2023年03月05日

Oscar Jerome『The Spoon』

UK新世代ジャズ、期待のギタリスト☆Oscar Jerome『The Spoon』

発表年:2022年
ez的ジャンル:南ロンドン系UK新世代ジャズ
気分は... :唐衣・・・

新作からUK新世代ジャズ、期待のギタリストOscar Jeromeの2ndアルバム『The Spoon』です。

Oscar JeromeはUKノーフォーク出身のギタリスト。

Tom Mischも学んだトリニティ音楽カレッジの卒業です。卒業後は当ブログでも紹介したロンドンの新世代アフロ・ジャズ・ユニットKokorokoに参加したり、Joe Armon-Jonesのレコーディングに参加するなど南ロンドンの新世代ジャズ・シーンで頭角を現すようになります。そして、2020年にはデビュー・アルバム『Breathe Deep』(2020年)をレコーディングしています。

Oscar Jeromeの存在が大きくクローズ・アップされるようになったのは、UK新世代ジャズを中心とした新鋭アーティスト達がBlue Noteのジャズ名曲をカヴァーする企画の第2弾アルバムVarious『Blue Note Re:imagined II』(2022年)への参加でしょうね。

同作でOscar JeromeはラッパーのOscar Worldpeaceと組み、Grant Green「(Why You So) Green With Envy」をカヴァーしました。

Oscar Jerome & Oscar #Worldpeace「(Why You So) Green With Envy」
https://www.youtube.com/watch?v=5Ih-zqMK7Cw
Various『Blue Note Re:imagined II』(2022年)


そんな注目が高まったグッド・タイミングでリリースされたのが2ndアルバムとなる本作『The Spoon』です。

レコーディングの主要メンバーはOscar Jerome(g、vo、key、syn、per、effects)以下、KokorokoAyo Salawu(ds)、Tom Misch & Yussef Dayes『What Kinda Music』にも参加していたTom Driessler(b)、元GallianoCrispin "Spry" Robinson(per)という4名。

それ以外に、当ブログでも紹介したオーストラリアのソウル・コレクティヴ30/70のメンバーZiggy Zeitgeist(ds)、Tom Misch & Yussef DayesIll ConsideredBlue Lab BeatsなどUK新世代ジャズの注目作品に数多く参加しているKaidi Akinnibi(sax)、Wu-Lu『Loggerhead』(2022年)でもフィーチャリングされていたLea Sen(vo)、Nubya Garcia『Source』(2020年)などにも参加していたSam Jones(ds)、ロンドンを拠点に25年以上数多くのレコーディングに参加しているフルート奏者Gareth Lockrane(fl)、さらにはFern Skinner(vo)、Theo Erskine(sax)、Marla Kether(b)、 Beni Giles(syn bass)といったミュージシャンが参加しています。

プロデュースはOscar Jerome Beni Giles

楽曲はすべてOscar Jeromeによるオリジナルです(共作含む)。

UK新世代ジャズならではのグルーヴを楽しめます。
アシッド・ジャズを感じる演奏がある点も気に入っています。

「Berlin 1」「Channel Your Anger」「Use It Well」といった主要レコーディング・メンバー4名による演奏や、アシッド・ジャズの香りのする「Feel Down South」Lea Senをフィーチャーした「Hall Of Mirrors」、ローファイ感覚の「Sweet Isolation」あたりを聴けば、本作の魅力を感じられるのでは?

UK新世代ジャズ好きの方はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「The Dark Slide」
Oscarのギターと30/70のZiggy Zeitgeistのドラムによる短いインプロビゼーションがオープニング。ミステリアス&エクスペリメンタルな雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=TO4EUKO1oj8

「Sweet Isolation」
Kaidi Akinnibiのサックスをフィーチャー。それ以外はすべての演奏をOscarが務めます。ローファイ感覚のベッドルーム新世代ジャズといった雰囲気の仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=NeuYGdhlcbA

「Berlin 1」
前述の主要レコーディング・メンバー4名による演奏。南ロンドンの新世代ジャズらしいジャンルの枠に囚われないヴォーカル入りのキャッチーな演奏を楽しめます。少しダークでクールな疾走感が格好良いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=3pB0E0U19bY

「The Spoon」
タイトル曲も主要レコーディング・メンバー4名による演奏。Oscarのギターを満喫できる幻想的な演奏です。Oscarの切ないヴォーカルも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=386opZVGCvc

「The Soup」
再びZiggy Zeitgeistとのインプロビゼーション。夢想の中でのセッションといったムードです。
https://www.youtube.com/watch?v=X14WgB3Joxc

「Channel Your Anger」
Ayo Salawuの力強いドラムとCrispin "Spry" Robinsonのパーカッションが牽引する、僕好みのパワフルかつリズミックなジャズ・ファンクです。南ロンドンの新世代ジャズならではの秘めたパワーを感じます。元GallianoのCrispin "Spry" Robinsonも参加しているせいかアシッド・ジャズ的な魅力もありますね。
https://www.youtube.com/watch?v=B2hpMexNsaI

「Feel Down South」
Fern Skinnerがヴォーカルで参加。Hip-Hopバンド的なアシッド・ジャズといった雰囲気の演奏がいいですね。アシッド・ジャズと共に青春時代を過ごした僕としては思わずニンマリしてしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=YE9tChS3_9M

「Aya & Bartholomew」
Oscarのギターのみのインタールード的な短い演奏。
https://www.youtube.com/watch?v=x5NI_FrOImg

「Feed The Pigs」
トラックメイカー的なセンスとカオスを感じるダークなアッパー・グルーヴが印象的な演奏です。ジャンルの枠を軽々と飛び越える南ロンドン新世代ミュージシャンらしい1曲に仕上がっているのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=dcXVlypAvKs

「Path To Someone」
三度Ziggy Zeitgeistとのインプロビゼーション。ここではアフロ・ジャズしています。
https://www.youtube.com/watch?v=FfNYpnRRzEM

「Hall Of Mirrors」
Lea Senの女性ヴォーカルをフィーチャー。ヴォーカルのみを聴いていると哀愁メロウ・ソウルですが、Sam Jonesの少しトライバルなドラムが一筋縄ではいかないムードを醸し出します。目立ちませんがGareth Lockraneのフルートもいい味出しています。
https://www.youtube.com/watch?v=QQ09wFYB8a8

「Use It Well」
本編ラストは主要レコーディング・メンバー4名による演奏で締め括ってくれます。アフロ・ジャズのようでアフロ・ジャズともまた少し違う感じがクセになります。
https://www.youtube.com/watch?v=GYWkc1xWh_A

国内盤CDには「Channel Your Anger (Live)」「Feet Down South (Live)」の2曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。

『Breathe Deep』(2020年)
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2023年02月26日

The Charles Gene Suite『Suite Nites』

南アフリカのネオソウル・プロジェクト☆The Charles Gene Suite『Suite Nites』

発表年:2023年
ez的ジャンル:南アフリカ産ネオソウル
気分は... :The Third Wave・・・

新作から南アフリカのネオソウル・プロジェクトThe Charles Gene Suiteのデビュー・アルバム『Suite Nites』です。

The Charles Gene Suiteは、Njabulo "ILLA N" PhekaniNoah Bambergerという南アフリカのミュージシャン二人が開始したプロジェクト。

国内盤ライナー・ノーツに写る写真を見る限り、この二人にRamsLaliboiMANGALISO ASIという3人のシンガーを加えた5名が中心メンバーのようです。彼らも含め総勢20名のミュージシャンがデビュー・アルバム『Suite Nites』に参加し、その20名の姿がアルバム・ジャケに描かれています。

プロデュースはNjabulo "ILLA N" PhekaniNoah Bamberger

内容は次世代ネオソウル×次世代ジャズ×ジャジー&メロウHip-Hopといった印象です。

2000年代のヴォーカル入りジャジー&メロウHip-Hopとリンクする「Dawn We Grow」「Whiskey Music」「Promises」、浮遊するエレクトリック・ファンク「Rest of Me」、ドリーミーな次世代ネオソウル「Just Sayin' (Na Na)」、次世代ジャズなインスト「Grandeur」あたりがオススメです。

それほど南アフリカということを意識せずともネオソウル、ジャズ、Hip-Hop好きの人であれば楽しめると思います。

ただし、一筋縄ではいかない感じが南アフリカなのかも?

全曲紹介しときやす。

「I Don't Sleep Anymore」
Rams, Laliboi, MANGALISO ASI, SOMESAYFEDI & Muhammad Dawjeeをフィーチャー。リード・シングルにもなったオープニング。アコースティック/オーガニックな質感を打ち出したフォーキーなネオソウルです。ラップ調ヴォーカルやジャズ感覚のフルートやサックスがいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=brlp_3EGa70

「Rest of Me」
SOMESAYFEDI & Ramsをフィーチャー。オーピニングから一転し、ダンサブルなエレクトリック・ファンクに仕上がっています。浮遊感のあるダンサブル・サウンドがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=HgQ8HWoqQS4

「Promises」
Rams, MPHO The GVN, MckNasty, Robin Fassie & Nkosi Radicalをフィーチャー。脱力系ミディアムのネオソウル/Hip-Hop。控えめながらも煌びやかなメロウ・サウンドがいいですね。ホーン・サウンドのスパイスも絶妙。
https://www.youtube.com/watch?v=pJV8UTaBS6o

「Light Aire」
Bunny Majaja & Ramsをフィーチャー。ドリーミー&ストレンジなミディアム。一筋縄ではいかないメロウ・ワールドがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=kb3KshIvLrU

「Before My Feet Hit The Ground」
Ramsをフィーチャー。ラップ調ヴォーカルのミディアム・グルーヴ。これは繋ぎの1曲といった雰囲気ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=bYlk6834x1U

「Grandeur」
Muhammad Dawjee & Volumeをフィーチャー。アルバム唯一のインスト・トラック。適度なダンサブル感が僕好み。UK次世代ジャズ好きの人であれば気に入るトラックのはず。
https://www.youtube.com/watch?v=P2ZCY3JHSEc

「Before The Sun Comes Up」
Langa Mavuso & Lerato Lichabaをフィーチャー。深遠な哀愁チューン。Langa Mavusoの切々としたヴォーカルとLerato Lichabaのギター・ソロが印象的です。後半のコズミックな雰囲気が好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=sL5X93XJYOs

「Axis」
澄み切ったビューティフル・バラード。潔い美しさにグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=BwibwDPVxts

「Howl」
MANGALISO ASI & Laliboiをフィーチャー。Hip-Hop感覚で聴き始めると気づけば南アフリカ・モードにどっぷり浸っている不思議なトラック。
https://www.youtube.com/watch?v=oSVCdISk90I

「Just Sayin' (Na Na)」
MPHO The GVN & Daev Martianをフィーチャー。次世代ネオソウルらしい僕好みのドリーミー・トラック。キュートな女性ヴォーカルが優しく包み込んでくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=eOALJrWJV2A

「Dawn We Grow」
E ^ R T H, MANGALISO ASI, Tony Supreme, Sam Turpin & Robin Fassieをフィーチャー。ジャズ・フィリーングのメロウHip-Hop。2000年代ジャジー&メロウHip-Hopがお好きな人は気に入るはず!
https://www.youtube.com/watch?v=2xWGi0Xb0nc

「Whiskey Music」
Sam Turpin, MANGALISO ASI, Robin Fassie & Ramsをフィーチャー。ジャジー&メロウ・フィーリングが心地よいHip-Hopトラック。このトラックもジャジー&メロウHip-Hopが好きだった2000年代を思い出させてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=jznoVbcBdOU

「Baningi」
Laliboi, Rams, MANGALISO ASI & Muhammad Dawjeeをフィーチャー。ラストはフォーキーに締め括ってくれます。終盤のジャジーなスパイスもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=1qQJcPgagKc

南アフリカにはまだまだ掘り出しものがありそうですね。
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2023年02月19日

Sylvie『Sylvie』

70年代リヴァイヴァル☆Sylvie『Sylvie』

発表年:2022年
ez的ジャンル:USインディー・フォーク/ロック
気分は... :初めて聴くのに懐かしい・・・

新作から、USインディー・シーンで注目を集めるBen Schwabのソロ・ユニットSylvie『Sylvie』です。

Ben Schwabは南カリフォルニア出身の男性シンガー・ソングライター/ギタリスト。

自身が率いたグループGolden Daze名義で2枚のアルバムをリリースし、近年はMichael Collinsによるサイケデリック・ロック・グループDrugdealerのアルバムに参加しています。

そんなBen Schwabが彼の父親John Schwabが70年代在籍していたバンドMad Anthonyのデモ・テープを聴いたことや、70年代初めに活動していたカントリー・ロック/フォーク・ロック・グループMatthews Southern Comfort「Sylvie」という曲にインスパイアされたことで70年代サウンドに目覚め、その流れで70年代サウンド再発見的なプロジェクトSylvieをスタートさせました。

一応、本作『Sylvie』がデビュー・アルバムとなっていますが、デビューEPの5曲に2曲を追加した30分にも満たない内容であり、ミニ・アルバム的な位置づけで聴いた方がいいのでは?

内容的には70年代好きにはたまらない、ペダル・スティールの音色にグッとくる懐かしいレイドバック感が魅力の1枚に仕上がっています。

アルバムにはL.A.出身の女性シンガー・ソングライターMarina Allenや男性シンガー・ソングライターSam Burtonといった同世代のアーティストや、父John Schwabが参加しています。

「Sylvie」以外はBen Schwabのオリジナルです。

まずはMarina Allenがリード・ヴォーカルをとる「Falls On Me」「Further Down the Road」の2曲に本作の魅力が凝縮されています。僕自身はこの2曲のために本作を購入したと言っても過言ではありません。

それ以外では、ユニット名の由来にもなったMatthews Southern Comfortのカヴァー「Sylvie」、Ben自身がヴォーカルをとるセピア色のフォーキー「Shooting Star」もオススメです。

セピア色がよく似合うレイドバックしたフォーキー・ワールドをご堪能あれ!

全曲紹介しときやす。

「Falls On Me」
Marina Allenをフィーチャー。アルバムを象徴する1曲。僕もこの曲を聴いて本作の購入を決めました。セピア色のレイドバックしたサウンドを聴いていると、初めて聴くのに懐かしい青春の思い出が甦ってきそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=ftXdpFiY-h8

「Sylvie」
ユニット名の由来にもなったMatthews Southern Comfortのカヴァー(Carl Barnwell作)。オリジナルはアルバム『Later That Same Year』(1970年)収録。Sam Burtonをフィーチャー。オリジナルの雰囲気を踏襲するフォーキー・チューンですが、オリジナル以上にあの時代の香りがするかも?

Matthews Southern Comfort「Sylvie」
 https://www.youtube.com/watch?v=VGZmzwCvQQ4

「Rosaline」
父親John Schwabのために書かれた楽曲。勿論、Johnがヴォーカルをとります。味わいのあるレイドバックしたフォーク・ロックはノスタルジックな気分に浸らせてくれます。

「Further Down the Road」
Marina Allenをフィーチャー。70年代にCarole Kingあたりが歌っていたような仕上がり。Marina Allenの歌い回しも雰囲気があっていいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=eKbbHXZlbOU

「Shooting Star」
Ben自身がヴォーカルをとるセピア色のフォーキー・チューン。都会の喧噪を忘れさせてくれるレイドバック・フィーリングがたまりません。

「50/50」
父Johnとの会話をそのまま用いたイントロに続き、本編はフォーキーなインストに仕上がっています。

「Stealing Time」
Sam Burtonをフィーチャー。ラストはワルツ調のフォーキー・チューンで締め括ってくれます。

Golden DazeDrugdealerのアルバムもチェックを!

Golden Daze『Golden Daze』(2016年)


Drugdealer『Raw Honey』(2019年)


Drugdealer『Hiding In Plain Sight』(2022年)


ご興味がある方はMarina AllenSam Burtonのアルバムもチェックしてみては?

Marina Allen『Candlepower』(2021年)


Marina Allen『Centrifics』(2022年)


Sam Burton『I Can Go With You』(2020年)
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2023年02月12日

Jose Arimatea『Brejo Das Almas』

アフロ・ブラジリアン×モーダルなジャズ作品☆Jose Arimatea『Brejo Das Almas』

発表年:2022年
ez的ジャンル:現代アフロ・ブラジリアン・ジャズ
気分は... :魂たちの沼地・・・

新作から現代アフロ・ブラジリアン・ジャズJose Arimatea『Brejo Das Almas』です。

Jose Arimateaは、ブラジル、リオデジャネイロ出身のトランペット奏者。

ブラジルの偉大なミュージシャンRoberto Menescalとの共演をきっかけに、彼のスタジオの専属ミュージシャンに抜擢され、デビュー・アルバム『The Music of Roberto Menescal』(2016年)もRoberto Menescal作品集となりました。

そんなJose Arimateaが現代アフロ・ブラジリアン・ジャズにアプローチした作品が本作『Brejo Das Almas』です。

Sylvio Fragaが2010年に設立したブラジルの注目レーベルRocinanteからのリリースです。

プロデュースはMarcelo Galter。昨年11月に当ブログでもアルバム『Bacia Do Cobre』(2022年)を紹介したバイーアのピアニストです。『Bacia Do Cobre』Rocinanteからのリリースです。

レコーディング・メンバーはJose Arimatea(tp)以下、Marcelo Galter(p、org)、Ldson Galter(b)、Luizinho do Jeje(per、vo、g)、そしてRocinanteの設立者Sylvio Fraga(g)という5名。

この5人のミュージシャンを繋いだミュージシャンがいます。2021年に惜しくも逝去した作編曲家、サックス/フルート奏者Letieres Leite。アフロ・ブラジリアンの伝統を現代に受け継いできた偉大なマエストロでした。

Marcelo Galter(p、org)、Ldson Galter(b)、Luizinho do Jeje(per、vo、g)の3人はLetieres Leiteが率いたLetieres Leite Quintetoのメンバーであり、Sylvio FragaJose ArimateaRocinanteからのリリースされたSylvio Fraga Quinteto E Letieres Leite『Cancao Da Cabra』(2021年)でLetieres Leiteと共演しています。

そんなLetieres Leiteからアフロ・ブラジリアンを受け継ぐバトンを渡されたミュージシャンたちが創り上げた現代アフロ・ブラジリアン・ジャズが本作『Brejo Das Almas』です。

前述のMarcelo Galter『Bacia Do Cobre』(2022年)にも通じるアフロ・ブラジリアン・ジャズ×現代音楽/現代ジャズ的な魅力があります。加えて、Jose Arimateaのトランペットを中心にモーダルなジャズ・エッセンスが強調されているのも本作の特徴だと思います。

“アフロ・ブラジリアン・リズムを従えたMiles Davis”といった趣があります。

現代アフロ・ブラジリアン・ジャズが切り拓く、新たなジャズ・ワールドをご堪能あれ!

全曲紹介しときやす。

「Corneteiro Lopes」
Marcelo Galter作。アフロ・ブラジリアンなリズムとモーダルなジャズ・フィーリングを融合させたミステリアスなオープニング。Jose Arimateaのクールなトランペットとアフロ・ブラジリアン・リズムという異なる音世界をMarcelo Galterのピアノがうまく橋渡ししている感じです。1つのジャズの新境地なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=9e8VcuLhk94

「Mary Lou」
Marcelo Galter/Sylvio Fraga作。再評価の高い黒人女性ピアニストMary Lou Williamsに捧げられた楽曲。Marcelo GalterのピアノとJose Arimateaのトランペットを中心とした深遠で美しいバラードですが、アフロ・ブラジリアン・リズムが加わることで、ブラック・フィーリングがより増しています。
https://www.youtube.com/watch?v=enREGgFZriU

「Tres pecas para clarineta solo」
Igor Stravinsky作。ストラヴィンスキーの無伴奏クラリネット曲をカヴァー。バイーアに連れてこられたストラヴィンスキーといった趣でクラシック×アフロ・ブラジリアンのクロスオーヴァーで楽しませてくれます。危険な香りのするジャングル地帯を彷徨っているかのような気分になります。
https://www.youtube.com/watch?v=MnzUJmVTVbI

「Brejo das almas」
Jose Arimatea/Luizinho do Jeje/Marcelo Galter/Sylvio Fraga作。タイトル曲はシブいヴォーカルと共にスタートします。軽快なブラジリアン・リズムとモーダルなジャズ演奏が融合した現代音楽的コンテンポラリー・ジャズに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=FXA5UO6Pul0

「Guru Guru」
Marcelo Galter作。Marcelo Galterの師匠であり、2021年に惜しくも逝去した偉大なミュージシャンLetieres Leiteに捧げられた1曲。ここでも現代音楽的なアフロ・ブラジリアン・ジャズで楽しませてくれます。ここでもJose Arimateaのクールなトランペットの音色がアフロ・ブラジリアン・リズムによくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=au4GsvHm00Y

「Eu me recordo」
Sylvio Fraga/Marcelo Galter作。Sylvio Fragaのギターが先導するバラード。原生林の森のような静かなるパワーを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=Wg-rJBSuLb4

ご興味がある方はSylvio Fraga Quinteto E Letieres Leite『Cancao Da Cabra』(2021年)やMarcelo Galter『Bacia Do Cobre』(2022年)もチェックを!

Sylvio Fraga Quinteto E Letieres Leite『Cancao Da Cabra』(2021年)


Marcelo Galter『Bacia Do Cobre』(2022年)
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2023年02月05日

girlpuppy『When I'm Alone』

話題の女性アーティストのデビュー・アルバム☆girlpuppy『When I'm Alone』

発表年:2022年
ez的ジャンル:女性インディー・ロック/フォーク
気分は... :ファイナル・ガール!

新作から話題の女性アーティストのデビュー・アルバムgirlpuppy『When I'm Alone』です。

先日久々に渋谷のタワレコへ行ったら本作のアナログ盤ジャケが目立つ位置にディスプレイされているのを見て、期待の女性アーティストであることを再認識しました。

ジャケ買いしたわけではありませんが、思わずジャケ買いしたくなる雰囲気のあるジャケですよね!

girlpuppyことBecca Harveyはアトランタを拠点とする女性アーティスト。

2021年にEP「Swan」でデビュー。本作『When I'm Alone』がデビュー・アルバムとなります。

カナダのレーベルRoyal Mountain Recordsからのリリースです。

プロデュースはSamuel Acchione

ソングライティングはすべてBecca Harveyらによるオリジナル。

レコーディング・メンバーはBecca Harvey(vo、tambourine)以下、Samuel Acchione(back vo、g、b、ds、per、key、syn、tambourine)、John Michael Young(g、b、ds、per、key、syn、tambourine)、Henry Stoehr(back vo、key)、Tom Sinclair(b、p、syn)、Tom Kelly(ds)、Blaise O’Brien(p)、Molly Germer (violin、strings arr)。

girlpuppyの淡々とした儚いヴォーカルにはピュアでアンニュイでキュートな魅力があります。

そんな魅力的なヴォーカルとインディー・ロックなギター・ポップ・サウンドの組み合わせが絶妙です。初めて聴くのにどこか懐かしい青春ギター・ポップといった趣がサイコーです。

最近は殆どロックを聴かなくなった僕ですが、こんなキュートなギター・ポップならば大歓迎です。

全曲紹介しときやす。

「Final Girl」
Becca Harvey/John Michael Youn/Samuel Acchione作。アルバムのイントロ。可憐な儚さを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=U7SzFeDdCGQ

「Wish」
Becca Harvey/John Michael Youn/Samuel Acchione作。シングルにもなった楽曲。インディー・ロックなギター・ポップにはアンニュイな魅力が詰まっています。
https://www.youtube.com/watch?v=7w5mYPZRmwM

「Teenage Dream」
Becca Harvey/John Michael Youn作。儚いキュートさにグッとくるギター・ポップ。girlpuppyのピュアな魅力が伝わってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=D2OrBVD0Y4o

「Swallow」
Becca Harvey/Samuel Acchione作。girlpuppyの透明感のある歌声が映える青春ギター・ポップ。甘酸っぱい香りがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=obOdIx7ZRys

「Somewhere」
Becca Harvey/Samuel Acchione作。消え入りそうな儚いgirlpuppyの歌声が印象的な内省フォーキー。
https://www.youtube.com/watch?v=cLNToIqxvOc

「I Want To Be There」
Becca Harvey/John Michael Youn/Samuel Acchione作。軽やかに疾走するサウンドと儚げなgirlpuppyの歌声が織り成すフォーキー・ロック。こういう雰囲気好きです!
https://www.youtube.com/watch?v=3Vc5GlHygXQ

「Denver」
Becca Harvey/John Michael Youn作。躍動するギター・ポップ。キーボードによるアクセントも印象的です。80年代ニューウェイヴ/エレポップ好きの人も気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=pMHa7k3jUEo

「Revenant」
Becca Harvey/John Michael Youn/Samuel Acchione/Tom Sinclair作。ピュア&キュートなgirlpuppyの歌声に癒される青春ポップ。美しいストリングスも効果的です。
https://www.youtube.com/watch?v=Sga99BdSJjU

「Emma Marie」
Becca Harvey/Samuel Acchione作。ピュアなgirlpuppyの歌声を満喫できるビューティフル・フォーキー。牧歌的な雰囲気も印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=1RbXPcBHgi4

「Destroyer」
Becca Harvey/John Michael Youn/Samuel Acchione作。王道フォーキーな疾走感が印象的なフォーク・ロック。淡々としたgirlpuppyの語り口が逆に刺さります。
https://www.youtube.com/watch?v=8ukrS5LhTU0

「When I'm Alone」
Becca Harvey/Samuel Acchione作。タイトル曲は少しレイジーな哀愁フォーキー。引き算の美学を感じるトラックです。
https://www.youtube.com/watch?v=vSTBlOhnr-U

「Permanent State」
Becca Harvey/John Michael Youn作。ラストはインディー・ロックなギター・ポップで締め括ってくれます。儚げな歌声とロック・サウンドの組み合わせにヤラれてしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=JOyzf1qem28

ご興味がある方は、デビューEP「Swan」(2021年)もチェックを!

「Swan」(2021年)
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