2007年10月15日

Barbara Mason『Transition』

フリーソウル・クラシック「World In A Crisis」収録☆Barbara Mason『Transition』
Transition
発表年:1974年
ez的ジャンル:シグマ・サウンド系ニューソウル
気分は... :ラグビーW杯佳境です!

日本代表が予選プールで敗退したため、日本では殆ど話題にならないラグビーW杯ですが、いよいよ佳境に入ってきました。

ラグビーに興味ない方にはピンと来ないかもしれませんが、予選プールが終わりベスト8が出揃った時点で、ベスト4はオーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、アルゼンチンという南半球が独占するというのが戦前の予想でしたが、オーストラリアをイングランドが破り、ニュージーランドをフランスが破るという番狂わせが起こり、かなり盛り上がっています。

そして、その両者がぶつかり合った準決勝「フランス対イングランド」が昨日未明行われました。
番狂わせ演じた両国、しかも開催国と前回優勝国という組み合わせに、サッカー仏W杯の決勝も行われたサンドニ・スタジアム(スタット・ド・フランス)は大盛り上がりでした。

試合自体はかなりシブイ地味な内容でしたが、後半イングランドが逆転で接戦を制し、史上初の連覇へ望みをつなげました。準決勝のもう1試合「南アフリカ対アルゼンチン」戦の勝者と決勝を戦うことになりますが、おそらく南アフリカとの戦いとなるでしょう。きっと下馬評で南アフリカ有利となると思うのですが、チャレンジャーとして臨めるだけ逆にイングランドにチャンスがあるように思います。

さて、今日はBarbara Mason『Transition』(1974年)の紹介です。

Barbara Masonは1947年フィラデルフィア生まれの女性R&Bシンガー。1965年に全米ポップチャート第5位、R&Bチャート第2位となった大ヒット「Yes, I'm Ready」で知られています。

1970年代に入ると個性派レーベルBuddahから『Give Me Your Love』(1973年)、『Lady Love』(1974年)、『Transition』(1974年)、『Love's the Thing』(1975年)といったアルバムを発表し、そこからCurtis Mayfieldの名曲カヴァー「Give Me Your Love」(全米R&Bチャート第9位)、Shirley Brown「Woman to Woman」(近年Jaguar Wrightがカヴァーしましたね)へのアンサー・ソング「From His Woman To You」(全米R&Bチャート第3位)、「Shackin' Up」(全米R&Bチャート第9位)といったシングル・ヒットが生まれました。

今日紹介する『Transition』(1974年)は、Buddahに残した4作品の中ではチャート・アクションが最も低調で、シングル・ヒットもなかったアルバムでした。その意味では長い間B級レディ・ソウル・アルバムという位置づけだったのかもしれませんね。

しかし、90年代に入り本作収録の「World In A Crisis」がフリーソウル・シーンで人気曲となったことで一躍注目の1枚となり、その再評価が高まりました。僕も勿論そのパターンで本作を知った次第です。恥ずかしながら、それまで本作はおろかBarbara Masonの名前さえ知りませんでした(笑)

僕の場合、本作をNorman Connors『You Are My Starship』、Michael Henderson『In The Night-Time』、The Futures『Castles In The Sky』、The Trammps『Legendary Zing Album』といったBuddah作品と一緒にまとめて購入した記憶があります。

本作の魅力の1つとして、シグマ ・サウンド・スタジオ録音ということがあると思います。 Ron Baker、Bobby Eli、Norman Harris、Earl Young、Barbara Ingram、Richard Rome、 Vincent Montana Jr.といったフィリー・ソウル好きにはお馴染みのメンツが参加し、魅惑のサウンドを聴かせてくれます。

Barbara Masonの場合、歌の上手さで聴かせるシンガーというよりも個性的な声のキュートさで聴かせるシンガーという気がしますが、魅惑のフィリー・サウンドが彼女の魅力をうまく引き出すことに成功していると思います。ニュー・ソウル的な雰囲気たっぷりなのもとてもグッドですね。

どうしても「World In A Crisis」1曲が注目されがちですが、それ以外の楽曲もなかなか佳作が揃っていると思います。1曲を除き、Barbara Mason自身のペンによるものです。

全曲紹介しときやす。

「Half Sister, Half Brother」
Curtis Mayfieldあたりが好きな人は気に入る曲なのでは?Norman Harrisのアレンジ&ギターが冴え渡っていますね。バックの女性コーラスもサイコーに雰囲気があってグッド!

「World In A Crisis」
前述のフリーソウル・クラシック。Marvin Gaye「What's Going On」の有効活用というカンジですね(笑)「What's Going On」好きの人には絶対オススメです。Vincent Montana Jr.のヴァイヴが何とも心地良いです。

「The Devil Is Busy」
「World In A Crisis」と同じくらい好きなのがこのパーカッジヴなラテン・グルーヴ。Santana「Black Magic Woman」がフィリーソウルになったカンジです(笑)

「People Don't Believe」
「Trigger Happy People」
Barbaraの個性的なボーカルが実にマッチしたニュー・ソウルの雰囲気たっぷりのミッド・グルーヴ2曲。

「Time Is Running Out」
「Miracle Man」
シグマ ・サウンド好きにとっては100%シグマ印の直球ど真ん中ってカンジの仕上がりの2曲。特にBobby Eliアレンジの「Miracle Man」は完璧に近い出来なのでは?

「I Believe And Have Not Seen」
本作唯一のスロウ。歌唱力のなさをキュートさで見事にカヴァー(?)しています(笑)

「Sunday Saint」
この曲のみBarbaraのオリジナルではありません。なかなかポップでキャッチーな仕上がりです。

正直、本作以外のBarbara Masonのアルバムをきちんと聴いたことがないのですが、Buddah時代の残りの3枚は機会があればチェックしたいですね。
posted by ez at 00:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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