発表年:2007年
ez的ジャンル:ブロークン・ビーツ系Nu Jazz
気分は... :知識よりも感性が大事!
こういった音楽系ブログを書いていると、知らず知らずのうちに音楽を難しく聴いていることがある。
プロデューサーが誰だ、バック・ミュージシャンが誰だ、この曲の元ネタは何だ、誰某がカヴァーしている、チャートで何位だった...等々
確かに作品やアーティストに関する知識・情報はあった方が良いのかもしれない。一方で、そうした知識・情報に囚われすぎると、音楽を楽しめなくなってしまうこともある。元々そんなに知識があるわけじゃないしね。
僕が音楽を聴くのは、楽しむため、癒されるため、励まされるため、感動するため...
音楽は知識で聴くものではない、感性で聴くもの
音楽は頭で聴くものではない、心で聴くもの
あくまでも趣味なんだから、もっと楽しまないとね。
と書きつつ、作品やアーティストに関する知識・情報も書かないと、記事が書きづらいのも事実なんですけど(笑)
こういう場合は、殆ど知識・情報を持たないアーティストを取り上げるのが良いかもしれませんね、
ということで、今回はMark De Clive-Lowe『Journey 2 The Light』(2007年)です。
昨年12月初旬に、このクラブ・ミュージックのアルバムを購入したのですが、購入以来コンスタントに聴いています。まさに理屈抜きに楽しめる鼓動を感じるアルバムですね。
本作を購入するまでMark De Clive-Loweというアーティストにつて全く知りませんでした。これから書く情報も殆ど一夜漬け情報です(笑)
Mark De Clive-Loweは1974年ニュージーランド生まれ(父はニュージーランド人、母は日本人)。現在は西ロンドンをベースに活動するプロデューサー/キーボーディストであり、ジャズの名門バークリー音楽院出身という経歴とブロークン・ビーツ/クロスオーヴァー・シーンでの活躍ぶりから、“西ロンドンのHerbie Hancock”と呼ばれているのだとか。Master At Workあたりとも交流があったみたいですね。
本作『Journey 2 The Light』は、多分『Six Degrees』(2000年)、『Tide's Arising』(2004年)に続く3枚目のソロ・アルバムだと思います。
本作は日本発の新レーベルFREEDOM SCHOOLからのリリースとなります。
レーベル名の由来は、60年代アメリカ南部で実在した学校にあるそうです。公民権運動の中で子供たちが“読み書き”や“権利”を学べるために作られたこの学校に習い、「深く心に響いて、心を癒したり、励ましたり、何かを教えてくれたりする音楽」の発信を目指しているのだとか。
本作には、ロンドンのクラブ・ミュージック・シーンではお馴染みの女性ヴォーカリストBembe Segue、スピリチュアルなサックス奏者Jason Yarde、Miles DavisやStevie Wonderともセッションしたパーカッション奏者Sammy Figueroa等のメンバーが参加しています。特にBembe Segueは、Mark De Clive-LoweとThe Politikというユニットを組み、昨年Politikとしてのデビュー・アルバムもリリースしています。
かなりジャンル分けの難しい音楽かもしれませんね。
僕は本作を渋谷タワレコで購入しましたが、最初Jazzのクラブ・ジャズ/ニュー・ジャズのコーナーで見つからず、別フロアのハウス/テクノのコーナーでようやく見つけることができました。
ライナーで本作を“「ブラック・ジャズ」と「ブロークン・ビーツ」を融合した「フューチャー·スピリチュアル·ジャズ」だ”と説明しています。個人的には、アフリカンなテイストが印象に残りますね。
僕はPharoah Sandersのようなスピリチュアル·ジャズやFela kutiのアフロ・ビートが好きですが、本作はそうした要素をブロークン・ビーツに取り入れた「Pharoah Sanders+Fela kuti+ブロークン・ビーツ」といった趣きのNu Jazzに仕上っていると思います。
まぁ、小難しいことは考えずに、心で楽しみましょ!
オススメ曲を紹介しときやす。
「Voices Whisper」
アルバムで一番のお気に入り。Pharoah Sanders風のスピリチュアルなイントロから、一気にパーカッシヴなNu Jazzが展開されます。コズミックでアフリカンな雰囲気に、Bembe Segueのヴォーカルが実にマッチしていますね。
「Reprogram」
この曲を聴くと、確かにジャズ・コーナーではなくハウス/テクノ・コーナーに置きたくなるかもしれませんね。ダークな盛り上がり方が好きです。
「Northern Lights」
スピリチュアルなヴォーカル・チューンです。Bembe SegueのヴォーカルとJason Yardeのサックスを堪能しましょう。
「Peace Be Central」
Nu Jazzとして聴くと、この曲が一番カッチョ良いのでは?Mark De Clive-LoweのセンスとBembe Segueのヴォーカル、Jason Yardeのサックスのバランスが見事だと思います。
「Question XIII」
アフリカンな色彩がかなり強いですね。Fela kutiがフューチャー・ジャズを作ったら、こんな感じになるのでは?
「2 Blind 2 See」
ロー・ビートのヴォーカル・チューン。ネオ・ソウルっぽい雰囲気もあっていいですね。
「Another One Save Me」
「Question XIII」同様アフリカン・テイストに溢れる1曲。まさに「Pharoah Sanders+Fela kuti」な展開がサイコーですね。
心で音楽を聴くためには、それを表現するボキャブラリを増やさないといけませんね。最近、自分の文章能力不足を痛感します。勉強せねば!