2022年03月06日

Robert Glasper『Black Radio III』

Black Radioシリーズの第3弾☆Robert Glasper『Black Radio III』

発表年:2022年
ez的ジャンル:進化形ジャズ
気分は... :気負わず自然体で!

新作アルバムから進化形ジャズの牽引者Robert GlasperBlack Radioシリーズの第3弾『Black Radio III』です。

1978年、テキサス州ヒューストン出身のジャズ・ピアニストRobert Glasperに関して、これまで当ブログで紹介した作品は以下の10枚(Robert Glasper Experiment(RGE)名義や彼の参加ユニットR+R=Nowの作品も含む)。

 『In My Element』(2007年)
 『Double Booked』(2009年)
 『Black Radio』(2012年)
 『Black Radio Recovered: The Remix EP』(2012年) ※リミックスEP
 『Black Radio 2』(2013年)
 『Covered』(2015年)
 Miles Davis & Robert Glasper『Everything's Beautiful』(2016年)
 『ArtScience』(2016年)
 R+R=Now『Collagically Speaking』(2018年)
 『Fuck Yo Feelings』(2019年)

『Fuck Yo Feelings』(2019年)でBlue Noteを離れ、Concord傘下のLoma Vistaと契約したRobert Glasper

映画『The Photograph』(2020年)のサントラ提供を挟んで、『Fuck Yo Feelings』以来のスタジオ・アルバムとしてLoma Vistaからリリースされたのが『Black Radio III』です。

『Black Radio』(2012年)、『Black Radio 2』(2013年)に続く、9年ぶりのシリーズ第3弾となった『Black Radio III』

これまでの2作はRobert Glasper Experiment(RGE)名義でしたが、本作はRobert Glasperのソロ名義です。

本作でも豪華なシンガー/ラッパーがフィーチャリングされています。

Q-TipEsperanza SpaldingBJ The Chicago KidH.E.R.Meshell NdgeocelloLalah HathawayCommonMusiq SoulchildPosdnous(Pos)De La Soul)、Gregory PorterLedisiPJ MortonIndia.ArieJennifer HudsonKiller MikeBig K.R.I.TAmir SulaimanD SmokeTiffanyGoucheYebbaAnt Clemonsという面々です。

レコーディングにはRobert Glasper (key、p、el-p、ds)以下、Derrick Hodge (b、strings)、Chris Dave (ds)という『Black Radio』(2012年)を共に創り上げたRobert Glasper Experiment(RGE)最強メンバー、同じくRGEの同僚Jahi Sundance(turntables)、 R+R=Nowの盟友であるTerrace Martin(sax、syn)、Justin Tyson (ds、key)というメンバーが名を連ねます。

それ以外にもDJ Jazzy Jeff (turntables)、Christian Scott aTunde Adjuah (spoken word)、Isaiah Sharkey(g)、Marlon Williams(g)(元Fishbone)、Burniss Travis II(b)、 Pino Palladino(b)、Thaddaeus Tribbett(b)、Cory Henry(organ)、Bryan-Michael Cox(synths)、Keyon Harrold(tp)、Marcus Strickland(b-cl)等がレコーディングに参加しています。

プロデュースはRobert Glasper自身。
Terrace MartinJahi SundanceBryan-Michael Coxとの共同プロデュース曲もあります。

さすがに『Black Radio』(2012年)リリース時のようなインパクトはありませんが、逆にいえば、ジャズとR&B/Hip-Hopというジャンルの境を意識することなく聴くのが当たり前の時代になったということだと思います。その意味で Glasperの果たした役割の大きさを再確認できます。

気負うことなく自然体のBlack Radioワールドを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「In Tune」
Amir Sulaimanをフィーチャー。Glasperのピアノをバックに、Amir Sulaimanがスポークン・ワードが響きます。薄らとKeyon Harroldのトランペットもき聴こえてきます。
https://www.youtube.com/watch?v=U7s5S4imC5g

「Black Superhero」
Killer Mike, BJ The Chicago Kid,Big K.R.I.Tをフィーチャー。DJ Jazzy JeffChristian Scott aTunde Adjuah参加しています。Glasper、HodgeDaveのトリオ演奏に、DJ Jazzy Jeffのターンテーブルが絡んでくるあたりがBlack Radioらしいですね。BJ The Chicago KidのヴォーカルとKiller Mike、Big K.R.I.Tのラップのバランスもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=2z8piOggNsw

「Shine」
D Smoke & TiffanyGoucheをフィーチャー。このトラックではGlasperがドラムも担当しています。TiffanyGoucheの女性ヴォーカルに、D Smokeのラップが絡むメロウR&B調の仕上がりです。終盤のKeyon Harroldのミュート・トランペットもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=v5757BToo0M

「Why We Speak」
Q-Tip & Esperanza Spaldingをフィーチャー。ここでのリズム隊はJustin TysonとBurniss Travis II。Esperanzaのキュート・ヴォーカルが映えるドリーミー・メロウ・チューン。Q-Tipの出番は短いですが、Qちゃんらしいフロウで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=kVdYZARwie0

「Over」
Yebbaをフィーチャー。この曲もリズム隊はJustin TysonとBurniss Travis II。Jahi Sundanceのターンテーブルも加わります。Glasperの美しいピアノをバックに、Yebbaが透明感のあるヴォーカルを聴かせてくれるミディアム・グルーヴです。なかなかキャッチーです。
https://www.youtube.com/watch?v=wgeoQ45zHA4

「Better Than I Imagined」
H.E.R. & Meshell Ndgeocelloをフィーチャー。リズム隊はHodgeとJustin Tysonという組み合わせ。H.E.R.が彼女らしい憂いを帯びたヴォーカルを聴かせてくれます。Ndgeocelloのしみじみとしたスポークン・ワードもいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=3MNiu8ISOPk

「Everybody Wants To Rule the World」
Lalah Hathaway & Commonをフィーチャー。Tears for Fears、1985年の大ヒット曲のカヴァーです。テンポを落とし、Lalah Hathawayの雰囲気のあるヴォーカルが映えるようにしていますが、それでもJustin Tysonの乾いたビートをしっかり効かせているのがいいですね。終盤はCommonがラップで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=m_lRJ_T5xYg

「Everybody Love」
Musiq Soulchild & Posdnous(Pos)(De La Soul)をフィーチャー。GlasperとJahi Sundanceの共同プロデュース。Musiq Soulchildが素晴らしいヴォーカル・ワークで魅せてくれます。De La Soul好きとしてはPosのラップが聴けるのも嬉しい限りです。
https://www.youtube.com/watch?v=aCf3pWK8Ddg

「It Don't Matter」
Gregory Porter & Ledisiをフィーチャー。ここでのリズム隊はPino PalladinoとDaveという組み合わせ。Gregory Porter & Ledisiという実力派シンガー二人が素晴らしい歌声で魅せてくれるミディアム・バラード。Glasperのメロウ・エレピが映えます。
https://www.youtube.com/watch?v=MYV8664GNgo

「Heaven's Here」
Ant Clemonsをフィーチャー。GlasperとBryan-Michael Coxの共同プロデュース。Ant Clemonsのオートチューン・ヴォーカルが映えるビューティフル・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=xiKszKDEiWQ

「Out of My Hands」
Jennifer Hudsonをフィーチャー。GlasperとTerrace Martinの共同プロデュース。本作では異色の4つ打ちのダンサブル・チューン。Jennifer Hudsonのパワフル・ヴォーカルともに疾走します。
https://www.youtube.com/watch?v=vG_T-N_zFaY

「Forever」
PJ Morton & India.Arieをフィーチャー。二人の素晴らしいヴォーカルに魅せられる感動バラード。終盤にはJustin Tysonが印象的なドラミングを披露してくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=cQN_hlYIYyQ

「Bright Lights」
GlasperとTerrace Martinの共同プロデュース。Ty Dolla $ignがヴォーカル参加。ラストはGlasperのピアノとJustin Tysonのドラムのみのバッキングで、Ty Dolla $ignが祈るような歌声を聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZDOZlEtpOok

Robert Glasper関連の過去記事もチェックを!

『In My Element』(2007年)
イン・マイ・エレメント

『Double Booked』(2009年)
Double Booked

Robert Glasper Experiment『Black Radio』(2012年)
ブラック・レディオ

Robert Glasper Experiment『Black Radio Recovered: The Remix EP』(2012年)
Black Radio Recovered: the Remix Ep

Robert Glasper Experiment『Black Radio 2』(2013年)
ブラック・レディオ2

『Covered』(2015年)
カヴァード

Miles Davis & Robert Glasper『Everything's Beautiful』(2016年)
エヴリシングス・ビューティフル

Robert Glasper Experiment『ArtScience』(2016年)
アートサイエンス

R+R=Now『Collagically Speaking』(2018年)
コラージカリー・スピーキング

『Fuck Yo Feelings』(2019年)
ファック・ヨ・フィーリングス
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2022年02月27日

Khruangbin & Leon Bridges『Texas Moon』

Leon Bridgesとのコラボ第二弾☆Khruangbin & Leon Bridges『Texas Moon』

発表年:2022年
ez的ジャンル:テキサス産無国籍バンド
気分は... :Let's Make Peace And Stop The War!

本題に入る前に、ロシアによるウクライナ侵攻に断固反対する意味で、過去記事の中から反戦ソングを1曲紹介しておきます。

Funk Inc.「Let's Make Peace And Stop The War」
(From 『Chicken Lickin'』x)
https://www.youtube.com/watch?v=veBk6P5umQk

さて、新作からテキサス出身のバンドKhruangbinが同郷の男性ソウル・シンガーLeon Bridgesとの共演第二弾『Texas Moon』です。

2009年に結成されたでLaura Lee(b)、Mark Lee(g)、DJ Johnson(ds)のトリオKhruangbinの紹介は、ヒットした3rdアルバム『Mordechai』(2020年)に続き2回目となります。

本作『Texas Moon』は、『Texas Sun』(2019年)に続く、Leon BridgesとのコラボEPとなります。

タイ・ファンクを中心に世界の様々な音楽のエッセンスを採り込んサイケな無国籍サウンドで人気のKhruangbinですが、Leon Bridgesとのコラボは故郷テキサスが1つのテーマとなっています。

Khruangbin & Leon Bridges『Texas Sun』(2019年)


この共演によって、ヴォーカル曲へ積極的に取り組むようになったバンドは、全面ヴォーカル曲のアルバム『Mordechai』(2020年)をリリースするに至りました。

『Texas Sun』の次は『Texas Moon』というタイトルが示すように、本作は暗闇の中を歩くような内省的な作品に仕上がっています。

70年代愛を感じるノスタルジックでマッタリした音世界は今の僕の音楽嗜好にフィットします。

戦争のニュースに憂う日々が一刻も早く終わり、世界中の人々が平和に音楽を楽しめる日々が訪れることを祈るばかりです。

全曲紹介しときやす。

「Doris」
この両者の共演らしい、サイケでイナたいソウルフル・チューン。場末のマッタリ感がたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=yJ7dNneiR14

「B Side」
本作で最もキャッチーな哀愁ソウル・グルーヴ。Khruangbinらしいタイ・ファンク等のエッセンスを取り入れたた、どこか懐かしいサウンドがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=CgugkEB-q_Q

「Chocolate Hills」
抑えたトーンのバラード。ジャケや『Texas Moon』のタイトルがよく似合う1曲に仕上がっています。淡々としたやるせなさがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=pipxxww5gTo

「Father Father」
内省的な雰囲気の哀愁バラード。Khruangbinらしい雰囲気のサウンドと、Leon Bridgesの味わいのあるヴォーカルが心の奥に染み入ります。
https://www.youtube.com/watch?v=ubEPc1xm-1E

「Mariella」
ラストはエキゾチックなサイケ・サウンドで締め括ってくれます。どこか寂しげなLeon Bridgesのヴォーカルと懐かしさを感じるサウンドの組み合わせがサイコーです。
https://www.youtube.com/watch?v=FDkUApLcTYY

Khruangbinの他作品もチェックを!

『The Universe Smiles Upon You』(2015年)


『Con Todo el Mundo』(2018年)


『全てが君に微笑む』(2019年)


Khruangbin & Leon Bridges『Texas Sun』(2019年)


『Live in Lincoln Hall』(2019年)


『Mordechai』(2020年)
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2022年02月20日

Moonchild『Starfruit』

陽だまりネオソウル・ユニットの最新作☆Moonchild『Starfruit』

発表年:2022年
ez的ジャンル:L.A.新世代ネオソウル・ユニット
気分は... :まったりモードで・・・

新作アルバムからL.A.を拠点に活動する新世代ネオソウル・ユニットMoonChildの最新作『Starfruit』です。

紅一点のAmber NavranAndris MattsonMax Brykという男性メンバー2名という全員がマルチ・プレイヤーから成るユニットMoonChild

これまで当ブログで紹介したMoonChild作品は以下の3枚。

 『Please Rewind』(2014年)
 『Voyager』(2017年)
 『Little Ghost』(2019年)

5thアルバムとなる最新作『Starfruit』は、結成10周年を迎えた区切りの1枚となっています。

そんな10周年アルバムには、多くのゲストを迎えています。

Donny Hathawayの娘Lalah HathawayErnie Isleyの娘Alex Isley、L.A.のラッパーIll Camille、ニューオリンズのバンドTank and The Bangers、女性ラッパーRapsody、フィラデルフィア出身のSSW/ラッパーMumu Fresh、アトランタを拠点とするSSW Chantae Cannマルチ奏者Josh Johnsonといったアーティストがフィーチャリングされています。

プロデュース&ソングライティングはMoonChild自身(ゲストとの共作含む)。

Amber Navranのコケティッシュ・ヴォーカルが映える、"陽だまりのネオソウル"と形容したくなる唯一無二のネオソウル・ワールドがMoonChildの魅力ですが、本作でも陽だまりのネオソウルに更に磨きがかかっています。

サウンド的には新世代ネオソウルと現在進行形ジャズのクロスオーヴァーが魅力ですが、本作ではゲスト陣の参加もあってR&B/Hip-Hopテイストも強く感じます。

陽だまりのネオソウルを聴きながらまったりと過ごす休日はサイコーです!

全曲紹介しときやす。

「Tell Him」
Lalah Hathawayをフィーチャー。幻想的なメロウ・チューンでアルバムを幕を開けます。いつものMoonChildらしい感じで展開されますが、Lalah Hathawayのヴォーカルが入ってくると一気にコンテンポラリーなR&Bフィーリングが増します。
https://www.youtube.com/watch?v=W2fY1dpwO00

「Takes Two」
曲調はMoonChildらしい陽だまりのネオソウルを楽しめるトラック。Amberのコケティッシュなヴォーカルが映えます。
https://www.youtube.com/watch?v=iB7F60t0SiA

「Little Things」
さり気ないですが、ジャジー・フィーリングのドリーミー・チューンを聴いていると心が和らぎます。こういうの大好き!
https://www.youtube.com/watch?v=GulzGG_hWpY

「You Got One」
Alex Isleyをフィーチャー。僕好みの甘く切ないラブソング。メロウ・サウンドと一体化したAmberとAlexのコケティッシュなヴォーカルがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=JEq2Y8ibvjQ

「Too Good」
陽だまりのネオソウル全開のラブソング。聴いているだけでホッコリしてきます。休日の朝はこんな曲で目覚めたいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=vC4FZw4MRmQ

「Need That」
Ill Camilleをフィーチャー。MoonChild流のHip-Hopサウンドを楽しめます。J Dilla的な雰囲気もあっていいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ornUL7K-if0

「I'll Be Here」
またまた陽だまりのネオソウル。僕の一番のお気に入り。Amberのコケティッシュ・ヴォーカルに優しく包み込まれる感じがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=snXc7daVF44

「Get By」
Tank and The Bangersをフィーチャー。ラップ調ヴォーカルを交えたヴォーカル・ワークが印象的なドリーミー・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=k_KmP55wqPw

「What You Wanted」
陽だまりのネオソウル応用編といった雰囲気の軽やかなメロウ・チューン。ジャジー・フィーリングのスパイスを適度に効かせているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=lZXtzsdunjo

「Love I Need」
Rapsodyをフィーチャー。エレクトリック・ベースを強調したサウンドが印象的なトラック。そんなサウンドとRapsodyの女性ラップがよくフィットしています。
https://www.youtube.com/watch?v=uYjQFAQ34Gs

「By Now」
まだまだ陽だまりのネオソウルが続きます。Amberのコケティッシュ・ヴォーカルを聴いていると、いつの間にか夢の中を彷徨っています。
https://www.youtube.com/watch?v=Fq_VySuZWxk

「Don't Hurry Home」
Mumu Freshをフィーチャー。少しフューチャリスティックな陽だまりネオソウルといった印象です。Mumu Freshのラップも雰囲気があっていいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=eqdOQI31e7E

「Last Time」
まったりモードのメロウ・チューン。時間がゆっくりと流れていくような和やかなサウンドがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=WWbEmXo8HlE

「The Long Way」
Chantae Cann(vo)/Josh Johnson(sax)をフィーチャー。本編ラストも陽だまりのネオソウルで締め括ってくれます。Josh Johnsonのサックス・ソロがいい雰囲気を演出してくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=YkUB5b00d9Q

「Rainy Day」
国内盤CDボーナス・トラック。ピアノを中心とした短いインストです。

MoonChildの他作品もチェックを!

『Be Free』(2012年)
Be Free

『Please Rewind』(2014年)
Please Rewind

『Voyager』(2017年)
Voyager [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (BRC549)

『Little Ghost』(2019年)
Little Ghost [輸入盤CD] (TRUCD383)_792
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2022年02月13日

Cesar Lacerda『Nacoes, Homens ou Leoes』

ブラジル人SSWの最新作☆Cesar Lacerda『Nacoes, Homens ou Leoes』

発表年:2021年
ez的ジャンル:ブラジル人SSW
気分は... :人新世の危機をどう乗り切るか?

ブラジルもの新作からCesar Lacerda『Nacoes, Homens ou Leoes』です。

Cesar Lacerdaは、ブラジル・ミナス出身のシンガー・ソングライター。

これまで『Porque da voz』(2013年)、『Paralelos & Infinitos』(2015年)、Romulo Froes & César Lacerda『O meu nome e qualquer um』(2016年)、『tudo tudo tudo tudo』(2017年)といったアルバムをリリースされています。

最新作『Nacoes, Homens ou Leoes』はバンド・サウンドの中心の従来作品と比べて、プログラミンを大胆に取り入れ、エレクトリックなエッセンスを強調しているのが特徴です。

アルバムはAto I: Nacoes(第一幕『国』)Ato II: Homens(第二幕『人間』)Ato III: Leoes(第三幕『ライオン』)という三部構成になっています。

収録曲の中に「Antropoceno(人新世)」というタイトルのトラックがあることに象徴されるように、地球環境に対する危機感が大きなテーマとなっています。

ノーベル科学賞受賞者パウル・クルッツェンによって提唱された「人新世(Anthropocene:アントロポセン)」とは、地質学的に見て、地球は人間たちの活動の痕跡が、地球の表面を覆い尽くした新たな年代に突入したことを意味するものです。

ベストセラー書籍となった、斎藤幸平著『人新世の「資本論」』も大きなインパクトを残したのではないでしょうか。僕も昨年同書を読み、かなり考えさせられました。

話を本作に戻すと、地球環境に対する危機感をテーマとしながらも、モダンなMPBサウンドを楽しむことができます。

プロデュースはCesar Lacerda自身とFabio Pinczowski

多様なシンガーがフィーチャリングされているのもアルバムを魅力的なものにしています。

また、ブラジル音楽ファンにはお馴染みのベテラン作詞家Ronaldo Bastosとの共作も2曲含まれます。

地球の未来のために、自分達の足下を見つめ直しながら、モダンなMPBワールドを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

Ato I: Nacoes(第一幕『国』)

「O Sol Que Tudo Sente」
妹Malvina Lacerdaをフィーチャー。Cesar Lacerda/Ronaldo Bastos作。躍動感があるモダンなMPBを楽しめるオープニング。ブラジル人らしいメロディとエレクトリックなエッセンスがうまくフィットしています。このオープニングを聴けば、本作が買いであることがわかるはずです。
https://www.youtube.com/watch?v=K5XknZcIKZw

「Parque Das Nacoes」
アンゴラ出身の女性シンガーAline Frazaoをフィーチャー。Cesar Lacerda/Luca Argel作。流浪の民がテーマとなっています。純粋に男女デュエットによる哀愁メロウとしても楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=1UZ6p-Ia1So

「Me Diz Por Que Brigamos」
Cesar Lacerda作。メロウなラブソングのようにも聴こえますが、第一幕のテーマである国家につながる深い意味が込められています。
https://www.youtube.com/watch?v=y9qZk3WKFK4

「Parece Pouco」
ブラジル人女性シンガーXenia Francaをフィーチャー。Cesar Lacerda/Luca Argel作。リラックスしたレゲエ・チューンを男女デュエットで聴かせてくれます。ブラジリアン・レゲエって独特の味わいがあっていいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Vo7udev2ZfA

Ato II: Homens(第二幕『人間』)

「Quem Vai Sonhar O Sonho」
妹Malvina Lacerdaを再びフィーチャー。Cesar Lacerda作。Cesarがラップ調の囁きで地球環境への危機を訴えます。コズミックなエレクトロ・サウンドが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=hMINwYGA9RY

「Antropoceno」
Cesar Lacerda作。前述のように人新世をタイトルに冠したトラック。哀愁サウンドをバックに♪地球は最後のサインを出している♪と警鐘を鳴らします。
https://www.youtube.com/watch?v=I0Nfnfe5Ap4

「Mudar A Vida」
Cesar Lacerda/Ronaldo Bastos作。Bastosによる♪人生を変えたくなった♪詩人みたいに、徹底的に♪という歌詞が印象的です。その歌詞がサウンド溶け込んでいく美しい音世界は、青く美しい地球本来の姿のように思えてきます。
https://www.youtube.com/watch?v=4ucb0h2dF5c

「O Que Eu Nao Fiz」
Dandara Modesto/Filipe Cattoをフィーチャー。Cesar Lacerda/Romulo Froes作。♪僕は何をしなかったのか。そして、何をしなければならないのか♪という歌詞に考えさせられます。ヴォーカルをわざと歪ませて耳障りを悪くさせているのは手が込んでいます。
https://www.youtube.com/watch?v=OGbjMsle9bc

Ato III: Leoes(第三幕『ライオン』)

「Se Hoje O Mundo Acabar」
Cesar Lacerda作。美しいバラード。♪世界が終わってしまっても、人生の最後に僕らの愛は残る♪と愛のチカラを説きます。
https://www.youtube.com/watch?v=M81h_YvEv8Y

「Desejos De Um Leao」
Marcelo Jeneciをフィーチャー。Cesar Lacerda/Uiu Lopes作。寓話を題材としているようですが、リオのオルタナ・ポップ第三世代アーティスト好きの人も気に入りそうなドリーミーナエレクトリック・ポップに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=83FbjqLqa6Q

「Amanha」
USミュージシャンBen Lamar Gayをフィーチャー。Cesar Lacerda/Luca Argel作。♪明日があるために、明日はあるだろう♪と未来への希望を綴ってアルバムは幕を閉じます。
https://www.youtube.com/watch?v=PtZG96EU0p4

Cesar Lacerdaの他作品もチェックを!
xd
『Porque da voz』(2013年)
cesar lacerda porque da voz.jpg

『Paralelos & Infinitos』(2015年)


Romulo Froes & César Lacerda『O meu nome e qualquer um』(2016年)


『tudo tudo tudo tudo』(2017年)
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2022年02月06日

edbl『Brockwell Mixtape』

サウス・ロンドンの新星。最新作も絶好調☆edbl『Brockwell Mixtape』

発表年:2022年
ez的ジャンル:サウス・ロンドン系トラックメイカー
気分は... :リヴィングルームから世界へ...

新作からサウス・ロンドンの新星トラックメイカーedbl『Brockwell Mixtape』です。

イギリス、チェスター出身のトラックメイカー/ギタリスト、現在はサウス・ロンドンを拠点に活動するedblことED Blackの紹介は、『South London Sounds』(2021年)に続き2回目となります。

日本独自編集の『South London Sounds』(2021年)のCDリリースが昨年10月ですから、かなり短いインターバルでの新作となります。CD化は日本独自となります。

自宅リヴィングルームでレコーディングされた『South London Sounds』では、ローファイながらもネオソウル的な仕上がりに魅了されましたが、本作ではメロウ&ソウルフルな音世界にさらに磨きがかかっています。

『South London Sounds』同様、多くの曲でサウス・ロンドンのシンガーをフィーチャーし、ダンサブルなトラックも増えて、前作以上にキャッチーなアルバムに仕上がっています。

もはやトラックメイカーということをあまり意識せずとも楽しめる、メロディ&サウンド・センスにう溢れたR&B/ソウル作品に仕上がっています。

目立つのは、エレクトリック・ブギー「Lemonade」、軽やかなギターによるメロウ・ダンサー「No Pressure」、ラップを交えたアーバン・ダンサー「Never Met」といったダンサブル・チューンです。

個人的には「Wasn’t What It Went Like」「Breathe Something New」といった哀愁メロウ・ギターが目立つトラックや、ビューティフルなミディアム・グルーヴ「Simple Life」、次世代ネオソウル的な「Taken」、edblらしいリヴィングルームR&B「Kindness」あたりもオススメです。

早くも『ezが選ぶ2022年の10枚』の有力候補か?
そんな気分にさせるくらい、今の僕にフィットした1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Brockwell (Intro)」
ギター&ピアノによるメロディアスなオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=5iBAPoWLlo4

「No Pressure」
Miller Blueをフィーチャー。軽やかなギターによるメロウ・ダンサー。ホーン・サウンドによるアクセントもいい感じ。
https://www.youtube.com/watch?v=epMFtpbh07I

「Never Met」
Nick Brewerをフィーチャー。ラップを交えたアーバン・ダンサー。キャッチーなダンサブル・チューンなのにフロアを感じないのがedblスタイルですね。
https://www.youtube.com/watch?v=5U-UuI9C0AQ

「Taken」
Cheriseをフィーチャー。コケティッシュな女性ヴォーカルが映えるメロウ。次世代ネオソウル好きがお好きな人は気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=MsRkaUUpV6o

「I Ain’t Afraid No More」
Tom Dunne & Jarki Monnoをフィーチャー。Jarki Monnoは『South London Sounds』にも参加していました。ラップを織り交ぜた哀愁メロウに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=JCpK7qOnie4

「Lemonade」
Carrie Baxterをフィーチャー。Carrie Baxterは『South London Sounds』にも参加していました。キャッチーなエレクトリック・ブギーで楽しませてくれます。リヴィングルームのパーティー・チューンといった雰囲気がedblらしいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Rw-2iTAHSHg

「B.D.E.」
FKJ好きの人が気に入りそうなバカンス・モードのインスト。ホーン・サウンドやスティール・ドラム風のシンセがいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=zXQ7OIcC8KU

「Simple Life」
Ella McMurrayをフィーチャー。Ella McMurrayの澄んだ女性ヴォーカルを活かしたビューティフルなミディアム・グルーヴ。聴いていると、自然とポジティヴな気分になります。
https://www.youtube.com/watch?v=oCZGvtyjdYw

「Wasn’t What It Went Like」
Nix Northwestをフィーチャー。哀愁メロウ・ギターのせいもあって、故J Dilla(Jay Dee)の出世作The Pharcyde「Runnin'」とイメージが重なるトラック。もちろん、「Runnin'」大好きの僕は本トラックもお気に入り。
https://www.youtube.com/watch?v=iXcnPGhYtIA

「Breathe Something New」
Rosie Pをフィーチャー。前トラックに続き、ここでも哀愁メロウ・ギターが印象的です。Rosie Pの切ない女性ヴォーカルが映えるソウル・チューン。edblのソウルフル・マインドに磨きがかかっています。
https://www.youtube.com/watch?v=JbzDbt2drkc

「Anyway」
Cameron Bloomfieldをフィーチャー。オルタナR&B的な魅力があるミディアム。ウインター・モードにフィットするトラックなのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=ZbEo3Abad9g

「Brockwell (Outro)」
再びタイトル・トラック。このアウトロの方が穏やかな印象を受けます。
https://www.youtube.com/watch?v=QT0SprXUbJw

「Kindness」
IZZA & Telicaをフィーチャー。edblのギターを楽しめるメロディアスなR&Bチューン。edblならではのリヴィングルームR&Bを感じるトラックですね。
https://www.youtube.com/watch?v=DfwU-yhPy6s

「Head Over Heels/twentynineteen」
CDボーナス・トラック。『Boys & Girls Mixtape』収録曲。Jed Hollandをフィーチャー。ジャジー&メロウなソウル・チューン。AOR/ブルーアイド・ソウル的な魅力があります。
https://www.youtube.com/watch?v=DwgvkDMRUh8

未聴の方は、『South London Sounds』(2021年)もチェックを!

『South London Sounds』(2021年)
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