録音年:1967年
ez的ジャンル:職人肌ピアニスト
気分は... :そろそろヤバイ!
昨日は人形町で仕事でしたが、あの街は全くクリスマス・ムードがなく、既に完璧お正月モードでした。まだまだ年内にやり残していることが沢山あり、そろそろ焦ってきました...ヤバイ!
大物ジャズ・ピアニストOscar Petersonが12月23日に亡くなりました。
同時代の大物ジャズ・ピアニストの作品は何らかのかたちで最低1枚以上は所有しているのですが、なぜか彼の作品は1枚も所有していません。前々から僕の好みに合致すると予測していたのですが、そのうちゲットしよう!なんて思っているうちに購入機会を逸していました。追悼の意味を込めてゲットしようかな?
謹んでご冥福をお祈りいたします。
奇しくも今回紹介するジャズ・ピアニストJack Wilsonも今年10月に亡くなりました。
Jack Wilsonは1936年シカゴ生まれ。あまり詳しいキャリアは知らないのですが、Dinah Washingtonのバックを務めていたようですね。60年代に半ばには、ヴィブラフォン奏者Roy Ayersと双頭クインテットを組んでいました。70年代以降のRoy Ayersしか聴いていない僕にとっては、なんか不思議な組み合わせに感じます。
その後1967〜68年にBlue Noteに『Something Personal』(1966年)、『Easterly Winds』(1967年)、『Song For My Daughter』(1968年)という3枚のリーダー作を残しています。
今回はその3枚の中から『Easterly Winds』(1967年)をセレクトしました。
多分、本作を購入したのは10年くらい前だと思いますが、何がきっかけで本作を購入したのか全然憶えていません。気付いたら、我が家のCD棚のジャズ・コーナーに置いてあったというカンジです。多分、他のBlue Note4200番台(Lou Donaldsonあたりか?)の作品を購入した時に一緒に衝動買いしたパターンだと思います。
本作はクラブ・ジャズ好きの方にも人気の1枚ですが、僕のような永遠のジャズ初心者にも聴いた瞬間にカッチョ良いぞ!と直感できるわかりやすさが魅力だと思います。
メンバーはJack Wilson(p)、Lee Morgan(tp)、Garnett Brown(tb)、Jackie McLean(as)、Bob Cranshaw(b)、Billy Higgins(ds)という布陣です。個人的には大好きなLee Morganの参加が嬉しいですし、Brownのトロンボーンが全体的にいい味出している気がします。Billy Higginsのドラムも存在感ありますねぇ。
本作がWilsonにとってホーン奏者を加えた唯一のリーダー作となります。そのせいかWilson自身はあまり熱くなりすぎず、ホーン隊の良さをうまく引き出しながら、冷静に全体としての完成度を高めている気がします。
全曲紹介しときやす。
「Do It」
McLean、Morgan、Brownのホーン隊が底抜けに楽しいオープニング。みんなで手拍子しながら盛り上げましょう!Brownのトロンボーンがいいですね。元気なホーン隊のバックでクールなピアノを聴かせる Wilsonがシブいですね。
「On Children」
クラブ・ジャズ好きには外せない人気の1曲ですね。僕もこの曲が一番好きです。この一気に駆け抜けるドライヴ感がたまりません。Brown→McLean→Morganと引き継がれるホーン隊ソロの流れがいいですね。その後の Wilsonのソロもキマりすぎるくらいカッチョ良いですね。この曲は当時の若い黒人に捧げられ、彼らの精神を鼓舞しようと作れた曲なのだとか。
「A Time For Love」
The Shadow of Your Smileの作者Johnny Mandelの作品です。オリジナルは映画『An American Dream(邦題:殺しの逢びき)』の主題歌でした。僕の場合、この曲といえば本ブログでも紹介したBill Evans『Alone』でのソロ演奏をすぐに思い浮かべてしまいますのですが...。でも、Wilsonも実に繊細で美しいタッチで聴かせてくれます。特に疾走感溢れる2曲の後に、うっとりするバラッドを聴くと完全にヤラれますね。
「Easterly Winds」
タイトル・チューンは「On Children」と並ぶお気に入り。この曲も突っ走る推進力があって好きですね。ホーン隊を導くHigginsのシンバルが印象的ですね。そして、何と言ってもこの曲はWilsonのピアノがカッチョ良すぎです!
「Nirvanna」
緻密に計算され尽くした1曲という気がします。優雅なんだけどアヴァンギャルドでという実に不思議なムードを持った演奏ですね。客観的に聴けば、この曲がハイライトかもしれませんね。
「Frank's Tune」
アルト・サックス奏者Frank Strozierの作品です。全体的にリラックスした演奏を楽しめます。ただし、それまでの5曲がかなり濃密なのでその分少し物足りないカンジかも?
こんな素晴らしい作品なのに、ホーン隊参加の作品がこれ1枚というのは勿体無い気がしますね。
謹んでご冥福をお祈りいたします。