発表年:1999年
ez的ジャンル:フォーキー系ポスト・ロック
気分は... :ウサギちゃん危機一髪?
昨晩はTVダウン状態だったので、都内某所で夜遊びモード☆
ある意味、GWの週末は店もガラガラでやりたい放題!いいですな。
さて、今回はシカゴ音響派好きにはお馴染みのミュージシャンJim O'Rourkeのソロ・アルバム『Eureka』(1999年)の紹介です。
(才能の開花という意味で)90年代後半に最も輝いていたミュージシャンの1人がJim O'Rourkeではないかと思います。
Jim O'Rourkeは1969年シカゴ生まれのミュージシャン。ギター・インプロヴァイゼーション、ノイズ・エクスペリメンタル、ポスト・ロックなど90年代以降多岐に渡って活躍を続けるミュージシャンです。シカゴ音響派の中心人物という印象が強いかもしれませんね。Gastr Del SolやSonic Youthのメンバーとしても活躍していました。
2006年に東京中野へ移転するほど親日派であり、くるり『図鑑』のプロデュースをはじめ、日本人ミュージシャンとの交流も多い人ですね。新しいところでは、若松孝二監督による今年公開の映画『実録・連合赤軍』の音楽を担当しています。
これまで本ブログでもJim O'rourkeの名は度々登場してきましたね。
●Stereolab『Cobra and Phases Group Play Voltage in the Milky Night』
(Jim O'rourkeプロデュース)
●Sam Prekop『Sam Prekop』
(Jim O'rourkeプロデュース)
●Gastr Del Sol『Camoufleur』
(Jim O'rourkeがメンバーとして参加)
ただし、僕が紹介してきたJim O'rourke関連作品は、全てポップで聴きやすいポスト・ロックという流れかもしれませんね。彼には、ギター・インプロヴァイゼーション、ノイズ・エクスペリメンタルといった側面もありますが、正直その方面に関してはよくわかりません。
今日紹介する『Eureka』も、実に穏やかな作品であり、フォーキー系ポスト・ロックといった趣きの聴きやすいアルバムです。
まずはジャケのインパクトが大ですね。
この何とも形容し難いイラストは日本人イラストレーターの友沢ミミヨさんによるものです。『Insignificance』(2001年)のジャケも手掛けていますね。
Insignificance
アルバム・タイトルの"Eureka"とは、「見つけた」という意味の古代ギリシア語であり、アルキメデスが「アルキメデスの原理」を発見した時に叫んだ言葉らしいです。ちなみに、青山真治監督、役所広司、宮崎あおい主演の映画『EUREKA』(2000年)のタイトルは本アルバムからの影響です(実際にタイトル曲が使われていました)。
様々な音楽遍歴を重ねてきたJim O'rourkeの1つのピークに達した作品が本作『Eureka』という気がします。
アーティスティックだけど穏やかな本アルバムを聴きながら、のんびり過ごすのも悪くはないっすよ。
全曲紹介しときやす。
「Prelude to 110 or 220/Women of the World」
フォーキーなJimのギター&ヴォーカルのフレーズを繰り返しながら、電子音、ストリングス、女性ヴォーカル、ピアノ等が加わり、豊かな表情を見せながらジワジワと心に迫ってくる感じがいいですね。
「Ghost Ship in a Storm」
一聴すると、どうってことない曲なのですが、寂しげなヴォーカル&演奏が大好きです。薄味の仕上がりがポイントですな。
「Movie on the Way Down」
前半は現在音楽風のアンビエントな展開、後半はリリシズム溢れる哀愁ヴォーカルものというコントラストが面白いですね。
「Through the Night Softly」
密かなお気に入り。クラリネットが穏やかに響くイントロ、虚しく響くスティール・ドラム、感傷的になるサックス・ソロ...何故だかわからないけど僕の胸にグッときます。この曲を聴くと必ず、Pink Floyd「The Great Gig In The Sky(虚空のスキャット)」を思い出します。本曲は狂気に充ちていませんが。
「Please Patronize Are Sponsers」
前半はSea and CakeやSam Prekop好きが喜びそうな展開、後半はピアノとストリングス&ホーンによる美しい展開です。
「Something Big」
Burt Bacharach/Hal David作品のカヴァー。JimがVan Dyke Parks、Jack Nitzsche、Brian Wilson、Burt Bacharach、Paul McCartney等のファンであることを考えると、案外自然な選曲だったのかもしれませんね。
それにしても、Jim O'rourkeが、こんなにオシャレなボッサ・チューンを演奏するなんて...大好きですが。
「Eureka」
ポピュラー音楽の新たな可能性を"見つけた(Eureka)"Jim O'rourkeという才能ならではの1曲では?知らず知らずのうちに、アーティスティックな感性と壮大なスケール感に引き込まれます。
「Happy Holidays」
「Eureka」の余韻を楽しむかのような2分弱の小曲。
国内盤には「Little Island Walking」というボーナス・トラックが収録されています。個人的には大好きな、叙情感が魅力のアコギのインストです。
今回久々に聴いて、Jimのフェイバリット・アーティストの一人であるVan Dyke Parksからの影響が大きい作品であると再認識しました。
本作が気に入った方は、"フロッギー"のジャケがカワイイ4曲入りEP『Halfway to a Threeway』(1999年)もセットでどうぞ!僕の中で、『Eureka』は"ウサギちゃん"、『Halfway to a Threeway』は"カエル君"という愛称を勝手につけています(笑)
Halfway to a Threeway
どうしたんだい、カエル君!