2023年12月24日

Papik Presents: Sea Breeze『West Coast Rendez Vous』

ウエスト・コーストAORにアプローチ☆Papik Presents: Sea Breeze『West Coast Rendez Vous』

発表年:2023年
ez的ジャンル:イタリア発ポップ・ジャズ・プロジェクト
気分は... :メリークリスマス!そして最後の新作紹介・・・

2023年12月30日でブログを休止します。詳しくはこちら

休止まで残り3エントリーです。
新作紹介としては今回がラストです。

セレクトしたのは当ブログでもお馴染みのPapikの変名プロジェクトSea Breeze『West Coast Rendez Vous』です。

イタリア人キーボード奏者/コンポーザー/アレンジャーNerio Poggiによるポップ・ジャズ・プロジェクトPapik

これまで当ブログで紹介したPapik関連作品は以下の6枚。

 『Rhythm of Life』(2009年)
 『Music Inside』(2012年)
 『Papik Presents: Cocktail Martino - A Tribute To Bruno Martino』(2013年)
 『Sounds for the Open Road』(2014年)
 The Soultrend Orchestra『84 King Street』(2017年)
 『Little Songs for Big Elevators』(2018年)

まだまだ日本での認知度は低いPapikですが、当ブログでは国内盤初リリースとなった『Music Inside』(2012年)以来かなりプッシュしてきたアーティストです。

過去のエントリーから僕のお気に入り曲をいくつか紹介しておきましょう。

「E La Chiamano Estate」
From 『Rhythm of Life』(2009年)
 https://www.youtube.com/watch?v=8WFklfTWYpA
「Open Eyes」
From 『Music Inside』(2012年)
 https://www.youtube.com/watch?v=E2mb8Kb7s0Y
「The Puzzle Of Life」
From 『Music Inside』(2012年)
 https://www.youtube.com/watch?v=z7AD0SvgK40
「This Happiness」
From 『Music Inside』(2012年)
 https://www.youtube.com/watch?v=p3-jvd9tpAI
「Rimpiangerai」
From 『Papik Presents: Cocktail Martino - A Tribute To Bruno Martino』(2013年)
http://www.youtube.com/watch?v=Or0qI5RI4cQ
「Let The Music Play」
 https://www.youtube.com/watch?v=q_3N6wpiyFU
From 『Sounds for the Open Road』(2014年)
The Soultrend Orchestra「My Final Fantasy」
From 『84 King Street』(2017年)
 https://www.youtube.com/watch?v=ElUX8xZbvLI
The Soultrend Orchestra「A Dream In Your Heart」
From 『84 King Street』(2017年)
 https://www.youtube.com/watch?v=67A7dQVv-Cc
「Anyway You Want To」
From 『Little Songs for Big Elevators』(2018年)
 https://www.youtube.com/watch?v=GKOqbBB9kv8
「Keep The Fire Higher」
From 『Little Songs for Big Elevators』(2018年)
 https://www.youtube.com/watch?v=nSohxhEfefM

最近は変名プロジェクトも含めて、ものすごいペースで作品をリリースし続け、アナログ盤限定リリースなどもあるため、全作品をフォローするのが難しくなってきていますが、それでもPapikの名を目にすると気になってしまいます。

本作Papik Presents: Sea Breeze『West Coast Rendez Vous』は、AORにアプローチした変名プロジェクトSea Breeze名義の作品です。タイトルの通り、ウエスト・コーストAORを思わせるトラックがズラリと並びます。

過去の作品でもAOR的なトラックはありましたが、アルバム全編にそれを打ち出してきた作品は初となります。

そんなAOR色を象徴するように、「How Long」Aceのカヴァー)、「Biggest Part Of Me」Ambrosiaのカヴァー)、「Miss Sun」Boz Scaggsのカヴァー)というAOR名曲カヴァーも収録されています。

上記3トラック以外はNerio Poggiらのオリジナルです。

AOR名曲カヴァー3トラックが目立ってしまいますが、寛いだ雰囲気のオープニング「Chains Of Our Love」、ブルーアイド・ソウルな「I Shouldn't Stay」、シティ・ポップ調の「Movin' On」、ロマンティックな「Wait Another Day」、エヴァーグリーンな魅力がある「Never Too Late」、僕好みのブルーアイド・ソウル「My Favorite Song」あたりもオススメです。

最後の新作をPapikで締め括ることができて、とても満足しています。

全曲紹介しときやす。

「Chains Of Our Love」
注目のイタリア人男性シンガーFilippo Perbelliniをフィーチャー。Filippo Perbelliniは2019年リリースの2ndアルバム『Almost Midnight』がL.A.の名うてのミュージシャンをバックに制作されたAORアルバムとして高評価を得ました。寛いだ雰囲気のミディアム・チューンです。この落ち着きこそがAORらしさかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=qwctds56phY

ご興味がある方はFilippo Perbellini『Almost Midnightの(2019年)もチェックを!

Filippo Perbellini『Almost Midnight』(2019年)


「How Long」
Lodewijk Van Gorpをフィーチャー。UKロック・バンドAceのデビュー・シングルであり、USチャート第3位の大ヒット曲をカヴァー(Paul Carrack作)。オリジナルはアルバム『Five-a-Side』(1974年)収録。Lodewijk Van GorpはオランダのAORデュオMartin & Garpのメンバーであり、ソロ・アルバムもリリースしています。個人的にブルーアイド・ソウルなオリジナルが大好きだったので、このカヴァー・セレクトは嬉しい限りです。オリジナルの雰囲気を受け継ぐメロウなブルーアイド・ソウルで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=_qFrst_UsEQ

Ace「How Long」
 https://www.youtube.com/watch?v=TGkUdLJCLyE

ご興味がある方はMartin & GarpのアルバムやLodewijk Van Gorpのソロ・アルバムもチェックを!

Martin & Garp『Sentimental Fools』(2020年)


Lodewijk Van Gorp『True Friends』(2022年)


「A Blur In A Morning Dew」
Papik作品ではお馴染みの男性シンガーDario Daneluzをフィーチャー。Darioのセクシー・ヴォーカルを堪能できるロマンティック・バラード。ムーディーなサックスやメロウ・ギターも盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=GeP7kb6mC4A

「I Shouldn't Stay」
Papik作品には欠かせない男性シンガーAlan Scaffardiをフィーチャー。アーバン・ナイト・モードにフィットするブルーアイド・ソウルなメロウ・バラード。気分は80年代モードって感じですね。
https://www.youtube.com/watch?v=gbRMfky0pIs

「Biggest Part Of Me」
Mario Rosiniをフィーチャー。Ambrosia、1980年USチャート第3位となった大ヒット曲をカヴァー(David Pack作)。オリジナルはアルバム『One Eighty』(1980年)収録。お馴染みの名曲のカヴァーですが、オリジナルをさらにオトナ・モードにしたような仕上がりです。ポップさを少し減らして、よりソウルフルにした感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=LiMJIkPX-oM

Ambrosia「Biggest Part Of Me」
https://www.youtube.com/watch?v=k5gOehkLUTk

「Bottom Line」
Lodewijk Van Gorpをフィーチャー。ポップ・ロックのメロウ・ミディアム・グルーヴ。ウエスト・コーストらしい雰囲気のメロウ・ポップで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Sh91_yOkRdI

「I'm Counting On You」
Dario Daneluzをフィーチャー。ここでもDarioのセクシー・ヴォーカルに魅せられる素敵なメロウ・バラードを満喫できます。まさに王道AORな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=2NmrSE6bxaI

「Movin' On」
Filippo Perbelliniをフィーチャー。シティ・ポップ調のミディアム・グルーヴ。80年代AOR調の仕上がりはいかにも日本人好みの雰囲気ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=RSQFhS8MSWM

「The Many Things I've Lost Along The Way」
Papikの過去作品に参加している男性シンガーAlessandro Pitoniをフィーチャー。アコースティックな質感が印象的なメロウ・バラード。切ないムードがジワジワと伝わってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=buqGvV9z868

「Wait Another Day」
Lodewijk Van Gorpをフィーチャー。ムーディーなサックスと共に始まるラブ・バラード。昔大好きだったオトナマンガ、わたせせいぞう『ハートカクテル』の一場面が似合いそうな雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=W1G6ZzPhloE

「Never Too Late」
Dario Daneluzをフィーチャー。僕好みのメロウ・ミディアム。エヴァーグリーンな魅力がありますね。聴いている10代、20代の頃の青春の思い出が甦ってくる感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=oX5PhWWBqV0

「Right Or Wrong」
Andrea Bertorelliをフィーチャー。クールなミディアム・グルーヴですが、Papik作品らしいイタリアの少しキザなちょい悪オヤジ感があっていいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=YpXeo18-FJk

「Walkin' By My Side」
Papikの過去作品に参加している男性シンガーAlfredo Malabelloをフィーチャー。ここでもイタリアの少しキザなオヤジ感のあるヴォーカルがいい味わいを醸し出しています。AORというよりはPapikしていますね。
https://www.youtube.com/watch?v=yE-UamSKpkU

「Miss Sun」
Mario Biondi作品等にも参加しているシンガー/ソングライターDavid Florioをフィーチャー。Boz Scaggs、1980年のヒット曲をカヴァー(David Paich作)。シンセの音色が印象的なアーバン・メロウ・グルーヴで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=9aKE2lD7hjE

Boz Scaggs「Miss Sun」
 https://www.youtube.com/watch?v=8U35m_hD_kU

「My Favorite Song」
ボーナス・トラック。Papikの過去作品に参加している男性シンガーKenneth Baileyをフィーチャー。Bobby Caldwell好きの人は気に入るであろうブルーアイド・ソウルに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=vJnc7XiQYbo

Papik関連の他作品もチェックを!

『Rhythm of Life』(2009年)
Papik - Rhythm Of Life

『Music Inside』(2012年)
Music Inside

『Papik Presents: Cocktail Martino - A Tribute To Bruno Martino』(2013年)
カクテル・マルティーノ ~ ブルーノ・マルティーノ・トリビュート・アルバム (papik presents COCKTAIL MARTINO ~ tribute to Bruno Martino) [輸入盤]

『Sounds for the Open Road』(2014年)
Sounds for the Open Road

『Cocktail Mina』(2016年)
Cocktail Mina

『Papik Smooth Experience』(2016年)
Papik Smooth Experience

Papik & Yuma『Lupin III (L'avventura Italiana)』(2016年)
Lupin III Original Soundtrack - L'avventura Italiana

『Cocktail Battisti』(2016年)
Cocktail Battisti

The Soultrend Orchestra『84 King Street』(2017年)
84 King Street

『Little Songs for Big Elevators』(2018年)
Little Songs For Big Elevators

『Cocktail Italy Vol. 2』(2019年)


『Cocktail Italy Vol. 3』(2021年)


『Enjoy The Ride』(2022年)


The Soultrend Orchestra『Live For Funk』(2022年)


『Bossarama』(2023年)
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2023年12月20日

Black Market Brass『Hox』

ミネアポリスのアフロ・ファンク・バンドの最新作☆Black Market Brass『Hox』

発表年:2023年
ez的ジャンル:ミネアポリス産アフロ・ファンク/アフロ・ジャズ
気分は... :休止まで残り5エントリーくらい・・・

2023年12月30日でブログを休止します。詳しくはこちら

仕事が忙しくて、ブログ休止前の振り返りモードに浸る時間もありません(泣)

新作からミネアポリスのアフロ・ファンク・バンドBlack Market Brassの最新3rdアルバム『Hox』です。かなりマイナーな作品の紹介となります。

Black Market Brassはミネアポリスで2012年に結成されたアフロ・ファンク・バンド、

メンバーはCole Pulice(bs)、Charlie Bruber(b)、David Tullis(congas)、Murphy Janssen(ds)、Mitch Sigurdson(g)、Sam Harvey-Carlson(key、syn)、Luke Rivard(per)、Cameron Kinghorn(tp)、Cody LeDuc (tb)という9名。

これまで『Cheat and Start a Fight』(2016年)、『Undying Thirst』(2020年)といったアルバムをリリースしています。

さて最新3rdアルバム『Hox』ですが、決して聴きやすいアルバムではありません。

アフロ・ファンクですが直線的なノリよりも一癖ある演奏やアフロ・ジャズ/エチオ・ジャズ的な演奏も織り交ぜているので、好き/嫌いが分かれるアルバムかもしれません。

僕自身はトライバル感覚の音楽が好きなので多少クセがあってもあまり気になりませんが、音源聴いて「何じゃこりゃ」と感じる人もいるでしょう。そういう賛否両論あるのも音楽の楽しい部分ではないかと思います。

休止前にこういったマイナーな新作を紹介するのも当ブログらしくありませんか(笑)

全曲紹介しときやす。

「Hox A」
ブラスによる不穏なプロローグ。
https://www.youtube.com/watch?v=zdt9Gs04ls0

「Echo A.D.」
パーカッシヴなトライバル・リズムが牽引する覚醒感のある呪術的アフロ・ジャズ。途中からファズ・ギターが鳴り響き、ブラック・ロック的なアクセントが加わってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=DQ3YqmdluzM

「The Pit」
パワフルなブラス・サウンドが印象的なアフロ・ファンク。得体の知れないパワーが押し寄せてくる感じがいいですね。

「Hox B」
打楽器のみのパーカッシヴなセッション。まるで和太鼓の演奏のようですね。
https://www.youtube.com/watch?v=MqanGApLv78
※「The Pit/Hox B」の音源

「A Web, A Knot, A Tangle」
昭和エレジーな雰囲気のエチオ・ジャズ。少し演歌調なのはエチオ・ジャズの特徴ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=EKC0kRwdZCg

「But At What Cost」
哀愁モードのアフロ・ジャズですが、だんだんとサイケなトリップ・モードへと没入しそうになります。
https://www.youtube.com/watch?v=vCOvNvOX9Kg

「Aethervision」
不気味な静けさが漂うミステリアス&スピリチュアルな演奏です。アフロ×アンビエントな雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=170ee7khXM0

「Little Ghosts」
ロッキン・モードでスタートしますが、演奏全体はダークなアフロ・グルーヴです。レゲエ/ダブがお好きな人も気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=EydkHUf_UjU

「Hox C」
タイトル・トラックはブラス・アンサンブルによる短い演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=4pw_WcmuDIY

「S.C.C. (Surge Cell Continuum) Hox D」
ダークな疾走感が格好良い漆黒のアフロ・ファンク。終盤はパーカッションのブレイクで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=3uCRdL91NsI

「The Rift Hox Z Desolation Overdrive」
ハイスピードで駆け抜けていくエキサイティングなアフロ・ジャズ・グルーヴ。カオスなアフロ・ジャズといった雰囲気で聴く者を覚醒させます。
https://www.youtube.com/watch?v=xxhO0XNvFsE

「Doom Country」
ラストは抑えたトーンの演奏でアルバムの余韻に浸ることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=1WGpfdJI5E8

Black Market Brassの他作品もチェックを!

『Cheat and Start a Fight』(2016年)


『Undying Thirst』(2020年)
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2023年12月17日

KNOWER『Knower Forever』

7年ぶりに待望の新作☆KNOWER『Knower Forever』

発表年:2023年
ez的ジャンル:奇才ポップ・デュオ
気分は... :休止前に紹介できてよかった!

2023年12月30日でブログを休止します。詳しくはこちら

休止まで残り6エントリーくらいです。

新作からLouis ColeGenevieve Artadiの超絶ポップ男女デュオKNOWERの最新アルバム『Knower Forever』です。

これまで『Time』(2018年)、『Quality Over Opinion』(2022年)といったLouis Coleのソロ・アルバムは紹介してきましたが、KNOWERのアルバム紹介は初めてです。

これまで『Louis Cole and Genevieve Artadi』(2010年)、『Think Thoughts』(2011年)、『Let Go』(2013年) 『Life』(2016年)といったオリジナル・アルバムをリリースしてきたKNOWER

しかし、2018年のツアー後にKNOWERとしての活動を一時休止し、それぞれソロ・アーティストとしての活動が目立つようになりました。

Louis Coleのソロ活動が目立ったかもしれませんが、Genevieve Artadiも方もFlying Lotus主宰のBrainfeederから『Dizzy Strange Summer』(2020年)、『Forever Forever』(2023年)といったソロ・アルバムをリリースしています。また、私生活のパートナーであるブラジル人ギタリストPedro MartinsとのユニットExpensive Magnetsとしても作品をリリースしています。

当ブログで紹介した作品を振り返っても、Genevieve Artadiは以下の作品にフィーチャリングされています。

 Thundercat『Drunk』(2017年)
 Antonio Loureiro『Livre』(2018年)
 Aphrotek『Stories』(2018年)
 Frederico Heliodoro『The Weight Of The News』(2023年)

上記の4作品だけを眺めてみても、彼女がジャンルレスのミュージシャンであることが窺えます。

このような感じで各人の活動が活発化してきたため、「もうKNOWERとしての作品はリリースされないのか」なんて思っていたところに、新作リリースの吉報が飛び込んできました。ブログ休止前にこの奇才デュオの新作を紹介できるはラッキーです。

今年リリースされたGenevieve Artadiの最新作タイトルが『Forever Forever』、今回紹介するKNOWERの最新作タイトルが『Knower Forever』ということで、『Forever Forever』の制作がKNOWER新作のきっかけになったのかもしれませんね。

DAWソフトを用いたエレクトロ・ポップ・デュオというイメージが強かったKNOWERですが、本作はLouis Coleの自宅でのバンド演奏によるレコーディングが中心です。その意味でエレクトロ・ポップ・デュオの“エレクトロ”部分は外すべきかもしれません。

プロデュースはLouis Cole
楽曲も二人のオリジナルです。

レコーディングにはLouis Cole(ds、p、key)、Genevieve Artadi(vo)以外に、David Binney(sax)、Chiquita Magic(Isis Giraldo)(key)、MonoNeon(b)、Paul Cornish(key、p)、Louis Coleとグラインドコア・ユニットClown Coreを組むSam Gendel(sax)、L.A.を拠点にするミニマル・ファンク・バンドVulfpeckのメンバーJacob Mann(key)、Rai Thistlethwayte(key)、Sam Wilkes (b)、Adam Ratner(g)といったミュージシャンが参加しています。

また、18人編成のストリングス、11人編成のブラス・セクション、17人編成のコーラス隊も参加しています。

自宅レコーディングによるバンド演奏の臨場感と確信犯的なチープさを織り交ぜた奇才Louis Coleならではポップ・センス全開の1枚に仕上がっています。また、そのサウンドをバックにしたGenevieveのキュートで少し儚いヴォーカルがアルバム全体のポップ度をマシマシにしてくれます。

ブログ休止前に紹介できて良かった!
そう思わせてくれる快作です。

全曲紹介しときやす。

「Knower Forever」
Louis Cole作。タイトル曲はストリングスとブラスのみの演奏によるインスト。アルバムのエレガントなプレリュードといった感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=V1-TDhT-TWI

「I'm The President」
Louis Cole/Genevieve Artadi作。♪私は大統領よ♪とアメリカ大統領選を皮肉ったKNOWERらしいセンスのポップ・チューン。自宅レコーディングならではのB級感サウンドにストリングス、ブラス・セクション、コーラス隊が加わり、独自のポップ・ワールドが広がります。
https://www.youtube.com/watch?v=tuhe1CpHRxY

「The Abyss」
Louis Cole/Genevieve Artadi作。生演奏ならではの臨場感と生演奏らしからぬミニマル感が絶妙にブレンドされたLouis Coleのポップ・センスが全開の仕上がり。Genevieveのヴォーカルにはヒネりの効いたポップ・サウンドがよく似合います。
https://www.youtube.com/watch?v=O2F0oTqfL3E

「Real Nice Moment」
Louis Cole/Genevieve Artadi作。Genevieveのキュートな魅力が映えるドリーミーなメロウ・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=ls17vqcH-Xw

「It's All Nothing Until It's Everything」
Louis Cole/Genevieve Artadi作。エクスペリメンタルな演奏ですが、それをポップに仕上げてしまうのがKNOWERらしいですね。終盤のJacob Mann(Vulfpeck)のピアノ・ソロも印象的です。ラストは美しいストリングスで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=kJG-Ed--SyA

「Nightmare」
Louis Cole/Genevieve Artadi作。Louis ColeとMonoNeonのリズム隊が牽引するキャッチーなポップ・ダンス・チューン。Genevieveのキュートで少し儚いヴォーカルもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=ERCkf0j8pPM

「Same Smile, Different Face」
Louis Cole作。Louis ColeのピアノとストリングスをバックにGenevieveが歌うビューティフル・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=rM10_mNZmSs

「Do Hot Girls Like Chords」
Louis Cole/Genevieve Artadi作。Adam Ratnerのパワフルなギターと共にロッキン・モードでスタートしますが、演奏全体としてはドライブ感のある格好良いダンサブルなポップ・ロック・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Ois3gfcwKSA

「Ride That Dolphin」
Louis Cole/Genevieve Artadi作。Louis Coleのマニアックなポップ趣味をKNOWER流に昇華させた1曲。新しいのに懐かしい!
https://www.youtube.com/watch?v=ruUYgQxJsCI

「It Will Get Real」
Louis Cole/Genevieve Artadi作。ポップ&キュートに疾走するダンサブル・チューン。ポップでダンサブルなのに、Genevieveのヴォーカルも含めて、何処となく寂しげで儚い感じがするのがKNOWERの魅力かもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=P3zV7redc-o

「Crash The Car」
Louis Cole/Genevieve Artadi作。これまでのKNOWERの歩みや今作に込めた思いのようなものが伝わってくる歌詞をGenevieveがしみじみと歌い上げるビューティフル・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=GZlVT8gPGEs

「Bonus Track」
Louis Cole作。まさにボーナス・トラックなお遊び的な短いインスト。

KNOWERの他作品やLouis Coleのアルバムもチェックを!

KNOWER『Let Go』(2013年)
Let Go +10

KNOWER『Covers』(2014年)
Covers

KNOWER『Life』(2016年)
Life

Louis Cole『Album 2』(2013年)
アルバム 2

Louis Cole『Time』(2018年)
Time [解説・歌詞対訳 / ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC575)

Louis Cole『Quality Over Opinion』(2022年)
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2023年12月13日

Ed Motta『Behind The Tea Chronicles』

ブラジリアンAORの人気アーティスト5年ぶりの新作☆Ed Motta『Behind The Tea Chronicles』

発表年:2023年
ez的ジャンル:ブラジリアンAOR系男性シンガー
気分は... :休止まで残り8エントリーくらい

2023年12月30日でブログを休止します。詳しくはこちら

毎週日曜恒例の新作紹介のみでは紹介しきれない新作が出てきそうなので、水曜ですが新作を紹介します。

新作ブラジルものからEd Motta『Criterion Of The Senses』です。

ブラジルNo.1ソウル・シンガーTim Maiaの甥であり、1971年リオ・デ・ジャネイロ生まれの巨漢男性シンガー・ソングライターEd Mottaについて、これまで当ブログで紹介したのは以下の3枚。

 『AOR』(2013年)
 『Perpetual Gateways』(2016年)
 『Criterion Of The Senses』(2018年)

『AOR』で、タイトル通り、AORフリークぶりを発揮し、AOR人気の高い日本で大絶賛されたEd Motta

それ以降の『Perpetual Gateways』(2016年)、『Criterion Of The Senses』(2018年)もAOR路線で好評を得ました。

最新作『Criterion Of The Senses』はAORは勿論のこと、彼の好きな音楽、好きな映画、好きなTVシリーズなどの要素をすべて詰め込んだ、好きなものづくしのアルバムに仕上がっています。

プロデュース/ソングライティング/アレンジはEd Motta自身。

Michel Limmaが音楽ディレクターとしてクレジットされています。

さらにホーン・セクションはデトロイト、バック・コーラスはL.A.、ストリングスはチェコで録音したもの。デトロイトとL.A.のレコーディングは『Perpetual Gateways』(2016年)をプロデュースしたKamau Kenyattaがディレクションを務めています。

レコーディングにはMichel Limma(el-p、p、clavinet)、Sergio Melo(ds)、Tutty Moreno(ds)、Alberto Continentino(b)、Joao Oliveira(g)、Thiago Arruda(g)、Agustin Rios(congas)、Otavio Rocha(dobro)、Frank Colon(tabla)、Tiago Calderano(vibe)、Kris Johnson(tp)、Rafael Leafar(as)、Marcus Elliot(ts、clarinet)、Vince Chandler(tb)、Aldivas Ayres(tb)、Jesse Sadoc(tb)、Rafael Rocha(tb)、Kaleigh Wilder(b clarinet、bs)、Leandro Dantas(b clarinet)、Marcelo Martins(fl)、Cristina Braga(harp)等のミュージシャンが参加しています。

また、人気シンガーJames Ingramの弟であり、ソウル/ファンク・グループSwitchやブラコン/エレクトリック・ファンク・デュオDecoの元メンバーであったPhillip IngramRufusの初代ヴォーカリスト(二代目がChaka Khan)であったPaulette McWilliams等がバック・ヴォーカルで参加しています。

やはりEd Mottaといえば、Steely Dan/Donald Fagen風のトラックを期待してしまいますよね。

そういった期待に応えてくれるのは「Slumberland」「Safely Far」「Gaslighting Nancy」「Quatermass Has Told Us」「Shot in the Park」といったトラックです。

それ以外にBlue Thumb風の「Newsroom Customers」、ブラジリアン・テイストの「Deluxe Refuge」、従来のEd Mottaのイメージを覆すアーシーな「Buddy Longway」あたりも個人的にはオススメです。

Ed Mottaの音楽に留まらないマニアぶりに思わずニンマリする1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Newsroom Customers」
映画『Sweet Smell of Success(邦題:成功の甘き香り)』(1957年)にインスパイアされたオープニング。映画はBurt Lancaster演じるブロードウェイに大きな勢力をもつジャーナリストとTony Curtis演じるブロードウェイのプレス・エージェントを主人公に、ブロードウェイの暗黒面を描いたものです。Ed本人曰くBlue Thumb風サウンドということらしいです。なるほど流麗なストリングスとアーバンなジャズ・ファンクの組み合わせはBlue Thumbの香りを感じさせます。

「Slumberland」
タイトルは有名なコミック『Little Nemo in Slumberland(邦題:夢の国のリトル・ニモ)』に因んだもの。昨年Netflixでも同作を原作とした映画『Slumberland』が配信されましたね。EdのSteely Dan趣味とドリーミーなポップ・センスが融合したポップ・ソウル的な仕上がり。EdのヴォーカルもDonald Fagen感たっぷりです。
https://www.youtube.com/watch?v=zZX5Xas97SE

「Safely Far」
Ed本人曰くNorman Connors風の仕上がりらしいです。AOR/シティ・ポップ好きの人は気に入るであろうアーバン・メロウ・グルーヴ。こういうサウンドをバックにするとDonald Fagenを思わせるEdのヴォーカルが映えますね。
https://www.youtube.com/watch?v=FNlLLQhkfpA

「Gaslighting Nancy」
Ed本人曰く「アルバムで最もSteely DanとAORから影響を受けた曲」なのだとか。さらにAntonio Carlos Jobimらボサノヴァの影響もあるそうです。個人的には後期The Doobie Brothersの香りも感じます。いずれにしてもAOR好きの人であれば楽しめるアーバン・メロウ・グルーヴです。

「Of Good Strain」
ブロードウェイ・ミュージカルから影響を受けたワルツ調の仕上がり。ノスタルジックな雰囲気は悪くありませんが、オープニングからの流れが一度リセットされてしまう気も・・・

「Quatermass Has Told Us」
タイトルにある「Quatermass」とは1953年にイギリスBBCで放送されたSF連続ドラマ『The Quatermass Experiment』に因んだもの。
前半はSteely Dan/Donald Fagen風ですが、後半はJoao Oliveiraのギター・ソロ、素晴らしいホーン・アンサンブルなどダイナミックなサウンドで盛り上げてくれます。

「Buddy Longway」
従来のEd Mottaのイメージを覆すアーシーな演奏。ブラジルのブルース・バンドBlues EtílicosのメンバーOtavio Rochaがドブロをプレイしています。

「Shot in the Park」
これはDonald Fagen『The Nightfly』へのオマージュって感じですね。詳しくない人に『The Nightfly』収録曲と紹介してもバレないかも(笑)。『The Nightfly』好きの人は思わずニンマリするはず!

「Deluxe Refuge」
ブラジリアン・テイストのファンキー・メロウ。当ブログでも紹介したブラジル人コンポーザー/マルチプレイヤーMoacir Santosを意識したトラックだそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=VNLbBiuDVgo

「Tolerance on High Street」
スタンダード風のノスタルジック&エレガントな仕上がり。Ed本人曰くフィルム・ノワール風の仕上がりらしいです。

「Confrere's Exile」
CDボーナス・トラック。哀愁バラードをピアノ弾き語りで歌い上げます。

ご興味がある方はEd Mottaの他作品もチェックを!

『Manual Prático Para Festas, Bailes e Afins Vol.1』(1997年)
パーティ・マニュアル(1)

『As Segundas Intenções do Manual Prático....』(2000年)
As Segundas Intencoes Do Manue

『Dwitza』(2002年)
Dwitza

『Poptical 』(2003年)
ポップティカル

『Aystelum』(2005年)
Aystelum

『Chapter 9』(2008年)
Chapter 9

『Piquenique』(2009年)
Piquenique

『AOR』(2013年)
AOR

『Perpetual Gateways』(2016年)
Perpetual Gateways

『Criterion Of The Senses』(2018年)
クライテリオン・オブ・ザ・センシズ
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2023年12月10日

Sofia Kourtesis『Madres』

ペルー出身のDJ/プロデューサーのデビュー・アルバム☆Sofia Kourtesis『Madres』
sofia kourtesis madres.jpg
発表年:2023年
ez的ジャンル:ペルー×ベルリン産エレクトリック・ミュージック
気分は... :ラテンの心とドイツのモーター

2023年12月30日でブログを休止します。詳しくはこちら

休止までは、なるべく通常モードで投稿したく思います。

新作からペルー出身で現在はベルリン在住のDJ/プロデューサーSofia Kourtesisのデビュー・アルバム『Madres』です。

人気レーベルNinja Tuneからのリリースです。

プロデュースはSofia Kourtesis自身とDavid Krasemann

ソングライティングも1曲を除きSofia Kourtesisのオリジナルです。

彼女自身が自身を「ラテンの心とドイツのモーター」と評しており、基本的にはベルリン産のハウス/エレクトリック・ミュージックに、南米の民俗音楽のテイストを散りばめた音世界が展開されます。当ブログでもこれまであまり紹介してこなかったタイプの音かもしれません。

南米の古代文明を近未来に蘇らせたような幻想的、神秘的な雰囲気に包まれているのがいいですね。

独自の民族トロピカル・ベースで知られるClap! Clap!あたりがお好きな人も気に入るのではないかと思います。

ブログ休止まで新作紹介も数えるほどしかできませんが、そうした状況でこうした攻めた1枚をセレクトするのも当ブログらしいかもしれませんね(笑)

全曲紹介しときやす。

「Madres」
シングルにもなったタイトル曲がオープニング。桃源郷をイメージさせるエスニックなドリーミー感とダンス・サウンドがよくマッチしています。行ったことのない夢の世界へ誘ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=bPGct0yRPM8

「Si Te Portas Bonito」
この曲はDavid Krasemann の代わりにThomas Stephensがプロデューサーでクレジットされています。アンダーグラウンドならではのエレクトリックなダンス・ミュージックに、古代文明をイメージさせる南米ならではのミステリアス・ムードが加わっているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Uj1m7s6TRNk

「Vajkoczy」
Chantal Saroldiのヴォーカルをフィーチャー。覚醒感のあるハウス・サウンドが展開されますが、(ペルー的なエッセンスなのか分かりませんが)少し祝祭的なムードがあるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=n-_tUm05CDI

「How Music Makes You Feel Better」
Chantal Saroldiのヴォーカルをフィーチャー。幻想的なエレクトリック・サウンドが夢の中へと誘います。聴く者をベターにしてくれるエレクトリック・ワールドです。
https://www.youtube.com/watch?v=s-7lRutghlQ

「Habla Con Ella」
本来ならばクールなハウス・チューンのはずが、何処となく神秘的な温もりを感じるところが魅力です。聴いているうちに、自分がサウンドにシンクロしてしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=LFtCnCjE9Us

「Funkhaus」
アンビエント感覚のダンサブル・チューン。途中に少しダークなアクセントを加えることで全体が絶妙のバランスに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=hFXwMJfBTzI

「Moving Houses」
ビートレスのエクスペリメンタルなトラック。彼女が単なるダンス・ミュージックのアーティストではないことが分かります。
https://www.youtube.com/watch?v=L3XpYjWEzsU

「Estación Esperanza」
スパニッシュ系フランス人男性シンガーManu Chaoのカヴァー。オリジナルは『...Próxima estación... Esperanza』(2001年)収録。エスニック感覚たっぷりのエレクトリック・サウンドで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=E4LNA-JZQeo

「Cecilia」
南米の民俗音楽のエッセンスを散りばめたダンス・チューン。架空の古代文明をイメージしてしまうあたりはClap! Clap!に通じるものがあるかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=qPsw7eHvg0M

「El Carmen」
Miguel Ballumbrosioのヴォーカルをフィーチャー。このトラックもClap! Clap!あたりと一緒に聴くとフィットするかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=ZKE5jFApJMU

昨晩はNHK BSでキャンディーズ特集でした。

キャンディーズこそが現在まで続くアイドル・グループのプロトタイプであり、アイドルの域を超えたヴォーカル・グループであることを改めて実感できました。

また、最高のまま解散した彼女たちの潔さ、ブログ休止を決めた今の僕に響くものがありました。
posted by ez at 00:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする