発表年:1972年
ez的ジャンル:ルーツ探求系LAロック
気分は... :このジャケ怖すぎ!
Lowell George率いるLittle Featの2回目の登場です。
前回は人気の3rdアルバム『Dixie Chicken』(1973年)でしたが、今回は2nd『Sailin' Shoes』(1972年)です。
おそらく『Dixie Chicken』と並んで人気の作品なのでは?
当時のことは知りませんが、Little Featが日本で初めて紹介されたのは4thアルバム『Feats Don't Fail Me Now(邦題:アメイジング!)』(1974年)の時で、その後3rdアルバム『Dixie Chicken』(1973年)が発売され、続いて2nd『Sailin' Shoes』(1972年)という流れだったようですね。リアルタイム組だった方達は、4thアルバムから1枚ずつ遡るという聴き方だったのでしょうね。
僕がこのアルバムに興味を持ったきっかけは、Linda Ronstadt『Heart Like A Wheel』(1974年)で「Willin'」のカヴァーを聴き、そのオリジナルが聴きたくなったことでしたね。
あとJackson Browne好きの僕としては、アルバム『Hold Out』(1980年)収録のLowell Georgeへの追悼曲「Of Missing Persons」もLittle Featへの興味を高めてくれましたね。
本作時点でのメンバーは、Lowell George(g、vo)、Bill Payne(key)、Roy Estrada(b)、Richard Hayward(ds)の4人。
プロデューサーは1stアルバム『Little Feat』(1971年)のRuss Titelmanに代わり、Ted Templemanが務めています。1stアルバム『Little Feat』は未聴なので憶測ですが、当時Doobie Brothersも手掛けていたTed Templemanの起用によって以前よりもサウンドのダイナミズムが増したのではないかと思います。
ただし、この時点では『Dixie Chicken』で聴かれるニューオリンズR&Bの要素は顕著ではなく、よりルーツ・ロック的なアプローチのサウンドを聴かせてくれます。
忘れちゃいけないのはNeon Parkによるジャケですね。
Frank Zappa『Weasels Ripped My Flesh(邦題:イタチ野郎)』で一躍有名になった彼ですが、本作以降一貫してLittle Featのジャケを手掛けるようになります。
目と手足がある食べかけのケーキ女がブランコに乗っている様は、何とも風変わりで薄気味悪いですよね。グループの持つ掴み所のない雰囲気とマッチしていると思います。あまり部屋に飾りたくはないジャケですが(笑)
曲は全11曲中8曲がLowell Georgeの作品です。
Lowellのソングライティング能力にも注目しましょうね。
オススメ曲を紹介しときやす。
「Easy to Slip」
ウエスト・コースト・ロックらしいオープニング曲。純粋にアルバムで一番カッチョ良い曲だと思います。この曲のキャッチーさはTed Templeman起用の効果が表れているのでは?初期Doobiesあたりが好きな人は気に入る1曲だと思います。ゲスト参加のMilt Hollandによるタブラのパカポコ感も僕好みです。
「Cold Cold Cold」
「Easy to Slip」とは対照的にずるずるとした重たさが特徴のブルース・ロック。でも、こういった曲の方がLittle Featらしい気もします。Lowell Georgeヴォーカル&スライドが印象的です。
「Trouble」
ルーツ色が色濃いアコースティック・チューン。シンプルな演奏だけにLowell Georgeのソングライティング能力を堪能できるのでは?
「Tripe Face Boogie」
タイトルの通りブギー調のロックン・ロール・チューン。Bill Payneのご機嫌なピアノとLowell Georgeのスライド・プレイが楽しめます。Bill Payne/Richard Hayward作品。
「Willin'」
僕が本作に興味を持つきっかけとなったグループを代表する名曲。トラック・ドライバーの日常を歌ったものであり、ドラッグを連想させる内容となっています。Ry Cooderをゲストに迎えたバージョンが1stアルバム『Little Feat』に収録されており、その再演バージョンとなります。ここではゲストのSneaky Pete Kleinowのペダル・スティールとBill Payneのピアノが叙情ムードを盛り上げてくれます。
Lowell GeorgeがThe Mothers Of Inventionに在籍していた頃、Frank Zappaにこの曲を聴かせたところ、その曲作りの才能を見抜いたZappaがLowellに自身のグループ結成を勧めたという話は有名ですね。
前述のLinda Ronstadtのカヴァー以外にByrdsもライヴ・レパートリーにしていました。
「Sailin' Shoes」
Debbie Lindseyによる女声コーラスがいいカンジに絡んでくるカントリー・ブルース。味わい深いアコースティック・サウンドがサイコーに決まっています!
Van Dyke Parks『Discover America』(1972年)がカヴァーしていますね。その後Van Dyke ParksがLittle FeatのメンバーにAllen Toussaintを紹介したことを考えると、非常に重要なナンバーといえるかもしれませんね。
「Teenage Nervous Breakdown」
スピード感溢れるロックン・ロール・ナンバー。勢いで一発!ってカンジが良いのでは?
「Got No Shadow」
Bill Payne作品。個人的な嗜好で言えば、ソウル・テイストのこの曲が一番好きかもしれません。ここでもLowell Georgeのスライドは聴きものです。
「Cat Fever」
この曲もBill Payne作品であり、ここでは彼自身がリード・ヴォーカルをとっています。懐かしさ一杯のブルース・チューンに仕上がっています。思わずウィスキーが飲みたくなる1曲ですな。
「Texas Rose Cafe」
Lowell Georgeらしさが曲作り&ヴォーカルの両面に出ていますね。イナたさたっぷりの前半から一転する中盤以降のインプロ的な展開はなかなかスリリングです。
本作を最後にRoy EstradaがCaptain Beefheartへ参加するためにグループを脱退します。その後Lowell Georgeが、元Lovin' SpoonfulのJohn Sebastian、Everly BrothersのPhil Everlyと新グループ結成なんて噂もあったみたいですね。
結局、Kenny Gradney(b)、Sam Clayton(per)、Paul Barrere(g)という新メンバー3人が加わり、6人編成となって次作『Dixie Chicken』のレコーディングに臨むこととなりました。
ありがとうございます。
>“Willin'”は、Gene Parsonsのカバーも秀逸。
未聴ですが、byrdsヴァージョンもGene Parsonsのリード・ヴォーカル
だったので、より錬られたヴァージョンが聴けるのでしょうね。