発表年:2007年
ez的ジャンル:新世代MPB
気分は... :冬のサンバも悪くない!
相変わらず体調不良のまま...
なんか気持ちもブルーになりがちです。
こんな時にはブラジル音楽を聴くに限る!
ということで今回はブラジル音楽ファンの間では既に大人気の女性シンガーMaria Ritaの最新3rdアルバム『Samba Meu』です。
Maria Ritaについて話す場合、どうしても彼女の母親Elis Reginaについて触れないわけにはいかないかもしれませんね。
Elis Regina(1945-1982年)は、ブラジルで人気を誇った女性シンガー。12歳でプロの歌手としてキャリアをスタートし、15歳で初アルバムの録音を経験しています。その後1960年代から1970年代にかけて大ブレイクしました。また、Milton Nascimento、Edu Lobo、Ivan Lins等彼女に楽曲を取り上げられたことで、広くその名が知れ渡った歌手も少なくありませんね。
“台風エリス(Furacao ELIS)”と呼ばれるほど激しい気性で知られ、当時の軍事政権の批判もしましたが、その超人気ゆえに政府も投獄することが出来なかったそうです。1982年に36歳の若さで死去。
Maria Ritaは、そんなElis Reginaと名ピアニストCesar Camargo Marianoの娘として1977年サンパウロで生まれました。
2003年に『Maria Rita』でデビューを果たします。Elis Reginaの娘というプレッシャーの下でのデビューでしたが、このデビュー作は各方面から大絶賛され、第5回ラテングラミー賞で最優秀新人、ベストMPBアルバムを受賞しました。
2005年に発表した2ndアルバム『Segundo』も絶好調で、もはや“Elis Reginaの娘”という説明は不要なほど確固たる地位を確立しました。
そんなMariaの最新作が『Samba Meu』です。
僕自身『Maria Rita』、『Segundo』はCDショップ等で試聴したのみだったので、実際にCDを購入するのは今作が初めてとなります。
ジャケのイメージからして、『Maria Rita』、『Segundo』と比較すると垢抜けたカンジがしますね。もしかしたら、前2作はジャケの少しオバちゃんぽいイメージが僕のCD購入を妨げていたのかもしれません(笑)
タイトルの『Samba Meu』は“私のサンバ”という意味です。
ということで全編サンバ・アルバムになっています。
元Fundo de QuintalのArlindo Cruzの作品が多いのが目立ちますね。全編サンバといっても、1曲ごとの仕上がりはバラエティがあるので、一本調子の印象は受けません。
そのせいか前2作と比較すると音がカラフルになり、全体的に明るい雰囲気に仕上がっているというカンジですね。
ブラジル音楽ファンの間では、今年のNo.1アルバムの呼び声も挙がっているようですね。普段ブラジル音楽を聴かない人でも、すんなり入ることのできる作品だと思います。
オススメ曲を紹介しときやす。
「Samba Meu」
タイトル曲は郷愁ムードたっぷりです。サンバと聴いてカーニヴァルのような陽気な音楽のみを想像する人も多いかもしれませんが、この寂しげな郷愁感こそがサンバという気がします。Rodrigo Bittencourt作品。
「O Homem Falou」
Gonzaguinha作品。Mariaと同じくLuiz Gonzagaという偉大なミュージシャンを父親に持つGonzaguinhaの作品というあたりが興味深いですね。
「Maltratar, Nao e Direito」
この曲は華麗なノリの良さが魅力ですね。ブラジル・サッカーで言えばリオンのジュニーニョってカンジ??Arlindo Cruz/Franco作品。
「Num Corpo So」
アルバムの一番のお気に入り曲(Arlindo Cruz作品)。ここしばらく僕のモーニング・コールはこの曲です。軽やかな仕上がりが何とも気持ち良いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=2RvQz9IWBEM
「Cria」
イントロの子供の声が何とも可愛いですね。Serginho Meriti/Cesar Belieny作品。
「Ta Perdoado」
リード・トラックとして話題を集めているのがこの曲ですね。僕も大好きです!Arlindo Cruz/Franco作品。実にリラックスしたMariaの歌いっぷりがいいですね。You TubeでPVを観れるのでお試しを!このPVを観ただけでアルバムが欲しくなりますよ。
http://www.youtube.com/watch?v=Zap_txvFTGg
「Pra Declarar Minha Saudade」
わずか1分40秒の曲ですが、従来路線のシンプルなバックによるしっとりとした仕上がりに癒されます。
「O Que e O Amor」
楽曲の良さが光ります。Mariaの丁寧な歌や気の利いたアレンジがさらに完成度を高めているカンジですね。Arlindo Cruz/Fred Camacho/Mauricao作品。
「Trajetoria」
この曲はボッサな仕上がりになっていますね。Tiago Costaのピアノが実にエレガントでいいですね。夜のお供にピッタリです。Arlindo Cruz / Serginho Meriti / Franco作品。
「Mente ao Meu Coracao」
メランコリックな雰囲気が魅力の1曲。アレンジが何とも素敵ですな。思わず感傷的な気分になってしまいます。
「Maria Do Socorro」
Edu Krieger作品。軽快なテンポの良さがいいですね。
「Corpitcho」
カフェ・ミュージック的な洗練された仕上がりが魅力の1曲。Ronaldo Barcellos作品。カフェ飯が食べたい!
「Casa de Noca」
「Num Corpo So」、「Ta Perdoado」と並ぶ僕のお気に入り曲。クラブ系の音楽が好きな人は気に入る1曲なのではと思います。Serginho Meriti/Nei Jota Carlos/Elson do Pagode作品。
僕はブラジル音楽の最新事情には全く明るくありませんが、最近はサンバ回帰の流れがあるみたいですね。
そう言えば、以前紹介したMarisa Monteも昨年『Universo Ao Meu Redor(私のまわりの宇宙)』という全編サンバのアルバムを発表していましたね。
このあたりの流れを一度きちんとチェックせねばいけませんね。
まだまだ感動作品に数多く出会えそうな予感!