2023年02月12日

Jose Arimatea『Brejo Das Almas』

アフロ・ブラジリアン×モーダルなジャズ作品☆Jose Arimatea『Brejo Das Almas』

発表年:2022年
ez的ジャンル:現代アフロ・ブラジリアン・ジャズ
気分は... :魂たちの沼地・・・

新作から現代アフロ・ブラジリアン・ジャズJose Arimatea『Brejo Das Almas』です。

Jose Arimateaは、ブラジル、リオデジャネイロ出身のトランペット奏者。

ブラジルの偉大なミュージシャンRoberto Menescalとの共演をきっかけに、彼のスタジオの専属ミュージシャンに抜擢され、デビュー・アルバム『The Music of Roberto Menescal』(2016年)もRoberto Menescal作品集となりました。

そんなJose Arimateaが現代アフロ・ブラジリアン・ジャズにアプローチした作品が本作『Brejo Das Almas』です。

Sylvio Fragaが2010年に設立したブラジルの注目レーベルRocinanteからのリリースです。

プロデュースはMarcelo Galter。昨年11月に当ブログでもアルバム『Bacia Do Cobre』(2022年)を紹介したバイーアのピアニストです。『Bacia Do Cobre』Rocinanteからのリリースです。

レコーディング・メンバーはJose Arimatea(tp)以下、Marcelo Galter(p、org)、Ldson Galter(b)、Luizinho do Jeje(per、vo、g)、そしてRocinanteの設立者Sylvio Fraga(g)という5名。

この5人のミュージシャンを繋いだミュージシャンがいます。2021年に惜しくも逝去した作編曲家、サックス/フルート奏者Letieres Leite。アフロ・ブラジリアンの伝統を現代に受け継いできた偉大なマエストロでした。

Marcelo Galter(p、org)、Ldson Galter(b)、Luizinho do Jeje(per、vo、g)の3人はLetieres Leiteが率いたLetieres Leite Quintetoのメンバーであり、Sylvio FragaJose ArimateaRocinanteからのリリースされたSylvio Fraga Quinteto E Letieres Leite『Cancao Da Cabra』(2021年)でLetieres Leiteと共演しています。

そんなLetieres Leiteからアフロ・ブラジリアンを受け継ぐバトンを渡されたミュージシャンたちが創り上げた現代アフロ・ブラジリアン・ジャズが本作『Brejo Das Almas』です。

前述のMarcelo Galter『Bacia Do Cobre』(2022年)にも通じるアフロ・ブラジリアン・ジャズ×現代音楽/現代ジャズ的な魅力があります。加えて、Jose Arimateaのトランペットを中心にモーダルなジャズ・エッセンスが強調されているのも本作の特徴だと思います。

“アフロ・ブラジリアン・リズムを従えたMiles Davis”といった趣があります。

現代アフロ・ブラジリアン・ジャズが切り拓く、新たなジャズ・ワールドをご堪能あれ!

全曲紹介しときやす。

「Corneteiro Lopes」
Marcelo Galter作。アフロ・ブラジリアンなリズムとモーダルなジャズ・フィーリングを融合させたミステリアスなオープニング。Jose Arimateaのクールなトランペットとアフロ・ブラジリアン・リズムという異なる音世界をMarcelo Galterのピアノがうまく橋渡ししている感じです。1つのジャズの新境地なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=9e8VcuLhk94

「Mary Lou」
Marcelo Galter/Sylvio Fraga作。再評価の高い黒人女性ピアニストMary Lou Williamsに捧げられた楽曲。Marcelo GalterのピアノとJose Arimateaのトランペットを中心とした深遠で美しいバラードですが、アフロ・ブラジリアン・リズムが加わることで、ブラック・フィーリングがより増しています。
https://www.youtube.com/watch?v=enREGgFZriU

「Tres pecas para clarineta solo」
Igor Stravinsky作。ストラヴィンスキーの無伴奏クラリネット曲をカヴァー。バイーアに連れてこられたストラヴィンスキーといった趣でクラシック×アフロ・ブラジリアンのクロスオーヴァーで楽しませてくれます。危険な香りのするジャングル地帯を彷徨っているかのような気分になります。
https://www.youtube.com/watch?v=MnzUJmVTVbI

「Brejo das almas」
Jose Arimatea/Luizinho do Jeje/Marcelo Galter/Sylvio Fraga作。タイトル曲はシブいヴォーカルと共にスタートします。軽快なブラジリアン・リズムとモーダルなジャズ演奏が融合した現代音楽的コンテンポラリー・ジャズに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=FXA5UO6Pul0

「Guru Guru」
Marcelo Galter作。Marcelo Galterの師匠であり、2021年に惜しくも逝去した偉大なミュージシャンLetieres Leiteに捧げられた1曲。ここでも現代音楽的なアフロ・ブラジリアン・ジャズで楽しませてくれます。ここでもJose Arimateaのクールなトランペットの音色がアフロ・ブラジリアン・リズムによくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=au4GsvHm00Y

「Eu me recordo」
Sylvio Fraga/Marcelo Galter作。Sylvio Fragaのギターが先導するバラード。原生林の森のような静かなるパワーを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=Wg-rJBSuLb4

ご興味がある方はSylvio Fraga Quinteto E Letieres Leite『Cancao Da Cabra』(2021年)やMarcelo Galter『Bacia Do Cobre』(2022年)もチェックを!

Sylvio Fraga Quinteto E Letieres Leite『Cancao Da Cabra』(2021年)


Marcelo Galter『Bacia Do Cobre』(2022年)
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2023年02月05日

girlpuppy『When I'm Alone』

話題の女性アーティストのデビュー・アルバム☆girlpuppy『When I'm Alone』

発表年:2022年
ez的ジャンル:女性インディー・ロック/フォーク
気分は... :ファイナル・ガール!

新作から話題の女性アーティストのデビュー・アルバムgirlpuppy『When I'm Alone』です。

先日久々に渋谷のタワレコへ行ったら本作のアナログ盤ジャケが目立つ位置にディスプレイされているのを見て、期待の女性アーティストであることを再認識しました。

ジャケ買いしたわけではありませんが、思わずジャケ買いしたくなる雰囲気のあるジャケですよね!

girlpuppyことBecca Harveyはアトランタを拠点とする女性アーティスト。

2021年にEP「Swan」でデビュー。本作『When I'm Alone』がデビュー・アルバムとなります。

カナダのレーベルRoyal Mountain Recordsからのリリースです。

プロデュースはSamuel Acchione

ソングライティングはすべてBecca Harveyらによるオリジナル。

レコーディング・メンバーはBecca Harvey(vo、tambourine)以下、Samuel Acchione(back vo、g、b、ds、per、key、syn、tambourine)、John Michael Young(g、b、ds、per、key、syn、tambourine)、Henry Stoehr(back vo、key)、Tom Sinclair(b、p、syn)、Tom Kelly(ds)、Blaise O’Brien(p)、Molly Germer (violin、strings arr)。

girlpuppyの淡々とした儚いヴォーカルにはピュアでアンニュイでキュートな魅力があります。

そんな魅力的なヴォーカルとインディー・ロックなギター・ポップ・サウンドの組み合わせが絶妙です。初めて聴くのにどこか懐かしい青春ギター・ポップといった趣がサイコーです。

最近は殆どロックを聴かなくなった僕ですが、こんなキュートなギター・ポップならば大歓迎です。

全曲紹介しときやす。

「Final Girl」
Becca Harvey/John Michael Youn/Samuel Acchione作。アルバムのイントロ。可憐な儚さを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=U7SzFeDdCGQ

「Wish」
Becca Harvey/John Michael Youn/Samuel Acchione作。シングルにもなった楽曲。インディー・ロックなギター・ポップにはアンニュイな魅力が詰まっています。
https://www.youtube.com/watch?v=7w5mYPZRmwM

「Teenage Dream」
Becca Harvey/John Michael Youn作。儚いキュートさにグッとくるギター・ポップ。girlpuppyのピュアな魅力が伝わってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=D2OrBVD0Y4o

「Swallow」
Becca Harvey/Samuel Acchione作。girlpuppyの透明感のある歌声が映える青春ギター・ポップ。甘酸っぱい香りがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=obOdIx7ZRys

「Somewhere」
Becca Harvey/Samuel Acchione作。消え入りそうな儚いgirlpuppyの歌声が印象的な内省フォーキー。
https://www.youtube.com/watch?v=cLNToIqxvOc

「I Want To Be There」
Becca Harvey/John Michael Youn/Samuel Acchione作。軽やかに疾走するサウンドと儚げなgirlpuppyの歌声が織り成すフォーキー・ロック。こういう雰囲気好きです!
https://www.youtube.com/watch?v=3Vc5GlHygXQ

「Denver」
Becca Harvey/John Michael Youn作。躍動するギター・ポップ。キーボードによるアクセントも印象的です。80年代ニューウェイヴ/エレポップ好きの人も気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=pMHa7k3jUEo

「Revenant」
Becca Harvey/John Michael Youn/Samuel Acchione/Tom Sinclair作。ピュア&キュートなgirlpuppyの歌声に癒される青春ポップ。美しいストリングスも効果的です。
https://www.youtube.com/watch?v=Sga99BdSJjU

「Emma Marie」
Becca Harvey/Samuel Acchione作。ピュアなgirlpuppyの歌声を満喫できるビューティフル・フォーキー。牧歌的な雰囲気も印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=1RbXPcBHgi4

「Destroyer」
Becca Harvey/John Michael Youn/Samuel Acchione作。王道フォーキーな疾走感が印象的なフォーク・ロック。淡々としたgirlpuppyの語り口が逆に刺さります。
https://www.youtube.com/watch?v=8ukrS5LhTU0

「When I'm Alone」
Becca Harvey/Samuel Acchione作。タイトル曲は少しレイジーな哀愁フォーキー。引き算の美学を感じるトラックです。
https://www.youtube.com/watch?v=vSTBlOhnr-U

「Permanent State」
Becca Harvey/John Michael Youn作。ラストはインディー・ロックなギター・ポップで締め括ってくれます。儚げな歌声とロック・サウンドの組み合わせにヤラれてしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=JOyzf1qem28

ご興味がある方は、デビューEP「Swan」(2021年)もチェックを!

「Swan」(2021年)
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2023年01月29日

Jose James『On & On』

Erykah Baduへのトリビュート☆Jose James『On & On』

発表年:2023年
ez的ジャンル:新世代男性ジャズ・シンガー
気分は... :換骨奪胎!

新作から当ブログでもお馴染みの男性シンガーJose Jamesの最新作『On & On』です。

1978年ミネアポリス生まれの男性ジャズ・シンガーJose Jamesについて、これまで当ブログで紹介した作品は以下の9枚。

 『The Dreamer』(2007年)
 『Blackmagic』(2010年)
 『No Beginning No End』(2013年)
 『While You Were Sleeping』(2014年)
 『Yesterday I Had The Blues』(2015年)
 『Love In A Time Of Madness』(2017年)
 『Lean On Me』(2018年)
 『No Beginning No End 2』(2020年)
 『New York 2020』(2021年)

かつてBill Withersのカヴァー・アルバム『Lean On Me』(2018年)をリリースしたJose Jamesですが、本作『On & On』ではネオソウルを代表する女性R&BシンガーErykah Baduのカヴァーに挑んでいます。

プロデュースはJose James自身。

レコーディング・メンバーはJose James(vo)以下、Ben Williams(b)、Jharis Yokely(ds)、Big Yuki(p、el-p、el-org、syn)、Ebban Dorsey(as)、Diana Dzhabbar(as、fl)。彼のレギュラー・メンバーに二人の新進気鋭の女性サックス奏者がフィーチャリングされている編成です。

基本的にはErykah Baduのオリジナルを活かしたカヴァーが多いですが、あまりネオソウル/R&Bに寄りすぎず、あくまでジャズ・フィーリングの仕上がりになっているのがいいですね。

Jose JamesErykah Badu共に大好きな僕としては、オリジナルと聴き比べながら楽しんでいます。

換骨奪胎な逸品をぜひお試しあれ!

全曲紹介しときやす。

「On & On」
Erykah Baduの代表曲であり、デビュー・ヒット(Erykah Badu/Jaborn Jamal作)。オリジナルはデビュー・アルバム『Baduizm』(1997年)収録。オリジナルにはないスピリチュアル・ジャズ調のドラマティックなイントロが1分半ほど展開されてから本編に入ります。本編はオリジナルの雰囲気を受け継ぎつつ、よりジャジーな味わいのジャズ・シンガーらしいヴァージョンに仕上がっています。ネオソウルとジャズのいいとこ取りしたJose Jamesらしい美学を感じるオープニングです。
https://www.youtube.com/watch?v=Fxe1458oFG0

Erykah Badu「On & On」
 https://www.youtube.com/watch?v=TW28iWV7nxE
From 『Baduizm』(1997年)


「Didn't Cha Know」
Erykah Badu/J Dilla/Phil Clendeninn作。オリジナルは『Mama's Gun』(2000年)収録。オリジナルの雰囲気を持ちながらも、味わいのあるJose Jamesらしい語り口のカヴァーに仕上がっています。派手さはありませんが、Ben Williams(b)、Jharis Yokely(ds)、Big Yuki(key)のバックングがサイコーですね。Ebban Dorseyのサックスも控えめな感じが逆に良いです。
https://www.youtube.com/watch?v=T6fGplIamXY

Erykah Badu「Didn't Cha Know」
 https://www.youtube.com/watch?v=Np21rH7Ldto
From 『Mama's Gun』(2000年)
Mama's Gun

「Green Eyes」
Erykah Badu/James Poyser/Victor Cooke作。オリジナルは『Mama's Gun』(2000年)収録。元々がジャズ・フィーリングのトラックなので、このカヴァーはハマりますよね。Big Yukiの鍵盤が雰囲気を盛り上げてくれます。終盤の浮遊したムードもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=kjbkg9-4gAA

Erykah Badu「Green Eyes」
 https://www.youtube.com/watch?v=RPFyeCmHXjY
From 『Mama's Gun』(2000年)
Mama's Gun

「The Healer」
Erykah Badu/Madlib/Daniel Bangalter/Malcolm McLaren作。オリジナルは『New Amerykah: Part One (4th World War)』(2008年)収録。オリジナルはErykah様の個性全開のクセ強めのトラックだったので、Joseがどのようにカヴァーするのか楽しみでした。オリジナルのビート感やミステリアス感を活かしつつ、Joseの低音ヴォーカルが演奏に落ち着きをもたらしているのが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=hhcu7zidL7U

Erykah Badu「The Healer」
 https://www.youtube.com/watch?v=n25vseUQdK8
From 『New Amerykah: Part One (4th World War)』(2008年)


「Gone Baby, Don't Be Long」
Erykah Badu/Shafiq HusaynPaul McCartney作。オリジナルは『New Amerykah Part Two: Return Of The Ankh』(2010年)収録。オリジナルはハイパーなダンサブル感が印象的でしたが、ここではビート感は活かしつつも、ジャズ・フィーリングが印象的なカヴァーに仕上がっています。Big Yukiのシンセがハイパーな味わいをうまく醸し出しています。
https://www.youtube.com/watch?v=-rv8elfMNPc

Erykah Badu「Gone Baby, Don't Be Long」
 https://www.youtube.com/watch?v=Vnt9XZjqxsc
From 『New Amerykah Part Two: Return Of The Ankh』(2010年)
New Amerykah Part Two: Return of the Ankh

「Out My Mind, Just In Time」
Erykah Badu/Georgia Anne Muldrow/James Poyser作。オリジナルは『New Amerykah Part Two: Return Of The Ankh』(2010年)収録。オリジナルもジャズ調バラードだったので、これはJoseがやればフィットしますよね。ある意味オリジナル以上の味わいのあるバラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=ymDz9mdtq0o

Erykah Badu「Out My Mind, Just In Time」
 https://www.youtube.com/watch?v=2j4qvVyRgRk
From 『New Amerykah Part Two: Return Of The Ankh』(2010年)
New Amerykah Part Two: Return of the Ankh

「Bag Lady」
USチャート第6位となったヒット曲であり、「On & On」と並ぶErykah様の代表曲です。Erykah Badu/Shaun Martin/Isaac Hayes/Dr. Dre/Craig Longmiles/Hittman/Nate Dogg/Kurupt作。オリジナルは『Mama's Gun』(2000年)収録。Erykah Baduらしさがよく出たネオソウル名曲をうまくJose James仕様にしていますね。ジャズでありながらしっかりネオソウルしているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=O2WqJj5AdIA

Erykah Badu「Bag Lady」
 https://www.youtube.com/watch?v=OqN0jsSeqPo
From 『Mama's Gun』(2000年)
Mama's Gun

Jose Jamesの他作品もチェックを!

『The Dreamer』(2007年)
The Dreamer [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック3曲収録 / 国内盤] (BRC369)

『Blackmagic』(2010年)
Blackmagic [帯解説・ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] 期間限定廉価盤 (BRC246Z)

Jose James & Jef Neve『For All We Know』(2010年)
For All We Know

『No Beginning No End』(2013年)
ノー・ビギニング・ノー・エンド

『While You Were Sleeping』(2014年)
While You Were Sleeping

『Yesterday I Had The Blues』(2015年)
イエスタデイ・アイ・ハド・ザ・ブルース

『Love In A Time Of Madness』(2017年)
ラヴ・イン・ア・タイム・オブ・マッドネス

『Lean On Me』(2018年)
リーン・オン・ミー

『No Beginning No End 2』(2020年)
ノー・ビギニング・ノー・エンド 2

『New York 2020』(2021年)
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2023年01月22日

Hil St. Soul『Back In Love』

14年ぶりの復活作☆Hil St. Soul『Back In Love』

発表年:2022年
ez的ジャンル:UKレディ・ソウル
気分は... :ヴィヴィッドなジャケ!

新作からUK女性ソウル・シンガーHilary Mwelwaのソロ・ユニットHil St. Soul、14年ぶりの復活アルバム『Back In Love』です。

元々はザンビア出身ロンドン育ちの女性シンガーHilary MwelwaとプロデューサーVictor Redwood-Sawyer(VRS)の2人によるユニットであったHil St. Soul。これまで当ブログで紹介したのは以下の4枚。

 『Soul Organic』(1999年)
 『Copasetik And Cool』(2002年)
 『SOULidified』(2006年)
 『Black Rose』(2008年)

Hilary Mwelwaのソロ・ユニットとして復活した14年ぶりの新作『Back In Love』

Regi MyrixLorenzo JohnsonというUSプロデューサーをメイン・プロデューサーに据え、奇をてらわない良質のソウルを届けてくれました。

僕の場合、●●年ぶりの復活作の類いは基本的にあまり手を出さないタイプなのですが、そのブランクを感じさせない若々しい歌声に魅せられ、本作を購入しました。

Ohio Playersのカヴァー「Heaven Must Be Like This」以外はオリジナルです。

爽快ステッパーズ「One Life」、僕の一番のお気に入りのソウル・ダンサー「Love & Fire」、アルバムに先駆け2020年にシングル・リリースされた「In My Groove」、グルーヴィー・ソウルの「Party On」「Fingerprints」、US男性ソウル・シンガーNoel Gourdinとデュエットした「Blessed」「Amazing」、さらに前述の
Ohio Playersのカヴァー「Heaven Must Be Like This」など充実の全11トラックです。

ヴィヴィッドなのはジャケだけではない!

全曲紹介しときやす。

「One Life」
アルバムに先駆け2020年にシングル・リリースされた楽曲がオープニング。Regi Myrixプロデュース。爽快ステッパーズでダンサブルに躍動します。何よりHilaryのヴォーカルが14年というブランクを感じさせず若々しいのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=HXObrx4AfP8

「Blessed」
Lorenzo Johnsonプロデュース。Noel Gourdinをフィーチャー。ソウルフルな魅力に溢れたミディアムで素敵な男女デュエットを聴かせてくれます。ジワジワと伝わってくるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=O9t4DDAw1Hw

「Heaven Must Be Like This」
Ohio Playersのカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Skin Tight』(1974年)収録。オリジナルも大好きですが、オリジナルをさらにメロウに洗練された本ヴァージョンも天国モードの絶品スロウに仕上がっています。Prince Damonsプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=CFSPLj4DJ5U

Ohio Players「Heaven Must Be Like This」
 https://www.youtube.com/watch?v=j72GS7aRIcU

「A Feeling So Beautiful」
Regi Myrixプロデュース。Hilaryの伸びやかなソウルフル・ヴォーカルを満喫できるビューティフルなミディアム。
https://www.youtube.com/watch?v=t3ZFpovPuao

「Party On」
Lorenzo Johnsonプロデュース。僕好みのグルーヴィー・ソウル。ダンサブルですが気負わずリラックスした感じがいいですね。聴いていると自然に体を揺らしてしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=JX833sAnXIw

「Amazing」
Regi Myrixプロデュース。再びNoel Gourdinとのデュエット。オルガンの音色にグッとくるヴィンテージ・ソウル調の仕上がりがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=p5SThKDvs_E

「King」
Lorenzo Johnsonプロデュース。オーセンティックなソウル・バラードです。Hilaryの艶やかなヴォーカルには王道バラードもよく似合います。
https://www.youtube.com/watch?v=9IIbd61LVSI

「Love & Fire」
Regi Myrixプロデュース。僕の一番のお気に入り。スケールの大きなソウル・ダンサー。Hilaryの衰え知らずの若々しいヴォーカルが聴く者をポジティブなヴァイヴで包み込んでくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=gJR4t8-AWFY

「In My Groove」
Regi Myrixプロデュース。アルバムに先駆け2020年にシングル・リリースされた楽曲。さり気ないですが、ジワジワとHilaryのソウルフル・ヴォーカルが伝わってくる素敵なソウル・バラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=6i6l7lfBeIs

「Sweet Heaven」
OJ (Ofer Shabi)プロデュース。アコースティックな質感のミディアム。さり気なさが魅力です。
https://www.youtube.com/watch?v=a8h2uo64f3Y

「Fingerprints」
Lorenzo Johnsonプロデュース。最後はビートによる輪郭を強調したソウル・グルーヴで締め括ってくれます。Hilaryの艶やかなソウルフル・ヴォーカルも満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=GYXUzYLrurI

Hil St. Soulの過去記事もご参照下さい。

『Soul Organic』(1999年)
ソウル・オーガニック

『Copasetik And Cool』(2002年)
Copasetik & Cool

『SOULidified』(2006年)
Soulidified

『Black Rose』(2008年)
Black Rose
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2023年01月15日

Joel Sarakula『Island Time』

ブルーアイド・ソウル/AOR色の強い1枚☆Joel Sarakula『Island Time』

発表年:2022年
ez的ジャンル:ブルーアイド・ソウル/AOR
気分は... :サクラ色のAOR・・・

新作からブルーアイド・ソウル/AOR色の強い男性シンガー・ソングライター作品、Joel Sarakula『Island Time』です。

Joel Sarakulaはオーストラリア、シドニー出身、現在はUKを拠点とする男性シンガー・ソングライター。

ドイツの注目レーベルLegere Recordingsから『Love Club』(2018年)をリリースした頃から、ブルーアイド・ソウル/AOR路線で注目されるようになります。Legere Recordingsといえば、当ブログでも紹介した人気AORデュオYoung Gun Silver Foxの所属レーベルとして知られていますね。

本作『Island Time』は、『Love Club』(2018年)、『Companionship』(2020年)に続くLegereからの第3弾アルバムとなります。

本作『Island Time』は、前作『Love Club』(2018年)における70〜80年代ウエスコースト・サウンド寄りのブルーアイド・ソウル/AOR路線をさらに推し進めた内容となっています。

本作の注目は、前作にも参加していたThe JazzinvadersPhil Martin(本作ではTimothy van der Holst名義)の関与がより大きくなり、2人のコラボ色が強くなっている点です。

Phil MartinTimothy van der Holst)が参加するユニットのMartin & GarpDawn PatrolLegere Recordingsのレーベル・メイトでもあります。

Joel SarakulaPhil Martin(ds、per)、Xavier Clarke(g、b、back vo)の3人がレコーディングの基本メンバー。さらに女性コーラスや他ミュージシャンがオーバーダビングしています。

プロデュースはJoel Sarakula自身。

「Lonely Town」「Sun Goes Down」のようなダンサブルな曲もありますが、抑えたトーンのさり気ないブルーアイド・ソウルに本作の魅力を感じます。「Love My Shadow」「Work For Love」「Give It Up For Nature」あたりですね。

Joel自身がフェイバリットに挙げている「Truth」、ブラジル音楽のエッセンスを取り入れた「Dream Life」「Dinosaur」あたりもオススメです。

Young Gun Silver Foxあたりがお好きな人はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「Love My Shadow」
ブルーアイド・ソウル色の強いオープニング。抑えたトーンの都会的なサウンドは80年代AORがお好きな人であれば気に入るはず。歌詞はユング哲学にインスパイアされたものなのだとか。

「Sun Goes Down」
アーバンなメロウ・ダンサー。哀愁モードで疾走していきます。Joelのブルーアイド・ソウルなヴォーカルがサウンドとよく調和しています。

「Work For Love」
僕好みのブルーアイド・ソウル/AOR。派手さはないけど緻密に計算されたAORワールドを満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=BaJ7teYa-ls

「Tragic」
ウエストコース路線のメロウ・サウンドが心地よい1曲。何処となく甘酸っぱい懐かしさがあるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=QkLxpSAzAKU

「Give It Up For Nature」
これも僕好みのブルーアイド・ソウル/AOR。哀愁メロウなAORワールドで80年代にタイムトリップさせてくれます。

「Lonely Town」
Joel Sarakula流のディスコ・ダンサー。甘く妖しいアーバン・ナイト感がいいですね。(良い意味で)チープなJamiroquaiといった雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=gn7t3tj7_mw

「Island Time」
レゲエ・サウンドを取り入れたタイトル曲。アイランド・タイムなのに哀愁モードなのが本作らしいのかも?

「Truth」
Joel自身がフェイバリットに挙げているトラック。ポスト・トランプの世界における"真実"をテーマにしたバラードです。Joelのブルーアイド・ソウルな魅力を味わえます。

「Dream Life」
ボッサ・フィーリングのメロウ・チューンで楽しませてくれます。ボッサ大好きな僕には嬉しいアクセントです。

「Dinosaur」
ラストもブラジル音楽のエッセンスを取り入れたブルーアイド・ソウルで締め括ってくれます。ここでもさり気なさが魅力です。

Joel Sarakulaの他作品もチェックを!

『Souvenirs』(2008年)


『The Golden Age』(2013年)


『The Imposter』(2015年)


『Love Club』(2018年)


『Companionship』(2020年)


ご興味がある方は共にPhil MartinTimothy van der Holst)が参加するユニットであると同時に、Legere Recordingsのレーベル・メイトであるMartin & GarpDawn Patrolの作品もチェックを!

Martin & Garp『Sentimental Fools』(2020年)


Dawn Patrol『Bring On The Good Times』(2022年)
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