発表年:1968年
ez的ジャンル:実験音楽系サウンドトラック
気分は... :ジ〜ラ〜!コーネリア〜ス!
今回は久々にサントラの紹介です。
紹介するのは『Planet of the Apes』(1968年)
サントラの紹介は『Mission:Impossible』以来です。
去る4月5日、ハリウッド黄金期に活躍した大物俳優Charlton Hestonが亡くなりました。
アカデミー主演男優賞を獲得した『ベン・ハー(Ben-Hur)』(1959年)をはじめ、数々の名作に出演したHestonですが、僕に最も鮮烈な印象を与えたのは『猿の惑星(Planet of the Apes)』(1968年)における宇宙飛行士テイラー役でした。
『猿の惑星(Planet of the Apes)』は、フランス人小説家Pierre Boulleの原作を映画化したものであり、Franklin J. Schaffnerが監督を務め、Charlton Hestonが主演しました。
宇宙での任務から地球へ帰還していた宇宙飛行士のテイラー達は、ある惑星に不時着する。しかし、そこは猿が言葉を話し、人間は言葉を話すことがきず、猿が人間を支配するという“猿の惑星”であった。人間狩りで捕らわれの身となってしまったテイラー達も、猿から不当な扱いを受ける。そして、言葉を話す人間の存在を恐れたオランウータンのザイアス博士らは、テイラーに脳葉切除と去勢手術を施そうと企てる。コーネリアスとジーラというチンパンジー夫妻の助けで、危機から逃れたテイラーだったが、その道中で無残にも崩れた自由の女神の残骸を発見する。テイラー達が到着したのは核戦争で人類が滅亡し、猿が支配するようになっていた未来の地球だったのだ。愚かな人間の行為にテイラーは泣き崩れるだけであった。
多くの方がご存知の通り、映画の大まかなストーリーはこんな感じです。
多分、この映画を(TVで)初めて観たのは小学校の低学年の時だったと思いますが、ラストの自由の女神の残骸を観た時のショックは今でも忘れません。その後この作品を100回以上観ていると思いますが、何度観ても飽きない作品です。
本作の大ヒットを受けて、以下の4作品が続編として制作されました。
『続・猿の惑星(Beneath the Planet of the Apes)』(1970年)
『新・猿の惑星(Beneath the Planet of the Apes)』(1971年)
『猿の惑星・征服(Beneath the Planet of the Apes)』(1972年)
『最後の猿の惑星(Beneath the Planet of the Apes)』(1973年)
正直、続編は映画としては駄作ばかりですが、それでも第1作のインパクトの大きさから、それぞれ何十回レベルでは観ていると思います。
2001年にTim Burton監督、Mark Wahlberg主演でリ・イマジネーション版『猿の惑星(Planet of the Apes)』が制作されましたが、正直物足りなさを感じました。オリジナルを観た方の多くは、そんな感想をお持ちなのでは?ちなみにCharlton Hestonはこちらの作品にもカメオ出演しています。
『猿の惑星(Planet of the Apes)』が名作として多くの人の心をとらえているのは、SF映画としての面白さは勿論のこと、非現実の世界を舞台にして、キリスト教的世界観、人種差別、植民地支配といったタブー視されていた政治的・宗教的問題を見事に描いた作品であったためだと思います。
原作者Pierre Boulleは、第二次世界大戦中に東南アジアで日本軍の捕虜となり、そこで奴隷のような扱いを受けた経験から原作を書いたと言われています。つまり、猿の惑星におけるサルとは日本人(イエローモンキー)のことであり、それを考えると複雑な思いもあるのですが...
さて、この映画の不気味で不穏な世界観に大きく貢献しているのがJerry Goldsmithによるサウンドトラックです。
Jerry Goldsmith(1929-2004年)と言えば、アカデミー賞に17回もノミネートされた映画音楽の巨匠ですよね(ただし、受賞したのは『The Omen』の1回のみ)。『猿の惑星(Planet of the Apes)』もアカデミー賞にもノミネートされました。
打楽器と金管楽器中心で構成されている、メロディを排した実験的なスコアはいつ聴いてもゾクゾクしますねぇ。
料理用ステンレス・ボウルを並べてスプーンで叩いたとか、ホルンのマウスピースを外して音を出したなんて逸話も残っています。そんな話と出来上がった作品を聴くと、かつてPink Floydが楽器を一切使用しないアルバムの制作を試みたのもわかる気がしますね。
今回は曲単位の紹介はあまり意味がないので省略します。
収録曲は以下のとおりです。
「Planet of the Apes (Main Title) 」
「The Revelation」
「The Clothes Snatchers」
「New Identity」
「The Forbidden Zone」
「The Search」
「The Cave」
「A Bid for Freedom」
「A New Mate」
「No Escape」
このサントラを聴いていると、Steely Dan「Rikki Don't Lose That Number」のイントロが聴きたくなるのは僕だけかなぁ???
少しショックですね・・。
それにしてもサントラを聴こうと思うところがスゴイですね。
これは映画音楽というより単なる「音」という印象だなあ。
(あとでDVD観てみようっと)
そう言えば「猿の軍団」って日本のTVシリーズもありましたよね。
内容は全く憶えていませんが。
あと、何で「Rikki〜」(=Horace Silver)のイントロなんだろうと思ったので聴いてみました・・・。
大笑いでした!!
ありがとうございます。
原作者のPierre Boulleは、本作よりも同じく映画化された『戦場にかける橋』の作者としての方が有名だと思います(彼はSF作家ではありません)。その流れで『猿の惑星』も、日本がもし第2次大戦で勝利していたら...という発想から書かれたものだと思います。
> 映画音楽というより単なる「音」という印象だなあ。
確かにそうですね。
たまたま実家に映画音楽大全集の類のレコード集があったので、洋楽を聴き始める以前から映画音楽はよく聴いていたのですが、本サントラのメロディを排した「音」はそれまで聴いていた映画音楽と全く異なるものに聴こえたので、インパクト大だったのかもしれません。
> 「猿の軍団」って日本のTVシリーズもありましたよね。
ありました!ありました!
僕も内容は全く憶えていません(笑)
> 何で「Rikki〜」(=Horace Silver)のイントロなんだろう
打楽器系の現代音楽風の音を聴くと、僕の脳内では本サントラと結び付けたくなるようです(笑)
Pierre Boulle氏ですか。フランス人ですね。「戦場にかける橋」も彼の原作だったんですね。名前さえ知りませんでした・・(恥)。
つまらない話ですが僕は「戦場〜」も好きで以前タイに行ったときクワイ河であの鉄橋を徒歩で渡ってきました。どうということのない観光地でしたが・・(笑)
それなのに何にも知らなかった自分が恥ずかしいです(トホホ..)。
ところでJerry Goldsmithもとても有名だと思うんですが、「パピヨン」くらいしか浮かびませんでした。
やはり上っ面だけかじってるだけじゃダメですね。何事も!
いつも勉強させてもらい有難うございます!
ありがとうございます。
> クワイ河であの鉄橋を徒歩で渡ってきました。
羨ましいですね!
有名なシーンの場所に行くのって感動しますよね。
そう考えると、冬ソナ・ツアーに行く人の気持ちもわかります(笑)
> 「パピヨン」くらいしか浮かびませんでした。
『パピヨン』の音楽もいいですよね。
哀愁のテーマ曲は大好きです。
『パピヨン』も『猿の惑星』と同じ、Franklin J. Schaffner監督ですね。
『パットン大戦車軍団』等も含めて、彼とJerry Goldsmithの相性はいいのかもしれませんね。