発表年:1982年
ez的ジャンル:ダンディズム系UKロック
気分は... :大人のダンディズムって?
今回は70年代のUKロックシーンを代表グループRoxy MusicのフロントマンBryan FerryによるRoxy Music解散後の初のソロ・アルバム『Boys And Girls』(1985年)です。
以前紹介した『Avalon』(1982年)を最後にRoxy Musicはその歴史に幕を閉じます。
*厳密には『Avalon』の後にライブ・ミニ・アルバム『The High Road』(1983年)を発表していマス。
『Avalon』は80年代を代表するロック・アルバムの1つと呼べるほどの名盤ですが、Bryan Ferry、Phil Manzanera、Andy Mackayの3人となったRoxy Musicの実態はグループというよりも、Bryan Ferryのソロ・プロジェクトでした。なので、解散は自然な流れであったといえます。
そして、Roxy Music解散後に発表した最初のソロ・アルバムが本作『Boys And Girls』(1985年)です。
Roxy Music在籍時から、『These Foolish Things』(1973年)、『Another Time, Another Place』(1974年)、『Let's Stick Together』(1976年)、『In Your Mind』(1977年)、『The Bride Stripped Bare』(1978年)と5枚のソロ・アルバムを発表していたFerryですが、Roxy Musicという本籍がなくなり本当の意味でのソロ・アーティストとなった本作『Boys And Girls』はそれまでのソロ作とはその位置づけがかなり異なると思います。
基本的には『Avalon』で昇華させたヨーロッパ的感性によるメロウ・グルーヴの完成度をさらに高めようとしたアルバムと言えると思います。ヨーロッパ的感性のアルバムですが、サウンド自体はとてもNY的な“The Power Station”サウンドになっているのが面白いですよね。
プロデュースはFerry自身とRhett Davies、エンジニアBob Clearmountainという制作陣は『Avalon』と同じです。
レコーディング・メンバーは、Neil Hubbard(g)、Alan Spenner(b)、Guy Fletcher(key)、Andy Newmark(ds)、Jimmy Maelen(per)、Fonzi Thornton (back vo)といった『Avalon』のサポート・メンバーに加え、Pink FloydのDavid Gilmour(g)、Dire StraitsのMark Knopfler(g)、ChicのNile Rodgers(g)、King CrimsonのTony Levin(b)、それにジャズ/フュージョン界の腕利きミュージシャンMarcus Miller(b)、Omar Hakim(ds)、David Sanborn(sax)といった豪華布陣です。
完成度の高さを追求するために、続々と腕利きミュージシャンを投入するというやり方はSteely Dan的ですね。
個人的には『Avalon』以上にダンサンブルになった印象を受けますね。しかもNY的なアプローチで!本作にも参加しているNile RodgersがプロデュースしたDavid Bowie『Let's Dance』あたりの肌触りに近いものを感じます。
Bryan Ferryによるヨーロッパ的ダンディズムの完成形が本作なのではと思います。
ダンサブルなサウンドはChicあたりが好きなR&Bリスナーにもオススメだし、スタイリッシュで大人のダンディズムに溢れたサウンドはAORリスナーにも聴いて欲しいですね。聞いたことがないけどヨーロピンAORなんていうのがあってもいいのでは?
個人的には未だにBryan Ferryという人がカッコ良いのか、悪いのかよくわからないのですが、少なくとも本作『Boys And Girls』では、大人の男の色気溢れるFerryが全開になっていマス。
全曲紹介しときやす。
「Sensation」
オープニングはChic好きは絶対に気に入るNY的なダンス・チューン。ミュージシャンの詳細がわからないのですが、Nile Rodgersの貢献が大きいのでは?この時期のNile Rodgersプロデュース作と共通する硬質なダンス・サウンドを聴くことができマス。個人的にはアルバムで一番のお気に入りデス。
「Slave To Love」
アルバムからの1stシングル。『Avalon』のタイトル曲「Avalon」をダンサンブルにしたようなミッド・チューン。ヨーロッパ的ダンディズムを堪能できる1曲です。最もFerryらしい曲かもしれませんね。
伝説のジャズ・シンガーJimmy Scottによる激シブ・カヴァーもチェックしてみてください。この曲の新たな魅力を発見できるはずデス。
http://www.youtube.com/watch?v=WTD8ww6G-dk
「Don't Stop The Dance」
アルバムからの2ndシングルとなったヨーロッパ的感性とNYダンス・サウンドが見事に融合したダンス・チューンです。アルバム中一番スタイリッシュでキャッチーな曲なのでは?きっとFerryはこういったサウンドを作りたかったんでしょうな。サックスがAndy Mackayではなく、David Sanbornというのが妙に新鮮ですね(笑)
「A Waste Land」
インタルード的な幻想的ムードに包まれたナンバー。
「Windswept」
アルバムからの3rdシングル。ヨーロピアンな憂いが何ともいいですね。ストリングス・アレンジがいいカンジです。タキシードを着たFerryの姿が浮かんできます。
「The Chosen One」
この曲もNYらしいリズム隊とヨーロピアンなサウンドが合体したというカンジですね。Ferryならではの仕上がりで個人的には大好きですね。
「Valentine」
この曲はおそらくサウンドのカンジからしてバハマのコンパスポイント・スタジオでのレコーディングだと思いマス。レゲエ・テイストのリズムにのる哀愁のメロディが印象的ですね。
「Stone Woman」
Ferry流ファンク・サウンドといったところでしょうか。個人的にはここまでやるとやり過ぎのような気がしますが...
「Boys And Girls」
タイトル曲は重苦しいムードに包まれていマス。Ferryの場合は憂いや重く苦しさが似合っているのでいいのでは?ヘンに明るい曲なんてやられると調子が狂ってしまう(笑)
アルバムはUKチャートではNo.1の大ヒット、USチャートでは最高位63位止まりということで、Roxy Music時代と同様に本国イギリスでは絶大な人気を誇るものの、アメリカではさっぱりなFerry様なのでした。
『Avalon』と本作『Boys And Girls』はBryan Ferryの魅力を堪能できる2枚ですが、グループとしてのRoxy Musicの魅力とは必ずしもリンクしません。
Roxyの魅力を堪能するには初期から中期のアルバムを聴くべきだと思います。
そのうち、それらの作品も紹介しますね!
『Boys And Girls』は特によく聞きました。
『The High Road』はアナログディスクを買ったので
僕としてはここら辺りがCDに移行した境目でした。
そういえばもう随分長くvinylを聞いてないな…
ありがとうございます。
『The High Road』までお持ちとはさすがですね!
『Avalon』、『Boys And Girls』のようなヨーロピアン感覚のスタイリッシュなアルバムって意外に見当たらないので貴重ですね。