2007年09月27日

Joni Mitchell『Blue』

Joniのキャリアを代表する私小説的なアルバム☆Joni Mitchell『Blue』
Blue
発表年:1971年
ez的ジャンル:赤裸々&自由系女性シンガー・ソングライター
気分は... :シンプルだけどインパクトはすごい!

独創的なシンガー・シングライターJoni Mitchellの3回目の登場っす。

これまで紹介してきた『Court and Spark』(1974年)、『Hejira』(1976年)の2枚は、ジャズ/フュージョンへのアプローチを一気に強めた作品でしたが、今回はアコースティックなアルバム『Blue』(1971年)デス。

『Blue』『Court and Spark』と並ぶJoniの代表作といえるのでは?

ちなみにRolling Stone誌が以前に発表した『500 Greatest Albums of All Time』でも『Blue』が30位、 『Court and Spark』が111位にランクされています。

今年発売されたJoniへのトリビュート・アルバム『A Tribute to Joni Mitchell』でも全12曲のうち、『Blue』からの楽曲が3曲も選ばれていマス。

『Blue』は、自らの恋愛を赤裸々に語った私小説的なアルバムです。そんな内容をギターまたはピアノの弾き語りというシンプルなスタイルで聴かせてくれマス。

しかしながら、単なる弾き語りのアルバムで片付けられないのが本作です。
僕はこれほどユニークでインパクトのある弾き語りのアルバムを他に知りません。

変則オープン・チューニングによるギターの響き云々はよく言われることですが、本作での彼女の歌い方やギターを聴けば、一般的なフォークシンガーやシンガーソングライターの枠には収まりきらないことがよくわかると思います。

本作が発表された1971年はJames Taylor『Mud Slide Slim and the Blue Horizon』(1971年)、Carole King『Tapestry』(1971年)などシンガーソングライターの名盤が続々と発表されたSSW当たり年だと思いますが、その中でも『Blue』というアルバムの存在感は群を抜いている気がします。

最近の僕の気分としては『Court and Spark』『Hejira』(1976年)、『Don Juan's Reckless Daughter』(1977年)、『Mingus』(1979年)といったジャズ/フュージョン系ミュージシャンとの交流による作品群が好みですが、Joniのアルバムを1枚選べ!と言われれば、やっぱり『Blue』を選ぶかもしれませんね。

Joni Mitchell のギター、ピアノ以外は何曲かでJames TaylorStephen Stills、Sneaky Pete、Russ Kunkelがサポートしているのみです。特に、プライベートでも噂になったJames Taylorのサポートは特筆ものですね。

ジャケ写真のJoniのようにアルバム全体からオーラを感じるアルバムですね。

全曲紹介しておきマス。

「All I Want」
オープニングはノリノリのラブラブすぎるラブ・ソング。自由で恋多き女Joniらしさが溢れている1曲ですね。そんなラブ・ソングの(おそらく)お相手であるJames Taylorがギターで参加し、ギタリストとしての腕前を存分に披露してくれマス。

この曲を初めて聴いた時には、歌とギターだけでこんなにパワフルで自由で表情豊かな音楽が作られていることに驚きました。僕がJoni Mitchellというアーティストの凄さを実感した1曲です。

Nick DeCaroが名作『Italian Graffiti』 (1974年)でカヴァーしていますね。 以前にも書きましたがPrince殿下の「If I Was Your Girlfriend」(アルバム『Sign O' The Times』収録)の歌詞の一部は本曲からの引用です。

「My Old Man」
この曲はピアノの弾き語りです。タイトルの通り、恋人が去って行った後の寂しさを歌っていマス。Joniのユニークな唱法を堪能できマス。

「Little Green」
この曲は包容力のある優しい子守歌ですね。心の芯から癒されるカンジで大好きな曲です。

「Carey」
Stephen Stills参加のフォーキー・グルーヴ。シングル・カットもされました。どちらかと言えば、モノクロ・イメージの曲が多い中でこの曲は一番カラフルがありますね。あなたは好きなんだけど....自分の求めている場所ではない!と言いきってしまうJoni姉さん。相手の男はむちゃむちゃヘコむよねぇ。

「Blue」
タイトル曲は♪Blue, songs are like tattoos♪という印象的な歌詞で始まるピアノの弾き語り。僕は長い間Blueは色のブルーだと勘違いしていましたが、このBlueとはかつての恋人でフォーク・シンガーDavid Blueのことです。『A Tribute to Joni Mitchell』ではSarah McLachlanがカヴァーしていマス。

「California」
♪カリフォルニア最高!早く戻りたい!♪みたいなカリフォルニア賛歌。Joniは1970年に活動拠点を東海岸から西海岸に移しています。この曲にはJames Taylorが参加、また、Sneaky Peteのペダル・スティールが実に印象的です。

「This Flight Tonight」
夜間飛行時のブルーな気分を歌ったもの。この曲でもSneaky Peteのペダル・スティールがいいアクセントになっていマス。一般的なシンガーソングライターの枠に収まらないはみ出したカンジが大好き。

「River」
この曲は名曲の風格がありますね。『A Tribute to Joni Mitchell』ではJames Taylorがカヴァーしています。Joniをよく知るJTがこの曲をセレクトしたことだけでも、この曲の素晴らしさがわかるのでは?クリスマス間近に恋人と別れてしまった悲しい歌ですけどね...最後に悲しげな「シングル・ベル」のメロディが聴こえてきます(泣)

「A Case of You」
この曲も名曲ですね。「あなた1ケース」なんてJoniの恋人への愛情がどんなに大きいものかわかりますね。愛情が深すぎるから、失恋の痛手が大きいのかもしれませんな。この曲にもJames Taylorが参加しています。『A Tribute to Joni Mitchell』ではなんとPrince殿下がカヴァー。殿下のJoniへの傾倒ぶりを改めて確認することができます。

「Last Time I Saw Richard」
よく知りませんが、最初の夫でフォーク・シンガーだったChuck Mitchellのことを歌ったものらしいです。

このアルバムを聴くと、新たな表現を求めてJoniがジャズ/フュージョン系のミュージシャンとの交流へ向かったのがわかる気がします。
posted by ez at 11:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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