2023年01月08日

Delfina Mancardo『Octante』

アルゼンチン女性SSW、期待の新星のデビュー作☆Delfina Mancardo『Octante』

発表年:2022年
ez的ジャンル:アルゼンチン女性シンガー・ソングライター
気分は... :八分儀の向こうにあるのは・・・

2023年最初の新作はアルゼンチンの女性シンガー・ソングライターDelfina Mancardoのデビュー・アルバム『Octante』です。

全8曲約26分。フル・アルバムというよりミニ・アルバムに近い長さですが、中身はかなり充実しています。

Delfina Mancardoはアルゼンチン、ブエノスアイレス出身の女性シンガー・ソングライター。

2019年に配信シングル「Fin」でミュージシャンとしての本格的活動をスタート。本作『Octante』がデビュー・アルバムとなります。

楽曲はすべてDelfina Mancardoのオリジナル。

Daniel Schnockがプロデュース&アレンジを手掛けています。

Delfina MancardoDaniel Schnockが本作のヒントとしたのは、ブラジル、リオのオルタナ・ポップ第三世代アーティストRubel『Casas』(2018年)なのだとか。当ブログでも『ezが選ぶ2019年の10枚』にセレクトしたお気に入りの1枚です。

それ以外にもDelfina Mancardoは、Joni MitchellなどのUSシンガー・ソングライター、Carlos AguirreAca Seca Trioなどのアルゼンチン・コンテンポラリー・フォルクローレ、Moonchildなどの次世代ネオソウルからも影響を受けているようです。

個人的にはMoonchildあたりが好きな人も楽しめる1枚なのではないかと感じました。

初めて聴くのに、どこか懐かしさを感じる安らいだ雰囲気がいいですね。室内楽的なエッセンスを違和感なく取り入れている点も印象的です。

とりあえず、「Paraguas Multicolor」「Little Red Boat」「Laugh Some More」あたりを聴けば、本作の魅力を実感できると思います。

アルバム・タイトルの『Octante』とは、八分儀(航海などで用いられる水平方向の角度を測るための道具)のことです。

大海に乗り出したDelfina Mancardoが八分儀を用いて目指す場所はどこか?
これからが楽しみなアーティストです。

全曲紹介しときやす。

「N16°31.55’. E111°46.1’」
"ドラゴンホール"と呼ばれる中国近海の地球上で最も深いブルーホールの経度・緯度がタイトルとなったオープニング。ピアノとヴォーカルの多重録音による、どこか懐かしさを感じるアルバムのプロローグ。
https://www.youtube.com/watch?v=5QPZRJd-05w

「Desandar」
室内楽的な雰囲気をうまく取り込んだ1曲。それでも背伸びしすぎず、普段着モードのナチュラルさがいいですね。みずみずしい美しさが魅力です。
https://www.youtube.com/watch?v=HnnCrqxKui0

「Laugh Some More」
英語で歌われているせいか、Moonchildなどの陽だまり系次世代ネオソウルに通じる魅力があります。Moonchild大好きな僕は大歓迎です。
https://www.youtube.com/watch?v=w9q2Mt3EP0Q

「rompiente」
1分半に満たない小曲ですが、寂しげな雰囲気にグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=6kf8UaN67HQ

「Little Red Boat」
本作を象徴する1曲。美しいストリングスをバックに、安らぎのフォーキーで癒してくれます。本曲のPVには船に乗り、八分儀(octante)を駆使しながら、「N16°31.55’. E111°46.1’」の場所を目指すというアルバム全体のコンセプトが盛り込まれています。
https://www.youtube.com/watch?v=Zr-VH9BzX08

「octante」
タイトル曲は波の音とピアノの旋律を組み合わせたサウンドスケープ的な小曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=kZFnBloeO3I

「Hago lo Que Siento :)」
さり気ないですが、Delfinaのピュアな歌声が胸に沁みてくる美しい1曲に仕上がっています。後半の美しいストリングスとヴォーカル・ワークもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=xnrrRK4pwPY

「Paraguas Multicolor」
僕の一番のお気に入り。ラストはアルゼンチン版次世代ネオソウルと呼びたくなる、モダンで感動的な1曲で締め括ってくれます。サウンド・センスも抜群です。
https://www.youtube.com/watch?v=61tK9F349IY

3連休ですが、やることリストの項目が多く、慌ただしい3日間になりそうです。
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2022年12月25日

The Comet Is Coming『Hyper-Dimensional Expansion Beam』

Shabaka Hutchingsらのハイパー・コズミック・ジャズ☆The Comet Is Coming『Hyper-Dimensional Expansion Beam』

発表年:2022年
ez的ジャンル:次世代UKジャズ/コズミック・ジャズ
気分は... :年内最後の新作紹介!

年内最後の新作紹介は、注目のUKジャズ作品The Comet Is Coming『Hyper-Dimensional Expansion Beam』です。

The Comet Is Comingは、次世代UKジャズを牽引する最重要ミュージシャンの一人、Shabaka HutchingsさらにはDanalogueBetamaxの3人から成るコズミック・ジャズ・トリオ。

これまで『Channel the Spirits』(2016年)、『Trust in the Lifeforce of the Deep Mystery』(2019年)という2枚のアルバムをリリースしています。

これまでShabaka Hutchingsのソロ・リーダー作や彼のもう一つのユニットSons Of Kemetについては紹介してきましたが、The Comet Is Comingは初めてのエントリーとなります。

Shabaka HutchingsのソロやSons Of Kemetの諸作はアフロ・ジャズ寄りのアプローチのイメージが強いですが、The Comet Is Comingはそれらとは少し肌触りの異なるハイパー・コズミック・ジャズを聴かせてくれます。

本作『Hyper-Dimensional Expansion Beam』は、ミニ・アルバム『The Afterlife』(2019年)以来の新作となります。

演奏はShabaka Hutchings(sax、shakuhachi)、Danalogue(syn、key、per、field recording)、Betamax(ds、per、syn)というメンバー3人のみ。

プロデュース&アレンジはDanalogueBetamax

ソングライティングはすべてメンバーのオリジナル。

従来のThe Comet Is Coming作品よりもトランス・モードのダンサブル・サウンドが目立つのは本作の特徴かもしれません。

「Code」「Technicolour」「Pyramids」「Frequency Of Feeling Expansion」「Atomic Wave Dance」「Mystik」で本作らしいダンサブル・サウンドを楽しめます。

それ以外にもアンビエントな「Lucid Dreamer」、Shabakaが尺八をプレイする「Aftermath」、重低音が印象的なダブステップ「The Hammer」あたりも楽しめます。

UKクラブミュージック好きの人も楽しめる次世代UKジャズ作品です。

全曲紹介しときやす。

「Code」
先行シングルにもなったオープニング。メタリックな質感のマシン・ビートのテクノ調トラック。Shabakaのサックスも何処となくデジタルな肌触りがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=eUiI1SJqgRo

「Technicolour」
Sons Of Kemetをハイパー・コズミック化したようなフューチャリスティック・サウンドが展開されます。
https://www.youtube.com/watch?v=VN5VtWncH0A

「Lucid Dreamer」
冬の星空の光景がよくアンビエント感のあるコズミック・ジャズ。広大な宇宙のようなサウンドの広がりがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=S7imxAIydR4

「Tokyo Nights」
東京の名が冠されたインタールード的な小曲ですが、ハイパー・コズミックな格好良さがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=5lPGcFIFVNE

「Pyramids」
本作を象徴するダンサブルでフューチャリスティックなエレクトリック・ジャズ。Shabakaのサックスもハイパー・サウンドにシンクロしたプレイになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=I68JFIDw798

「Frequency Of Feeling Expansion」
僕の一番のお気に入り。冬の星空のダンシング・ジャズ。次世代UKジャズらしいブロークンビーツ調のダンサブルなコズミック・ジャズを満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=XboK5orRST8

「Angel Of Darkness」
タイトルの通り、暗黒のコズミック・ジャズといった趣の不穏なミステリアス感が印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=JUUZR2npUds

「Aftermath」
このトラックはモロにテクノですね。ここでのShabakaは尺八をプレイ。尺八が加わることで、テクノ×ジャズなクロスオーヴァー感が出るのが面白いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=1UUeNimzIFk

「Atomic Wave Dance」
ライナーノーツに80年代に活動していたポスト・パンク系UKジャズ・ファンク・バンドPigbagを思わせると書いてありましたが、確かにそんな雰囲気です。Sons Of KemetにもPigbagに通じる演奏があるので、ShabakaがPigbag好きなのかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=jOwRSsOe0zY

「The Hammer」
重低音が印象的なダブステップ×ジャズのクロスオーヴァー。スペイシーなアクセントも加わり、広大な宇宙のジャズ・ワールドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=MdX78nKEvEw

「Mystik」
本編ラストは、フリーキー&トライバル&コズミックなクロスオーヴァー・ジャズで締め括ってくれます。前半の展開はPink Floyd『Dark Side Of The Moon』(1973年)の「On The Run」を思い出させます。
https://www.youtube.com/watch?v=TcYDgmQceMk

「Levitation」
国内盤CDボーナス・トラック。約1分の小曲です。

The Comet Is Comingの他作品もチェックを!

『Channel the Spirits』(2016年)


『Trust in the Lifeforce of the Deep Mystery』(2019年)


『The Afterlife』(2019年)
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2022年12月18日

Bala Desejo『Sim Sim Sim』

リオのオルタナ・ポップ第三世代のバンド☆Bala Desejo『Sim Sim Sim』

発表年:2022年
ez的ジャンル:リオ・オルタナ・ポップ第三世代
気分は... :2022年ベスト・ブラジリアン・アルバムの有力候補!

ブラジルもの新作からリオのオルタナ・ポップ第三世代によるバンドBala Desejoのデビュー・アルバム『Sim Sim Sim』です。

Bala Desejoは、Dora Morelenbaum(vo、metalofone、g)、Julia Mestre(vo)、Lucas Nunes(vo、g、org、el-p、p、theremin)、Ze Ibarra(vo、g、syn、el-p、p、theremin、fl)という4名のリオのオルタナ・ポップ第三世代アーティストが結成したバンド。

Dora Morelenbaumは、ブラジル音楽シーンを代表するチェロ奏者Jaques Morelenbaumと女性シンガーPaula Morelnbaumの娘。Julia Mestreは、既にソロ・アルバム『Geminis』(2019年)をリリースしている女性シンガー・ソングライター。

Lucas Nunesは、当ブログでも紹介したCaetano Veloso『Meu Coco』(2021年)の共同プロデュースで一躍注目されるようになったアーティストであり、Caetanoの息子Tom Veloso所属のバンドDonicaのメンバーでもあります。Ze IbarraDonicaのメンバーであり、前述の『Meu Coco』にも参加しています。

10代からの知り合いであった4人が、2020年より共同生活を始めたことがBala Desejo結成のきっかけとなったようです。

そんなBala Desejoのデビュー・アルバム『Sim Sim Sim』ですが、一部では2022年のベスト・ブラジリアン・アルバムに挙げられるなど評価の高い1枚です。

プロデュースはBala Desejoとリオのオルタナ・ポップ第三世代の筆頭格Ana Frango Eletrico

当ブログでもお馴染みのミナス出身の男性SSW、Leonardo Marquesがミックスを手掛けたトラックもあります。

「Nana Del Caballo Grande」以外はメンバーらによるオリジナルです。

優しくはつらつとしたヴォーカルと美しいアレンジの爽快メロウ・サウンドが絶妙にマッチした至極のオルタナ・ポップ作品に仕上がっています。"トロピカリア〜ブラジル音楽黄金期の伝統を現代に蘇らせた"という国内盤CDの帯の謳い文句も頷ける内容です。

とりあえず「Baile de Máscaras (Recarnaval)」「Lua Comanche」「Dourado Dourado」「Lambe Lambe」「Muito So」あたりを聴けば、本作の魅力を実感できると思います。

2022年のベスト・ブラジリアン・アルバムの呼び声に相応しい1枚を楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Embala Pra Viagem」
プロローグ的な小曲でアルバムは幕を開けます。
https://www.youtube.com/watch?v=dqhCrK6Dirc

「Baile de Máscaras (Recarnaval)」
Bala Desejoの魅力を象徴するトラック。4人の爽快ヴォーカルを軽やかに聴かせてくれます。ストリングス&ホーンが華やかな雰囲気を演出してくれます。2ndアルバム『Casas』(2018年)が高い評価を得たRubelやブラジルのリズム・マスターMarcelo Costaも参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=tUfQaAWSh_k

「Lua Comanche」
サンバ・ソウル調の仕上がり。爽快メロウ・フィーリングがグッド!軽やかさとエレガントさが同居しているのも僕好み。
https://www.youtube.com/watch?v=nitlMjTzuaU

「Clama Floresta」
熱帯雨林保護のメッセージが込められたアコースティック・レゲエ調のメロウ・チューン。開放的なムードがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=jlz2qD7sk84

「Dourado Dourado」
アコースティックな音色と優しい歌声が織り成す素敵なラブソング。陽だまりのフォーキー・ポップといった雰囲気がたまりません。終盤は開放的なラテン・モードに変わり、二度楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=PvNUJg7IGT8

「Nesse Sofa」
少しブルージーな仕上がり。2週前に最新2ndアルバム『Mil Coisas Invisiveis』を紹介したばかりのTim Bernardesがギターでゲスト参加しています。彼のギターで一気にサイケ風味になるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=MA06fPqBksk

「Nana Del Caballo Grande」
アルゼンチン人の男女フォーク・デュオLos Juglaresのカヴァー(Frederico Garcia Lorca/Sergio Aschero作)。オリジナルは『Lorca』(1973年)収録。4人が共同生活を始めたときから、よく一緒に歌っていた曲らしいです。哀愁フォーキーを素敵なヴォーカルワークで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=4tu85kZ9gAM

「Chupeta」
アルバム後半の始まりを告げるインタールード的な小曲。
https://www.youtube.com/watch?v=JBpMYZJ08-s

「Lambe Lambe」
4人に加え、もう一人の共同生活者であったJoao Gil(Gilberto Gilの孫)との共作。Joao Gilもゲスト参加し、さらにRubelもバック・コーラスで参加しています。トロピカリアに通じる軽快なポップ・ロックですが、Rita LeeCaetano VelosoGilberto Gilといった偉大な先輩ブラジル人アーティストに関連する言葉が登場するのもお楽しみ!
https://www.youtube.com/watch?v=VGcZLApC4KE

「Passarinha」
ポルトガル語とスペイン語のミックスで歌われる哀愁チューン。少しノスタルジックな雰囲気がいい感じ。ラストのMarcelo Costaのビリンバウがいい余韻を与えてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=VOOXAy_bjTk

「Sim Sim Sim」
タイトル曲は約35秒のヴォイス・コラージュ。
https://www.youtube.com/watch?v=TiHCv6gOy50

「Muito So」
サウダージ・モードのアコースティック・メロウ。美しいストリングス&ホーン・アレンジもいい雰囲気です。何ともやるせない感じがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=bT7Wi4QidVA

「Cronofagia (O Peixe)」
邦題「時間泥棒(魚)」。哲学的な歌詞がブラジル人アーティストらしいですね。そんな歌詞と連動するような美しくもミステリアスなサウンドが展開されます。
https://www.youtube.com/watch?v=ARU4dVZ1qcE

「Faixa Tecnica」
ラジオ番組仕立てで、参加ミュージシャン、スタッフが紹介されていきます。
https://www.youtube.com/watch?v=1JSAnAoRrTo

いよいよサッカーW杯も3位決定戦、決勝の2試合のみですね。

正直、3位決定戦っていつもあまり興味なかったのですが、今回の「モロッコ対クロアチア」は面白そうですね。終わってみれば、一番の死の組であったグループFの1位、2位チームの再戦。今大会の台風の目となった両チームの名勝負を期待しています。
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2022年12月11日

Khari Cabral & Jiva『5』

Incognito/Bluey系のャズ・ファンク☆Khari Cabral & Jiva『5』

発表年:2022年
ez的ジャンル:アトランタ産ジャズ・ファンク
気分は... :ポジティブ・スピル・オーバー!

新作から、アトランタを拠点に活動するベーシスト/プロデューサーKhari Simmons(Khari Cabral)を中心としたクロスオーヴァーなソウル/ジャズ・ユニットJivaの新作アルバム『5』です。

1996年に結成されたJivaの紹介は、2ndアルバム『Day Into NIght』(2007年)、1stアルバムJiva『Sun & Moon』(2005年)に続き3回目となります。

パーマネントなバンドというよりもKhari Simmons(Khari Cabral)を中心としたプロジェクトの色彩が強いJiva

Khari Simmons(Khari Cabral)は、Incognito/Bluey系のジャズ・ファンク/ソウルに加え、ブラジリアン・テイストのトラックも得意な僕好みのアーティスト/プロデューサーです。

Khari Cabral & Jiva名義の前作『Heaven & Earth』(2016年)以来のアルバムとなる最新作『5』

アルバム本編は、Brenda Nicole MoorerCleveland JonesLizz WrightLindsey Webster等のシンガーをフィーチャリングしたヴォーカル入りトラック7曲とインスト・トラック2曲の9トラックから構成されます。さらに国内盤CDにはボーナス・トラックとして前作『Heaven & Earth』(2016年)の再演曲が追加収録されています。

ヴォーカル入りトラックのうち4曲がカヴァー。特に印象的なのがフリーソウルの人気アルバムJames Mason『Rhythm Of Life』(1977年)から「Good Thing」「Sweet Power Your Embrace」の2曲をセレクトしている点です。

James Mason『Rhythm Of Life』(1977年)


それ以外にもDr. Buzzard's Original Savannah Band「Hard Times」のカヴァーもあり、フリーソウル好きにはたまらないカヴァー・セレクトとなっています。

刺激は少ないですが、レア・グルーヴ/フリーソウル好き、ジャズ・ファンク/Incognito/Bluey好きの人はかなり楽しめる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Good Thing」
James Mason『Rhythm Of Life』からのカヴァー1曲目。US女性シンガーBrenda Nicole Moorerをフィーチャー。オリジナルと同じくコズミックなシンセの音色と共にスタートしますが、オリジナル以上にリズミックなジャズ・ファンク・グルーヴに仕上がっています。フリーソウル好きの人であれば間違いなく楽しめます。ギター・ソロはKyle Williams。

James Mason「Good Thing」
 https://www.youtube.com/watch?v=tCJiTfCbP94

「Show Me the Way」
Cleveland Jonesをフィーチャー。Incognito/Bluey好きの人であれば気に入るであろうディスコ調のジャズ・ファンク。ライト感覚な爽快さがKhari Cabralらしいのでは?ギター・ソロはEde Wright。
https://www.youtube.com/watch?v=rvjFQ_twA8A

「Sweet Power Your Embrace」
James Mason『Rhythm Of Life』からのカヴァー2曲目。レア・グルーヴ・クラシックとお馴染みですね。
ここではUS女性シンガーLizz Wrightをフィーチャー。彼女は既に6枚以上のアルバムをリリースし、当ブログで紹介した作品でいえば、Jose James『No Beginning No End 2』(2020年)にもフィーチャリングされていました。また、本トラックには日本人ピアニストの宮本貴奈さんが参加しており、アレンジも手掛けています。ダンサブルなボッサ・グルーヴでオリジナルとは異なる表情の「Sweet Power Your Embrace」で楽しませてくれます。

James Mason「Sweet Power Your Embrace」
 https://www.youtube.com/watch?v=ck_vDuZ3opQ

「North Node」
Incognito/Bluey直系のインスト・ジャズ・ファンク。リード・ギターのTrevor Wolfordを中心に、爽快ながらも安定感のあるジャズ・ファンク・グルーヴに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=bD1I5kdrN3o

「Heaven's Design」
Bobby McFerrinのカヴァー。オリジナルは『Bang Zoom!』(1995年)収録。US女性シンガーLindsey Websterをフィーチャー。オリジナルの雰囲気を受け継ぎつつ、よりメロウネスが強調された爽快チューンに仕上がっているのがいいですね。

Bobby McFerrin「Heaven's Design」
 https://www.youtube.com/watch?v=dVjn1CM5Jtc

「Hard Times」
Dr. Buzzard's Original Savannah Bandのカヴァー。
オリジナルは当ブログでも紹介した『Dr. Buzzard's Original Savannah Band』(1976年)収録。
Dr. Buzzard's Original Savannah Bandの代表曲「Sunshower」と同タイプのトロピカル・ソングとして僕も大好きな曲です。ここではCleveland Jonesをフィーチャーし、ビューティフルなメロウ・ミディアムに仕上がっています。オリジナルとは一味違う「Hard Times」で楽しませてくれます。

Dr. Buzzard's Original Savannah Band「Hard Times」
 https://www.youtube.com/watch?v=fVY2kI3ys2g

「I Believe」
Cleveland JonesとArtia LockettがヴォーカルをとるIncognitoスタイルの爽快ジャズ・ファンク。安定感のある仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=ut6BQ8LTjhw

「Capricorn City」
オーストラリア出身のアーティストSimon Grey(key)も参加。リード・ギターのNick Johnsonが牽引するサマー・モードの爽快ジャズ・ファンク。煌めく感じがいいですね。

「Warm Heart (Mantra 4)」
本編ラストは、メロウ・ボッサ調の小曲で締め括ってくれます。

「More To Do」
国内盤CDのボーナス・トラック。Khari Cabral & Jiva名義の前作『Heaven & Earth』(2016年)収録曲の再演です。Brenda Nicole Moorerをフィーチャーした爽快メロウ・グルーヴで楽しませてくれます。

JivaKhari Simmons(Khari Cabral)の過去記事もチェックを!

Jiva『Sun & Moon』(2005年)
サン・アンド・ムーン

Jiva『Day Into NIght』(2007年)
デイ・イントゥ・ナイト

Julie Dexter & Khari Simmons『Moon Bossa』(2006年)
Moon Bossa (Dig)

Khari Simmons『Sun Flower』(2013年)
SUNFLOWER
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2022年12月04日

Tim Bernardes『Mil Coisas Invisiveis』

注目のブラジリアン男性SSWの2nd☆Tim Bernardes『Mil Coisas Invisiveis』

発表年:2022年
ez的ジャンル:ブラジリアン・メロウ・フォーキー/ドリーミー・ポップ
気分は... :緑の世界・・・

新作からブラジル人シンガー・ソングライターTim Bernardesの2ndアルバム『Mil Coisas Invisiveis』です。

Tim Bernardesは、1991年ブラジル、サンパウロ生まれの男性シンガー・ソングライター。

彼の父はOs Mulheres Negrasでの活動でも知られる男性シンガー・ソングライターMauricio Pereira。また、彼の弟Chico Bernardesも2019年に1stアルバム『Chico Bernardes』をリリースしている男性シンガー・ソングライターです。

Tim Bernardesは、2017年に1stアルバム『Recomecar』をリリース。本作『Mil Coisas Invisiveis』が2ndアルバムとなります。

オーケストラル・ポップ、"Brian Wilso × Caetano Veloso"などとも称されるTim Bernardesの音楽性ですが、個人的にはポップ&ドリーミーなメロウ・フォーキーという印象を受けます。

60年代後半〜70年代初めを想起させるジャケ同様、実際の音もそのあたりの時代の香りも醸し出します。

プロデュース&ソングライティング&アレンジはTim Bernardes自身。

ストリングス、ハープ、管楽器などを除く、殆どの演奏を自身で手掛けています。

派手さはありませんが、初めて聴くのに何処となく懐かしいメロウ・フォーキー/ドリーミー・ポップに惹かれてしまいます。

一周回って新しいブラジリアン・フォーキー/ドリーミー・ポップをご堪能あれ!

全曲紹介しときやす。

「Nascer, Viver, Morrer」
先行シングルにもなったオープニング。ラブ&ピースな香りのするメロウ・フォーキーです。初めて聴くのに、何処となく懐かしい気分になります。
https://www.youtube.com/watch?v=UHrAiiDpxUI

「Fases」
ドリーミー・ポップ×メロウ・フォーキーな仕上がり。美しいサウンドと少し青臭いフォーキー感覚がうまくマッチしているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=2LloqaXRbTI

「BB (Garupa de Moto Amarela)」
Caetano Veloso好きの人は気に入るであろう脱力系メロウ・フォーキー。美しいストリングス・アレンジも絶妙です。
https://www.youtube.com/watch?v=DkVCb-81KFU

「Realmente Lindo」
ハンドクラップを交えた緩急がいい感じのブラジリアン・フォーキー。Caetano Velosoにも通ずるブラジル人シンガーらしい語り口がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=-zdEpAZxu0o

「Meus 26」
素朴な味わいのフォーキー感と美しいストリングスの融合を抑えたトーンでさり気なく聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=cEzslDoNI0g

「Falta」
Tim Bernardesのポップ感覚が冴える1曲。3分の中に美しいドラマがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=cbFZ6Dl-eyM

「Velha Amiga」
シンプルなフォーキー・チューンですが、Timの語り口で味わい深い仕上がりとなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=K-3CHXteEo8

「Olha」
ピアノとオーケストレーションによるバラード。語り口を聴いていると、Timは多分Paul McCartneyとか好きなんだろうなぁという気がします。
https://www.youtube.com/watch?v=X1_jCHAuc9M

「Esse Ar」
哀愁フォーキーですが、軽くボッサ・フィーリングを織り交ぜ、サウダージを醸し出します。
https://www.youtube.com/watch?v=F62pUR_8vd4

「Ultima Vez」
素朴なブラジリアン・フォーキーですが、薄らとしたストリングスがいいアクセントとなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=HLBxFZBvgjg

「Mistificar」
エキゾチック・ポップ×ブラジリアン・フォーキー。素晴らしいストリングス・アレンジにも惹かれます。このトラックは"Brian Wilso × Caetano Veloso"という形容がフィットするかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=qQKcaquUHxo

「A Balada de Tim Bernardes」
ネオアコ感覚もあるマジカルなメロウ・ポップ。静と動のメリハリのつけ方が絶妙です。このポップ感覚はありそうでないかも?
https://www.youtube.com/watch?v=7DxuOigChbk

「Beleza Eterna」
消え入りそうな繊細な歌声がブラジル人シンガーらしいですね。美しいヴォーカル・ワークもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=IrKFC9dbDDk

「Leve」
美しいメロウ・バラード。曲調は70年代SSW風ですね。アレンジ・センスの良さが光ります。
https://www.youtube.com/watch?v=FIRH7JIJhxY

「Mesmo Se Vocee Nao Vee」
ラストはCaetano Velosoの流れを汲む繊細なブラジリアン・フォーキーで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=9Jk42nj0FvM

ご興味がある方は、1stアルバム『Recomecar』(2017年)もチェックを!

『Recomecar』(2017年)
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