2022年04月24日

Amber Mark『Three Dimensions Deep』

ヴィヴィッドなデビュー・アルバム☆Amber Mark『Three Dimensions Deep』

発表年:2022年
ez的ジャンル:女性R&B
気分は... :すべてのものの意味とは?

新作から注目の女性R&B/ネオソウル・シンガーAmber Markのデビュー・アルバム『Three Dimensions Deep』です。

Amber Markは1993年テネシー州生まれ、現在はN.Y.を拠点に活動する女性R&B/ネオソウル・シンガー/ソングライター/プロデューサー。

シングル「S P A C E」(2016年)でデビューし、ミニ・アルバム「3:33 AM」(2017年)、EP「Conexao」(2018年)等で注目を浴びます。

また、カナダのエレクトリック・ファンク・デュオChromeoの4thアルバム『Head over Heels』(2018年)に、ヴォーカル/ソングライティング/エンジニアで参加し、同作で2019年グラミーのBest Engineered Album, Non-Classicalにノミネートされています。

デビュー以来、コンスタントに作品をリリースしてきましたが、いよいよ満を持してのデビュー・アルバム・リリースとなります。

メイン・プロデュースはAmber Mark本人とJulian Bunetta。それ以外にも多様なプロデューサーが関与しています。

アルバム全体を通して、スケールの大きさとヴィヴィッドな音世界に魅せられる1枚に仕上がっています。

とりあえず「What It Is」「Softly」「Foreign Things」「Worth It」「Competition」という5曲を聴けば、本作の魅力を実感できるはずです。

それ以外に、ダンス・チューン「FOMO」、アンビエントな「Out Of This World」あたりも僕好み。

期待以上の内容に驚かされた、素晴らしいデビュー・アルバムをぜひ!

全曲紹介しときやす。

「One」
Pase Rock/DJ Ross One/Amber Mark/Julian Bunettaプロデュース。Bobby Bland「Dear Bobby (The Note)」をサンプリング。シブいサンプリング・ネタを見事に調理し、Amberのヴォーカルを際立たせているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=AjBe47ju3Pc

「What It Is」
Julian Bunettaプロデュース。シングルにもなりました。エレクトリックなエッセンスを効かせたビューティフルなミディアム・バラード。自問自答するAmberの歌声が、聴く者の心をしっかり包み込んでくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=hXaPGlkd5do

「Most Men」
Amber Mark/Julian Bunettaプロデュース。オルガンの音色が印象的なソウル・グルーヴ。ヴィンテージ感を打ち出しつつ。モダンな仕上がりなのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=yvhrJOrIYIk

「Healing Hurts」
Jeff "Gitty" Gitelmanプロデュース。オーセンティックなバラードですが、Amberのヴォーカルの魅力を実感しやすいかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=YRgxCDKA8tg

「Bubbles」
Afterhrs/Julian Bunettaプロデュース。哀愁モードのクールなダンサブル・チューン。淡々としたAmberのヴォーカルが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=H0thzXJa9Es

「Softly」
Amber Mark/Julian Bunettaプロデュース。シングルにもなりました。Craig David「Rendezvous」をサンプリングした哀愁ダンサブル・チューン。「Rendezvous」の美しいエッセンスをうまくリサイクルしたUKテイストの仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=1stAYxwLFHA

「FOMO」
Space Peopleプロデュース。エレクトリック色を強調したポップ・ソウルなダンス・チューン。ラップ調のヴォーカルも交えたキャッチーな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=9tP-RAp6JxE

「Turnin' Pages」
Ryanプロデュース。美しくも儚いムードながらも、ビートをしっかり効かせているのがいいですね。ドリーミー感も僕好み。
https://www.youtube.com/watch?v=HhZFSRKemd8

「Foreign Things」
Two Fresh/Afterhrs/Julian Bunettaプロデュース。シングルにもなりました。個人的には一番のお気に入り。ヴィヴィッドなキャッチーさがたまりません。楽曲、サウンド、ヴォーカルすべてが僕好み。Amber Markというアーティストのスケールの大きさを感じるトラックです。
https://www.youtube.com/watch?v=Uw6QHtUeqe8

「On & On」
Amber Mark/Julian Bunettaプロデュース。重厚なサウンドとAmberの語り口がマッチしたバラード。
https://www.youtube.com/watch?v=YlsBGApYb7E

「Out Of This World」
Amber Mark/Julian Bunettaプロデュース。Harris Cole「Chapsitkc」をサンプリング。ビューティフル・バラードですが、アンビエントなスパイスを効かせているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=o0zY5ZI0DaY

「Cosmic」
Amber Mark/Julian Bunettaプロデュース。タイトルの通りのコズミックなミディアム。ここでもAmberの雰囲気のある語り口がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=bZTVSvsQVs0

「Darkside」
Amber Mark/Matt Zara/Duck Blackwell/Julian Bunettaプロデュース。タイトルの通り、ダークトーンのR&Bグルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=H5DmdzdYvbE

「Worth It」
Amber Mark/Julian Bunetta/Paul Mondプロデュース。シングルにもなりました。ダンサブルながらもAmberのソングライターとしての才を感じる1曲。美しくも切ないムードがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Jq5Ry8IjD-U

「Competition」
Two Fresh/Afterhrs/Julian Bunettaプロデュース。シングルにもなりました。エレクトリック×ポップ×Hip-Hopの調合バランスが絶妙です。
https://www.youtube.com/watch?v=4Tej8USi8zw

「Bliss」
Two Fresh/Afterhrs/Julian Bunettaプロデュース。70年代ソウルのムードを2022年のモダン・サウンドで再現しているのが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=YL97fi1Mhik

「Event Horizon」
Amber Markプロデュース。ラストはコズミック・モードのバラードでしっとりと締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=MYXFw2MEzvI

幻想的なジャケもいいですね。
彼女の音世界がビジュアル化されているようです。
posted by ez at 03:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月17日

Carlos Aguirre Quinteto『Va Siendo Tiempo』

ギター五重奏団による最新作☆Carlos Aguirre Quinteto『Va Siendo Tiempo』

発表年:2022年
ez的ジャンル:コンテンポラリー・アルゼンチン・フォルクローレ
気分は... :あり続ける時!

新作アルバムから、アルゼンチンのコンテンポラリー・フォルクローレの巨匠Carlos AguirreCarlos Aguirre Quinteto名義でリリースする最新作『Va Siendo Tiempo』<です。

1965年アルゼンチン、エントレリオス州セギーの生まれのシンガー・ソングライター/ピアニスト/ギタリストCarlos Aguirreについて、当ブログでこれまで紹介したのは以下の4枚。

 『Orillania』(2012年)
 『Serpentina』(2017年)
 ※Andre MehmariJuan Quinteroとの共演
 『La musica del agua』(2019年)
 『En El Jardin』(2021年)
 ※Yotam Silbersteinとの共演

最新作は彼が長年構想してきたギター五重奏団による作品です。

キンテート・メンバーに選ばれたのは、Carlos Aguirre(g、b、vo、per、accordion、bandoneon、syn)以下、Luis Medina(g、vo)、Mauricio Laferrara(g、vo)、Mauro Leyes(g、b、vo)、Sebastian Narvaez (g、mandolin、vo)という5名。

Carlos Aguirre好きには大満足の美しく叙情的な音世界が展開されます。

ヴォーカル曲とインストが半々の構成も絶妙です。

清らかなギター・アンサンブルに魅せられるタイトル曲「Va siendo tiempo」、優しい語り口の「Zamba de los almacenes」、春の木漏れ日のような「Chaya errante」、長閑なムードの「Siesta de domingo」、美しい弦の響きに魅せられる叙情的な「Cancion por Santiago」あたりが僕のお気に入りです。

都会の喧噪から離れたい気分のとき、家に居ながらにして自然の情景モードに浸れる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Va siendo tiempo」
Carlos Aguirre作。邦題「あり続ける時」。本作を象徴する清らかなギター・アンサンブルに魅せられるオープニング。♪なぜなら今、人とのつながりを大切に、その根底に愛をもって生きるときだ♪という本曲に込めたメッセージも素敵です。
https://www.youtube.com/watch?v=lgYOiEfQ1F0

「Siempre azul」
Carlos Aguirre作。邦題「いつも青く」。チリへの旅路で目にした山並みの青さと川面の広がる青さがモチーフになっているようです。大自然の中に融け込んでいくような音世界です。
https://www.youtube.com/watch?v=OgYDpDi4968

「Color despedida」
Carlos Aguirre作。邦題「別れの色」。映画のために書かれたインスト曲。ここでのAguirreはアコーディオンを弾き、ギターを交えた味わい深いアンサンブルを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=wqX9c2kowuc

「Los amores de Cabre」
ベネズエラ人ギタリスト/詩人のEnrique Hidalgoの作品をカヴァー。初めて聴くのに懐かしさを感じる郷愁モードの仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=kQLf_eu7Qpg

「Chaya errante」
Carlos Aguirre作。ギター五重奏ならではの美しく瑞々しいアンサンブルを楽しめます。こんな音を聴きながら、春の木漏れ日を浴びていたいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=643S9WpMDtE

「Zamba de los almacenes」
Carlos Aguirre作。邦題「よろづやのサンバ」。Carlos Aguirreらしい優しい語り口の1曲に仕上がっています。聴いているだけで心が和らぎ、優しい気持ちになれます。これぞCarlos Aguirreワールド!
https://www.youtube.com/watch?v=nycPKFzf8E4

「Nini」
Carlos Aguirre作。2016年に逝去したアルゼンチン人アコーディオン奏者Nini Floresに捧げられた1曲。元々は二人のデュオ用に書いた1曲だったようです。ここではNiniの遺志を受け継ぐようにAguirreがアコーディオンを弾いています。
https://www.youtube.com/watch?v=8DSaq5HWhSo

「Don Angel Borda」
Carlos Aguirre作。労働者の権利の戦った実在の人物について歌った1曲。フォルクローレらしい味わいのチャカレーラを素敵なギター・アンサンブルで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=JZHFvZpgy0U

「Siesta de domingo」
Carlos Aguirre作。邦題「日曜日のシエスタ」。Aguirreのアコーディオン、4本のギターによる美しいインスト。休日昼間の長閑な気分にピッタリの穏やかな演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=4tji-OlpBDo

「A gatas」
Carlos Aguirre作。アルゼンチン・フォルクローレの一形式であるガトというスタイルの曲なのだとか。ガトは「猫」を意味する名詞であり、この演奏を聴いていたら、僕の大好きなTV番組の一つである『岩合光昭の世界ネコ歩き』の映像を思い浮かべてしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=jZpcHElXWXo

「Camino a Puerto Alvear」
Carlos Aguirre作。アコーディオン、ギターによる軽やかなアンサンブル。楽しげなに演奏する5人の姿が目に浮かんできます。
https://www.youtube.com/watch?v=HDYBDsFnNjU

「Puerto Soledad」
Henry Martinez/Carlos Aguirre作。邦題「孤独という名の港」。憂いを帯びたサウンドと切ないAguirreの歌声が胸の奥へ沁みてきます。こういう歌を聴きながら、独り内省モードに浸るのも悪くありません。
https://www.youtube.com/watch?v=qqqry_jPClk

「Cancion por Santiago」
Carlos Aguirre作。ラストは、アルゼンチン先住民への思いが込められた叙情的な演奏で締め括ってくれます。ギター五重奏ならではの美しい弦の響きに魅せられます。
https://www.youtube.com/watch?v=bZdIa0k-Xxk

Carlos Aguirreの他作品もチェックを!

Carlos Aguirre Grupo『Crema』(2000年)
Carlos Aguirre Grupo(Crema)

『Rojo』(2004年)


『Caminos』(2006年)


『Violeta』(2008年)


『Orillania』(2012年)
Orillania

Andre Mehmari/Juan Quintero/Carlos Aguirre『Serpentina』(2017年)
Serpentina セルペンティーナ

『La musica del agua』(2019年)
LA MÚSICA DEL AGUA / ラ・ムシカ・デル・アグア 〜 水の音楽

Yotam Silberstein/Carlos Aguirre『En El Jardin』(2021年)
posted by ez at 00:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月10日

Mamas Gun『Cure The Jones』

UKソウル・バンド、健在ぶりを示した最新作☆Mamas Gun『Cure The Jones』

発表年:2022年
ez的ジャンル:UKソウル・バンド
気分は... :希望と再生!

新作からUKのソウル・バンドMamas Gunの最新アルバム『Cure The Jones』です。

シンガーソング・ライター、デザイナー、マルチ奏者、リード・シンガーAndy Plattsを中心に、2007年ロンドンで結成されたソウル・バンドMamas Gunの紹介は、デビュー・アルバム『Routes To Riches』(2009年)に続き2回目となります。

最近のAndy Plattsは、Mamas Gun本隊よりもShawn Leeと組んだAOR的なサイド・プロジェクトYoung Gun Silver Foxでの活動の方が目立っていた感もありましたが、最新アルバム『Cure The Jones』Mamas Gunの健在ぶりを示してくれました。

本作におけるメンバーはAndy Platts以下、Cameron Dawson(b)、Dave Oliver(key)、Terry Lewis(g)、Chris Boot(ds)という5名。

プロデュース&ソングライティングはAndy Platts(共作1曲を含む)。

改めてAndy Plattsのソウル・ミュージックへのリスペクトを感じる1枚に仕上がっています。

Bill Withersライクなファンキー・メロウの「Friends To Lovers」「Looking For Moses」Marvin Gayeライクな「Good Love」Silk Sonicにも通じる「Go Through It」Curtis MayfieldBobby CaldwellLewis Taylorからインスパイアされたタイトル曲「Cure The Jones」、ポジティヴなファンキー・メロウ「Winner's Eyes」あたりが僕のオススメです。

さらに成熟したMamas Gunワールドを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「When You Stole The Sun From The Sky」
ブルーアイド・ソウル感覚のスウィート・バラード。ストリングスも雰囲気を盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=_Gwc1i4fDxg

「Looking For Moses」
Bill Withersへのオマージュ。Bill Withersライクなソフトリー・ファンキー・メロウが心地好いです。
https://www.youtube.com/watch?v=HzEx0xTwStA

「Go Through It」
70年代ソウル・ヴォーカル・グループへのリスペクトを感じるバラード。Silk Sonic好きの人にもオススメです。
https://www.youtube.com/watch?v=A-1uUNLNMPs

「Good Love」
Marvin Gayeライクな曲調・サウンドのメロウ・グルーヴ。モダンなUKソウル・バンドといった趣で大好きなトラック。
https://www.youtube.com/watch?v=1AH9GK-HxHw

「Reconsider」
祈りのソウル・バラード。コロナ禍で世界が一変し、さらには信じられない残虐な戦争に直面する今だからこそ再考しましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=wUkb8oUrckw

「Party For One」
Sly & The Family Stoneに触発されて作った曲のようですが、曲調自体は70年代スウィート・ソウルのマナーです。ただし、甘くなりすぎないように、隠し味のスパイスを効かせているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=x-8y8l1Unjc

「Friends To Lovers」
個人的にはアルバムで一番のお気に入り。Bill Withersをフォーキーではなく、ファンキー・ロック調にするとこんな雰囲気4になるのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=0iOxBNM8UuE

「Cure The Jones」
「欲求を満たす」という意味のタイトル曲は、Curtis MayfieldBobby CaldwellLewis Taylorからインスパイアされたものなのだとか。当ブログでも紹介済みの3アーティストですが、確かによく聴くと3人のエッセンスを感じることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=TV_bHfBUb1w

「You're Too Hip (For Me Baby)」
70年代甘茶ソウルなバラード。レトロ感を逆手に取っているのがAndy Plattsらしいのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=7Z7-o_ZBFdc

「Winner's Eyes」
ソウル・バンドらしい雰囲気のファンキー・メロウ。ポジティヴなヴァイヴに溢れているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=o2bGbdUNWGo

「Daffodils」
本編ラストは、パンデミックで傷ついた心と、そこからの再建・希望をラッパズイセンに託したビューティフル・バラードで締め括ってくれます。ラッパズイセンはUKでは、春を告げる花としてポピュラーなものです。
https://www.youtube.com/watch?v=yFB6P-Z4oo8

「Tiger」
国内盤ボーナス・トラック。ブルーアイド・ソウル的なメロウ・ソウル。ビート感やハーモニカのシブい音色など僕好みの1曲に仕上がっています。

Mamas Gunの他作品やYoung Gun Silver Foxの作品もチェックを!

『Routes To Riches』(2009年)
ルーツ・トゥ・リッチーズ

『The Life And Soul』(2011年)
ザ・ライフ・アンド・ソウル

『Aversions』(2012年)


『Cheap Hotel』(2014年)


『Golden Days』(2018年)


Young Gun Silver Fox『West End Coast』(2015年)


Young Gun Silver Fox『AM Waves』(2018年)


Young Gun Silver Fox『Canyons』(2020年)
posted by ez at 00:19| Comment(2) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月03日

Makaya McCraven『Deciphering The Message』

50〜60年代Blue Note作品の再構築☆Makaya McCraven『Deciphering The Message』

発表年:2021年
ez的ジャンル:ビート・サイエンティスト系今ジャズ
気分は... :科学×芸術!

新作ジャズから、ビート・サイエンティストとの異名を持つMakaya McCravenの最新作『Deciphering The Message』です。

Makaya McCravenは1983年生まれのドラマー/ビートメイカー/プロデューサー。現在はシカゴを拠点としています。

Hip-Hop世代のジャズ・ドラマーとして、今ジャズ好きにはお馴染みのアーティストですね。

そのMakaya McCravenがジャズの名門Blue Noteからリリースした最新作が『Deciphering The Message』です。

本作『Deciphering The Message』は、Blue Noteからのデビュー・アルバムらしく、1950〜60年代のBlue Note作品を再構築したアルバムとなっています。

カヴァーではなく、オリジナル音源を活かした再構築というところが、ドラマー/ビートメイカー/プロデューサーであるMakaya McCravenらしいですね。

レコーディングにはMakaya McCraven(ds、per、g、b、key、syn)以下、Joel Ross(vibe)、De'Sean Jones(ts)、Jeff Parker(g)、Matt Gold(g)、Junius Paul(b)、Marquis Hill(tp)、Greg Ward(as)といったミュージシャンが参加しています。

オリジナルの雰囲気を受け継ぎつつ、今ジャズ的なものにアップデートしているトラックもあれば、オリジナルの一部を切り取って、大胆にリボーンさせているトラックもあります。

その意味では、オリジナルと聴き比べるのが楽しいと思います。

1枚で1950〜60年代のBlue Noteのジャズ・ワールドと、2020年代の感性の今ジャズの両方を楽しめる興味深い1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。
※オリジナルもセットで紹介しておきますので、セットでチェックしてみてください。

「A Slice Of The Top」
Hank Mobleyのリメイク(Hank Mobley作)。オリジナルは『 A Slice Of The Top』(1966年)収録。オリジナルにあるHank MobleyLee Morganらのホーン隊のサウンドを活かしつつ、Makayaが新たなビートを加えることで、現代的なジャズにアップデートさせています。
https://www.youtube.com/watch?v=xT32LyUzrZI

Hank Mobley「A Slice Of The Top」
 https://www.youtube.com/watch?v=RGk_DBUrAjE
『A Slice Of The Top』(1966年)


「Sunset」
Kenny Dorhamのリメイク(Kenny Dorham作)。これもMakayaがビートを再構築することで、コズミックな魅力が加味されます。Kenny DrewのピアノとJeff Parkerのギターが時空を超えて絡むのもいいですね。Junius Paulによる鳥の鳴き声のホイッスルにも不思議なコズミック感があります。
https://www.youtube.com/watch?v=NxgytefuF7o

Kenny Dorham「Sunset」
 https://www.youtube.com/watch?v=t90eudo_Ryk
『Whistle Stop』(1961年)


「When Your Lover Has Gone」
Art Blakey & The Jazz Messengersのリメイク(Einar Aaron Swan作)。オリジナルは『A Night In Tunisia』(1960年)のボーナス・トラックとして聴くことができます。このトラックは再構築に相応しいMakayaのビートメイキングのセンスを感じるサウンドで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=RXkL2Y_Xows

Art Blakey & The Jazz Messengers「When Your Lover Has Gone」
 https://www.youtube.com/watch?v=ZyJ1fEHnNBc
『A Night In Tunisia』(1960年)


「Ecaroh」
Horace Silverのリメイク(Horace Silver作)。オリジナルは『Horace Silver Trio』(1952,53年)収録。オリジナルの雰囲気を受け継ぎつつ、Horace Silverのピアノのループを活かし、よりHip-Hop感覚のジャズで楽しませてくれます。Joel Rossのヴァイヴもいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=B1BdejKKJwk

Horace Silver「Ecaroh」
 https://www.youtube.com/watch?v=Wn3VIgRJT2w
『Horace Silver Trio』(1952,53年)


「Tranquillity」
Bobby Hutchersonのリメイク(Bobby Hutcherson作)。オリジナルは『Components』(1965年)収録。オリジナルはHutchersonのヴァイヴを生かしたバラードでしたが、こここでは激しいビートに置き換えて、今ジャズならではの表情で聴かせます。
https://www.youtube.com/watch?v=cY8VbOQ2Phc

Bobby Hutcherson「Tranquillity」
 https://www.youtube.com/watch?v=njvQG1x8ofM
『Components』(1965年)
コンポーネンツ

「Wail Bait」
Clifford Brownのリメイク(Quincy Jones作)。オリジナルは『Memorial Album』(1953年)収録。オリジナルはアフロ・キューバン調のビートで始まりますが、ここではトライバルなMakayaのビートが際立つ、格好良い1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=t1MFsA9jKuQ

Clifford Brown「Wail Bait」
 https://www.youtube.com/watch?v=DNVpemfZ4dE
『Memorial Album』(1953年)


「Coppin' The Haven」
Dexter Gordonのリメイク(Kenny Drew作)。オリジナルは『One Flight Up』(1964年)収録。これはビートメイカーらしい再構築。オリジナルとは別物のHip-HopジャズへRebornしています。これはかなり格好良い!
https://www.youtube.com/watch?v=3WFKCBd_UC0

Dexter Gordon「Coppin' The Haven」
 https://www.youtube.com/watch?v=MZ6PYUrtH5c
『One Flight Up』(1964年)


「Frank's Tune」
Jack Wilsonのリメイク(Frank Strozier作)。オリジナルは『Easterly Winds』(1967年)収録。Jeff ParkerのギターとMakayaのHip-Hopビートの絡みが絶妙な2021年に相応しいBlue Noteジャズに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=ZyRULVs_MKo

Jack Wilson「Frank's Tune」
 https://www.youtube.com/watch?v=M76r5UQOU6Y
『Easterly Winds』(1967年)


「Autumn In New York」
Kenny Burrellのリメイク(Vernon Duke作)。オリジナルは『Blue Lights, Vol. 1』(1958年)収録。オリジナルはメロウ・ギター・バラードですが、ここではその印象的なギター・ループを生かしたHip-Hop的なメロウ・ジャズで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=_b05lkQ5T4Y

Kenny Burrell「Autumn In New York」
 https://www.youtube.com/watch?v=r1E31yVClW4
Kenny Burrell『Blue Lights, Vol. 1』(1958年)


「Monaco」
Kenny Dorhamのリメイク2曲目(Kenny Dorham作)。オリジナルは『Round About Midnight At The Cafe Bohemia』(1956年)収録。Makayaらしいビートによる再構築を楽しめます。オリジナルではKenny Burrellがギター・ソロを披露しますが、ここではJeff Parkerがソロを披露してくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=BjPVc649yzY

Kenny Dorham「Monaco」
 https://www.youtube.com/watch?v=siM6xWDmoxk
『Round About Midnight At The Cafe Bohemia』(1956年)


「Mr. Jin」
Art Blakey & The Jazz Messengersのリメイク2曲目(a href="http://eastzono.seesaa.net/article/463984139.html">Wayne Shorter作)。オリジナルは『Indestructible』(1964年)収録。Art BlakeyとMakayaの時空を超えた共演を楽しみましょう。一方で、ビート1つでこんなにも演奏全体がモダンになることを実感できるトラックでもあります。
https://www.youtube.com/watch?v=wyKKWeiuPXM

Art Blakey & The Jazz Messengers「Mr. Jin」
 https://www.youtube.com/watch?v=S_8sW8dQqyg
『Indestructible』(1964年)


「C.F.D.」
Jack Wilsonのリメイク2曲目(Jack Wilson作)。オリジナルは『Something Personal』(1966年)収録。ここでは印象的なイントロのループを使い、カリンバなどもアクセントも加えて、穏やかなトラックへと変貌させています。
https://www.youtube.com/watch?v=EqUuKkB-Rnc
(AKA “D.F.C.”) [from Something Personal by Jack Wilson]

Jack Wilson「C.F.D.」
 https://www.youtube.com/watch?v=C75ACnvqa2I
『Something Personal』(1966年)


「Black Rhythm Happening」
Eddie Galeのリメイク(Eddie Gale作)。オリジナルは『Black Rhythm Happening』(1969年)収録。オリジナルは本作の中では異色のブラック・スピリチュアル・ジャズですが、ここではコーラス部分をサンプリングし、グルーヴィー・ソウル風に仕上げています。まさにビートメイカー的なセンス全開です。
https://www.youtube.com/watch?v=LSqbCpsq6bg

Eddie Gale「Black Rhythm Happening」
 https://www.youtube.com/watch?v=dFqcZtkcz48
『Black Rhythm Happening』(1969年)


Makaya McCravenの他作品もチェックを!

『Split Decision』(2012年)


『In The Moment』(2015年)


『Highly Rare』(2017年)


『Universal Beings』(2018年)


『Where We Come From (Chicago X London Mixtape) 』(2019年)


Makaya McCraven/Gil Scott-Heron『We're New Again: A Reimagining by Makaya McCraven』(2020年)


『Universal Beings E&F Sides』(2020年)
posted by ez at 04:18| Comment(2) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月27日

Stokley『Sankofa』

Jam & LewisのPerspectiveからリリースされた2ndソロ☆Stokley『Sankofa』

発表年:2021年
ez的ジャンル:永遠の若大将系男性R&B
気分は... :ルーツを忘れない!

新作からMint Conditionのリーダー&リード・シンガーStokley Williamsの2ndソロ・アルバム『Sankofa』です。

新作と呼ぶには少し時間が経っているかもしれませんが・・・

これまで当ブログで紹介したMint ConditionおよびStokleyの作品は以下の6枚。

Mint Condition
 『Meant To Be Mint』(1991年)
 『Definition Of A Band』(1996年)
 『Life's Aquarium』(1999年)
 『Livin' The Luxury Brown』(2005年)
 『E-Life』(2008年)
Stokley Williams
 『Introducing Stokley』(2017年)

『Introducing Stokley』(2017年)以来の2ndソロ・アルバム『Sankofa』は、Jam & Lewis(Jimmy Jam/Terry Lewis)が再興させたPerspectiveRecordsからのリリースとなります。

『Sankofa』というアルバム・タイトルは、ガーナ語で"ルーツを忘れない"という意味らしく、アフリカ系アメリカ人としてのルーツ、自身の音楽ルーツ等への思いが込められています。

エグゼクティヴ・プロデューサーとしてJam & Lewis(Jimmy Jam/Terry Lewis)がクレジットされ、Stokley自身がプロデュースを務めています。

H.E.R.Snoop DoggWaleShakespeare!(Tradessa Willis/Trevon Trapper)Bonfyre、さらにはガーナ・ハイライフの若きスターKiDiといったアーティストがフィーチャリングされています。

2020年にシングル・リリースし、US R&BチャートNo.1となったヒット・シングルのExtendedヴァージョン「She (Extended)」をはじめ、Snoop Doggをフィーチャーした「Vibrant」H.E.R.をフィーチャーした「Rush」KiDiをフィーチャーした「Woman」Waleをフィーチャーした「Cafe」あたりが目立ちます。

個人的には、Shakespeare!をフィーチャーした「Clouds」Bonfyreをフィーチャーした「Cascade」、70年代ソウルへのオマージュ「Jeopardy: Verbalize」あたりもオススメです。

全体的にスティール・パンの音色がいいアクセントになっているのがStokleyらしいですね。

イマイチ日本では話題になっていない気がしますが、R&Bファンは満足度の高い1枚なのでは?

全曲紹介しときやす。

「Sankofa -past-」
アルバムのプロローグはアフリカン・リズムを強調しています。ソングライティングにはJam & Lewisも名を連ねます。
https://www.youtube.com/watch?v=s9F3WDHUNcQ

「Vibrant」
Snoop Doggをフィーチャー。スティール・パンも含めた開放的なリズムと、ウエッサイなファンク・テイストをうまく融合させたミディアム・グルーヴに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=nCyCvKdjEZw

「Cafe」
Waleをフィーチャー。スパークル・フィーリングのミディアム・バラード。Stokleyというアーティストのスケールの大きさを再認識しています。Waleのラップもよく調和しています。
https://www.youtube.com/watch?v=rzQM2VLTvFs

「She (Extended)」
2020年にシングル・リリースし、US R&BチャートNo.1となったヒット・シングルのExtendedヴァージョン。Stokleyらしい魅力に溢れた素敵ななR&Bバラード。名曲誕生ですね。Commodores「Lady (You Bring Me Up)」ネタも引用しています。
https://www.youtube.com/watch?v=NPFZ5nJIlsk

「Vudoo」
哀愁ミディアムですが、スティール・パン等のパーカッシヴ感がStokleyらしいですね。終盤におけるJesse Larsonのロッキンなギター・ソロも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=UK810UtNboY

「Clouds」
Tradessa Willis/Trevon TrapperのデュオShakespeare!をフィーチャー。個人的には本作で一番のお気に入り。ダンサブルなエッセンスとソウル・バラードなエッセンスを見事に調和させたチャーミングな1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=_mQUkDF5QDA

「Homecoming: Interlude」
スティール・ドラム、トーキング・ドラム等すべての楽器をStokleyが演奏するアフリカン&カリビアン・モードのインタールード。
https://www.youtube.com/watch?v=1gZ4UdWqhXg

「Cascade」
Bonfyreをフィーチャー。Jam & Lewisがソングライティングで参加し、Jimmy Jamはキーボードでも参加しています。PVを観ても分かるように、華のある男女R&Bデュエットに仕上がっています。このトラックも大好き!
https://www.youtube.com/watch?v=_kGwKdJZ8oM

「Rush」
H.E.R.をフィーチャー。プロデュース面でも彼女と共同です。ドリーミー&ビューティフルなオルタナR&Bに仕上がっています。StokleyがH.E.R.の新たな魅力を引き出している感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=e9LimhzsfF4

「Sankofa -present-」
短いインタールード
https://www.youtube.com/watch?v=yAa-kTxcXpA

「Recipe」
ロッキン・モードのファンク・ロック。Jesse Larsonのロッキン・ギターが活躍します。
https://www.youtube.com/watch?v=YUoFzjPAtcQ

「Woman」
ガーナ・ハイライフの若きスターKiDiをフィーチャー。StokleyとS-Dotの共同プロデュース。スティール・パンがいいアクセントになっている女性への愛情に満ちたラブ・バラード。ガーナで撮影されたPVもいい感じ。
https://www.youtube.com/watch?v=HfwcPlSxjOU

「Cascade-Lvrs Quarrel (Remix)」
「Cascade」のリミックス、というか別ヴァージョンです。より哀愁モードが強調されています。
https://www.youtube.com/watch?v=Wtuccru58Gg

「Trinkutsi: Interlude」
スティール・パンの音色が映えるインタールード。
https://www.youtube.com/watch?v=2HpOVuX70K8

「Jeopardy: Verbalize」
Snoop Doggをフィーチャー。Silk Sonicあたりにも通じる70年代ソウルへのオマージュ。この手のスウィート・ソウル・バラードを歌わせたらStokleyはピカイチですよね。ここでのSnoopは隠し味程度の参加です。
https://www.youtube.com/watch?v=EnOxbDXykRA

「Slip」
派手さはありませんが、Stokleyらしい雰囲気を楽しめるミディアム。Stokleyの声質の良さを実感できます。Sergio Selimのトークボックスもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=-1VAV1xvpyU

「Lost」
ジワジワくるミディアム。Stokley自身のドラミングにも注目です。
https://www.youtube.com/watch?v=LWGnUD1Z-8c

「Sankofa」
ラストはJam & Lewisもソングライティングで参加したタイトル曲で締め括ってくれます。母なる大地を感じるスケールの大きなエンディングです。
https://www.youtube.com/watch?v=7hg7wT-1lc8

Mint Conditionの他作品やStokley Williamsのソロもチェックを!

Mint Condition『Meant To Be Mint』(1991年)
Meant to Be Mint

Mint Condition『From the Mint Factory』(1993年)
From the Mint Factory

Mint Condition『Definition Of A Band』(1996年)
Definition of a Band

Mint Condition『Life's Aquarium』(1999年)
Life's Aquarium

Mint Condition『Livin' The Luxury Brown』(2005年)
Livin the Luxury Brown

Mint Condition『E-Life』(2008年)
E-ライフ

Mint Condition『7』(2011年)
7

Mint Condition『Music at the Speed of Life』(2012年)
Music at the Speed of Life

Stokley『Introducing Stokley』(2017年)
Introducing Stokley
posted by ez at 01:51| Comment(2) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする