発表年:1972年
ez的ジャンル:マッスル・ショールズ系ブリティッシュ・ロック
気分は... :野人ではありません(笑)
今回は元TrafficのドラマーJim Capaldiの初のソロ・アルバム『Oh How We Danced』(1972年)です。
Jim Capaldiは1944年英国ウースターシャー州イヴシャム生まれ。1966年後半にバーミンガムでSteve Winwood、Dave Mason、Chris WoodとTrafficを結成します。Trafficは度重なるメンバー交代、一時解散などもありましたが1974年まで活動を続け、ブリティッシュ・ロック史に軌跡を残しました。
1972年に本日紹介するソロ・アルバム『Oh How We Danced』を発表後はコンスタントにソロ作を発表し続けます。1994年にはTraffic再結成にも参加しますが、2005年に癌のためロンドンで死去。享年60歳。
Trafficといえば、どうしてもSteve Winwoodが目立ってしまいますが、個人的にはDave Mason、Jim Capaldiといったメンバーのソロ作が結構好きだったりします。特に、Jim Capaldiについてはドラマーというよりもシンガーとしての印象が強いですね。
僕が持っているJim Capaldiのソロは『Oh How We Danced』(1972年)、『Whale Meat Again』(1974年)、『Short Cut Draw Blood』(1975年)の3枚です。個人的には『Short Cut Draw Blood』が一番好きなのですが、紹介する順序としては『Oh How We Danced』が先かなという気がします。
ということで『Oh How We Danced』です。この初のソロ・アルバムは、Steve Winwoodの体調不良によるTrafficアメリカ・ツアー一時中断の合間にレコーディングされたものです。
何といっても目玉は大半の曲がアメリカ南部のMuscle Shoals Studioで録音されている点ですね。David Hood (b) 、Roger Hawkins (ds) 、Jimmy Johnson (g) 、Barry Beckett(key)、Muscle Shoals HornsといったMuscle Shoalsの精鋭たちが参加し、泥臭くかつリズミックな南部サウンドを聴かせてくれます。
Muscle Shoals Studio録音以外はロンドン録音です。Steve Winwood、Dave Mason、Chris Wood、Rick Grech、Jim Gordon、Rebop Kwaku BaahといったTraffic勢も参加し、 Capaldiをサポートしています。さらにはFreeのPaul Kossof(g)や元MoveのTrevor Burton(b)、当時売れっ子だったバック・ボーカル・チームSue and Sunny等が参加しています。特にPaul Kossofが目立っていますね。
個人的には後期Trafficで一番好きなアルバムが『Shoot Out At The Fantasy Factory』(1974年)なのですが、本作はその『Shoot Out At The Fantasy Factory』への流れを作ったアルバムと位置づけられると思います。
実際、『Shoot Out At The Fantasy Factory』ではRick Grech、Jim Gordonが抜けた後釜として、David Hood 、Roger Hawkins の二人がパーマネント・メンバーとしてTrafficに加わり、Barry Beckettも参加するなどMuscle Shoals色の強いアルバムとなっています。
Traffic『The Low Spark of High Heeled Boys』(1971年)からドラムを捨て、ボーカル、ソングライティングに専念するようになったCapaldiですが、本作にもそのあたりの成果が十分に反映されていると思いマス。1曲を除き、Capaldiの作品です(1曲はDave Masonとの共作)。
野人のようなジャケ同様、中身もファンキーです(笑)
全曲紹介しときヤス。
「Eve」
オープニングはシングル・カットもされたメロディアスなミッド・チューン。Muscle Shoalsのメンバーによる泥臭いサウンドとCapaldiのジェントルな歌声がうまく溶け込んでいると思いマス。Jimmy JohnsonのギターとMuscle Shoals Hornsがいいですね。体調を取り戻したWinwoodのハモンド・オルガンも聴けます。
「Big Thrist」
Dave Masonとの共作。穏やかながらも味わい深い1曲。Muscle Shoalsならではのソウル・テイストがいいですね。そんな曲で印象的なギター・ソロを聴かせるのがPaul Kossofというあたりが面白いですね。Sue and Sunnyのコーラスもかなりグッドです。共作者のDave Masonもハーモニカで参加。
「Love Is All You Can Try」
Barry Beckettのピアノをはじめ、これぞMuscle Shoals!という雰囲気のファンキーな仕上がり。南部サウンド好きにはたまらない1曲なのでは?
「Last Day of Dawn」
個人的にはアルバムで一番好きな曲がリズミックかつメロディアスなこのミッド・グルーヴです。Muscle Shoals勢の演奏もグッドですが、実はRebop Kwaku Baahのパーカッションが好きだったりします。
「Don't Be a Hero」
ブルージーな憂いに満ちた1曲。Dave Masonのギター・ソロが泣かせます!
「Open of Your Heart」
Steve Winwood、Dave Mason、Chris Wood、Rick Grech、Jim Gordon、Rebop Kwaku BaahといったTraffic勢が勢揃いの1曲。これはもはやTrafficのナンバーと呼んでも良いのでは(笑)なかなか軽やかなノリが気持ち良い1曲。。
「How Much Can a Man Really Take」
Muscle Shoals録音ではないこの曲におけるCapaldiのボーカルが一番ソウルフルだったりするのが面白いですね。Chris Woodのフルートが実にいいアクセントになっています。
「Oh How We Danced」
タイトル曲はAl Jolson/Saul Chaplinによるスタンダードのカヴァー。「Last Day of Dawn」と並ぶお気に入り曲です。Muscle Shoals勢の生み出すファンキーなグルーヴに、Paul Kossofのカッチョ良すぎるギター・ソロでかなりハイテンションになりますね。
Traffic『Shoot Out At The Fantasy Factory』(1974年)やソロ第3弾『Short Cut Draw Blood』(1975年)も改めて紹介したいと思います。
ジム・キャパルディのソロを記事される方がいらして少し感激してます。昨年末のジムの追悼コンサートがCD,DVD化されて「もうTrafficは2度とないか・・」と残念です。
ジムのアルバムでは"Fierce Heart"が好きですが、このアルバムもいいですね。
"Shoot Out At The Fantasy Factory"はいいですね"(Sometimes I feel so) Uninspired"が好きです。
長々と失礼しました。
ありがとうございます。
『Fierce Heart』は持っていませんが、シングルの「That's Love」は当時ラジオなどで聴いていた記憶がありますね。機会があれば、アルバムもきちんと聴いてみますね。
『Shoot Out At The Fantasy Factory』をはじめ後期Trafficの作品は、人によって評価がバラバラなのが逆に面白いですね。個人的には『Shoot Out At The Fantasy Factory』のMuscle Shoalsらしいノリが一番しっくりきますね。
これからもお気軽にお立ち寄りください。