発表年:1977年
ez的ジャンル:ソフィスティケイト系サザン・ロック
気分は... :きちんと聴いて好きになろう!
きちんと聴いてもいないのに、好きなアーティストというものが存在しませんか?
僕にとってのAtlanta Rhythm Sectionは、そんなグループかもしれません。
Atlanta Rhythm Section(ARS)は1970〜80年代初めにかけて活躍したサザン・ロック・グループです。
学生時代の友人が好きで、"Atlanta Rhythm Sectionいいよ!"と頻繁に聞かされ、実際に音を聴いたのはカセットに録音してもらった数曲だけで、「Atlanta Rhythm Section=好きなグループ」という信号が僕の脳内にインプットされてしまったようです。
それから20年以上が経過していますが、ARSのアルバムは数枚持っている程度であり、きちんと聴いたという状況ではありません。でも、未だに「Atlanta Rhythm Section=好きなグループ」という脳内インプットは消えていません。
今日はそんな数少ない僕のARSコレクションの中から、『A Rock And Roll Alternative』(1977年)をセレクトしました。
Atlanta Rhythm Sectionは、1960年代に活躍していた2つの南部出身のグループThe Classics IV、The Candymenの元メンバー達が1970年に結成したグループです。メンバーは、Barry Bailey(g)、J.R. Cobb(g)、Paul Goddard(b)、Dean Daughtry(key)、Robert Nix(ds)、Ronnie Hammond(vo)の6人。さらに、プロデュース&ソングライティングを手掛けていたBuddy Buieは、Classics IVやCandymen時代からメンバーとは旧知の仲であり、第7のメンバーと呼んでいい存在だったのかもしれませんね。
1972年にデビュー・アルバム『Atlanta Rhythm Section』をリリースする傍ら、地元に自分達のスタジオStudio Oneを開き、様々なレコーディング・セッションをこなしていました。そう言えば、本ブログで紹介したAl Kooperの名曲「Jolie」(1972年)のバックもARSですね。
そんな彼らのアルバムの中で、初めてゴールド・ディスクに輝いたのが6thアルバムとなる本作『A Rock And Roll Alternative』(1977年)です。
本作からは全米ポップ・チャート第7位となったシングル「So into You」が収録されており、このAORテイストのヒット・シングルがアルバムのヒットにも大きく貢献したと思われます。
ARSと言えば、大きく分けるとサザン・ロックに区分されるグループだとは思いますが、「So into You」や次作『Champagne Jam』収録のヒット曲「Imaginary lover」に代表されるソフィスティケイトされた楽曲は、AORファンからも人気が高かったのではと思います。
その意味で、本作『A Rock And Roll Alternative』はサザン・ロック・グループとしてのARSの魅力に加え、ソフィスティケイトされたロック・グループとしてのARSの魅力も堪能できるアルバムだと思います。
本作がリリースされた1977年の状況を振り返ると、The Allman Brothers Bandは分裂状態にあり、Lynyrd Skynyrdは10月の飛行機墜落事故により活動停止に追い込まれてしまいます。このようにサザン・ロックの両雄が迷走していく中で、ARSがAOR的アプローチのヒット曲により人気を博していったというのは、非常に興味深いですね。
全曲紹介しときヤス。
「Sky High」
前述の僕が知人からもらったテープに入っていた1曲であり、僕の中ではARSのテーマ曲といった位置づけですね(僕が持っていたのはライブ・アルバム『Are You Ready!』のヴァージョンですが)。まさにスカイ・ハイになりそうなサザン・ロック・チューンです。サザン・ロックならではのダイナミック感がある一方で、意外に音は洗練されています。Barry Baileyのギター・リフもカッチョ良いですね。
「Hitch-Hikers' Hero」
アコースティックな味わいが魅力のナンバー。サザン・ロックなのにそれ程土臭くなく、都会的な印象を受けるのがこのグループの魅力ですね。
「Don't Miss the Message」
サザン・ロックらしいファンキー・チューン。Lynyrd Skynyrdあたりが演奏すると、もっとラフ&ワイルドになる気がしますが、程好く抑制が効いているあたりがARSらしいのでは?
「Georgia Rhythm」
このアコースティック・チューンはメロディがサイコーですね。Buddy Buie/J.R. Cobb/Robert Nixという優れたソングライター3人の共作です。
「So into You」
前述のヒット・シングルです。大甘にならないビター・スウィートな大人のメロウ・ロックといった感じがサイコーですね。
「Outside Woman Blues」
Creamのカヴァーでお馴染みのブルース・スタンダード(Blind Joe Reynolds作品)。Creamのカヴァー(アルバム『Disraeli Gears』収録)は本ブログでも紹介しましたね。ARSのヴァージョンは、サザン・ロックならではの仕上がりです。Barry Baileyのギターを堪能しましょう!
「Everybody Gotta Go」
ソウルフルでファンキーな大人のロック・チューン。土臭さを残しつつも、ソフィスティケイトされた演奏を聴かせてくれるあたりがグッドです。
「Neon Nites」
深夜のバーでウィスキー片手に飲みたくなる1曲。僕の苦手なカントリー風味ですが、イモ臭くなる一歩手前で止まってくれているのが嬉しいですね。
ARSについては、70年代後半から80年代初めの作品を中心に、きちんとフォローしたいですね。
ATLANTA RYHTM SECTIONといえば僕はアルバム「Quinella」の“Alien”だなぁ。
ありがとうございます。
「Alien」もメロウ路線のいい曲ですね。
『The Boys from Doraville』、『Quinella』といった80年代に入ってからのアルバムをきちんと聴きたいですね。
本アルバムから「Are You Ready!」までの4枚のみよく聴いてましたよ。(後追いでClassics IVも好きになりました)
そして「Jolie」のバックが彼らとはまたもや知りませんでした!!
いや〜勉強になります。 ビックリでした。
「Imaginary lover」で思い出したんですが、当時『LPを45回転でかけるとボーカルがStevie Nicksになる』ってのが流行りましたね・・(ローカルネタかも)。
ありがとうございます。
> 本アルバムから「Are You Ready!」までの4枚のみよく聴いてましたよ。
さすがkazさん!ARSって、日本では認知度高くないですよねぇ。
僕も本作以降の作品をフルラインでコレクションしたいですっ!
> 『LPを45回転でかけるとボーカルがStevie Nicksになる』
その話聞いたことがあります!
実際に聴いたことはありませんが...
プリンに醤油をかけるとウニの味がするパターンでしょうか???
全然違いますねぇ〜(笑)
>きちんと聴いてもいないのに、好きなアーティストというものが存在しませんか?
このお題でボ〜っと考えたところ、ヒットしたのが僕の場合Starbuckでした。
むかしFEN(現AFN)でやたらとかかっていた「Moonlight Feels Light」が耳に残ってて、その後なぜかアルバム購入の機会をはずしたままCDもベスト盤しかないしな〜・・と思いながら何気にAmazon検索したら、先月リリースされてるじゃありませんか!!
紙ジャケは好きじゃないけど早速購入します!
いや〜、ezさんのおかげですよ。
だって恐らく気付いたころには廃盤になってるはずですから(笑)。
改めて御礼申し上げます!
ありがとうございます。
こんなことでお礼を言われるなんて恐縮してしまいます。
> 「Moonlight Feels Light」が耳に残ってて
恥ずかしながら、Starbuckは未聴でした。
今回、初めて「Moonlight Feels Right」を試聴しましたが、
ライト・メロウな感じがいいですね。
機会があれば、じっくり聴いてみます。
こちらこそ勉強になりました。御礼申し上げます。