2008年05月11日

Ike & Tina Turner『River Deep Mountain High』

Phil SpectorとTina Turnerのコラボ☆Ike & Tina Turner『River Deep Mountain High』
River Deep - Mountain High
発表年:1966年
ez的ジャンル:ウォール・オブ・サウンド+ダイナマイトR&Bヴォーカル
気分は... :胃もたれ気味...

昨晩は焼肉を食べ過ぎて少し胃もたれ気味(泣)

直前までフル回転で仕事をしており、そのメンバーでハイテンションのまま調子にのって飲み食いしてしまいましたが、そのツケが回ってきました。少しは歳を考えないといけませんな。

今日紹介するアルバムは焼肉に負けないくらいガッツリくるアルバムIke & Tina Turner『River Deep Mountain High』(1966年)です。

Ike & Tina Turnerは、1959年に結成され、1976年に解散した夫婦デュオ。

1950年代から音楽業界で活躍していたIke Turnerの元にやって来たのがTina Turner(本名:Anna Mae Bullock)でした。1960年に結婚した二人はIke & Tina Turnerとしての活動を開始します。

デビュー・ヒット「A Fool in Love」(R&Bチャート第2位)をはじめ、R&Bチャートでヒットを飛ばし、Tinaのダイナマイト・ヴォーカル&激しいステージ・パフォーマンスは高い評価を受けました。1960年代後半からは白人リスナーも意識したアプローチを展開し、「River Deep, Mountain High」(1966年UKシングル・チャート第3位)やCCRのカヴァー「Proud Mary」(1971年全米ポップ・チャート第4位)といったヒット曲を生んでいます。

グループは1976年に解散。Ikeの麻薬問題や家庭内暴力にTinaは悩まされていたようですね。二人は1978年に正式に離婚。しかもIke & Tina Turner時代の権利は全てIkeが保有するというTinaにはあまりに辛い結末でした。

Ike & Tina Turner時代の曲を全く歌えないという不遇時代を過ごしたTinaですが、Rolling Stonesのメンバーはじめ彼女を慕うミュージシャン仲間の励ましもあり、ご存知の通り1984年のアルバム『Private Dancer』で見事カムバックしました。

『Private Dancer』は僕もかなり聴き込みました。特にAl Greenの名曲カヴァー「Let's Stay Together」が大好きでしたね。

一方、離婚騒動ですっかり悪役となったIkeは、その後もドラッグ問題で服役するなどトラブルが絶えませんでした。そして、2007年に76歳で死去しています。

Ike & Tina Turnerの魅力ってレコードではなく、ライブでこそ本領発揮なのでしょうね!日本でも1970年12月に行われた赤坂MUGENでのライブは伝説になっていますしね。

以前にNHKのBSでRolling Stone誌が選んだ『Top 500 Greatest Rock Songs Of All Time』を特集する番組をやっていましたが、その中で第33位に「River Deep, Mountain High」がランクインされており、TVショーでのパフォーマンスの映像が放映されました。Tinaのあまりのカッチョ良さに惚れ惚れしてしまいました。あれに対抗できるのはJames Brownぐらいしか居ない気がします。

その「River Deep, Mountain High」は、"ウォール・オブ・サウンド"のPhil Spectorプロデュース作品です。このコラボはPhil Spector側から"是非Tinaのレコードを作りたい!"との連絡があり、実現したものでした。

それまで歌ってきたノリ重視のR&Bチューンと異なるキャッチーなメロディの楽曲をTinaも気に入り、早速レコーディングが開始されます。レコーディングにはLeon Russell、Hal Blaine、Sonny Bono(Sonny & Cher)、Barney Kessel等総勢15名のミュージシャンが集い、かつてTinaが経験したことがないほどの時間を費やして録音されました。

こうして出来上がった作品はSpectorもTinaも"No.1ヒット間違いナシ!"との自信作でした。そして、1966年5月にこのシングルがリリースされますが、目論みは外れてしまい全米チャートでもR&Bチャートでも惨敗してしまいます。

一方、イギリスでは前述のように大ヒットし、それを気に入ったRolling StonesがIke & Tinaをツアーの前座に抜擢するほどでした。こうしたイギリスでの反響によって、「River Deep, Mountain High」はオールタイム・ベストの第33位ランクインするほどの名曲になりました。

今日紹介する『River Deep Mountain High』(1966年)は、その「River Deep, Mountain High」をフィーチャーしたPhil Spectorプロデュースのアルバムです。

ただし、Phil Spectorが手掛けているのは収録曲の約半分で、残りはかつてのIke & Tina Turnerのレパートリーが収録されています。Phil Spectorが手掛けた作品はTinaとSpectorのコラボであり、そこにIkeの存在はありません。しかし、かつてのヒット曲が収録されることで、かろうじてIke & Tina Turnerのアルバムという体裁を保っているという変則アルバムになっています。
※このあたりの理解はかなり曖昧です。間違っていたらゴメンナサイ。

全体の統一感という観点で考えると訳のわからないアルバムですが、かつてのヒット曲とSpector作品の対比がよくわかるという点では面白いアルバムだと思います。

オススメ曲を紹介しときやす

「River Deep, Mountain High」
前述のとおりの名曲です(Phil Spector/Jeff Barry/Ellie Greenwich作品)。"ウォール・オブ・サウンド"をバックにTinaのダイナマイト・ヴォーカルが炸裂します。女性コーラスも加わったゴージャスなサウンドを相手にしても、それに負けないTinaのヴォーカルのパンチ力には脱帽です。

この曲が名曲であることは、Harry Nilsson 、Deep Purple、Supremes & Four Tops、Animals、Easybeats等カヴァーした面々の顔ぶれを見てもわかると思います。

「I Idolize You」
この曲は1960年にR&Bチャート第5位となったヒット・チューン。「River Deep, Mountain High」と対比すると面白いと思います。

「A Love Like Yours (Don't Come Knocking Everyday)」
Martha Reeves & The Vandellasのカヴァー(Dozier/Holland/Holland)作品。オリジナルは1963年の大ヒット曲「(Love Is Like A) Heat Wave」のB面曲としてリリースされました。必ずしもTinaに合ったカヴァーではないと思いますが、Phil SpectorがD-H-D作品を手掛けたというのが興味深いですね。

UKでは「River Deep, Mountain High」に続くシングルとして、チャート第16位のヒットとなりました。

「A Fool in Love」
前述のようにR&Bチャート第2位となった1960年のデビュー・ヒット。このR&Bノリこそが本来のIke & Tina Turnerなのでしょうね。

「Hold on Baby」
Phil Spector/Jeff Barry/Ellie Greenwich作品。「River Deep, Mountain High」がお好きな方ならば気に入る曲でしょう。ある意味、「River Deep, Mountain High」以上にカッチョ良い曲だと思います。

「I'll Never Need You More Than This」
Phil Spector/Jeff Barry/Ellie Greenwich作品。この曲はいかにもSpectorとTinaのコラボといった感じがする仕上がりですね。女性コーラスとTinaの絡みが印象的ですね。この曲もかなり好きです。

「Save the Last Dance for Me」
ご存知The Driftersの大ヒット曲のカヴァー。好き/嫌いが分かれるかもしれませんね。ちなみに僕はSpectorとTinaのコラボ曲の中では一番僕の好みではありません(笑)

「Such a Fool for You」
Ike Turner作品。こんなことを言うと台無しになるかもしれませんが、このストレートなR&Bノリの作品が一番のお気に入りです。"ウォール・オブ・サウンド"をバックに歌うTinaはあくまで仮の姿で、やっぱりこの雰囲気が一番似合う気がします。

「It's Gonna Work Out Fine」
1961年にR&Bチャート第2位となったヒット曲。TinaとIkeとの掛け合いがなかなか面白いです。

Ike & Tina Turnerのようなアーティストは、アルバム単位で紹介すること自体に無理があるのかもしれませんね。
posted by ez at 08:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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