーチャーしていることで話題の1曲。そんなことを抜きにしてもPrince Phillip Mitchell 「If We Can't Be Lovers」ネタのメロウなトラックにうっとりですね。
「The Glory」
Kanyeお得意の早回し(Laura Nyro「Save The Country」ネタ)が聴ける1曲。アルバム中1曲位はお約束で早回し聴きたいですな。John Legend, Mos Def等がバック・ボーカルで参加していマス。Mountain「Long Red」ネタ。元々はCommonに提供する曲だったみたいですね。そちらも聴きたかったなぁ。
「Homecoming」
ColdplayのChris Martin参加で話題の1曲ですね。Chris MartinをうまくKanyeがプロデュースしているという印象ですかね。
「Big Brother」
エンディングはDJ ToompプロデュースのJay-Zへのリスペクト・チューン。スケールの大きな重厚なトラックも含めて見事な仕上がりですね。
国内盤にはJohn Mayerをフィーチャーし、バック・ボーカルにKeyshia Coleを配したボーナス・トラック「Bittersweet Poetry」が収録されています。僕は輸入盤で購入しましたが国内盤の方がいいかも?