2022年10月30日

Louis Cole『Quality Over Opinion』

異才は何処までも自由☆Louis Cole『Quality Over Opinion』

発表年:2022年
ez的ジャンル:異才ジャズ/ポップ/ソウル/ファンク/ロック
気分は... :才能を解き放て!

新作アルバムからエレクトロ・ポップ・ユニットKNOWERの活動でも知られる異才Louis Coleの最新4thアルバム『Quality Over Opinion』です。

L.A.を拠点に活動するシンガーソングライター、プロデューサー、ドラマー/マルチ・プレイヤーLouis Coleの紹介は、3rdアルバム『Time』(2018年)に続き2回目となります。

『Time』(2018年)以来、約4年ぶりの新作となる『Quality Over Opinion』。前作と同じくFlying LotusのレーベルBrainfeederからのリリースです。

プロデュースはLouis Cole自身。
ソングライティングもすべてLouis Coleのオリジナルです。

アルバムにはKNOWERの相棒Genevieve ArtadiLouis Coleとグラインドコア・ユニットClown Coreを組むサックス奏者のSam Gendel、現代ジャズ・ギターの皇帝Kurt Rosenwinkel、さらにはChris FishmanNate WoodMarlon Mackeyがフィーチャリングされています。

全20曲。ジャズ/ポップ/ソウル/ファンク/ロックを股に掛けたバラエティに富んだトラックが並びます。あまり一貫性のないところが、Louis Coleらしいかもしれません。

本作ではギター、エレクトリック・ベースの演奏に挑戦していることも注目です。

Genevieve ArtadiをフィーチャーしたKNOWER好きには嬉しい「Don't Care」、パワルフなドラミングとヴィヴィッドなシンセが織り成す「Planet X」、ポップでダンサブルなシンセ・ファンク「Park Your Car on My Face」Thundercatの近作に通じる「Message」「True Love」、ギターを用いた爽快メロウ「Forgetting」あたりが僕のオススメです。

やはり、この人は只者ではない!

全曲紹介しときやす。

「Quality Over Opinion」
美しいバイオリンとシンセをバックに、Louis Coleが早口で言葉を並べるオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=ip8E2CQrLzg

「Dead Inside Shuffle」
ホーン隊も加えたポップなシンセ・ファンク。Louis Coleらしいキャッチーだけど少し尖っている感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=RoG-nrvKKZc

「Not Needed Anymore」
ここではギターをプレイするLouis Coleですが、そのギターがシンセをプレイしているかのように聞こえるのが面白いですね。実際、キーボードで書いたものをギターで弾いているようです。
https://www.youtube.com/watch?v=mwyufwkIKXA

「Shallow Laughter」
バイオリンとチェロを配した美しいトラック。予備知識がなければLouis Coleと思わないのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=435lHX8gUSc

「Bitches」
Clown Coreの盟友であるSam Gendelのサックスをフィーチャー。そのClown Core寄りの少しハードコアな演奏を楽しむことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=_1PdtPuaS-k

「Message」
Chris Fishman(el-p、p)とNate Wood(b)をフィーチャー。Thundercatの近作に通じる哀愁メロウ・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=fpXZs6csHp0

「Failing in a Cool Way」
ローファイ感が強調されたダンサブルなシンセ・ポップ。ある意味とてもBrainfeederらしい雰囲気かも?
https://www.youtube.com/watch?v=zP5IEP-tIkY

「Disappear」
抑えたトーンのメロウ・ミディアム。どこまでもソフトリーな感じに癒されます。
https://www.youtube.com/watch?v=2pvwGvZkCxY

「I'm Tight」
ベースが強調されたファンク・グルーヴです。本作では珍しい7分の長尺。これまではシンセ・ベースを用いたLouis Coleですが、本作ではThundercatから譲り受けたエレクトリック・ベースも弾いています。本トラックもそんな1曲でしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=u9XrWB-u1vc

「True Love」
Thundercatの近作に通じるメロウ・チューン。派手さはないけど、こういうメロウな雰囲気を創り出すのが巧いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=hx24t2hCq98

「Planet X」
パワルフなドラミングとヴィヴィッドなシンセが織り成す、Louis Coleらしいダンサブル・チューン。アルバムの中でもかなりお気に入りのトラックです。
https://www.youtube.com/watch?v=qGmfAymhkmw

「Let Me Snack」
男性シンガー・ソングライターのMarlon Mackeyをフィーチャー。前半は寂しげな雰囲気のメロウ・チューンですが、中盤から様相が一変し、エクスペリメンタル/ハードコアな展開へ・・・このコントラストが面白いです。
https://www.youtube.com/watch?v=RmRHU3c3_n0

「Forgetting」
ギターを用いた爽快メロウ・チューン。Louis Coleのポップ・メロウ・センスを楽しみましょう。2分に満たない小曲ですが、かなり僕好み。
https://www.youtube.com/watch?v=4cTAtBtYGcQ

「Park Your Car on My Face」
完成度の高いポップでダンサブルなシンセ・ファンク・チューン。キャッチーさでいえば、アルバム随一かもしれませんね。Louis Coleのポップな魅力が凝縮されたトラックだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=qEcI3Ywa49Q

「Don't Care」
KNOWERの相棒Genevieve Artadiをフィーチャー。KNOWER好きには嬉しいダンサブルなシンセ・ポップに仕上がっています。ポップなのに何処となく儚げな雰囲気がサイコーです。ちなみにアナログ盤のみですがGenevieve ArtadiもBrainfeederからソロ・アルバム『Dizzy Strange Summer』(2020年)をリリースしています。KNOWERとしての新作も聴きたいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=vRoYzIwib28

「Laughing in Her Sleep」
Louis Coleのファルセット・ヴォーカルがジェントルに響く、おやすみモードのメロウ・チューン。聴いていると童心に戻れそうな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=XOr-f_5Ru58

「Outer Moat Behavior」
エクスペリメンタル/ビートミュージック的な仕上がり。このタイプの演奏は別に好きではないですが、一方でこういうのが1曲が小鉢的にあると嬉しくなってしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=T5EbI59C2gk

「When」
現代ジャズ・ギターの皇帝Kurt Rosenwinkelをフィーチャー。なんとアウトロでフィーチャリングされたKurt RosenwinkelのギターはライヴのYouTube音源なのだとか。このあたりの何でもアリがLouis Coleらしいかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=FzHU5y8olcY

「Let it Happen」
美しいコーラスと共に始まるビューティフル・チューン。前作『Time』でも聴かせてくれたThe Beach Boys的なドリーミー・ポップ感で楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=fkQgAN9xRO4

「Little Piano Thing」
本編ラストは美しいピアノ・ソロで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=UyOBmB4UYx0

「I Forgot Your Birthday」
国内盤ボーナス・トラック。Spencer Coleをフィーチャー。少しエクスペリメンタルでダンサブルなポップ・ロックに仕上がっています。

Louis Coleの他作品やKNOWERのアルバムもチェックを!

『Album 2』(2013年)
アルバム 2

KNOWER『Let Go』(2013年)
Let Go +10

KNOWER『Covers』(2014年)
Covers

KNOWER『Life』(2016年)
Life

『Time』(2018年)
Time [解説・歌詞対訳 / ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC575)
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2022年10月23日

Moons『Best Kept Secret』

ミナスの新世代バンド☆Moons『Best Kept Secret』

発表年:2022年
ez的ジャンル:ミナス新世代ロック/フォーク
気分は... :ゆっくりと時間が流れて・・・

ブラジルもの新作からMoons『Best Kept Secret』です。

Moonsはブラジル、ミナスの新世代ミュージシャンが集結したバンド。
元々は中心メンバーAndre Travassosのソロ・プロジェクトとしてスタートしました。

ちなみにMoonsというグループ名は、当ブログでも紹介したNick Drake『Pink Moon』(1972年)に由来するものです。

これまで『Songs Of Wood And Fire』(2016年)、『Thinking Out Loud』(2019年) 、『Dreaming Fully Awake』(2020年)という3枚のアルバムをリリースしています。

4thアルバムとなる本作『Best Kept Secret』におけるメンバーは、Andre Travassos(vo、g)、Bernardo Bauer(vo、b)、Felipe D'Angelo(vo、key、syn)、Jennifer Souza(vo、g)、Pedro Hamdan(vo、ds)、Rodrigo Leite(vo、g)という6名。

プロデュースはMoonsと2nd、3rdのプロデュースも手掛けたLeonardo Marques

僕がMoonsに興味を持ったのは、当ブログでそれぞれソロ・アルバムを紹介したJennifer SouzaLeonardo Marquesが関わっているためです。

あとは、2nd『Thinking Out Loud』(2019年)のジャケにも惹かれていました。まさにNick Drake的なものを感じますよね。

楽曲はすべてオリジナル。タイトルを見ればお分かりだと思いますが、全曲英語で歌われています。そのせいもあってブラジル作品ということを意識せずとも楽しめる1枚です。

全体としては"まどろみ"系とでも呼びたくなるメロウなロック/フォークという印象です。ジャジーなエッセンスもうまく織り交ぜています。スパイス程度にブラジリアンな雰囲気を効かせています。

本作を象徴する"まどろみ"系メロウ「The Will To Change」、ポスト・ロック的な「Low Key」、ほんのりボッサ・テイストの「Best Kept Secret」、セピアなジャジー・メロウ「Silver Linings」、最後にはブラジリアン・リズムを効かせた「Another You」、最もバンド感のある「Let's Do It All Again」、70年代US女性SSW作品を思わせる「Confusions Of A Heart」、田園フォーキー「Childlike Wisdom」、月光のような神秘的ムードの「Moonglow」という充実の全9曲です。

ゆっくりと時間が流れていく、心をリセットできる素敵な1枚をぜひ!

全曲紹介しときやす。

「The Will To Change」
Andre Travassos作。本作らしい"まどろみ"系メロウ・チューンがオープニング。ゆったりと穏やかに時間が流れていく感じがサイコーです。Fred Selvaのヴァイヴがいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=8QECJx1fpfs

「Low Key」
Andre Travassos作。ミナス新世代によるポスト・ロックといった雰囲気の軽快な爽快チューン。The Sea And Cakeあたりが好きな人は気に入りそうですね。
https://www.youtube.com/watch?v=9o38r32GQik

「Best Kept Secret」
Andre Travassos作。メロウ・フォーキーですが、ほんのりボッサ・テイストが漂うのもいいですね。タイトルの通り、シークレット・モードな感じもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=9zN-k6v-eu8

「Silver Linings」
Andre Travassos作。ジャジー・メロウなサウンドとAndre Travassosの寂しげなヴォーカルが織り成すセピア色の音世界が秋モードにフィットします。
https://www.youtube.com/watch?v=He3_nN5iyFI

「Another You」
Andre Travassos作。出だしは寂しげなフォーキーですが、そこにFred Selvaのヴァイヴなどが加わりメロウな雰囲気へ・・・最後にはブラジリアン・リズムが加わるという3段階で楽しめる展開です。
https://www.youtube.com/watch?v=xyHa_WyU1dw

「Let's Do It All Again」
Moons作。グループ名義のソングライティングになっているようにアルバムで最もバンド感のある演奏かもしれません。ここではJennifer SouzaをはじめAndre Travassos以外のメンバーがヴォーカルをとっています。まどろみのメロウ・ロックといった雰囲気がサイコーです。
https://www.youtube.com/watch?v=JbFQ7MD3aoA

「Confusions Of A Heart」
Andre Travassos/Jennifer Souza作。70年代US女性SSW作品をジャジー&メロウにアップデートさせた雰囲気です。落ち着いたトーンのオトナ・ロックといった感じですかね。
https://www.youtube.com/watch?v=d7VoytU3Yuk

「Childlike Wisdom」
Andre Travassos/Bernardo Bauer作。田園フォーキーとでも呼びたくなる長閑な雰囲気が魅力です。ストリングスの使い方も絶妙ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=xMKjIiHuctg

「Moonglow」
Moons/Felipe D'Angelo作。ラストはまさに月光のような神秘的なムードのビューティフル・フォーキーで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=4NBz0E0YNy4

Moonsの他作品もどうぞ!

『Songs Of Wood And Fire』(2016年)


『Thinking Out Loud』(2019年)
moons thinking out loud.jpg

『Dreaming Fully Awake』(2020年)
moons dreaming fully awake.jpg

Jennifer SouzLeonardo Marquesの過去記事もご参照ください。

Jennifer Souza『Pacífica Pedra Branca』(2021年)


Leonardo Marques『Curvas, Lados, Linhas Tortas, Sujas E Discretas』(2015年)
クルヴァス、ラードス、リーニャス・トルタス、スージャス・イ・ヂスクレタス(CURVAS, LADOS, LINHAS TORTAS, SUJAS E DISCRETAS)

Leonardo Marques『Flea Market Music』(2022年)
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2022年10月16日

Various『Blue Note Re:imagined II』

UK新世代によるBlue Note作品の新解釈!第二弾☆Various『Blue Note Re:imagined II』

発表年:2022年
ez的ジャンル:UK次世代ジャズ・コンピ
気分は... :第二弾でよりマニアックに!

今回は新作アルバムから話題のコンピ作品Various『Blue Note Re:imagined II』です。

本作はUKのDrccaとUSのBlue Noteがタッグを組み、UK新世代ジャズを中心とした新鋭アーティスト達が、Blue Noteに残されたジャズ名曲をカヴァーする企画作品Various『Blue Note Re:Imagined』(2020年)の続編です。

Various『Blue Note Re:Imagined』(2020年)


今回はYazz AhmedConor AlbertParthenopeSwindleNubiyan TwistEgo Ella MayOscar Jerome & Oscar #WorldpeaceDaniel Casimir feat. Ria MoranTheon CrossMaya DelilahKay YoungVenna & MarcoReuben JamesBinker GoldingCheriseFranc Moodyといったミュージシャンが参加しています。

さらに国内盤ボーナス・トラックでは日本人アーティストBIGYUKIが参加しています。

第一弾よりも参加アーティストが小粒になった印象を受けますが、その分、先入観なしに楽しめるのではないかと思います。

また、選曲も前回以上にマニアックなものが多く、年代も幅広くなっています。Donald Byrd作品から4曲、Wayne Shorter作品から2曲、Norah Jones作品から2曲、Mizell兄弟によるスカイハイ・プロダクション作品が3曲といった偏りがあるのも逆に面白いと思います。

第一弾と同じくオリジナルと聴き比べるのも楽しいですが、オリジナルを知らずとも、またジャズ・ファンで無くとも南ロンドン新世代ジャズを中心とした今のUK音楽シーンの面白さが凝縮されたナイス・コンピに仕上がっています。

全曲紹介しときやす。
※最初にオリジナル作品として示しているのは、元になっているであろうBlue Note作品です。

Yazz Ahmed「It」
オリジナルはChick Corea『Is』(1969年)収録(Chick Corea作)。UKの女性トランペッターYazz Ahmedが主役。Chick Corea作品のレコーディングにも参加したTim Garland(ss、bc)も参加しています。オリジナルは30秒程度のピアノとピッコロのみの演奏による小曲ですが、ここでは5分超の美しくダイナミックなアンサンブルを聴かせてくれます。主役Yazzのトランペット/フリューゲル・ホーンに加えて、Tim Garlandのバス・クラリネットが存在感あります。Noel Langly/Yazz Ahmedプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=BFkHFqvQt8U

Chick Corea「It」
https://www.youtube.com/shorts/JUeiV-_0UU8
Chick Corea『Is』(1969年)


Conor Albert「You Make Me Feel So Good」
オリジナルはBobbi Humphrey『Fancy Dancer』(1975年)収録(Larry Mizell/Fonce Mizell作)。フリーソウル・クラシックにもなっている人気曲ですね。UKの新鋭ピアニストConor Albertが主役。ピアノのみならず全ての演奏を一人でこなすマルチ・インストゥルメンタリスト であることを示してくれます。 Mizell兄弟によるスカイハイ・サウンドが印象的なオリジナルの雰囲気をそのまま受け継いだ爽快ジャジー・メロウな演奏です。
Conor Albertプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=87DrYkaAehE

Bobbi Humphrey「You Make Me Feel So Good」
https://www.youtube.com/watch?v=mAFotx4YSeQ
Bobbi Humphrey『Fancy Dancer』(1975年)


Parthenope「Don't Know Why」
オリジナルはNorah Jones『Come Away With Me』(2002年)収録(Jesse Harris作)。グラミーで最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞、最優秀女性ポップ・ヴォーカル・パフォーマンス賞を受賞したスタンダードと呼べる名曲ですね。本当のオリジナルは作者Jesse Harrisのアルバム『Jesse Harris and the Ferdinandos』(1999年)に収録されたヴァージョン。ここではリーズ出身の女性サックス奏者Parthenope Wald-Hardingがヴォーカルも披露してくれます。この曲の持つ素晴らしい「温もり」を改めて実感させてくれるハートウォーミングな仕上がりです。
Owen Eastwoodプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=Ak5VnkDQBus

Norah Jones「Don't Know Why」
https://www.youtube.com/watch?v=tO4dxvguQDk
Norah Jones『Come Away With Me』(2002年)


Swindle「Miss Kane」
オリジナルはDonald Byrd『Street Lady』(1973年)収録(Larry Mizell作)。UKグライム/ダブステップ・シーンから登場してきた人気アーティストSwindleが手掛けています。当ブログでもSwindle作品を紹介しようかなぁ、と思っていたのでグッド・タイミングでした。最近はYoung Gun Silver Foxの活動でも知られるShawn Lee(ds、per)も参加しています。Swindleがこのリズミックなファンキー・チューンをセレクトする気持ちがよく分かります。ストリングスも配し、Swindle流のスカイハイ・サウンド再構築で楽しませてくれます。Swindleプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=I2lHpLOlifM

Donald Byrd「Miss Kane」
https://www.youtube.com/watch?v=KjH_uFMssOE
Donald Byrd『Street Lady』(1973年)


Nubiyan Twist「Through The Noise (Chant No.2)」
オリジナルはDonald Byrd『A New Perspective』(1963年)収録の「Chant」(Duke Pearson作)。当ブログでも紹介したUKジャズ・コレクティヴNubiyan Twistによる演奏です。彼らが「Chant」をセレクトしたのは意外でしたが、Nubiyan Twistらしいスリリングに疾走するグルーヴィーなアフロ・ジャズに変貌させてくれています。グループのリーダーTom Excellのプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=m6SYcL6Eclk

Donald Byrd「Chant」
https://www.youtube.com/watch?v=CrqeuVhPg_A
Donald Byrd『A New Perspective』(1963年)


Ego Ella May「Morning Side Of Love」
オリジナルはChico Hamilton『Peregrinations』(1975年)収録(Chico Hamilton作)。サウス・ロンドンから登場したネオソウルの新星Ego Ella Mayをフィーチャー。Ego Ella Mayのコケティッシュなヴォーカルが引き立つ、幻想的な仕上がりがいい感じです。Ego Ella May/Eunプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=_7uV6AlSF7A

Chico Hamilton「Morning Side Of Love」
https://www.youtube.com/watch?v=VN9i1RSERWU
Chico Hamilton『Peregrinations』(1975年)


Oscar Jerome & Oscar #Worldpeace「(Why You So) Green With Envy」
オリジナルはGrant Green『Green Street』(1961年)収録(Grant Green作)。当ブログでも紹介したUK新世代アフロ・ジャズ・ユニットKokorokoJoe Armon-Jones等の作品に参加するギタリストOscar JeromeとラッパーOscar #Worldpeaceという二人が主役。オリジナルからの変貌という意味では、このトラックが一番振り幅が大きいかもしれません。ジャズ×Hip-Hopな今ジャズを楽しめる内容です。Oscar Jeromeプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=5Ih-zqMK7Cw

Grant Green「(Why You So) Green With Envy」
https://www.youtube.com/watch?v=XHxBIIZX_mY
Grant Green『Green Street』(1961年)


Daniel Casimir feat. Ria Moran「Lost」
オリジナルはWayne Shorter『The Soothsayer』(1979年)収録(Wayne Shorter作)。主役のDaniel CasimirはBlue Lab BeatsAshley HenryNubya Garcia等の作品にも参加しているベーシスト。オリジナルはインストですが、ここではRia Moranの女性ヴォーカルをフィーチャーしています。オリジナルの雰囲気とは少し異なる幻想的なメロウ・チューンですが、今ジャズらしさもあってフィットします。Daniel Casimirプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=ks1XfaHBu3w

Wayne Shorter「Lost」
https://www.youtube.com/watch?v=fnf-veWTZZ0
Wayne Shorter『The Soothsayer』(1979年) ※録音は1965年


Theon Cross「Epistrophy」
オリジナルはThelonious Monk 『Genius Of Modern Music』(1951年)収録(Kenny Clarke/Thelonious Monk作)。当ブログでは『Monk's Music』(1957年)収録ヴァージョンを紹介済みです。主役のTheon CrossShabaka Hutchings率いるSons Of Kemetメンバーであり、当ブログでも紹介したソロ・アルバム『Fyah』も素晴らしい作品でした。個性派ミュージシャンのTheon Crossが、超個性派のモンク作品をセレクトするのは納得です。最初の一音からTheon Crossらしいチューバの響きで楽しませてくれます。Theon Crossワールド全開の素晴らしいUKジャズ・ワールドです。Theon Cross/Emre Ramazanogluプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=qO2UZtXaJNY

Thelonious Monk「Epistrophy」
https://www.youtube.com/watch?v=QkkKtCiZusA
Thelonious Monk『Genius Of Modern Music』(1951年)


Maya Delilah「Harvest Moon」
オリジナルはCassandra Wilson『New Moon Daughter』(1995年)収録(Neil Young作)。本当のオリジナルはNeil Young『Harvest Moon』(1992年)収録。女性シンガー・ソングライターMaya Delilahが主役ですが、本当のオリジナルであるNeil Youngヴァージョンを手本にしているような仕上がりです。まぁ、Cassandraヴァージョンに寄せていくのはハードル高いですからね(笑)。Stephen Barnesプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=6moD8cTsP1Y

Cassandra Wilson「Harvest Moon」
https://www.youtube.com/watch?v=YHbcwby7igA
Cassandra Wilson『New Moon Daughter』(1995年)


Kay Young「Feel Like Making Love」
オリジナルはMarlena Shaw『Who Is This Bitch, Anyway?』(1975年)収録(Eugene Mcdaniels作)。本当のオリジナルはRoberta Flack『Feel Like Makin' Love』(1975年)収録。
主役のKay YoungはUKの女性ラッパー/シンガー。Marlena Shawヴァージョンの雰囲気を受け継いだネオソウル調の仕上がりです。Kay Youngプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=cmaBfn7U3fA

Marlena Shaw「Feel Like Makin' Love」
https://www.youtube.com/watch?v=RK326HjaNTA
Marlena Shaw『Who Is This Bitch, Anyway?』(1975年)


本曲「Feel Like Makin' Love」について、当ブログではD'AngeloMeta Roos & Nippe Sylwens BandRicardo Marrero & The GroupB.E.F.Roy Ayers UbiquityEly BrunaJeffrey OsborneBob Jamesのカヴァーも紹介済みです。

Venna & Marco「Where Are We Going?」
オリジナルはDonald Byrd『Black Byrd』(1972年)収録(Edward Larry Gordon/Larry Mizell作)。
Venna & Marcoはサックス奏者Malik Vennerとサックス奏者&マルチ奏者Marco Bernardisによるユニット。オリジナルが大好きなので、この曲をセレクトした時点で勝ち!と思っていたのですが、意外にもオリジナルの雰囲気とは異なるスムーズ・ジャズ調の今ジャズに仕上がっています。終盤のエレクトリックな雰囲気がいい感じ。Venna & Marcoプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=rUyMVCjob2A

Donald Byrd「Where Are We Going?」
https://www.youtube.com/watch?v=-6CEryWus_A
Donald Byrd『Black Byrd』(1972年)


Reuben James「Infant Eyes」
オリジナルはWayne Shorter『Speak No Evil』(1964年)収録(Wayne Shorter作)。主役のReuben Jamesは幅広いジャンルのレコーディングに参加するピアニスト/シンガー。ここでは彼のピアノに加えてヴォーカルにも注目です。何の予備知識もなく聴くと女性ヴォーカルと間違えるかもしれません。美しく幻想的なジャズ・ワールドに吸い込まれていきます。Reuben Jamesプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=E9TUKtUhanc

Wayne Shorter「Infant Eyes」
https://www.youtube.com/watch?v=CYg_3pQN-LU
Wayne Shorter『Speak No Evil』(1964年)


Binker Golding「Fort Worth」
オリジナルはJoe Lovano『From the Soul』(1992年)収録(Joe Lovano作)。今回の選曲で一番意外だったのがコレ。数あるBlue Note作品からこの1枚を選ぶのって余程思い入れあるのでは?主役のBinker Goldingは、Binker & MosesやMoses Boyd Exodusといった
UK新世代ジャズを代表するドラマーMoses Boyd絡みの活動でも知られるサックス奏者です。アルバムの中でも最もエキサイティングな演奏かもしれません。Binker Goldingのプレイを存分に楽しめます。この演奏を聴くとこの選曲が正解であったと納得してしまいます。Binker Goldingプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=A3IU7qEGGYk

Joe Lovano「Fort Worth」
https://www.youtube.com/watch?v=NlRw0nPD3pk
Joe Lovano『From the Soul』(1992年)


Cherise「Sunrise」
オリジナルはNorah Jones『Feels Like Home』(2004年)収録(Lee Alexander/Norah Jones作)。主役のUK女性R&BシンガーCheriseは、Nubiyan Twist『Freedom Fables』(2021年)、『Brockwell Mixtape』(2022年)という当ブログで最近紹介した作品でもフィーチャリングされています。胸に込み上げてくるソウルフル&ビューティフルな仕上がりには、オリジナルとは異なる感動があります。Tobie Trippプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=FLufTsceuNE

Norah Jones「Sunrise」
https://www.youtube.com/watch?v=fd02pGJx0s0
Norah Jones『Feels Like Home』(2004年)


Franc Moody「Cristo Redentor」
オリジナルはDonald Byrd『A New Perspective』(1963年)収録(Duke Pearson作)。Franc MoodyはNed FrancとJon Moodyを中心としたNu Funkバンド。オリジナルのゴスペル調コーラスの雰囲気は残しつつ、エレクトロ&ダンサブルなサウンドで楽しませてくれます。Franc Moodyプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=Zvt4LE8hGr4

Donald Byrd「Cristo Redentor」
https://www.youtube.com/watch?v=tg3CBBkSss4
Donald Byrd『A New Perspective』(1963年)


BIGYUKI「The Creators」
国内盤ボーナス・トラック。日本が誇るキーボード奏者BIGYUKIです。オリジナルはBobby Hutcherson『Now!』(1970年)収録(Herbie Lewis作)。オリジナルのトライバル&コズミックな雰囲気を発展させた演奏で楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=BDT1hkCDPaY

Bobby Hutcherson「The Creators」
https://www.youtube.com/watch?v=sYEVsBFf_vM
Bobby Hutcherson『Now!』(1970年)


未聴の方は第一弾『Blue Note Re:Imagined』(2020年)もぜひチェックを!

Various『Blue Note Re:Imagined』(2020年)
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2022年10月09日

Alexia Bomtempo『Doce Carnaval』

カーニバルへの思いが込められた最新作☆Alexia Bomtempo『Doce Carnaval』

発表年:2022年
ez的ジャンル:コスモポリタン系女性MPB
気分は... :甘いカルナヴァル・・・

新作アルバムから女性MPBシンガーAlexia Bomtempoの最新作『Doce Carnaval(邦題:甘いカルナヴァル)』です。

1985年ワシントンD.C.生まれ。母はアメリカ人で父がブラジル人で両国を往き来するコスモポリタンな女性MPBシンガーAlexia Bomtempoについて、これまで当ブログで紹介したのは以下の3枚。

 『Astrolabio』(2008年)
 Doces Cariocas『Doces Cariocas(Sweet Cariocas)』(2009年)
 ※当時公私のパートナーであったPierre Aderneとのユニット
 『I Just Happen To Be Here』(2012年)
 『Suspiro』(2018年)

『Suspiro』(2018年)以来約4年ぶりの新作となる本作『Doce Carnaval(邦題:甘いカルナヴァル)』は、新型コロナの影響で中止・延期が続いたカーニバルへの思いが原動力となり制作された作品です。

そんな経緯もあり、オリジナルは1曲のみで残る8曲はAlexiaとカーニバルを結びつける名曲カヴァーから構成されています。メロウだけれど一筋縄ではいかないサンバ/ボッサで楽しませてくれます。

プロデュースはAlexandre VazJake Owen
Kassinが共同プロデュースで参加した曲もあります。

アルバムには元Red Hot Chili PeppersJosh KlinghofferRoberta SaFernanda AbreuPierre Barouhの娘Maia BarouhMundo Livre S/Aでの活動でも知られるOttoといったゲストがフィーチャリングされています。

レコーディングにはAlexandre Vaz(g、key、prog)、Jake Owen(g、key、prog、strings/wind arr)、Mauro Refosco(ds、per、prog、key)、Kassin(prog)、Philippe Powell(el-p)、Jaques Morelenbaum(cello)、Alberto Continentino(b)、Jorge Continentino(clarinet)、Stephane San Juan(per)、Gustavo di Dalva(per)、Jorge Ailton(back vo)、Milton Guedes(back vo)、Rodrigo Tavares(el-p、syn)、Michael Blake(fl)、Eduardo Belo(b)等が参加しています。

まずは「Chameleon Lovers」「Banho de Cheiro」「Domingo」というシングルになった冒頭3曲に本作のエッセンスが凝縮されています。

それ以外に室内楽的な「Rapunzel」、フランス語で歌われる「La Nuit des Masques」、神秘的なムードの「Mal Acostumada」、エレクトロニクスとの融合が見事な「Às 3 da Manha」「Direito de Sambar」など全編充実しています。

Alexia Bomtempo大好き!な僕としては大満足の1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Chameleon Lovers」
Philippe Powell/Alexia Bomtempo/Alexandre Vaz/Jake Owen作。
元Red Hot Chili PeppersのJosh Klinghofferをフィーチャー。本作唯一のオリジナルであり、アルバムからの3rdシングルがオープニング。美しいストリングスを配しカーニバル・モードのメロウ・グルーヴですが、元Red Hot Chili PeppersのJosh Klinghofferにサンバを歌わせてしまうのがコスモポリタンなAlexiaらしいですね。ビター・スウィートな雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Zh52aNpwenY

「Banho de Cheiro」
邦題「魔法の水」。Carlos Fernando作品をカヴァー。オリジナルは1983年のElba Ramalhoヴァージョン。人気女性シンガーRoberta Saをフィーチャーしたアルバムからの1stシングル。寛いだ雰囲気のメロウ・ボッサですが、カンドンブレ・モードのアフロ・ブラジルなスパイスを隠し味で効かせています。
https://www.youtube.com/watch?v=dCbBLGBz2f4

「Domingo」
サンバ・エスコーラUniao Da Ilha Do Governadorが1977年に発表したカーニバルのテーマ曲をカヴァー(Ademar Vinhaes/Aurinho da Ilha/Ione do Nascimento作)。ベテラン女性シンガーFernanda Abreuをフィーチャーしたアルバムからの2ndシングル。カリオカ・モードのボッサ・チューンでサウダージ気分を満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=YNL9iBSG31s

「Rapunzel」
Daniela Mercury、1997年の大ヒット曲をカヴァー(Carlinhos Brown/Alaim Tavares作)。オリジナルは軽快なアシェ(バイーア生まれのダンス・ミュージック)でしたが、それとは対照的な室内楽的な落ち着いた仕上がりで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=-gHh2TE0n8c

「La Nuit des Masques」
邦題「仮面の夜」。Chico Buarque作品にPierre Barouhがフランス語の歌詞をつけ、当時の妻Dominiqueとの共同名義で1974年リリースした楽曲のカヴァー。ここではそのPierre Barouhの娘Maia Barouhをフィーチャー。
Baden Powellの息子Philippe PowellがMaia Barouhを紹介してくれたのだとか。そのPhilippe Powellもエレピで参加。Kassinも共同プロデュースで参加しています。フレンチの語感がよくフィットしたレイジーなメロウ・サンバはモロに僕好み!
https://www.youtube.com/watch?v=Stp2hpMBCLs

「Mal Acostumada」
バイーアの人気グループAra Ketuのカヴァー(Meg Evans/Ray Araujo作)。Mundo Livre S/Aでの活動でも知られるOttoをフィーチャー。メロウ・ボッサですが、神秘的なムードも加味された独特の音世界を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=k039iVU-tP0

「Às 3 da Manha」
邦題「明け方3時」。Herivelto Martins作。古典サンバのカヴァー。オーセンティックなサンバ・マナーにエレクトロニクスなエッセンスを加味していますが、これはプログラミングで参加のKassinの手腕だと思います。クラリネットによるアクセントもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=tcJcNTDoFi8

「Direito de Sambar」
邦題「サンバをする権利」。サンバ・ソングライターBatatinhaの名曲をカヴァー。本作のコンセプトにフィットするタイトルですよね。このトラックも古典サンバをエレクトロニクスなエッセンスで2022年仕様にアップデートさせています。さらに名手Jaques Morelenbaumのチェロも加わり、素晴らしいモダン・サンバに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=tDlsQy_1FWE

「Quero Morrer no Carnaval (vignette)」
邦題「カルナヴァルで死にたい」。ラストはElza Soaresのカヴァー・ヒットでも知られるLuiz Antonio/Eurico Campos作の古典サンバのカヴァーで締め括ってくれます。ビネット(小品)とあるように1分半に満たない楽曲ですが、少しダビーでストレンジな雰囲気でアルバムの余韻に浸れます。
https://www.youtube.com/watch?v=MDgy3pm_Poo

Alexia Bomtempoの過去記事もご参照下さい。

『Astrolabio』(2008年)
Astrolabio

Doces Cariocas『Doces Cariocas(Sweet Cariocas)』(2009年)
Sweet Cariocas

『I Just Happen To Be Here』(2012年)
I Just Happen to Be Here

『Suspiro』(2018年)
真夜中のため息
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2022年10月02日

Miles『Riding The Wave』

AORへの素敵なオマージュ☆Miles『Riding The Wave』

発表年:2022年
ez的ジャンル:AORリヴァイバル
気分は... :EaglesとMichael McDonaldの間・・・

新作からAORリヴァイバル作品、Miles『Riding The Wave』です。

MilesことAdam Miles Amerは、ロンドン出身のシンガー/ギタリスト。

70〜80年代のAOR/ウエストコースト・サウンドに影響を受け、音楽制作を開始したミュージシャンの1stアルバムが本作『Riding The Wave』です。

Miles本人によれば、"EaglesMichael McDonaldの間に位置するような作品をつくりたかった"そうです。

自分の好きなAORへのオマージュ的作品をつくった感じがストレートに伝わってきます。

変に今日的なエッセンスを加えるようなことはせず、70〜80年代AOR風の曲調、サウンドをそのまま再現しているのが潔いですね。

Adam Miles Amer(vo、g、key)以外に、Seb Hankins(ds、per)、Jon Cox(b)、Joe Glossop(org)、Pete Morris(vo)、Bobby Lamont(g)、Leo Richardson(sax、fl)、George Hogg(to、flh)、Tom Dunnet(tb)、George Millard(sax)、Ben Mallinder(sax)等がレコーディングに参加しています。

楽曲はすべてMilesのオリジナルです(ボーナス・トラックを除く)。

個人的には「Let's Start Over」「Falling In Love」「Need You Now」あたりがオススメです。

正直、まったく新たな刺激はありませんが、AOR好きの人は手元に置いておいて損はしない1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Riding the Wave」
爽快ハーモニーとエレピで始まるタイトル曲がオープニング。思わずUSウエストコーストの青い空をイメージしてしまう爽快ミディアム・グルーヴです。後半は素敵なサックス・ソロで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=iT0HQyTPspE

「Let's Start Over」
アーバン&ソウルフルなメロウ・ミディアム。エレピとギターのバランスがいいですね。Pagesあたりが好きな人は気に入るはず!
https://www.youtube.com/watch?v=lm8Pr8YSdx0

「Falling In Love」
後期The Doobie Brothersの雰囲気に包まれた「What A Fool Believes」ライクな曲調にグッときます。Steely Dan的サウンド・センスも散りばめられています。
https://www.youtube.com/watch?v=jPEBWkqkNZw

「Never Too Late」
Milesと共にPete Morrisがリード・ヴォーカルをとります。この曲はAORというより80年代産業ロック的なポップ・ロックって感じですね。
https://www.youtube.com/watch?v=cIlXU6IFbH8

「Lay You Down」
味のあるオルガンと共に始まるAOR。EaglesとMichael McDonaldの間という言葉が一番似合う曲かもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=dMP0XoGgA3E

「Need You Now」
Miles本人がフェイバリットと評しているトラック。ブルー・アイド・ソウル的な魅力があるメロウ・ミディアム。素敵なヴォーカル・ワークとホーン・アレンジがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=cIlXU6IFbH8

「Bye Bye Baby」
曲調はMichael McDonaldだけどヴォーカルはハイトーン。もしヴォーカルがあのスモーキー・ヴォーカルならばなんて妄想してしまいます。このトラックもホーン・サウンドがいい感じ!
https://www.youtube.com/watch?v=UB-OHwlULmE

「The Fool」
本編ラストはアーバンなAORチューンで締め括ってくれます。少しビター・スウィートな雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=KzxmY2UEDds

「Josephine」
国内盤ボーナス・トラックその1。Chris Rea、1985年のシングルをカヴァー。人気コンピ・シリーズ『Light Mellow JEWELRY COVERS - Light Mellow Searches 7th Anniversary -』(2022年)収録曲です。ブルー・アイド・ソウル調のソウルフルな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=Zm9foPAmKvs

「Earth Angel」
国内盤ボーナス・トラックその2。The Penguinsが1950年代にヒットさせたドゥー・ワップ・バラードをカヴァー。The Crew Cutsのカヴァー・ヒットでも知られる曲です。僕の世代の方は、アルバム『Under the Blue Moon』(1986年)収録されたNew Editionのカヴァー・ヒットで知っているのでは?ここでもブルー・アイド・ソウル調のソウルフル・チューンで楽しませてくれます。

ご興味がある方は、同じくAORリヴァイバルで注目の1枚、Page 99『For Imagination's Sake』(2022年)あたりもチェックしてみては?

Page 99『For Imagination's Sake』(2022年)
posted by ez at 00:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする