発表年:1967年
ez的ジャンル:ボサノヴァ系究極のイージー・リスニング
気分は... :まったりいこか!
とある書物に、ボサノヴァとジャズ・ボッサは違うと断言されていた。50年代後半にブラジルで生まれた新しいスタイルの音楽がボサノヴァであり、それを取り入れたジャズ・ミュージシャンの演奏がジャズ・ボッサということらしい。
ボサノヴァ・ファンならばご存知の通り、Antonio Carlos Jobimはボサノヴァの創始者と言われる作曲家、詩人である。彼の作品で一番有名なのはやはり「The Girl From Ipanema(イパネマの娘)」だよね。1964年に「イパネマの娘」がアメリカで大ヒットしたことで、ボサノヴァという音楽が世界中に知れわたることになった。
でも、この曲が収録されたアルバム『Getz/Gilberto』 は、先のボサノヴァとジャズ・ボッサの話で言えば、Stan GetzというJazzミュージシャンが絡んだ“ジャズ・ボッサ”のアルバムということになる。僕的には、Getz以外はJoao Gilberto、Antonio Carlos Jobim、Milton Bananaなどボサノヴァ創生メンバーで固められたこのアルバムを、ボサノヴァのアルバムにGetzがサックスでゲスト参加ているという感覚で聴いているんだけど。
またBossa Novaの“Bossa”とは“都会的で粋なセンス”みたいな意味を持つらしい。それがNova(新しい)なんだから、Bossa Novaとは元々ブラジルの都会人のための洒落た新しい音楽みたいなカンジだったんだろうね。
前置きが大分長くなったけど、1967年に発売されたAntonio Carlos Jobim『Wave』は、ボサノヴァ入門の定番アイテムのように紹介されることが多い。きっとボサノヴァの名曲が多数収録されていることと、Antonio Carlos Jobimというボサノヴァ創始者のアルバムだからだと思う。でも、個人的にはこのアルバムをボサノヴァ入門アイテムとして紹介するのは少し違う気がするなぁ。
皆さんに紹介するくらいなので、当然このアルバムは大のお気に入りでデス。でも、正直このアルバムの魅力は、Jobim以上にアレンジとオーケストラを指揮するClaus Ogermanのつくり出す究極のイージーリスニングとも言うべきサウンドにあると思う。Jobimという究極のボサノヴァ素材を、Claus Ogermanという調理人が、素材の魅力を殺さずに見事に調理した逸品というカンジかな。ちなみに歌ものは1曲のみで、残りはインスト曲デス。
いつもならオススメ曲の紹介なんだけど、このアルバムは曲名なんか気にせずバックに流しながら、まったりと過ごすのに向いているので、あえてオススメ曲のような紹介はしません。有名曲ということで言えば、「Wave」や「Triste」あたりが有名です。
アルバムジャケットをボーッと眺めながら、都会の喧騒を忘れ大自然に思いをめぐらしていると、究極のリラクゼーションのような心地よい音楽で、知らぬ間にウトウトなんてパターンが僕流の『Wave』の聴き方デス。
最後に、幻想的なグリーンの空をバックにしたキリンの姿がとても印象的なジャケットについてなんだけど、このジャケットには今回掲載しているグリーンの空の緑版とレッドの空の赤版の2種類があるんだよね。僕が持っているCDは緑版だったので、ずっとこれがオリジナルだと思っていたんだけど、どうやら赤版の方がオリジナルらしいです。僕はこの緑版の方がサウンドともマッチして断然好きだけどねぇ。
Bossa Novaについては、僕がもっとBossa Novaらしいと思うアルバムを近々に紹介しますので。
ありがとうございます。
1994年にJobimが永眠した時、ブラジルでは3日間の喪に服したというエピソードからも、彼の存在の大きさがわかりますよね。僕の場合、Jobim自身の作品以上に、他のブラジル人アーティストの作品を通じて、作詞家・作曲家としての彼の偉大さを実感しました。
オガーマンの協力がやはり大きいですね!
ありがとうございます。
やはりオリジナルは赤版なんですね。
アルバムとしては楽しめますが、Antonio Carlos Jobim作品としてはどうなんでしょう