2021年10月10日

Quickly, Quickly『The Long And Short Of It』

21歳の新鋭トラックメイカー☆Quickly, Quickly『The Long And Short Of It』

録音年:2021年
ez的ジャンル:Z世代系アングラHip-Hop
気分は... :Hip-HopなのにSSW的!

新作から、新鋭トラックメイカーQuickly, Quicklyの3rdアルバム『The Long And Short Of It』です。

Quickly, Quicklyは、オレゴン州ポートランド出身の21歳のトラックメイカーGraham Jonsonによるソロ・プロジェクト。

これまで『Quickly Quickly, Vol. 1』(2017年)、『Paths』(2018年)といったアルバムをリリースしています。

Graham Jonsonはさまざまなジャンルの音楽から影響を受けているようですが、特にStones Throwのカタログを愛聴し、中でもMadlib(特にQuasimoto名義)がお気に入りのようです。

3rdアルバムとなる最新作『The Long And Short Of It』は、エレクトロニカの名門レーベルGhostly Internationalからのリリースとなります。

基本的にGraham Jonsonは、すべてのプロデュース、ソングライティング、アレンジ、ヴォーカルを手掛け、ドラム、キーボード、ギター。エレクトロニクスとほぼすべての演奏を一人で行っていますが、Micah Hummel(ds)、Elliot Cleverdon(strings)、Hailey Niswanger(sax)という同じZ世代のミュージシャンも参加しています。

トラックメイカーでありながら、シンガーソングライター的なセンスを感じるトラックが多いのが本作の特徴だと思います。また、ヴォーカル入りトラックが殆どなので、Hip-Hop好きの人以外でも楽しめる1枚だと思います。

覚醒的エレクトロニカ・サウンドが展開される「Phases」、インディー・ロック×エレクトロニカ×ネオソウルなクロスオーヴァー「Shee」、アンビエント&サイケデリックな「Leave It」、ピアノをベースとした美しい「I Am Close to the River」、SSW的なフォーキーHip-Hop「Everything is Different (To Me)」あたりが僕のオススメです。

秋の季節が似合うHip-Hop作品だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Phases」
詩人Sharrif Simmonsをフィーチャー。さらにMicah Hummel(ds)、Elliot Cleverdon(strings)、Hailey Niswanger(sax)も参加しています。Sharrif Simmonsが即興で書いた宇宙的実存主義をテーマにした詩の朗読×コズミック・ジャズな序盤に続き、ドライブ感のある覚醒的エレクトロニカ・サウンドが展開されます。この格好良すぎるオープニング・トラックを聴けば、Quickly, Quicklyの才能が一発で分かるはず!
https://www.youtube.com/watch?v=slo4B3jcsIE

「Come Visit Me」
甘く切ないラブソング・トラック。寂しげなヴォーカルと哀愁メロウ・サウンドが胸に沁みてきます。
https://www.youtube.com/watch?v=kzJK8r0zJ7o

「Interlude」
タイトルの通り、美しいインタールード。
https://www.youtube.com/watch?v=53AKSlknurU

「Shee」
インディー・ロック×エレクトロニカ×ネオソウルなクロスオーヴァー感覚が魅力のトラック。Grahamのファルセット・ヴォーカルがなかなかいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=MC__q3aU_T0

「Leave It」
前半のリズミックなトラックに途中からアンビエント&サイケデリックなエッセンスが加わります。もの凄いパワーで音世界が広がっていく感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=pfEDt5ypLHc

「I Am Close to the River」
ピアノをベースとした美しいトラック。Elliot Cleverdonによるストリングスも加わり、トラックメイカーというよりシンガー・ソングライター的な1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Ka_CDECcx5s

「Feel」
SSW的なセンスとトラックメイカー的センスを調和させたようなトラックです。何処となくフォーキーな雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=IAmNV-vmKIM

「A Conversation」
ピアノによる美しいインタールード。
https://www.youtube.com/watch?v=EdSfkWr5utA

「Everything is Different (To Me)」
SSW的なフォーキーHip-Hopに仕上がっています。ストリングスも配した終盤の美しいサウンドの広がりにも魅せられます。
https://www.youtube.com/watch?v=z_RFTrb-GyQ

「Wy」
このトラックもSSW的な語り口が印象的です。温かみのあるエレクトロニカ・ワールドが展開されます。
https://www.youtube.com/watch?v=pYjGU2uH970

「Otto's Dance」
ブラジル音楽からも影響を受けているというGrahamの音楽性を伺える、ブラジリアン・フォーキーなインストでアルバムは幕を閉じます。
https://www.youtube.com/watch?v=dIaMxFq54hM
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2021年10月03日

Nao『And Then Life Was Beautiful』

3年ぶりの新作☆Nao『And Then Life Was Beautiful』

発表年:2021年
ez的ジャンル:UKオルタナティヴR&B
気分は... :人生は美しい・・・

今回は新作アルバムからUKオルタナティヴR&Bの女性シンガー・ソングライターNaoの最新作『And Then Life Was Beautiful』です。

ロンドン出身の女性シンガー/ソングライターNAO(本名:Neo Jessica Joshua)の紹介は、1stアルバム『For All We Know』(2016年)、2ndアルバム『Saturn』(2018年)に続き、3回目となります。

3年ぶりの新作となる、3rdアルバム『And Then Life Was Beautiful』

プライベートでの第一子の出産という人生の大きな転機を経て制作されたアルバムです。コロナ禍の影響もあり、Nao本人はこの新作を「人生は完璧じゃないわ― 山あり谷ありだけど、美しいものにもなる」と語っているようです。

その意味で、派手さはないものの、ポジティヴな雰囲気に満ちたアルバムに仕上がっています。

楽曲はすべてNaoらによるオリジナル。

Nao作品ではお馴染みのLoxeGRADESStintをはじめ、George MooreDernst "D'Mile" Emile IISarzJonah StevensScribz RileyAri PensmithMaths x Joがプロデュースしています。

また、Lianne La HavasSerpentwithfeetAdekunle GoldLucky Dayeといったアーティストがフィーチャリングされています。

シングルになったのは「Woman」「Messy Love」「Antidote」「And Then Life Was Beautiful」の4曲。

個人的には、注目のUK男性R&BシンガーSerpentwithfeetをフィーチャーした「Postcards」、キュートなネオソウル「Burn Out」、US R&BシンガーLucky Dayeをフィーチャーした「Good Luck」、リラックスしたバッキングの「Nothing's For Sure」あたりもおススメです。

美しく人生を生きるしなやかさを感じる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「And Then Life Was Beautiful」
Loxeプロデュース。タイトル曲がオープニング。Naoの歌声から天から降臨してくるかのようなビューティフル・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=LM4DUrO358A

「Messy Love」
Dernst "D'Mile" Emile IIプロデュース。シングルにもなった楽曲。Naoらしい独特の歌声が映える1曲。サウンドの輪郭がヴィヴィッドな感じもいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=twK9Xqj39QY

「Glad That You're Gone」
Stintプロデュース。ポジティヴ思考の別れの歌。凛としたしなやかさがいいですね。

「Antidote」
ナイジェリア出身の男性シンガーAdekunle Goldをフィーチャー。Sarzプロデュース。シングル・リリースしていた楽曲。ダンサブルになり過ぎない、リズミックな軽やかさが魅力です。
https://www.youtube.com/watch?v=XL3EsYbGC0M

「Burn Out」
Jonah Stevens/Scribz Rileyプロデュース。僕好みの曲調のネオソウル。Naoのキュートな歌声が映えます。

「Wait」
GRADES/Loxeプロデュース。切々と歌われるピアノ・バラード。ストリングスも入ったオーセンティックな仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=XKQ3WjOhmI8

「Good Luck」
US R&BシンガーLucky Dayeをフィーチャー。Loxeプロデュース。二人の声質の組み合わせがとてもいい感じです。終盤のロッキン・ギターのアクセントもグッド!

「Nothing's For Sure」
GRADESプロデュース。リラックスした生音のバッキングが印象的です。本作らしいしなやかさを感じる1曲です。

「Woman」
UKの女性シンガーLianne La Havasをフィーチャー。Loxeプロデュース。2020年にシングル・リリースしていた楽曲。この曲については、娘を抱っこ紐で抱えながらレコーディングをしたのだとか。しなやかさと強さを兼ね備えている感じがいいですね。

「Better Friend」
GRADESプロデュース。さり気ないですが、グッド・ヴァイヴに満ちた1曲。

「Postcards」
注目のUK男性R&BシンガーSerpentwithfeetをフィーチャー。George Mooreプロデュース。個人的には本作で一番のお気に入りのビューティフル・バラード。

「Little Giants」
Ari Pensmith/George Mooreプロデュース。Naoの願いが切々と伝わってくる祈りのようなバラード。

「Amazing Grace」
Maths x Joプロデュース。あの有名な曲のカヴァーかと思いきやオリジナルでした。希望に満ちたバラードで締め括ってくれます。

『For All We Know』(2016年)
FOR ALL WE KNOW

『Saturn』(2018年)
サターン
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2021年09月26日

Jordan Rakei『What We Call Life』

内省的な4thアルバム☆Jordan Rakei『What We Call Life』

発表年:2021年
ez的ジャンル:次世代ネオソウル系男性シンガー・ソングライター
気分は... :これが人生というもの?

新作アルバムから注目の男性シンガー・ソングライターJordan Rakeiの最新作『What We Call Life』です。

オーストラリア、ブリスベン出身、現在はロンドンを拠点とする男性シンガー・ソングライターJordan Rakeiについて、これまで当ブログで紹介したのは以下の3枚。

 『Cloak』(2016年)
 『Wallflower』(2017年)
 『Origin』(2019年)

4thアルバムとなる本作『What We Call Life』も前2作に続き、Ninja Tuneからのリリースです。

前作『Origin』では、シンギュラリティ等を懸念し、行き過ぎたテクノロジーへ警鐘を鳴らす社会メッセージ色の強い楽曲が多く収録されていまた。それに対して、本作『What We Call Life』はコロナ禍の影響が色濃く反映された内省的な作品に仕上がっています。

また、マルチ・インストゥルメンタリストである彼が、本作ではアルバム全編に渡り、バンドとの共同作業によるレコーディングを行っています。

バンドの中核メンバーは、Jim Macrae(ds)、Imraan Paleker(g)、Jonathan Harvey(b)、Chris Hyson(key)、Ernesto Marichales(per)という5名。

プロデュースはJordan Rakei自身。
楽曲はすべてJordan Rakeiとバンド・メンバーによるオリジナルです。

内省的な作品なので、派手なトラックはありませんが、アンビエントな次世代ネオソウルは胸の奥に何か響くものがあります。

秋の夜長に聴くと、胸に染み入る1枚となるのでは?

全曲紹介しときやす。

「Family」
家族への思いを歌ったオープニング。コロナ禍で母国オーストラリアに帰郷できない辛さから生まれた楽曲。ファルセットを駆使した哀愁ネオソウルです。哀愁モードながらもビートは力強いのが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=azmC2txuE5g

「Send My Love」
アンビエント感覚のエレクトリック・サウンドが心地好いポップ・チューン。ヴァイヴの音色がいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=CjFu5pMy-S8

「Illusion」
The Police「Every Little Thing She Does Is Magic」からインスパイアされた楽曲なのだとか。ヴォーカルもStingを意識しているらしいです。「Every Little Thing She Does Is Magic」っぽくはありませんが、中期以降のThe Policeのエッセンスがホンノリ感じられます。
https://www.youtube.com/watch?v=DW7A8R3uoUE

「Unguarded」
美しくも切ない内省的バラードですが、悲しき過去と向き合い、さらけ出しているのが好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=NHUoS_L4caY

「Clouds」
ジョージ・フロイドの死後に世界中で巻き起こったBLM運動に触発された楽曲。Rakei自身が(ポリネシア系と白人の)混血であり、2つの肌の色の狭間で葛藤してきた彼の思いが哀愁サウンドに乗って歌われます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZR8J7UYTDLw

「What We Call Life」
彼の内なる叫びを歌にしたタイトル曲。優しく包み込みながらも、懸命に自身を鼓舞している内省チューン。聴く者の胸に深く刻まれるバラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=NFSi1HyE7cc

「Runaway」
救いを求めている歌ですが、その穏やかな語り口とアンビエントなサウンドを聴いていると心が落ち着きます。
https://www.youtube.com/watch?v=o25-kDKYeP4

「Wings」
美しいエレクトリック・サウンドと共に大空に飛び立つ気分になる1曲。
https://www.youtube.com/watch?v=pYfhhX9cSmk

「Brace」
SF映画のサントラのような壮大な近未来サウンドが印象的なトラック。
https://www.youtube.com/watch?v=GA_S0WGBfT0

「The Flood」
本編ラストは7分半近くの長尺です。哀愁モードの前半からポジティヴな雰囲気の中盤以降へと、困難を乗り越えていく様が1曲の中で表現されているように感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=WujkBBK7pPU

「The Flood (Acoustic) 」
国内盤CDボーナス・トラック。前曲「The Flood」のアコースティック・ヴァージョン。

『Cloak』(2016年)
クローク

『Wallflower』(2017年)
Wallflower [帯解説 / 国内仕様輸入盤CD] (BRZN245)

『Origin』(2019年)
Origin [輸入盤CD] (ZENCD256)_742
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2021年09月19日

Fi Marostica『Visao do Mar』

サンパウロを拠点とするベーシストの初ソロ☆Fi Marostica『Visao do Mar』

発表年:2021年
ez的ジャンル:ブラジル現代ジャズ
気分は... :海の情景・・・

ブラジル現代ジャズの新作からFi Marostica『Visao do Mar』です。

Fi Marosticaは、ブラジル、サンパウロを拠点とするベーシスト。最近まで公私のパートナーであった歌手Vanessa MorenoとのデュエットVanessa Moreno & Fi Marostica名義で、『Vem Ver』(2013年)、『Cores Vivas』(2016年)といったアルバムをリリースしています。

レコーディング・メンバーはFi Marostica(b)、Alexandre Ribeiro(clarinet、clarone)、Tiago Costa(p、el-p)、Cleber Almeida(ds)。

ゲストとして、Vanessa MorenoTatiana ParraMonica SalmasoFilo Machadoといったシンガーが参加しています。

本編9曲はすべてFi Marosticaのオリジナル(共作)。

全体としては、ブラジル人ミュージシャンらしい感性の透明感のある現代ジャズといった仕上がりです。

Tatiana ParraVanessa Morenoが参加した「Borboleta」、躍動感に満ちたアフロ・ブラジリアン・テイストの「Pros Irmaos」、美しさと軽やかさを兼ね備えた「Pirataria」、爽快ブラジリアン・ジャズ「Pe na Poca」、軽やかでスウィンギーなクラリネットの音色に魅せられる「Nino e Cal」あたりがおススメです。

ジャケのような美的センスを感じるブラジル現代ジャズは、これからの季節にフィットする1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Visao do Mar」
タイトル曲はベテラン女性シンガーMonica Salmaso参加曲。Vanessa Moreno & Fi Marostica『Vem Ver』収録曲の再演。静けさのなかにも生命力を感じるのがいいですね。聴いているとホッとする音です。
https://www.youtube.com/watch?v=PjqHU7jFA48

「Nino e Cal」
個性派男性シンガー・ソングライターFilo Machado参加曲。軽やかでスウィンギーなクラリネットの音色とFilo Machadoのスキャットが牽引するワールド・ジャズな仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=7QqtvICzMpo

「Alice」
Vanessa Moreno参加曲。タイトルはFiとVanessaの愛娘Aliceからとったもの。透明感のある澄み切った音世界が心地好い演奏です。途中、愛娘Aliceの声も聞こえてきます。
https://www.youtube.com/watch?v=dYa1yCyehVc

「Casulo」
Fiのコントラバス・プレイを楽しむための演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=c1RxxPxLUgM

「Borboleta」
当ブログでもお馴染みのサンパウロ出身の女性シンガーTatiana ParraとVanessa Moreno参加曲。二人の女性シンガーの素晴らしいスキャット・ワークが映える華のあるワールド・ジャズに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Oib-sTANJtk

「Pros Irmaos」
Tatiana Parra参加曲。ここでのFiはエレクトリック・ベースをプレイ。アフロ・ブラジリアン・テイストのブラジル現代ジャズを楽しめる、躍動感に満ちた演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=KE_6JzqhG0s

「Bolero Deles」
クラリネットならではのまろやかな音色が印象的な美しい演奏です。秋の景色と共に聴きたい音です。
https://www.youtube.com/watch?v=nykHHCXRll8

「Pirataria」
美しさと軽やかさを兼ね備えたブラジル現代ジャズ。晴れた日の午前中のBGMとして流すと、気持ちも軽やかになり、仕事が捗りそうです(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=SCLjzaEj6B0

「Pe na Poca」
本編ラストはクラリネット・ソロと共に始まる爽快なブラジリアン・ジャズで締め括ってくれます。とても居心地のいい演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=eW-Yu9LVTTg

「Romaria」
CDボーナス・トラックその1。Renato Teixeira作。当ブログではElis Reginaヴァージョンを紹介済みです。作者ヴァージョンは『Romaria』(1978年)収録。澄み切った美しさを持つインスト・バラードで聴かせてくれます。

「Lamento Sertanejo」
CDボーナス・トラックその2。Gilberto Gilのカヴァー(Gilberto Gil/Dominguinhos作)。オリジナルは当ブログでも紹介した『Refazenda』(1975年)に収録されています。Vanessa Moreno & Fi Marostica時代からGilberto Gil作品を取り上げてきた彼らしいセレクトですね。ここではコントラバス・ソロで聴かせてくれます。

Vanessa Moreno & Fi Marostica『Vem Ver』(2013年)


Vanessa Moreno & Fi Marostica『Cores Vivas』(2016年)
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2021年09月12日

Becca Stevens & The Secret Trio『Becca Stevens & The Secret Trio』

中東/トルコ音楽との融合☆Becca Stevens & The Secret Trio『Becca Stevens & The Secret Trio』

発表年:2021年
ez的ジャンル:ハイブリッド女性SSW×中東/トルコ音楽
気分は... :こういう進化もあったか!

一昨日の投稿でブログの大きな方針転換を宣言しましたが、日曜の新作紹介はできる限り継続するつもりです。

注目の女性シンガー・ソングライターBecca Stevensの最新作Becca Stevens & The Secret Trio『Becca Stevens & The Secret Trio』です。

ノースカロライナ出身、N.Y.のニュースクール大学でジャズ・ヴォーカルを専攻した女性シンガー・ソングライターBecca Stevensについて、これまで当ブログで紹介したのは以下の5枚。

 Becca Stevens Band『Weightless』(2011年)
 Becca Stevens Band『Perfect Animal』(2014年)
 Tillery『Tillery』(2016年)
 『Regina』(2017年)
 『Wonderbloom』(2020年)

本作『Becca Stevens & The Secret Trio』は、タイトルの通り、Becca StevensThe Secret Trioと共演したアルバムです。

The Secret Trioは、アルメニア人のAra Dinkjian(oud)、マケドニア人のIsmail Lumanovski(clarinet)、トルコ人のTamer Pinarbasi(kanun)によるトリオ。

oud(ウード)kanun(カーヌーン)は、中東の古典音楽で使われる代表的な撥弦楽器です。ウード、カーヌーンに加えてナーイという無簧の笛を用いれば、アラブ古典音楽の編成になります。しかしながら、ナーイではなくクラリネットを用いた編成にし、バルカン・ジャズ的なエッセンスを融合させているところがThe Secret Trioの面白いところ、ジャズ的なところかもしれません。

The Secret Trioとして、これまで『Soundscapes』(2012年)、『Three Of Us』(2015年)という2枚のアルバムをリリースしています。また、3人はThe Secret Trio以外にもそれぞれ多様な演奏活動をしているトップ・ミュージシャンたちです。

今回の共演のきっかけは、2019年2月にUSマイアミで開催された、Snarky PuppyMichael League主催の音楽イベント。

同イベントに参加したThe Secret Trioのライヴを観たBeccaが感動し、彼らにラブコールを送ったことで実現したものです。

プログラミングやエレクトロニクスを駆使した楽曲やダンサブル・サウンドが印象的であった前作『Wonderbloom』(2020年)の方向性から180度方向転換した、美しい音色に魅せられるアコースティック回帰のフォーキー・ジャズ作品に仕上がっています。

プロデュースは今回の共演のきっかけをつくったMichael League

共同プロデュースはBecca StevensNic Hard

Becca Stevens(vo、g、charango、ukulele)とThe Secret Trio以外に、Michael League(moog b、back vo、g)、弦楽四重奏団Attacca Quartetのチェロ奏者であるNathan Schrame(back vo)がレコーディングに参加しています。

The Secret Trioならではの中東/トルコ音楽のエッセンスが、ハイブリッドなBeccaのジャズ・ワールドに新たな進化をもたらしています。あくまで静かなる進化ですが。

もっとも、中東/トルコ音楽のエッセンスなど気にせずとも、新感覚のフォーキー・ジャズとして楽しめるところが魅力だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Flow In My Tears」
Nahapet Kuchak/Becca Stevens/Michael League作。アルメニアの詩人Nahapet Kuchakの詩を用いています。揺らめきながら響く透明感のある弦の音色が心地好いです。聴いていると、体中の不純物が浄化されていくような気分になります。

「Bring It Back」
Nahapet Kuchak /Becca Stevens, Michael League作。この曲でもNahapet Kuchakの詩を用いています。Beccaらしい多重コーラスと中東的エッセンスが相俟って醸し出すミステリアス・ワールドがたまりません。

「We Were Wrong」
Becca Stevens/Michael League作。イントロが始まった途端、異世界に降り立った気分になるミステリアスな演奏です。Beccaの多重コーラスとThe Secret Trioの演奏がケミストリーを起こした素晴らしい1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=CaML9CvP2JY

「California」
US男性シンガー・ソングライターPaul Curreriの作品をカヴァー。オリジナルは『California』(2009年)収録。Beccaのフォーキー・ワールドにThe Secret Trioならではの演奏が加わることで、さらに深遠なフォーキー・ワールドが展開されます。
https://www.youtube.com/watch?v=NaAAPR2uqF8 ※Live Performance Video

「Eleven Roses」
Ismail Lumanovski作。The Secret Trioの音世界にブルガリアン・ヴォイスのエッセンスを加味したハイブリッド・ワールド・ジャズ。ブルガリアン・ヴォイスは80年代後半から90年代前半のワールド・ミュージック・ブームのときに話題になりましたね。当時、僕もブルガリアン・ヴォイスのCDを購入して、その独特の女声合唱に魅せられていました。Beccaファンにとっては、Tillery的な雰囲気が加わった感じがします。作者Ismail Lumanovskiのクラリネットの味わいもいいですね。

「Lucian」
Tamer Pinarbasi/Becca Stevens/Michael League作。The Secret Trioならではの中東ジプシー・ジャズ・ワールドを満喫できるミステリアスな演奏です。

「Pathways」
Becca Stevens/Rainer Maria Rilke作。オーストリアの詩人Rainer Maria Rilke(1875-1926年)の詩を用いた1曲。本作らしい深遠なフォーキー・ジャズに仕上がっています。

「Maria」
Becca Stevens/Michael League作。美しいヴォーカル・ワークを活かした、このメンバーならではのハイブリッド・フォーキー・ジャズに仕上がっています。

「Lullaby For The Sun」
Ara Dinkjian作。中東フォーキーとでも呼びたるなるような音世界。太古の時代に誘ってくれるような雰囲気がいいですね。

「The Eye」
Nikola Madzirov/Becca Stevens/Michael League作。マケドニアの詩人Nikola Madzirovの詩を用いています。美しい音色と美しい歌声が織り成すピュアな雰囲気に癒されます。
https://www.youtube.com/watch?v=dCQCIeU-oNs

「For You The Night Is Still」
Jane Tyson Clement/Becca Stevens作。アメリカの女性詩人Jane Tyson Clement(1917–2000年)の詩を用いています。現在制作中のBeccaと弦楽四重奏団Attacca Quartetとのコラボ作品にも収録される模様です。そのAttacca Quartetのチェロ奏者であり、BeccaのパートナーでもあるNathan Schrameがバック・コーラスで参加。Beccaのフォーキー・ジャズの進化形といった雰囲気です。音のない間を生かした引き算ジャズなのがいいですね。

Becca Stevensの他作品もチェックを!

Becca Stevens Band『Tea Bye Sea』(2008年)
ティー・バイ・シー

Becca Stevens Band『Weightless』(2011年)
Weightless

Becca Stevens Band『Perfect Animal』(2014年)
パーフェクト・アニマル

Tillery『Tillery』(2016年)
ティレリー

Becca Stevens『Regina』(2017年)
レジーナ【日本先行発売】

David Crosby, Becca Stevens, Michelle Willis, Michael League『Here If You Listen』(2018年)
HERE IF YOU LISTEN

『Wonderbloom』(2020年)
ワンダーブルーム【日本先行発売/CD日本盤のみ/ボーナス・トラック収録】

Becca Stevens & Elan Mehler『Pallet on Your Floor』(2021年)
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