2008年01月17日

Dexy's Midnight Runners『Searching For The Young Soul Rebels』

パンク/ニューウェイヴを通過して生まれたホワイト・ソウル☆Dexy's Midnight Runners『Searching For The Young Soul Rebels』
若き魂の反逆児を求めて
発表年:1980年
ez的ジャンル:ブリティッシュ・ホワイト・ソウル
気分は... :“ソウルフル”ではないけど“ソウル”がある!

昨日、The Who『Quadrophenia』の記事投稿をした影響で、今日は映画『さらば青春の光』が公開された前後のモッドなアルバムを聴きたくなりました。

ということで、Kevin Rowland率いるDexy's Midnight Runnersのデビュー・アルバム『Searching For The Young Soul Rebels』(1980年)をセレクト。

Dexy's Midnight Runnersは、1978年に英国バーミンガムでシンガー/ソングライターであるKevin Rowlandを中心に結成されたグループです。Kevin RowlandはDexy's Midnight Runners結成前はKilljoysというパンク・バンドで活動していました。

1979年にシングル「Dance Stance」でデビューすると、早くも1980年の2ndシングル「Geno」がUKチャートNo.1の大ヒットとなりました。同年デビュー・アルバム『Searching For The Young Soul Rebels』を発表し、UKアルバム・チャートの第6位まで上昇します。

1982年には2ndアルバム『Too-Rye-Ay』を発表。同アルバムからのシングル「Come On Eileen」は全英のみならず全米チャートでも第1位となる大ヒットとなり、世界中にDexy's Midnight Runnersの名が知れ渡りました。その後グループは80年代半ばに解散しています。

現在、世間ではDexy's Midnight Runnersを“「Come On Eileen」の一発屋”ととらえる向きが圧倒的に多いように思います。

僕もリアルタイムでは、アイルランド出身の両親を持つKevin Rowlandのルーツに触れたアイリッシュ・トラッド風味のポップ・ソング「Come On Eileen」のイメージに圧倒的に支配されていましたね。なので、知らぬ間にDexy's Midnight Runners=アイリッシュ・トラッドという刷り込みが頭の中にインプットされていました。

彼らの本質が、スタックス/ノーザン・ソウルを指向するブリティッシュ・ホワイト・ソウルにある!とは当時全くわかりませんでしたね。「Come On Eileen」の次シングル「Jackie Wilson Said (I'm in Heaven When You Smile)」Van Morrisonのカヴァー(アルバム『Saint Dominic's Preview』収録)であったことを冷静に分析できれば、そうしたことも想像できたのかもしれませんが...でも、当時高校生の僕じゃそこまでは無理かぁ。

なので、この1stアルバムを初めて聴いた時には正直かなり驚きましたね。

2ndにあったようなアイリッシュ色はなく、スタックス/ノーザン・ソウル指向に溢れた100%ブリティッシュ・ホワイト・ソウルのアルバムです。

ただし、単にスタックス/ノーザン・ソウルを模倣したアルバムではなく、そこはパンク/ニューウェイヴを通過してきたKevin Rowlandらしいホワイト・ソウルに仕上がっているのがミソだと思います。

このアルバムを聴くと、Paul WellerJamを解散させ、Style Councilへと向かった気持ちが何となくわかる気がします。

実際、本作にはStyle Council加入前のMick Talbotも参加しています。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Burn It Down」
彼らのデビュー・シングル(シングル時にタイトル「Dance Stance」を改題したもの)。パンクやニューウェイヴが流れるラジオから突如モッドなホワイト・ソウルが聴こえてくるという演出がなかなか乙ですな。ホワイト・ソウルといってもヴォーカルが全然ソウルフルではないあたりがこのグループらしいですね。

「Tell Me When My Light Turns to Green」
パワフルなホーン・セクションを中心としたスタックス風ソウルのバックとパンク/ニューウェイヴ・モードのヴォーカルとのギャップが面白いです。

「Teams that Meet in the Caffs」
哀愁ソウル・モードが漂うインスト・チューン。ヴォーカルがないとホワイト・ソウル・グループであることがより鮮明にわかります(笑)

「Geno」
前述のUKチャートNo.1となった大ヒット・シングル。ちなみにGenoとは、イギリスを拠点に活躍したR&BミュージシャンGeno Washingtonのことです。60年代後半にGeno Washington & The Ram Jam Bandとして活動し、モッズの人気を集めたみたいですね。

パンク/ニューウェイヴを通過して生まれたホワイト・ソウルってカンジがいいですよね。Kevin Rowlandのパンク・バンドKilljoysでの経験がちゃんと血肉になっている気がします。

「Seven Days Too Long」
1966年にChuck Woodsによってリリースされたノーザン・ソウルのカヴァー。Style Council的なカッチョ良さを求めるならば、この曲が一番かも?

「Thankfully Not Living in Yorkshire It Doesn't Apply」
カッチョ良さでは「Seven Days Too Long」と1、2位を争う曲ですね。パンク/ニューウェイヴを通過したBooker T. & The MG'sって感じです。スピード感がいいですね。

「Keep It」
この曲もバックは思い切りスタックス風ですね。Kevin Rowlandのヴォーカルは“ソウルフル”なテクニックないけど、“ソウル”なスピリッツがありますよね。

「There, There, My Dear」
「Geno」に続く3rdシングルであり、UKチャート第7位のヒットとなりました。この曲もパンク/ニューウェイヴ経由のホワイト・ソウルならではの魅力に溢れていると思います。

タイトルやジャケも中身と実にマッチしていると思います。
posted by ez at 01:10| Comment(2) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
僕もやはり「Come On Eileen」の一発屋という位置づけかな。でもこの手のバンドで一発大ヒット曲があるだけいいじゃん!とも思います。

Dexy'sってホワイトソウルだったんすね。
1stは「Geno」くらいしか記憶になくあまり聴いてなかったかも。
どうしても「Too-Rye-Ay」に行ってましたね。
何しろ「女の泪はワザモンだ!」という邦題に後押しされてこの2ndを先に買いましたからね〜(笑)

ところでKevin Rowlandの声ってThe CureのRobert Smithに似てません?曲は全然違うけど。
似てないか・・。
Posted by Kaz at 2008年01月18日 01:09
☆Kazさん

ありがとうございます。

>「女の泪はワザモンだ!」という邦題に後押しされて

そうでしたね。この邦題はインパクトありましたね。

>Kevin Rowlandの声ってThe CureのRobert Smithに似てません?

納得です!!!
実は記事投稿の時、誰かパンク/ニューウェイヴ系ヴォーカリストに似ていると書きかけながら、うまくハマる人の名前が浮かばす断念していました。おっしゃる通り!Robert Smithがドンピシャですね。モヤモヤしていたものがクリアになり、すっきり気分です☆

Posted by ez at 2008年01月18日 03:15
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