発表年:2022年
ez的ジャンル:現代アフロ・ブラジリアン・ジャズ
気分は... :魂たちの沼地・・・
新作から現代アフロ・ブラジリアン・ジャズJose Arimatea『Brejo Das Almas』です。
Jose Arimateaは、ブラジル、リオデジャネイロ出身のトランペット奏者。
ブラジルの偉大なミュージシャンRoberto Menescalとの共演をきっかけに、彼のスタジオの専属ミュージシャンに抜擢され、デビュー・アルバム『The Music of Roberto Menescal』(2016年)もRoberto Menescal作品集となりました。
そんなJose Arimateaが現代アフロ・ブラジリアン・ジャズにアプローチした作品が本作『Brejo Das Almas』です。
Sylvio Fragaが2010年に設立したブラジルの注目レーベルRocinanteからのリリースです。
プロデュースはMarcelo Galter。昨年11月に当ブログでもアルバム『Bacia Do Cobre』(2022年)を紹介したバイーアのピアニストです。『Bacia Do Cobre』もRocinanteからのリリースです。
レコーディング・メンバーはJose Arimatea(tp)以下、Marcelo Galter(p、org)、Ldson Galter(b)、Luizinho do Jeje(per、vo、g)、そしてRocinanteの設立者Sylvio Fraga(g)という5名。
この5人のミュージシャンを繋いだミュージシャンがいます。2021年に惜しくも逝去した作編曲家、サックス/フルート奏者Letieres Leite。アフロ・ブラジリアンの伝統を現代に受け継いできた偉大なマエストロでした。
Marcelo Galter(p、org)、Ldson Galter(b)、Luizinho do Jeje(per、vo、g)の3人はLetieres Leiteが率いたLetieres Leite Quintetoのメンバーであり、Sylvio FragaとJose ArimateaはRocinanteからのリリースされたSylvio Fraga Quinteto E Letieres Leite『Cancao Da Cabra』(2021年)でLetieres Leiteと共演しています。
そんなLetieres Leiteからアフロ・ブラジリアンを受け継ぐバトンを渡されたミュージシャンたちが創り上げた現代アフロ・ブラジリアン・ジャズが本作『Brejo Das Almas』です。
前述のMarcelo Galter『Bacia Do Cobre』(2022年)にも通じるアフロ・ブラジリアン・ジャズ×現代音楽/現代ジャズ的な魅力があります。加えて、Jose Arimateaのトランペットを中心にモーダルなジャズ・エッセンスが強調されているのも本作の特徴だと思います。
“アフロ・ブラジリアン・リズムを従えたMiles Davis”といった趣があります。
現代アフロ・ブラジリアン・ジャズが切り拓く、新たなジャズ・ワールドをご堪能あれ!
全曲紹介しときやす。
「Corneteiro Lopes」
Marcelo Galter作。アフロ・ブラジリアンなリズムとモーダルなジャズ・フィーリングを融合させたミステリアスなオープニング。Jose Arimateaのクールなトランペットとアフロ・ブラジリアン・リズムという異なる音世界をMarcelo Galterのピアノがうまく橋渡ししている感じです。1つのジャズの新境地なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=9e8VcuLhk94
「Mary Lou」
Marcelo Galter/Sylvio Fraga作。再評価の高い黒人女性ピアニストMary Lou Williamsに捧げられた楽曲。Marcelo GalterのピアノとJose Arimateaのトランペットを中心とした深遠で美しいバラードですが、アフロ・ブラジリアン・リズムが加わることで、ブラック・フィーリングがより増しています。
https://www.youtube.com/watch?v=enREGgFZriU
「Tres pecas para clarineta solo」
Igor Stravinsky作。ストラヴィンスキーの無伴奏クラリネット曲をカヴァー。バイーアに連れてこられたストラヴィンスキーといった趣でクラシック×アフロ・ブラジリアンのクロスオーヴァーで楽しませてくれます。危険な香りのするジャングル地帯を彷徨っているかのような気分になります。
https://www.youtube.com/watch?v=MnzUJmVTVbI
「Brejo das almas」
Jose Arimatea/Luizinho do Jeje/Marcelo Galter/Sylvio Fraga作。タイトル曲はシブいヴォーカルと共にスタートします。軽快なブラジリアン・リズムとモーダルなジャズ演奏が融合した現代音楽的コンテンポラリー・ジャズに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=FXA5UO6Pul0
「Guru Guru」
Marcelo Galter作。Marcelo Galterの師匠であり、2021年に惜しくも逝去した偉大なミュージシャンLetieres Leiteに捧げられた1曲。ここでも現代音楽的なアフロ・ブラジリアン・ジャズで楽しませてくれます。ここでもJose Arimateaのクールなトランペットの音色がアフロ・ブラジリアン・リズムによくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=au4GsvHm00Y
「Eu me recordo」
Sylvio Fraga/Marcelo Galter作。Sylvio Fragaのギターが先導するバラード。原生林の森のような静かなるパワーを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=Wg-rJBSuLb4
ご興味がある方はSylvio Fraga Quinteto E Letieres Leite『Cancao Da Cabra』(2021年)やMarcelo Galter『Bacia Do Cobre』(2022年)もチェックを!
Sylvio Fraga Quinteto E Letieres Leite『Cancao Da Cabra』(2021年)
Marcelo Galter『Bacia Do Cobre』(2022年)