2023年07月23日

Little Dragon『Slugs Of Love』

Damon Albarnがゲスト参加した最新作☆Little Dragon『Slugs Of Love』

発表年:2023年
ez的ジャンル:スウェディッシュ・エレクトロ・ポップ
気分は... :山水一如・・・

新作から日系スウェーデン人の女性シンガーYukimi Nagano率いるスウェーデンの4人組エレクトロ・ポップ・ユニットLittle Dragonの最新7thアルバム『Slugs Of Love』です。

スウェーデン、ヨーテボリで結成されたYukimi Nagano(vo、per、key)、Fredrik Kallgren Wallin(key、b)、Hakan Wirenstrand(key)、Erik Bodin(ds、key)の4人組Little Dragonについて、当ブログで紹介したのは以下の3枚。

 『Little Dragon』(2007年)
 『Season High』(2017年)
 『New Me,Same Us』(2020年)

最新作『Slugs Of Love』ですが、前作『New Me,Same Us』(2020年)に続きUKの人気レーベルNinja Tuneからのリリースです。

アルバムにはBlurとして8年ぶりの最新アルバム『The Ballad of Darren』をリリースしたばかりのDamon AlbarnDreamvilleに所属し、アトランタの音楽クルーSpillage Villageの一員としても知られるUSラッパーJIDがゲスト参加しています。

相変わらずエレクトロニカ、ジャズ、ソウル/R&B、ディスコ、Hip-Hop、ハウス、レゲエ/ダブ等のエッセンスを取り込み、Yukimi Naganoのヴォーカルが映える北欧らしいオルタナ・ポップ感覚で聴かせてくれるのがいいですね。

本作ではニューウェイヴを感じるトラックがあったのも興味深かったです。

ネオソウル調の「Amoban」、重心の低いグルーヴ「Frisco」、ニューウェイヴ調の「Slugs Of Love」、Little Dragon流ディスコ「Disco Dangerous」、JIDをフィーチャーした「Stay」、レゲエ/ダブの影響も感じる「Kenneth」、Damon Albarnをフィーチャーした「Glow」、ハウス調の「Tumbling Dice」、優しく包み込んでくれる「Easy Falling」あたりが僕のオススメです。

その独自のエレクトロ・ポップに磨きがかかったLittle Dragonワールドを満喫しましょう。

全曲紹介しときやす。

「Amoban」
ドリーミー&メロウなネオソウル調のオープニング。Yukimiのコケティッシュ・ヴォーカル、口笛によるアクセント、乾いたドラムの疾走感、シンセのエレクトロニカ感の組み合わせがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=ytt8Rajn3Ns

「Frisco」
昨年リリースしたEP「Opening the Door」収録曲。重心の低いグルーヴが印象的なダンサブル・チューン。何処となく儚いムードがLittle Dragonらしくて良いのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=zHOej6TdvHM

「Slugs Of Love」
タイトル曲は70年代後半ニューウェイヴを思い起こさせるオルタナ・ロックに仕上がっています。Yukimiのコケティッシュ・ヴォーカルが映えて、新鮮な印象を受けます。
https://www.youtube.com/watch?v=O4jdKcE840s

「Disco Dangerous」
タイトルの通り、Little Dragon流ディスコ・チューン。ただし、過度にディスコティックになり過ぎず、あくまでLittle Dragonらしいエレクトロニカなポップ・ダンスに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=1awFtSE4uNU

「Lily's Call」
シンセ・サウンドを前面に打ち出した哀愁エレクトロ・ポップ。こういうダークな雰囲気も、ある意味Little Dragonらしいかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=yYmGTU2uHBc

「Stay」
JIDをフィーチャーしたエレクトロ・ポップ×Hip-Hopなクロスオーヴァー・チューン。元々は前述のEP「Opening the Door」収録曲。Yukimiのコケティッシュ・ヴォーカルが生えるキュートなポップ・チューンの雰囲気を壊さずに、JIDのラップが重なってくる感じがグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=K9MCXfa5dBY

「Gold」
Yukimiらしいヴォーカルを満喫できる哀愁R&B調の仕上がり。変化していくシンセの音色の表情も印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=ujGLHh2xHQA

「Kenneth」
レゲエ/ダブの影響も感じるローファイ感覚のエレクトリック・ソウル。少しストレンジな雰囲気がクセになります。
https://www.youtube.com/watch?v=0WNHTE0i9GE

「Glow」
Damon Albarn(vo、syn)をフィーチャーした深遠なドリーミー・エレクトロニカ。壮大なスケールを感じる音世界がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=gf_5HKilZA4

「Tumbling Dice」
疾走するビートが印象的なハウス調のダンス・チューン。もっと長尺で聴きたいキャッチーな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=23zNciJLq0c

「Easy Falling」
ラストはアコースティックな質感も交えたメロウ・チューンで優しく締め括ってくれます。Yukimiのヴォーカルが聴く者を優しく包み込んでくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=7gTFMm_yoDs

Little Dragonの他作品もチェックを!

『Little Dragon』(2007年)
Little Dragon

『Machine Dreams』(2009年)
Machine Dreams

『Ritual Union』(2011年)
リチュアル・ユニオン

『Nabuma Rubberband』(2014年)
Nabuma Rubberband

『Season High』(2017年)
Season High

『New Me,Same Us』(2020年)
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2023年07月16日

Pedro Martins『Radio Misterio』

Kurt Rosenwinkel、Thundercat、Eric Clapton参加☆Pedro Martins『Radio Misterio』

発表年:2023年
ez的ジャンル:ブラジル新世代系ジャズ/メロウ・ポップ
気分は... :心こそ心迷はす心なれ・・・

ブラジルもの新作からPedro Martins『Radio Misterio』です。

Pedro Martinsは1993年ブラジル連邦直轄区ガマ生まれのギタリスト、シンガー、ソングライター、マルチ・インストゥルメンタリスト。

これまで『Sonhando alto』(2013年)、『Vox』(2019年)といったソロ・アルバムや、Daniel Santiago & Pedro Martins『Simbiose』(2016年)、Michael Pipoquinha & Pedro Martins『Cumplicidade』(2020年)といった共同名義のアルバムをリリースしています。

また、Louis ColeとのユニットKNOWERの活動で知られる女性シンガーGenevieve ArtadiとのユニットExpensive Magnetsとしても作品をリリースしています。Genevieve Artadiは私生活のパートナーでもあります。

Pedro Martinsの名が大きくクローズ・アップされるようになったのは、現代ジャズ・ギターの皇帝Kurt Rosenwinkel『Caipi』(2017年)からだと思います。同作にPedroはプレイヤーとして参加するのみならず、共同プロデューサーも務めました。Kurt Rosenwinkelは本作でもPedroと共にメイン・プロデュースを務めます。

ちなみKurt RosenwinkelとPedroは、この後Eric Clapton主催のクロスロード・ギター・フェスティヴァルに参加し、その演奏は『Eric Clapton's Crossroads Guitar Festival 2019』(2020年)に収録されています。

また、Thundercat『It Is What It Is』(2020年)へのPedroの参加は当時意外にも感じましたが、Genevieve Artadiの影響でL.A.にも拠点を置くようになり、Genevieveを介してThundercatなどL.A.のミュージシャンたちとの交流を深めていった模様です。

さて最新作『Radio Misterio』ですが、国内盤ライナーノーツに当ブログでも紹介したFrederico Heliodoro『The Weight Of The News』(2023年)との共通性が指摘されていました。『The Weight Of The News』には、PedroやKurt Rosenwinkelも参加しています。

Frederico Heliodoro『The Weight Of The News』(2023年)


確かに、ジャズ×ブラジル×ロックをクロスオーヴァーさせたメロウ・ポップという点で両者に共通点を見出すことができます。Frederico Heliodoro『The Weight Of The News』の記事で、僕は“ブラジル音楽好きよりも、Louis ColeThundercat好きの人にフィットするアルバム”と書きましたが、同じ言葉が本作にも当てはまるのではないかと思います。

さて、本作『Radio Misterio』のレコーディングにはPedro Martins(vo、g、key、p、b、ds、per)以下、Thundercat(b、vo、808 per)、DOMi & JD BeckJD Beck(ds)、Omar Hakim(ds)、Daryl Johns(b)、Chris Fishman(p)、Kurt Rosenwinkel(syn)、Eric Clapton(g)が参加しています。

ちなみにDaryl Johnsは、StingThe Rolling Stonesの作品で知られるあのDaryl Johnsとは別人の若手ジャズ・ベーシストです。Omar Hakim(ds)が参加しているので、あのDaryl Johnsと勘違いする人も多いかもしれませんね。

メイン・プロデュースは前述のようにPedro MartinsKurt Rosenwinkel

さらにGenevieve ArtadiPedro MirandaDaryl JohnsChris Fishmanがプロデュースで参加している曲もあります。

楽曲はすべてPedroのオリジナルです(共作含む)。

多彩なゲストが参加している印象を受けるかもしれませんが、半数のトラックはPedroがすべての演奏を手掛けています。その意味では、彼のマルチ・インストゥルメンタリストとしての才を楽しむアルバムとなっています。すべてヴォーカル入りですが、あえてヴォーカルを奥に引っ込めてサウンドの方が目立つようなミックスになっているのも印象的です。

Pedro Martinsのメロウ・ポップ・ワールドをご堪能あれ!

全曲紹介しときやす。

「Nada Vai Ser Em Vao」
Pedroがすべての演奏を手掛けたオープニング。今ジャズ感覚のポップ・ロックはThundercat好きであれば気に入るはず。
https://www.youtube.com/watch?v=S_pkPvbCByE

「Juvenew」
このトラックもPedroがすべての演奏を手掛けています。レゲエ調のリラックスしたメロウ・ポップ。甘く切ない雰囲気がラヴァーズ好きの人にオススメです。
https://www.youtube.com/watch?v=OBiP-mMCtj4

「Isn't It Strange」
Thundercatと注目のZ世代ミュージシャンJD Beckをフィーチャー。近年のThundercat作品とシンクロする今ジャズ・フィーリング調のメロウ・ソウルに仕上がっています。Thundercatのベース、JD Beckのドラムの組み合わせはかなり強力で惹きつけられます。
https://www.youtube.com/watch?v=hlULBv3hduA

「Amor Fantasma」
このトラックもPedroがすべての演奏を手掛けています。バカンス・モードながらも少しミステリアスなメロウ・チューン。夢か現か・・・といった雰囲気が好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=GnH2ASZFQ_k

「Liberdade」
Omar Hakimをフィーチャー。Omar Hakimの推進力のドラミングがリードするメロウ・ポップ。本作らしいクロスオーヴァー感覚を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZG7Gb417Amk

「Vou Descobrir」
このトラックもPedroがすべての演奏を手掛けています。ポップでメロウながらもどこか寂しさを感じるのがブラジル人アーティストらしさかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=eSgZhuZLcEI

「Estrela Do Rock n' Roll Do Planalto Central」
タイトルからしてロックンロールしているのかなと思いきや、今ジャズ調のクロスオーヴァーな仕上がりとなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=iRMMUDbxQrE

「Ha De Haver」
Chris Fishmanをフィーチャー。Chris Fishmanのピアノをはじめ、アルバムの中で最もジャズな演奏かもしれません。Pedroのドラミングが躍動します。
https://www.youtube.com/watch?v=TipAdCOKFQU

「Polos」
Chris FishmanとDaryl Johnsをフィーチャー。本作らしさを最も象徴するような今ジャズ感覚のポップ・ロック。それこそThundercatのアルバムに収録されているような雰囲気のトラックです。
https://www.youtube.com/watch?v=0CqvXXHUjCQ

「Kaya Noite」
Kurt Rosenwinkelをフィーチャー。ここでのKurtはギターではなくシンセでの参加です。ジェントル&ドリーミーなメロウ・チューンに癒されます。
https://www.youtube.com/watch?v=kRQHCV5OfPM

「Radiocenter(dedicated to Toninho Maya)」
このトラックもPedroがすべての演奏を手掛けています。これは今ジャズらしい雰囲気の仕上がりです。少しミニマルな感じも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=teeFcssjP04

「Nao Leve A Mal」
Eric Claptonをフィーチャー。哀愁メロウ・ロックにClaptonのギター・ソロが加わりますが、ど派手な演奏ではなく控えめなのが逆にいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=2ahF5FRb1Lk

「A Very Well Mr. Yo」
このトラックもPedroがすべての演奏を手掛けています。60年代ポップを今ジャズ流のポップ・センスで再現したような雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=3UyBkHGHrjs

「No Final Da Festa」
Chris Fishmanをフィーチャー。アルバムのエンディングに相応しいメロウ・チューン。余韻に浸りながらアルバムは幕を閉じます。
https://www.youtube.com/watch?v=2ahF5FRb1Lk

Pedro Martinsの他作品もチェックを!

『Vox』(2019年)


Expensive Magnets『Expensive Magnets』(2019年)
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2023年07月09日

Domenico Lancellotti『Sramba』

サンバにアプローチした最新作☆Domenico Lancellotti『Sramba』

発表年:2023年
ez的ジャンル:鬼才系ブラジル音楽
気分は... :self-reliance・・・

ブラジル新作からDomenico Lancellotti『Sramba』です。

KassinMoreno Velosoとの+2ユニットでも知られる、1972年ブラジル、リオデジャネイロ生まれの鬼才プロデューサー/パーカッション奏者Domenico Lancellottiの紹介は、Domenico + 2『Sincerely Hot』(2002年)に続き2回目となります。

最新作『Sramba』は、Caetano Velosoのバンド・メンバーとしても知られるRicardo Dias Gomesをプロデューサーに迎え(Domenico自身は共同プロデューサーとしてクレジット)、サンバにアプローチした作品です。

サンバ・レジェンドIvor Lancellottiを父に持つDomenicoにとって、サンバへのアプローチはさほど驚くものではないのかもそれませんが、そこは一筋縄ではいかないのがDomenico。Domenicoならではのアヴァンギャルドな技を随所に挟んで楽しませてくれます。また、サンバ以外のトラックも収録されているので、Domenico好きの人であればフツーに楽しめると思います。

ソングライティングはすべてDomenicoのオリジナル(Ricardo Dias Gomesらとの共作も含む)。

派手さはありませんが、Domenico流のサンバ・ワールドに思わずニンマリしてみては?

全曲紹介しときやす。

「Ere」
土着的なリズム、ヴォーカルにアヴァンギャルドなアクセントが加わった不気味なオープニング。これぞDomenico。
https://www.youtube.com/watch?v=PXd-xDJrcB0

「Um Abraco no Faust」
Joao Gilbertoの名曲「Um Abraco No Bonfa」へのオマージュ。ギターを中心としつつも、エレクトロニカを駆使したコズミック感覚が印象的なインスト。
https://www.youtube.com/watch?v=9Il9geyCoqI

「Diga」
エレクトロニカなエッセンスを巧みに織り交ぜたサンバ・チューン。キャッチーとアヴァンギャルドのバランスが絶妙です。
https://www.youtube.com/watch?v=O5xVKw6v4dw

「Aterrizar」
Domenicoの脱力系ヴォーカルがフィットした哀愁サンバ・グルーヴ。薄らとしたエレクトロニカ・サウンドもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=52o6x1j7W7Y

「Ta Brabo」
Domenicoのヴィオランが寂しげに響くメロウ・ボッサ感覚のインスト。ここでもエレクトロニカなスパイスがモダンな仕上がりに貢献しています。
https://www.youtube.com/watch?v=4KzCOPygSXY

「Mole」
Domenicoらしいエクスペリメンタルな音世界を楽しめるトラック。これはエレクトロニカ好きのためのトラックかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=71a3xNla-hk

「Nada Sera de Outra Maneira」
Tamba Trioへのオマージュ。美しいストリングスを配したジャズ・サンバの中にアヴァンギャルドな隠し味を忍ばせているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=kGBA06C4U1s

「Quem Samba」
Marcia Santosをフィーチャー。ホーン・サウンドも配したノスタルジックなサンバを、Marcia SantosとDomenicoが男女デュエットします。
https://www.youtube.com/watch?v=VD95l41BGTQ

「Descomunal」
Toriをフィーチャー。Toriの女性ヴォーカルが浮遊するかのようなフューチャリスティック&アンビエントなトラックに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=dh7zEi9w5Ik

「Florescer」
ラストはDomenicoらしいセンスのポストロック的なポップ・チューンで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=_ROZ3KnDGu8

Domenico Lancellottiの他作品もチェックを!

Domenico + 2『Sincerely Hot』(2002年)
Sincerely Hot

『Serra dos Orgaos』(2017年)
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2023年07月02日

Emm Gryner『Business & Pleasure』

AORにアプローチした1枚☆Emm Gryner『Business & Pleasure』

発表年:2023年
ez的ジャンル:カナディアン女性SSW系AOR
気分は... :画像復旧せず・・・(泣)

新作からカナダの女性シンガー・ソングライターEmm Grynerの最新作『Business & Pleasure』です。

Emm Grynerは1975年カナダのオンタリオ州出身の女性シンガー・ソングライター。

1995年にデビュー・アルバム『And Distrust It』をリリース以来、コンスタントに作品をリリースし続け、カナダ版グラミーのジュノー賞にも3回ノミネートされている実力派シンガーです。

ロック・ファンにはDavid Bowieのバンドへの参加でも知られていますね。

また、ソロ活動以外にハード・ロック・プロジェクトTrapper、女性フォーク・トリオTrent Severnなどでも作品をリリースしています。

このように幅広い音楽性を持つEmm Grynerが今回アプローチしたのはAOR。

彼女はMichael McDonaldの大ファンで当初はMichael McDonaldにコンタクトを取ろうとしていたらしいですが、そんな流れでMichael McDonaldや奥方Amy Hollandと一緒に仕事をしたいたFred Mollinに辿り着いたようです。

そのFred Mollinをプロデューサーに迎え、彼の拠点であるナッシュビルでレコーディングされたのが本作『Business & Pleasure』です。

楽曲はEmm Grynerと公私のパートナーMichael Holmesによるものが中心です。

オリジナルではシティ・ソウル調の「Loose Wig」、ウエストコースト調の「Valencia」、哀愁メロウ・ポップ「The Chance」Donald Fagen「I.G.Y.」へのオマージュ「The Second Coming」。メロウ・ボッサ「Strangers and Saints」、哀愁メロウな「Burn The Boats」がオススメです。

また、「Real Love」The Doobie Brothers)、「City Nights」(オフコース)、「What You Won't Do For Love」Bobby Caldwell)というカヴァー3曲にも注目です。
※後者2曲は国内盤ボーナス・トラック。

最初からAORに傾倒したアーティストではなく、かなりのキャリアを有する実力派アーティストによるAORアプローチだからこそ成功している部分もあると思います。

これから夏に向けて重宝しそうな1枚になりそうです。

全曲紹介しときやす。

「Loose Wig」
Bryden Baird/Emm Gryner/Michael Holmes作。シティ・ソウル調の開放的なメロウ・グルーヴがオープニング。真夏のドライブ・ミュージックといった雰囲気がサイコーです。Donald Fagenのインタビュー記事にインスパイアされて書かれた楽曲なのだとか。

「Jack」
Emm Gryner/Michael Holmes/Stephan Szczesniak作。タイトルは大ヒット曲「All I Need」(1984年)で知られるUS俳優/シンガーJack Wagnerのこと。EmmからJackへのラブレターということのようです。80年代の香りのするメロウ・ポップに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=4xWl_MudQV4

「Valencia」
Emm Gryner/Michael Holmes作。80年代ウエストコーストAORといった雰囲気のメロウ・ポップ。AOR好きの人であれば大満足の1曲だと思います。80年代ムード満点のサックス・ソロもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=cjOnhmj895A

「Summertime」
Emm Gryner/Michael Holmes作。ポップ・ソウル調のサマー・グルーヴ。Martha & The Vandellas「Dancing in the Street」の引用も楽しいです。

「The Chance」
Emm Gryner/Michael Holmes/Lyle Molzan作。Emm本人が一番気に入っている曲なのだとか。Michael McDonaldの影響を感じる哀愁メロウ・ポップ。この甘く危険な香りのする哀愁感って80年代ならではものでしたね。

「Queen」
Emm Gryner/Michael Holmes/Nigel Powell作。ピアノのみをバックにEmmがしっとりと歌い上げるジェントル・バラード。

「The Second Coming」
Emm Gryner/Michael Holmes作。これはモロにDonald Fagen「I.G.Y.」へのオマージュですね。サウンドも曲調も「I.G.Y.」しています。

「Strangers and Saints」
Bryden Baird/Emm Gryner/Michael Holmes作。ロマンティックなメロウ・ボッサ。少し抑えたトーンのヴォーカルがボッサ・サウンドとよくマッチしています。

「Burn The Boats」
Emm Gryner/Michael Holmes作。これもAOR好きの心を擽る曲調ですね。Emmの透明感のあるヴォーカルが哀愁メロウな曲調の組合せがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=KGdvPGGllb4

「Don't Give In」
Emm Gryner/Michael Holmes/Sean Kelly作。80年代の青春映画のサントラに収録されていそうなポップ・ロックです。

「Real Love」
The Doobie Brothersのカヴァー(Michael McDonald/Patrick Henderson作)。
オリジナルは『One Step Closer』(1981年)収録。ここではオリジナルのMichael McDonaldならではの曲調を封印し、しっとりとしたピアノ・バラードで聴かせてくれます。

「City Nights」
国内盤ボーナス・トラックその1。なんとオフコースのカヴァー(Kazumasa Oda/Jimmy Compton/Philip H. Rhodes)。オリジナルはシングル「緑の日々」(1984年)のB面。ここではオリジナルの雰囲気に忠実なカヴァーで楽しませてくれます。

「What You Won't Do For Love」
国内盤ボーナス・トラックその1。今年3月惜しくも逝去したミスターAOR、Bobby Caldwellの名曲「風のシルエット」をカヴァー(Bobby Caldwell/Alfons Kettner作)。オリジナルは『Bobby Caldwell』(1978年)収録。少し抑えたトーンながらもブルーアイド・ソウル調の素敵なカヴァーに仕上がっています。

Emm Grynerの他作品もチェックを!

『Public』(1998年)


『Science Fair』(1999年)


『Dead Relatives』(2000年)


『Asianblue』(2002年)


『Songs of Love and Death』(2005年)


『The Summer of High Hopes』(2006年)


『Goddess』(2009年)


『Gem and I』(2010年)


『Northern Gospel』(2011年)


『Torrential』(2014年)


『21st Century Ballads』(2015年)


ご興味がある方はEmm Grynerのが組んでいた女性フォーク・トリオTrent Severnの作品もチェックを!

Trent Severn『Trent Severn』(2013年)


Trent Severn『Trillium』(2015年)
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2023年06月25日

Turbojazz『Whateverism』

長いキャリアで初ソロ・アルバム☆Turbojazz『Whateverism』

発表年:2023年
ez的ジャンル:ミラノ産ハウス/Nu Jazz/クロスオーヴァー
気分は... :「みずから」と「おのずから」・・・

新作からミラノのプロデューサーの長いキャリアで初のソロ・アルバムとなるTurbojazz『Whateverism』です。

Turbojazz(本名:Tommaso Garofalo)はイタリア、ミラノを拠点とするプロデューサー。

DJとして活躍すると同時に、CT-HI Recordsの立ち上げ、Fabio "Veezo" VisocchiDiego Montinaroと組んだハウス・ユニットJaxx Madicineとしても、2018年にアルバム『Distant Classic』をリリースしています。

Turbojazzとしてのソロ名義としては、2011年頃から作品をリリースしているようですが、アルバムは本作『Whateverism』が初となります。

プロデュース、アレンジ、ソングライティングはすべてTurbojazz自身(共作含む)。

アルバムにはSara VanderwertDemetrius RhymesAryaBrisaDave Giles IISean McCabeNikki-Oといったアーティストがフィーチャリングされています。

それ以外にJaxx Madicineの盟友Fabio "Veezo" Visocchi(p、b、syn)をはじめ、Fabio De Angelis(ds)、Domenico Mamone(fl、sax)、Riccardo "El Porracho" Sala(sax)といったミュージシャンが参加しています。

全体としては、ハウス、Nu Jazz、クロスオーヴァーなどがバランス良く配されたキャッチーな仕上がりです。

ヴォーカル/ラップをフィーチャーした「You Are Worth It」「We Lost A Night」「Stay Balanced」「In Love Again」あたりがキャッチーで聴きやすいと思います。

生ドラムを使った「The Standard」「Live At Apollo」、ハイテンションのフューチャー・ジャズ「Free Jaxx」、ボーナス・トラック「The Love Twist」などのインストもいいですよね。

満を持しての初アルバムを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「The Standard」
Veezoのピアノ、ベース、シンセ、Fabio De Angelisの生ドラムによる臨場感を重視したインストのダンサブル・チューンがオープニング。人力ならではの心地好さがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=_E481lwuWIc

「You Are Worth It」
Sara Vanderwertの女性ヴォーカルをフィーチャー。少しレイジーなヴォーカルがいい雰囲気の哀愁ミディアム・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=7P44JI86Qo4

「Constellated Ceiling」
涼しげに疾走するインストのコズミック・ハウス。このタイプのトラックはお手の物といったところでしょうか。
https://www.youtube.com/watch?v=B68LM2MptXs

「We Lost A Night」
Demetrius Rhymes & Aryaをフィーチャー。Demetrius RhymesのラップとAryaの女性ヴォーカルのコントラストがいい感じのメロウ・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=FHo-8lFe_8Y

「Free Jaxx」
Brisaをフィーチャー。Brisaは名古屋を拠点に活動するDJ/プロデューサー、Tetsu Shibuyaによるプロジェクト。ハイテンションのフューチャー・ジャズで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Yk4egv3QLEs

「Stay Balanced」
Beyonce『Renaissance』にも参加していたUSラッパーDave Giles IIをフィーチャー。かなり格好良いダンサブル・チューンに仕上がっています。程良いジャジー・サウンドによるアーバン・フィーリングがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=qyMHuO5zx4w

「Illudion」
インタールード的な短いインスト。
https://www.youtube.com/watch?v=1Q_1qiWwdfA

「In Love Again」
Sean McCabe & Nikki-Oをフィーチャー。Sean McCabeはUKのハウス・プロデューサー。Nikki-OはMoodymann周辺の女性シンガーとして知られていますね。そのNikki-Oのヴォーガルが際立つソウルフルなディープ・ハウスで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=nlkEoW1p7Nk

「Novalude」
1分半強のインタールード的なインスト。
https://www.youtube.com/watch?v=QMq40HPWS5I

「Live At Apollo」
本編ラストは再びFabio De Angelisがドラムで参加した臨場感のあるクロスオーヴァー・チューンで締め括ってくれます。涼しげなフルートがいいアクセントになっています。壮大なムードのエンディングも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=-L3Op7wxwvs

「The Love Twist」
国内盤ボーナス・トラック。Veezoのキーボードをフィーチャー。ダンサブルな中にもエレガントさを感じるクロスオーヴァー・チューンに仕上がっています。

Jaxx Madicine『Distant Classic』(2018年)もCD化されるといいですね。
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