発表年:1997年
ez的ジャンル:Native Tongues系Hip-Hop
気分は... :JBeez大好き!
De La Soul、A Tribe Called Questと並ぶNative Tongues一派を代表するHip-HopグループJungle Brothersの2回目の登場です。
前回は名盤の誉れ高い2ndアルバム『Done By The Forces Of Nature』(1989年)でしたが、今回は4thアルバム『Raw Deluxe』(1997年)です。
1stアルバム『Straight out the Jungle』(1988年)、2ndアルバム『Done By The Forces Of Nature』(1989年)の2枚でHip-Hopシーンに大きなインパクトを与えたJungle Brothers(以下JBeez)でしたが、3rdアルバム『J Beez Wit the Remedy』(1993年)が商業面で成功を収めることができず、レコード会社の移籍を余儀なくされます。
そして、4thアルバムとなる本作『Raw Deluxe』(1997年)ではメロウ&スムースな路線に方向転換します。さらに5thアルバムとなる『V.I.P.』(1999年)ではPropellerheadsのAlex Giffordをプロデューサーに迎え、Hip-Hopの枠を超えたビッグ・ビート/ドラムンベース寄りのサウンドを取り入れますが、JBeezファンの間でも賛否両論を巻き起こしました。
というあたりが、1st〜5thアルバムまでの簡単な流れです。特に、『J Beez Wit the Remedy』、『Raw Deluxe』、『V.I.P.』までの3枚は、一作ごとにかなり表情が異なるため、戸惑うかもしれませんね。
僕の場合、根底にNative Tongues大好き!JBeez大好き!という想いがあったので、当時もそれ程違和感なく新作を好意的に聴いていた記憶があります。
今回改めてこの3枚を聴き直してみましたが、どれもいい作品だなぁ!と改めてJBeezの素晴らしさを実感していました。個人的には『V.I.P.』が好き/嫌いが分かれるのは理解できますが、『J Beez Wit the Remedy』の評価があまりに低いことはどうも納得できないですね。
さて、本作『Raw Deluxe』ですが、3枚の中では一番好意的に受け入れられている作品だと思います。それまでの3枚と比較すると、かなりメロウ&スムースなテイストで聴きやすさがアップしているのは確かだと思います。また、The Roots、Djinji Brown、Knobody、Roc Raidaといった外部プロデューサーを迎えて、アルバムにアクセントをつけようと試みています。
最初に聴くJBeezのアルバムだとは思いませんが、ぜひ聴いて欲しい1枚です。
オススメ曲を紹介しときやす。
「Jungle Brother」
オープニングは少し神秘的でまったりとしたトラックが印象的ですね。The O'Jays「Family Reunion」をサンプリングしています。 アルバムにはStereo MC'sによるリミックスも収録されています。ホーンセクションを加えたファンキーな仕上がりでコチラもなかなか楽しめます。。
「Changes」
従来のJBeezでは聴けなかったメロウな仕上がりです。JBeezらしいとは思いませんが、メロウ好きの僕としてはかなり気に入っています。
「Toe to Toe」
この曲はJBeezらしい仕上がりですね。少しトボけた感じのノリがいいですねぇ!
「Moving Along」
「Gettin Money」
哀愁トラックが印象的な2曲。「Moving Along」ではJohn Kasandra「We Gotta Go On」をサンプリング、「Gettin Money」ではMic Geronimo「Masta I.C.」をサンプリングしています。
「Where You Wanna Go」
Djinji Brownをプロデューサーに迎え、ジャジー&メロウに仕上げています。フリー・ジャズの分野で有名なトランペッターMarion Brownの息子であるDjinji BrownとJBeezの組み合わせは、お互いHip-Hopの枠から少しはみ出しているあたりが共通していてマッチしていると思います。興味のある方は、Djinji Brownのソロ・アルバムも『Sirround Sound』(2002年)どうぞ!
「Brain」
本作のハイライトは、シングル・カットもされたThe Rootsプロデュースの本曲でしょうね。 エレピの音色がひたすら気持ち良いメロウなトラックがたまりませんねぇ。JBeezの個性とRootsの個性がうまく融合しているクラシックだと思います。
「Handle My Business」
哀愁&浮遊感の漂うトラックと彼らしいフロウがマッチしていると思います。
「How Ya Want It We Got It(Native Tongues Remix)」
「Brain」と並ぶハイライト曲。De La SoulとQ-Tipがフィーチャーされ、久々のNative Tongues集合に歓喜した人も多いのでは?Knobody、Roc Raidaをプロデューサーに迎えています。
「Bring It On」
JBeez好きの人はこの曲を聴くとホッとしませんか?昔ながらのJBeezって感じが好きですねぇ!
なお、本作を最後にSammy Bがグループを脱退し、以降はAfrika Baby Bam、Mike Gの2人となります。