発表年:1977年
ez的ジャンル:ファンキー&メロウ系ブラジリアン・ポップ
気分は... :70年代セルメンが面白い...
Sergio Mendesの3回目の登場です。
これまではBrasil '66時代の作品、『Herb Alpert Presents Sergio Mendes & Brasil'66』(1966年)、『Look Around』(1968年)を紹介してきましたが、今回はThe New Brasil '77時代の作品『Sergio Mendes & the New Brasil '77』(1977年)です。
今年に入ってwill.i.amとのコラボ第2弾アルバム『Encanto』を発表し、67歳になった現在も健在ぶりを見せてくれたSergio Mendes。
will.i.amとのコラボ第1弾『Timeless』(2006年)はかなり気に入りました。しかし、あの作品はSergio Mendesのアルバムというよりも、Sergio Mendesというマテリアルを使ったwill.i.amのHip-Hop/R&Bアルバムだと認識しています。
それに続く『Encanto』でしたが、『Timeless』に比べるとSergio Mendesが主役に収まった仕上がりですね。
でも、悪くはないけど何か物足りないって感じです。
『Timeless』のような徹底ぶりがない分、中途半端な印象を受けましたね。なので、CDショップで全曲試聴したものの、購入はパスしてしまいました。
僕の場合、国内盤にドリカムの吉田美和が参加していると聞いた時点で、アルバムに対する負のイメージを抱いてしまったのですが(笑)
個人的には現在は70年代のSergio Mendes作品が面白いですね。
少し前まで我が家のセルメン・コレクションに60年代、80年代の作品はあったのですが、70年代の作品は全くありませんでした。そこでちょこちょこと70年代作品をコレクションに加えている最中です。
『Love Music』(1973年)、『Vintage 74』(1974年)、『Sergio Mendes』(1975年)、『Homecooking』(1976年)、『Sergio Mendes & the New Brasil '77』(1977年)、『Brasil '88』(1978年)あたりはぜひ揃えたいですね。
今日はその中から購入済みの作品『Sergio Mendes & the New Brasil '77』(1977年)を紹介します。
Brasil '77からOscar Castro Neves以外のメンバーを一新したNew Brasil '77による作品です。女性ヴォーカルがMarietta Waters、Carol Rogers、Cruz Bacaの3人体制となっています。ちなみにCruz BacaはMichael Sembelloと結婚し、Mrs.Sembelloとなりました。
New Brasil '77のメンバー以外にも、この時期関わりの深かったMichael Sembello(g)をはじめ、Stevie Wonder(key)、Dave Grusin(syn)、Ian Underwood(syn)、Don Freeman(p)、Anthony Jackson(b)、Nathan Watts(b)、Steve Gadd(ds)といった有名ミュージシャンがサポートしています。
何と言ってもStevie Wonderの参加が目立ちますね。
楽曲でも2曲のStevie作品が取り上げられています。
前回の70年代カテゴリーで紹介したRamsey Lewis『Love Notes』にもStevie Wonderが参加していました。共に1977年の作品であるところが興味深いですね。大作『Songs in the Key of Life』(1976年)をリリースした翌年であり、異なるジャンルのミュージシャンと共演しながらStevieは次なる方向を模索していたのかもしれませんね。
全体としては前作『Homecooking』(1976年)から続く、ファンキー路線のAOR/フュージョンという感じですね。セルメン作品ならではのメロウネスも充分に堪能できます。
全曲紹介しときヤス。
「Love Me Tomorrow」
オープニングはBoz Scaggsのカヴァー(オリジナルは『Silk Degrees』収録、David Paich作品)。ファンキー・テイストのミディアム・グルーヴに仕上がっています。
「Love City」
Stevie Wonder作品の1曲目。僕の一番のお気に入り曲です。僕のセルメン作品に対する期待を適えてくれる、ライトなメロウ・グルーヴです。華やかな女性ヴォーカル陣が良いですね。
「Mozambique」
Sergio Mendes/Michael Sembello/Nathan Watts等の共作。本作のファンキー路線を象徴するカッチョ良いインストです。レア・グルーヴがお好きな方にオススメです。
「If You Leave Me Now」
Chicagoの全米ポップ・チャートNo.1ヒットのカヴァー(Peter Cetera作品)。セルメン作品らしいメロウ・チューンに仕上がっています。オリジナルを聴き慣れている方には、なかなか新鮮に聴こえると思います。
「Penninsula」
Sergio Mendes/Oscar Castro Neve作品。地味ながらもなかなか気の利いたスパニッシュ・テイストのインスト。
「Why」
Michael Sembello/Don Freeman作品。明るく楽しげなダンス・チューンです。
「The Real Thing」
Stevie Wonder作品の2曲目は本作のハイライト。クラブ・クラシックとしてお馴染みですね。フリーソウルのコンピやDJ Spinna & Bobbito『Wonder Wrote It』にも収録されています。大人のアーバン・メロウといった仕上がりのライト・グルーヴです。Meta Roos & Nippe Sylwens Bandのカヴァーとセットで聴くのが王道でしょうか。
「P-Ka-Boo」
楽しさが伝わってくるブラジリアン・グルーヴ。お茶目な女性ヴォーカルがいい感じです。
「Life」
最後はセルメンらしいボッサなライト・グルーヴです。
ジャケでメンバー全員がサッカー・ブラジル代表のユニフォームを着ているのは、この年にサッカーの神様ペレのドキュメンタリー映画『Pele』のサントラをSergio Mendesが手掛けた影響です。ちなみに裏ジャケにはペレ本人がドクターの格好をして、メンバーと一緒に写っています。