発表年:1969年
ez的ジャンル:ブリティッシュ・ブルース・ロック
気分は... :UK盤オリジナル・ジャケでないのが残念!
今日は酒も飲んでいないのに、何故かブルースが聴きたい気分!
教えてくれよ、一体この俺が何をしたっていうんだ?
ベイビー、教えてくれよ!
どこが悪いのか俺には分からないんだ!
教えておくれプリティ・ベイビー、一体どうなっているんだ!
こんな心境かな?
ということで、Fleetwood Mac、Savoy Brownと並ぶブリティッシュ3大ブルース・バンドの1つChicken Shackを紹介します。
Chicken Shackは、Stan Webb(vo、g)を中心にAndy Sylvester(b)、Christine Perfect(vo、key)、Dave Bidwell(ds)という布陣で1967年にグループをスタートさせました。ちなみにグループ名はブルース・ピアニストChampion Jack Dupreeの作品「Chicken Shack」に由来するものです。
1968年にデビュー・アルバム『40 Blue Fingers, Freshly Packed And Ready To Serve』をリリースし、UKアルバム・チャート第12位のヒットとなります。1969年に発表した2ndアルバム『O.K. Ken?』もUKアルバム・チャート第9位と好調ぶりをキープしました。
さらに1969年5月にリリースしたシングル「I'd Rather Go Blind」(Etta Jamesのカヴァー)はシングル・チャート第14位に入り、同曲でリード・ヴォーカルをとったChristine Perfectはメロディ・メイカー誌の最優秀女性歌手に選ばれています。
このようにブリティッシュ・ブルース第三世代を代表するグループとしてUK音楽シーンを盛り上げたChicken Shackでしたが、Fleetwood MacのJohn McVieと結婚したChristine Perfect(Christine McVie)がグループを脱退すると、グループの人気も下降線を辿っていきます。
そんなChicken Shackの作品の中から今回は2ndアルバム『O.K. Ken?』をセレクト。
Chicken Shack最大のヒット作であると同時に、60年代後半のブリティッシュ・ブルース・ブームを象徴する1枚だと思います。
グループのフロントマンはStan Webbですが、やはりChristine Perfect(Christine McVie)の存在がこのグループの魅力だと思います。その後Fleetwood Macのメンバーとして数々のポップ・ヒットを飛ばすChristineのルーツを知るという楽しみ方もできるし、ブルース・バンドの女性ヴォーカリストというだけでも十分に楽しめると思います。
CreamやJimi Hendrixのように、ブルースをベースに全く新しい音楽を生み出していった革新的アーティストが眩しいのは確かです。でも、Chicken ShackやFleetwood Macのように、革新性はないけれど純粋にブルースを楽しんでいるアルバムでホッと一息つくのも、シブ〜くて良いのでは?
なお、本アルバムには各曲の前にStan WebbによるラジオDJ風の曲紹介が入っています。これがなかなか楽しめます。
オススメ曲を紹介しときやす。
「Baby's Got Me Crying」
「The Right Way Is My Way」
Stan Webbの威勢の良いギター&ヴォーカルがブルース小僧ぶりを発揮していていいですな。特に「The Right Way Is My Way」のドライヴ感はかなりカッチョ良いですな。
「Get Like I Used to Be」
Christineのやや中性的でクールなヴォーカルが堪能できます。このヒンヤリ感がたまりませんな。
「Tell Me」
前述の“教えてくれよ、一体この俺が〜”というのは、この歌の一節です。オリジナルはMuddy Watersと並ぶシカゴ・ブルースの大物Howlin' Wolfです。僕的にはStan Webbのイメージにぴったりな1曲という気がします。♪トラブル、トラブルが俺の名前だよ♪と歌う、どうしようもなくボヤッキーな歌詞が好きです(笑)
「A Woman Is the Blues」
StanとChristineのツイン・ヴォーカルですが、タイトルからしてもこの曲の主役はChristineといったカンジですよね。やはり女性はブルースなのか???
「I Wanna See My Baby」
モダンブルース・ギターの父T-Bone Walker作品。ヴォーカリストとしてのChristineを堪能できる本曲は「Tell Me」と並ぶ僕のお気に入りです。改めて女性ブルース・ヴォーカリストって希少だし魅力的だと思いますね。まぁ、Christineの場合は全然ブルースっぽくない唱法が逆に良いのですが(笑)あと忘れちゃいけませんがChristineのピアノもなかなかグッド!
「Remington Ride」
ブルース界の三大Kingの一人Freddie Kingのカヴァー。Stanのギターのご機嫌ぶりに聴いていて楽しくなります。
「Fishing in Your River」
この曲はStanの一人舞台というカンジですね。ギター&ヴォーカル共に冴え渡っています。
「Mean Old World」
ブルース・ハープの大物Little Walterのカヴァー。この曲のカヴァーと言えば、Derek & The Dominos『Layla & Other Assorted Love Songs』のレコーディング・セッションにおけるEric ClaptonとDuane Allmanの共演が有名ですよね(アルバム『Layla & Other Assorted Love Songs』には未収録)。
ここではWalter "Shakey" Hortonのブルース・ハープをバックに、Christineがヒンヤリ・ヴォーカルで決めてくれます!
「Sweet Sixteen」
ラストは大御所B. B. Kingのカヴァー。スウィートというよりもビターな仕上がりがグッドです。
本当はベンチの上に黒人の子供とガイ骨が座っているUK盤のオリジナル・ジャケがお気に入りなのですが、Amazonでは見つかりませんでした。残念!