2007年11月27日

Luscious Jackson『Fever In Fever Out』

Beastie BoysのレーベルGrand Royalの第1号アーティストの2ndアルバム☆Luscious Jackson『Fever In Fever Out』
Fever in Fever Out
発表年:1996年
ez的ジャンル:グランド・ロイヤル系女性オルタナ・ロック
気分は... :時には冷ややかに...

今日はローファイなアルバムが聴きたい気分...
ということでLuscious Jackson『Fever In Fever Out』(1997年)をセレクト。

Luscious Jacksonは、Jill Cunniff(vo、b)、Gabrielle "Gabby" Glaser(vo、g)、Vivian Trimble(key、vo)、Kate Schellenbach(ds)という女性4人で結成されたグループ(Vivianは1998年に脱退)。Kate SchellenbachはBeastie Boysのオリジナル・メンバーとしても知られていますね。ちなみにLuscious Jacksonというバンド名は、かつてのNBAのプロ・バスケットボール選手Lucious Brown "Luke" Jacksonからとったものです。

Luscious Jacksonといえば、Beastie Boysがかつて運営していたレーベルGrand Royalの第1号アーティストとして有名ですね。Grand Royalには、Atari Teenage RiotやSean Lennon、さらにはCibo Matto、Buffalo Daughterといった日本人のグループも所属していました。

1992にミニ・アルバム『In Search of Manny』でデビューすると、1994年に1stアルバム『Natural Ingredients』、1996年に2ndアルバム『Fever In Fever Out』、1999年に3rdアルバム『Electric Honey』という3枚のアルバムを発表しますが、2000年にグループは解散してしまいます。奇しくもGrand Royalが経営難で2001年にレーベルを閉鎖しているので、まさにGrand Royalと共に生まれ、Grand Royalと共に幕を閉じたという感じですね。

また、JillとVivianはKostarsという別プロジェクトでも活動し、Grand Royalからアルバム『Klassics With A "K"』(1996年)を発表しています。

デビュー作『In Search of Manny』を聴くと、Hip-Hopのセンスを持ったガレージ・バンドというイメージでしたが、今回紹介する『Fever In Fever Out』ではガレージ・バンドのザラツキ感はあまり感じられず、かなり整理されたサウンドになっています。

昔からのファンは、そのガレージ・バンド的な魅力が薄れた点に物足りなさを感じるかもしれないし、そういった先入観のない方はこの時代らしいローファイ・サウンドとして楽しめるのではと思います。その意味でははっきり好き/嫌いが分かれる作品でしょうね。個人的には本作の冷めた雰囲気が大好きですね。

こうした本作の印象に大きな影響を与えているのが、共同プロデューサーとして参加しているDaniel Lanoisの存在です。

当時のDaniel Lanoisは、U2、Peter Gabrie、Robbie Robertson、Neville Brothers、Bob DylanRon Sexsmith等の作品でその手腕を発揮したトップ・プロデューサーの一人でしたよね。U2『The Joshua Tree』(1987年)あたりに代表されるように、聴けばすぐにわかる独特の音空間で、良くも悪くもこの時代を象徴していましたよね。

U2、Peter Gabrie、Neville Brothers、Ron Sexsmith等のDaniel Lanoisプロデュース作品を何枚か持っていますが、正直U2『The Joshua Tree』などは今聴くと多少退屈に聴こえてしまいます(『Achtung Baby』はかなり好きなのですが)。

なので、あまりDaniel Lanois色が強すぎるとダメなのですが、本作はその手前で踏みとどまり、よく練られたチープ感(意味不明ですな)が魅力だと思います。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Naked Eye」
グループ唯一の全米Top40入りシングル。軽快なポップ・チューンだけど、少し冷めた感じの温度感が魅力なのでは?

「Don't Look Back」
Bostonのカヴァーじゃありません(笑)レイジーかつメランコリックなローファイ・サウンド。インディーズ映画のサントラとかにありそうな雰囲気がいいですね。

「Under Your Skin」
シングルにもなった曲。なかなかカッチョ良いダンス・サウンドと乾いたボーカルの組み合わせがいいですね。

「Electric」
タイトルの通り、エレクトロニカな仕上がりの1曲。このあたりは従来のLuscious Jacksonのイメージとは大きくかけ離れた1曲かもしれませんね。

「Water Your Garden」
いい感じのローファイ感が魅力の曲ですね。砂漠の中の寂れた町の光景が頭の中に浮かんでいますね。聴いているうちの、口の中が渇いてきます。

「Soothe Yourself」
カッチョ良さで言えばアルバムで一番かも。Gabbyのギターがいい感じでシャカシャカ鳴っています。バック・コーラスにはかつての美人女性シンガーEmmylou Harrisが参加しています。

Luscious JacksonとEmmylou Harrisというのは意外な組み合わせかもしれませんが、前年に発表されたEmmylouのアルバム『Wrecking Ball』をDaniel Lanoiがプロデュースしているので、その関係での参加だと思います。

「Why Do I Lie?」
この曲もシングルになりました。Earth,Wind & Fire「Fantasy」にそっくり!と思うのは僕だけでしょうか(笑)「Fantasy」を少しレイジーなアコースティック・チューンに仕上げたってカンジですかね。この曲にもEmmylou Harrisが参加。

「One Thing」
個人的にはアルバムのハイライトはこの曲。Emmylou Harrisに加えて元Brand New Heaviesの女性ヴォーカリストN'Dea Davenportが参加しています。ローファイかつクールな魅力はそのままにパーカッシヴかつファンキーな仕上がりになっています。

「Stardust」
あまり起伏のない淡々とした流れがいいですね。なんかこのどん詰まったクールネスがたまらなく好きです!

今年、『Greatest Hits』が発表され、再結成の噂もあるみたいですね。
posted by ez at 05:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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