発表年:1973年
ez的ジャンル:ギャングスタ系サルサ
気分は... :必殺のサルサ???
サルサ界のスーパースター、トロンボーン奏者Willie Colon3回目の登場です。
Willie Colonに関して、これまでデビュー作『El Malo』(1967年)、Ruben Bladesとのコラボ作『Siembra』(1978年)の2枚を紹介してきました。
今回はWillie Colon絶頂期の1枚『Lo Mato』(1973年)です。
デニュー・アルバムのタイトル通り、El Malo(悪党)イメージで一躍ニューヨリカンのヒーローとなったWillie Colon。彼の初期のアルバム・ジャケは、一貫してギャングスタのイメージでした。映画『The Godfather(ゴッドファーザー)』のイメージとリンクしますよね。
そんなギャングスタ・ジャケ・シリーズの中でも『Lo Mato』は、『Guisando』(1969年)、『Cosa Nuestra』(1971年)と並んで好きなジャケです。
※どれも社会道徳上は好ましくないジャケですね。
Guisando
Cosa Nuestra
邦題『必殺のサルサ』...確かに“このアルバムを買わなければ、奴を殺すぜ!”とColonが善良な市民を銃で脅す姿は“必殺”の状況ですが...
中身の方もギャングスタスタ時代の最高傑作!との呼び声が高い1枚です。
悪ガキ・ティーンによるラテン版ガレージ・ロックのようだった初期に比べると、勢いはそのままに音はかなり洗練されたという印象ですね。お馴染みのパートナー、リード・ヴォーカルのHector Lavoeを従え、進化したルード・サルサを聴かせてくれます。
トロンボーン二本に、ピアノ、ベース、ティンバレス、ボンゴ、コンガというシンプルな編成が、ワイルドな演奏にダイナミズムを与えている気がします。
全盛期のColonの演奏を堪能するには絶好の1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Senora Lola」
Hector Lavoeのヴォーカルもバックの演奏も弾けまくっているオープニングです。とにかく勢いを感じます。特に、トロンボーン二本の絡み具合いがいいですねぇ。
「Todo Tiene Su Final」
進化したColonを聴かせてくれる1曲なのでは?何か余裕さえ感じさせる演奏は、N.Y.サルサを牽引する若きリーダーとしての貫禄十分です。
「La Maria」
「Calle Luna Calle Sol」と並ぶ僕のお気に入り。なかなかロマンティックな味わいもあるダイナミックな演奏がグッドです。
「Junio 73」
この曲はクラシックですね。抜けが良く、かつエキサイティングなサルサ・グルーヴに仕上がっています。ヴォーカルがない分、二本のトロンボーンの応酬が目立ちますね!
「Calle Luna Calle Sol」
この曲もクラシック。個人的にもアルバムで一番のお気に入り曲です。Hector LavoeのスカしたヴォーカルとColonのトロンボーンを中心とした色気のある演奏が一体化して、妖しく危険な雰囲気を醸し出しています。サイコー!
ラティーノHip-HopアーティストManguが本曲のHip-Hopカヴァーをしていました。
「Voso」
小気味よく切れ味鋭い不良サルサが展開されます。
「El Dia de Suerte」
イントロの哀愁トロンボーンがいいですね。サルサの泣きの感じって、どことなく昭和歌謡や演歌に通じるものはありますよねぇ!
「Guajira Ven」
この曲もかなり好きですね。Hector Lavoeのヴォーカルがサイコーにカッチョ良い1曲です。男の色気が漂っていますな。
Hector Lavoeのソロ作も紹介したいですね。まずは『De Ti Depende』(1976年)か『Comedia』(1978年)あたりでしょうか。