2008年02月13日

Phil Collins『Hello, I Must Be Going!』

ポップ・センスが開花した2ndソロ☆Phil Collins『Hello, I Must Be Going!』
フィル・コリンズ 2(心の扉)
発表年:1982年
ez的ジャンル:ソウル/ファンク系ポップ・ロック
気分は... :恋はあせらず!

今日は80年代に最も忙しい男の異名をとったPhil Collinsの紹介です。

Phil Collinsは1951年ロンドン生まれ。1970年にUKを代表するプログレ・バンドGenesisにドラマーとして加入、1975年にグループのリーダーPeter Gabriel脱退後は、リード・ヴォーカルも務めるようになり、グループの中心的存在となっていきます。また、Genesisでの活動と並行してジャズ・ロック・グループBrand Xのメンバーとしても活動していました。

1981年には初のソロ・アルバム『Face Value』をリリースし、ソロ活動を開始します。ソロ活動、Genesis両方で大ブレイクした80年代最も成功したアーティストの一人と言えるでしょうね。

今回紹介するのは2ndソロ・アルバム『Hello, I Must Be Going!』(1982年)です。

1st『Face Value』(1981年)と3rd『No Jacket Required』(1985年)の間で、アルバム単位で語られることが少ない作品ですが、個人的には一番好きなソロ作です。

僕がGenesisをリアルタイムで聴いたのは、アルバム単位では『Abacab』(1981年)だったと記憶しています。当時僕の目には、UKではかなり人気あるけど、USマーケットではもう一歩のグループと映りました。シングル「Paperlate」だけは良い曲だと思いましたが、それ以外は特別気になるグループではありませんでしたね。ただし、PVでドラムを叩きながらリード・ヴォーカルをとるPhil Collinsの姿だけは印象的でした。

そんな僕がPhil Collinsの2ndソロ『Hello, I Must Be Going!』のLPを購入したのは、全英チャート第1位、全米ポップ・チャート第10位となった「You Can't Hurry Love」目当てでした。ご存知の通り、Diana Ross & The Supremesによる1966年の全米No.1ヒットのカヴァーです。

当時の僕はまだロック小僧だったのですが、それでもこのソウル・カヴァーに惹かれたというのは、この頃から今のようなR&B/ソウル志向が芽生えていたのかもしれません。

共同プロデューサー/エンジニアは前作『Face Value』に続きHugh Padgham、参加ミュージシャンも元Brand XのPeter Robinson、John Giblin、Genesisのサポート・メンバーDaryl Stuermer、Earth,Wind & Fireでお馴染みのPhenix Horns等『Face Value』の参加メンバーの多くが引き続き参加しています。個人的にはPhenix Hornsの貢献が大きいと思いますね。

前述の「You Can't Hurry Love」も含めてソウル/ファンク色の強いポップ・センスが開花したのが本作『Hello, I Must Be Going!』だったのでしょうね。

やっぱり、本作からEarth,Wind & FirePhilip Baileyとの共演で大ヒットしたシングル「Easy Lover」までのPhil Collinsが一番好きですね。

オススメ曲を紹介しときやす。

「I Don't Care Anymore」
オープニングは憂いを持ったロック・チューン。それでもGenesisほど重厚感がないのがソロ作らしいかもしれませんね。

「I Cannot Believe It's True」
僕の一番のお気に入り曲がコレ。「You Can't Hurry Love」目当てでLPを購入したはずだったのですが、数回聴いて「You Can't Hurry Love」以上にゾッコンになってしまいました。Phenix Hornsが大活躍のポップかつファンキーなグッド・グルーヴです。

Phenix Hornsが大活躍の曲と言えば、『No Jacket Required』(1985年)収録の「Sussudio」あたりがお馴染みかもしれませんが、個人的には「Sussudio」なんかより全然いけてる曲だと思います。

「Like China」
イントロを聴いてRolling Stones「Brown Sugar」かと思いました(笑)いい感じのパワー・ポップに仕上がっています。

「You Can't Hurry Love」
前述の全英チャート第1位、全米ポップ・チャート第10位となった大ヒット・シングルです。僕くらいの年代の人は、Philのカヴァーでオリジナルを知ったという方も多かったのでは?

オリジナルの雰囲気を大事にしつつ、ビート感を強調して小気味良い仕上がりになっているのがいいですね。3人のPhilが登場するPVも印象的でした。

「It Don't Matter To Me」
「I Cannot Believe It's True」同様にPhenix Hornsがご機嫌なホーン・セクションを聴かせてくれます。Genesisでは聴くことが出来なかったノリの良いポップ・ファンクに仕上がっています。

「Thru These Walls」
久々に聴き直して、こんなに良い曲だったけ?と思ったのがこの曲です。出だしは淡々としていますが、曲が進むに従い味わい深い展開になってきます。AORっぽいメロウネスとプログレっぽい硬質感がミックスしている感じが面白いと思います。

「Don't Let Him Steal Your Heart Away」
シングル・カットもされた美メロ・バラードです。ソングライターとしてのPhilの能力の高さを示してくれる1曲ですね。

「The West Side」
フュージョン・テイストのインスト。メロウとスリリングが交互に登場してくるのが良いですね。

「Why Can't It Wait 'Til Morning?」
ラストは美しいバラード。同じPhilのバラードでも全米ポップ・チャートNo.1に輝いた「Against All Odds (Take a Look at Me Now)」(映画『Against All Odds』のサントラ収録)のような熱唱タイプの楽曲は苦手なのですが、やや抑え目に歌う本曲のようなバラードは好きですね。Fourplayがカヴァーしています。

「You Can't Hurry Love」の大ヒットを契機にポップ・スターPhil Collinsが誕生し、3rdアルバム『No Jacket Required』(1985年)、4thアルバム『...But Seriously』(1989年)でソロ・アーティストとして揺るぎない地位を確立しました。併せて、Genesisもブレイクし、『Invisible Touch』(1986年)等の大ヒットを生み出しました。

不思議なことに、『No Jacket Required』以降のPhil Collinsのソロ諸作やGenesisの大ヒット・アルバムには、全く興味がありません。少し暑苦しい感じが僕には不向きなんでしょうね。Genesisならば『Abacab』(1981年)あたりの方がしっくりくる気がします。

ちなみに、Peter Gabriel在籍時のGenesisは全く聴いたことがありません。Peter Gabrielのソロ作は好きで結構持っているのですが...
posted by ez at 00:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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