2008年03月22日

The Beatles『Revolver』

ロックの先導者の風格が漂ってきたアーティスティックな1枚☆The Beatles『Revolver』
リボルバー
発表年:1966年
ez的ジャンル:中期Beatles
気分は... :いよいよ春ですな...

約半年ぶりのBeatlesです。

これまでBeatlesの作品は以下の5枚を紹介してきました。
 『Rubber Soul』(1965年)
 『Abbey Road』(1969年)
 『Beatles For Sale』(1964年)
 『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』(1967年)
 『A Hard Day's Night』(1964年)

今回は1966年発表の『Revolver』です。

以前にも書きましたが、Beatles作品の中で『Rubber Soul』(1965年)、『Revolver』(1966年)という中期Beatlesの2枚のアルバムが一番好きですね。

この2枚があったからこそ、Beatlesは(アイドル・グループではなく)ロック史の最重要グループとして語られるようになったと思います。

脱アイドル化し、ロックの先導者として、新たなアプローチを次々と試みていたのが中期Beatlesですが、やりたいことに溢れて、アイデアが尽きることはないって感じがいいですね。

ドラッグ、サイケの影響が強いJohn、ロックの枠を飛び越えクラシック、ボードビルなどを取り入れたPaul、インド趣味が前面に出てきたGeorge、ほのぼのRingo(意味不明ですな)といった具合いに、音楽面でのメンバー間の個性がかなり浮き彫りになり、それらを楽しむことができるのも中期Beatlesの魅力だと思います。

明らかにそれまでのBeatles作品と異なるアートな香り漂う印象的なアルバム・ジャケは、Beatlesファンにはお馴染みのべーシストKlaus Voormannによるデザインです。Beatlesのメンバーとはドイツ巡業時代からの知り合いだったようですね。

全曲紹介しときやす。

「Taxman」
やっとGeorgeの作品がアルバムのオープニングを飾るようになりましたね。税金に対するメンバーの不満を歌にしたもの。確かに儲けていたとは言え、当時のイギリスの課税率は尋常ではありませんな。インド・テイストのPaulのギター・ソロも聴き逃せません。

「Eleanor Rigby」
アルバムからのシングル曲(「Yellow Submarine」との両A面)。ロックとはかけ離れたバロック調のこの曲を小学生の頃に聴き、子供ながらにBeatlesの偉大さを感じていた記憶があります。身寄りのない老女Eleanor Rigbyと誰にも相手にされない神父Father McKenzieの悲しい物語は、Cirque Du Soleilの公演『Love』でもお馴染みですよね。

Ray Charles、Aretha FranklinWes Montgomery、The Nite Liters 等多くのアーティストがカヴァーしています。

「I'm Only Sleeping」
本作のJohn作品の中ではこの曲が一番好きですね。テープの逆回転によるサイケ・モードが何ともいいですねぇ。レイジーな雰囲気がJohnのシニカルさと実にマッチしていると思います。Backstreet Boysがカヴァーしています。

「Love You To」
Georgeのインド趣味丸出しの1曲。学生の頃はこのインド趣味が好きになれませんでしたが、今ではインド風楽曲全てが好きですね。シタールとタブラの響きが脳内を活性化してくれます。

「Here, There and Everywhere」
「In My Life」『Rubber Soul』収録)と並ぶBeatlesマイ・フェイバリット・ソング。

ミラクルなメロディにのって♪より素晴らしい人生を過ごすために、愛する人がここに居て欲しい...♪なんて素敵な歌詞が歌われる...まさにPaulの代表曲ですな。Beatles、ソロ含めてPaulのベスト・ソングだと思います。ちなみにPaulは、Beach Boys「God Only Knows」に触発されて、この曲を書いたのだとか。

Emmylou Harris、Jose Feliciano、The Lettermen、Celine Dion、George Benson、Flying Pickets等がカヴァーしています。

♪何処に居ても彼女にそばに居て欲しい♪
♪一緒に居てくれれば、何も心配することはない♪

「Yellow Submarine」
アルバムからのシングル曲(「Eleanor Rigby」との両A面)。Ringoがリード・ヴォーカルをとるBeatlesらしからぬほのぼのソングは、彼らが主人公のアニメ映画『イエロー・サブマリン』の主題歌にもなりましたね。多くのファンにとって、この曲は好き/嫌いとは無関係に、“Ringo頑張れ〜っ!”という気分の曲なのでは?

「She Said, She Said」
Johnの作品の中では「I'm Only Sleeping」と並ぶお気に入り。Johnが俳優Peter FondaとのLSDによるトリップ体験をモチーフに書いたドラッグ・ソングです。ヴォーカル、ギター、ドラム全てがねじれている感じが好きですね。

「Good Day Sunshine」
Paulお得意のボードビル調の仕上がり。昔はこのタイプの曲が好きだったのですが、最近は少し苦手かな?

「And Your Bird Can Sing」
昔ながらのBeatlesらしいロック・チューン。何だかんだいって、こういったわかやすい曲Jを聴くと安心しますね。JohnとGeorgeのツイン・リード・ギターがいいですね。

「For No One」
Alan Civilのフレンチ・ホルンをフィーチャーしたPaul作品。JohnとGeorgeは参加していません。僕の中では、アルバムで一番地味な印象を受けます。

「Doctor Robert」
Johnの作品ですが、一部Paulが作っています。この曲もドラッグ・ソングですね。

「I Want to Tell You」
George作品。この曲もインド・テイストですが「Love You To」あたりと比べると抑え気味のため、全然聴きやすいと思います。

「Got to Get You into My Life」
Paul作品。ブラスを大幅に取り入れているのが印象です。Earth, Wind & Fireのカヴァーもお馴染みですね。昔はそれほど好きな曲ではありませんでしたが、今ではMotownの影響がちらつくあたりがかなり好きです。

「Tomorrow Never Knows」
Johnによるサイケ・チューン。逆回転録音、サウンド・エフェクト、タブラの響き...ある意味アルバムで最もセンセーショナルな仕上がりなのでは?Johnがチベット僧侶のお経の大合唱をイメージして作られたらしいですが、確かにそんな雰囲気に溢れていますね。混迷が続く現在のチベット情勢を考えながら、歌詞を眺めていると複雑な思いになりますね。Phil Collins等多くのアーティストがカヴァーしています。また、The Chemical Brothersの大ヒット曲「Setting Sun」でサンプリングされていました。

本作と同時期に録音されたシングル曲「Paperback Writer」、「Rain」もお見逃しなく。
posted by ez at 12:27| Comment(2) | TrackBack(1) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは!
また名作登場ですね。
私も本作では「Here, There and Everywhere」が大好きです。あと「Tomorrow Never Knows」なんかもいいですね。
コレと「Rubber Soul」があれば十分、大袈裟に言えばそういいきれます。この音楽性の幅の広さと探究心がよく現れた作品ですよね。

Posted by 240 at 2008年03月22日 23:30
☆240さん

ありがとうございます。

「Here, There and Everywhere」と「Tomorrow Never Knows」という全く異なるタイプの名曲2曲が同居しているところが、このアルバムの魅力ですよね。

「Here, There and Everywhere」を聴くと、洋楽を聴き始めた頃のピュアな気持ちに戻れる気がします。当時の僕は240さんと同じくBeatles全曲インプットに挑んでいました。みんな同じ事をやっているんですね(笑)
Posted by ez at 2008年03月23日 00:44
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Beatles 「Revolver」 (1966)
Excerpt: ビートルズ流サイケデリックな一枚! 中学生の頃はレコードもそれほど買えなかったので、ラジオ等を利用して、ビートルズを全曲聴くことに挑戦していました。確か中3の頃には全曲、曲名も言い当てられるよう..
Weblog: 音楽の杜
Tracked: 2008-03-22 23:25