2023年11月29日

Anthony White『Could It Be Magic』

フィリー・ソウルの隠れた名盤☆Anthony White『Could It Be Magic』

発表年:1976年
ez的ジャンル:PIR系男性ソウル
気分は... :隠れ名盤の楽しみ・・・

今回は70年代フィリー・ソウルの隠れた名盤、Anthony White『Could It Be Magic』(1976年)です。

Anthony Whiteはフィラデルフィア出身の男性ソウル・シンガー。

Gamble & HuffKenneth Gamble/Leon Huff)のPhiladelphia International Records (PIR)との契約に成功し、1975年にシングル「Hey Baby」でデビュー。

1976年に唯一のアルバムとなる本作『Could It Be Magic』をリリース。しかし、PIRでは成功を収めることができず、1977年にSalsoul Recordsに移籍し、ディスコ路線のシングル「I Can't Turn You Loose」をリリースしています。

その後シーンから姿を消してしまいましたが、80年代後半にハウス・プロデューサー/シンガーPaul Simpsonの作品に参加しています。

本作『Could It Be Magic』(1976年)ですが、今日ではフィリー・ソウルの隠れた名盤として再評価の高い1枚です。

Phil TerryTheodore LifeT.G. ConwayBruce HawesSherman Marshallがプロデューサーとして起用されています。

また、Theodore LifeT.G. ConwayJack FaithDexter WanselRon KerseyNorman HarrisJohn L. Usry, Jr.がアレンジを手掛けています。

フィリー・ダンサー系であれば、「Where Would I Be Without You」「Stop And Think It Over」「Never Let You Get Away From Me」がオススメです。ミディアム・グルーヴの「Yes You Need Love」も悪くありません。

バラード系であれば、「Never Repay Your Love」「Love Grows Strong」「I'm So Much In Love With You」がお気に入りです。

入手しづらい1枚ですが、ぜひチェックしてみてください。

全曲紹介しときやす。

「Where Would I Be Without You」
Phil Terry/Theodore Life/T.G. Conway作・プロデュース。軽快なフィリー・ダンサーがオープニング。飛ばしすぎずに余裕を持って楽しめるダンス・チューンに仕上がっているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=FSTQH2QrRck

「Never Repay Your Love」
Bruce Hawes作・プロデュース。アルバムに先駆けてシングル・リリースされたソウル・バラード。ジワジワと盛り上がってくる感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=i6sRyCatVPU

「Could It Be Magic」
タイトル曲はBarry Manilowのヒット・シングルをカヴァー(Barry Manilow/Adrienne Anderson作)。Phil Terryプロデュース。オーセンティックなポップ・バラードをグッと落ち着いたオトナ・ソウル・バラードに変貌させています。
https://www.youtube.com/watch?v=gbdRiQkO0TM

Barry Manilow「Could It Be Magic」
 https://www.youtube.com/watch?v=Vc5XtkZSH-Q

「Stop And Think It Over」
Joseph Jefferson/Sherman Marshall作。Sherman Marshallプロデュース。スピード感と心地好さのバランスが抜群のフィリー・ダンサー。ダンサブルでありながら、Anthonyのソウルフルなヴォーカルを大切にしているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=vu8TJD75AJc

「There Will Never Be Another」
Allan Felder/Anthony White/Ron Tyson作。Allan Felderプロデュース。温もりを感じるストリングス・アレンジが印象的なバラード。仰々しいバラードは苦手な僕ですが、このトラックに限っては仰々しさが成功しているように感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=ar120HDTcMY

「Never Let You Get Away From Me」
Allan Felder/Bunny Sigler/Norman Harris/Ron Tyson作。Allan Felderプロデュース。Norman Harrisがアレンジを手掛けたフィリー・ダンサー。ドラマティックなストリングスと華やかな女性コーラスがAnthonyのヴォーカルを引き立てます。
https://www.youtube.com/watch?v=j-ZcuCF54dI

「Love Grows Strong」
Phil Terry/Theodore Life/T.G. Conway作・プロデュース。Anthonyのソウルフルなヴォーカルを存分に堪能できるオーセンティック・バラード。オーセンティックが似合うシンガーであることを実感できます。
https://www.youtube.com/watch?v=z6mtTymUT24

「Yes You Need Love」
Bruce Hawes/Charles Simmons/Sherman Marshall作。Bruce Hawesプロデュース。Anthonyのソウルフルな節回しを活かしたミディアム・グルーヴ。女性コーラスとの絡みもいい感じです。サウンドが前に出すぎていないのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Ww8clhJKKqI

「I'm So Much In Love With You」
Sherman Marshall/Ted Wortham作。Sherman Marshallプロデュース。シングルにもなったムーディーなバラード。ジワジワと沁みてくる感じがサイコーです。
https://www.youtube.com/watch?v=8WisgflVwDg

「Only Child's Play」
Phil Terry/Theodore Life/T.G. Conway作。Phil Terryプロデュース。ラストは童心モードのソウル・グルーヴで締めくくってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=4a4QTrsFq3A

なんかバタバタしていて、仕事もプライベートもTo Doリストが溜まっていくばかりです。年末までには立て直さねば。
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2023年11月08日

Gary Burton『Good Vibes』

異種格闘技!Atlanticからの第二弾アルバム☆Gary Burton『Good Vibes』

発表年:1970年
ez的ジャンル:クロスオーヴァー系ジャズ・ヴァイヴ
気分は... :異種格闘技!

人気ジャズ・ヴィブラフォン奏者Gary Burton『Good Vibes』(1970年)です。

Gary Burtonは1943年インディアナ州アンダーソン生まれのジャズ・ヴィブラフォン奏者。60年代から2017年7に引退するまで、人気ミュージシャンとして活躍していました。

60年代後半から70年代前半にかけてAtlanticでレコーディングしていたGary Burton。ある意味、R&Bとの異種格闘技に挑んでいた時期ですね。

本作『Good Vibes』(1970年)は、『Throb』(1969年)に続くAtlanticからの第二弾作品となります。

プロデュースはJoel Dorn

レコーディング・メンバーはGary Burton(vibe、p、org)以下、Eric Gale(g)、Jerry Hahn(g)、Sam Brown(g)、Richard Tee(p、org)、Steve Swallow(b)、Chuck Rainey(el-b)、Bernard Purdie(ds)、Bill Lavorgna(ds、per)という面々。

ロック・モード全開のオープニング「Vibrafinger」、Gil Evansの名曲をカヴァーした哀愁ジャズ「Las Vegas Tango」
ロッキン&ブルージーな「Boston Marathon」、ソウルフルな「Pain in My Heart」(Otis Reddingのカヴァー)や「I Never Loved a Man (The Way I Love You)」Aretha Franklinのカヴァー)、レイドバックしたジャズ・ファンク「Leroy the Magician」という全6曲。

Gary Burtonの意欲的な異種格闘技セッションを楽しみましょう!

全曲紹介しときやす。

「Vibrafinger」
Gary Burton作。ロック・ビートで始まるロック・モード全開のオープニング。Burtonのヴァイヴが聞こえない!なんて思っていたら、ギターの音色と間違えてしまいそうなエレクトリック・ヴァイヴがBurtonの演奏でした。ロック・モードのファンキー・グルーヴは今聴いてもなかなかエキサイティングです。本物のギターであるSam Brownのソロも格好良いです。
https://www.youtube.com/watch?v=9tLhAdEm8Pg

「Las Vegas Tango」
Gil Evansの名曲をカヴァー。オリジナルはEvansの『The Individualism Of Gil Evans』(1964年)収録。Burtonのヴァイヴの音色が映える、今の時期にフィットする哀愁ジャズに仕上がっています。中盤の哀愁ロッキン・ギターもいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=lmRm8UYTeNw

Common「In My Own World (Check the Method)」、Black Moon feat. Smif-n-Wessun「Headz Aint Redee (Beatminerz Remix)」、Cypress Hill「Illusions」、Mobb Deep feat. Illa Ghee「Can't Get Enough of It」、Five Deez「Gateway 2000」、Freddie Joachim feat. Surreal「Matter of Time (Remix)」、DJ Shadow「Heavy Mood」、Knxwledge「MMG_」等40トラック以上のサンプリング・ソースとなっています。
Common「In My Own World (Check the Method)」
 https://www.youtube.com/watch?v=ZwikdIepwQw
Black Moon feat. Smif-n-Wessun「Headz Aint Redee (Beatminerz Remix)」
 https://www.youtube.com/watch?v=j3kMvvg2H8g
Mobb Deep feat. Illa Ghee「Can't Get Enough of It」
 https://www.youtube.com/watch?v=aVRa4vmBxrM
Five Deez「Gateway 2000」
 https://www.youtube.com/watch?v=5rMPB-T0sJA
Freddie Joachim feat. Surreal「Matter of Time (Remix)」
 https://www.youtube.com/watch?v=L5eBUzOyBZk
DJ Shadow「Heavy Mood」
 https://www.youtube.com/watch?v=mmILD1gepWU
Knxwledge「MMG_」
 https://www.youtube.com/watch?v=Z1zTivuU_EY

「Boston Marathon」
Gary Burton作。軽やかなロック・ビート&ブルース・フィーリングで楽しませてくれる演奏です。Burtonのヴァイヴ・ソロを挟んで、Eric Gale、Jerry Hahnという二人のギタリストのソロを楽しめるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=2c6pjCDqt-8

「Pain in My Heart」
Naomi Neville(Allen Toussaint)作。ソウル・レジェンドOtis Reddingのデビュー・アルバム『Pain In My Heart』のタイトル曲をカヴァー。ソウル・フィーリングを前面に打ち出した演奏はAtlanticレコーディングらしいですよね。ソウルフルなギター・ソロはJerry Hahn。Burtonのヴァイヴも異種格闘技によく馴染んでいます。
https://www.youtube.com/watch?v=Aaztbe5C03E

「Leroy the Magician」
Gary Burton作。レイドバックしたジャズ・ファンク調の演奏です。ユルさの中にもグイグイ推進力のあるビートを感じるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=TvBnA20dgsI

Common「Nuthin' to Do」Kool G Rap「Executioner Style」等のサンプリング・ソースとなっています。
Common「Nuthin' to Do」
 https://www.youtube.com/watch?v=gYYve3YAxWM
Kool G Rap「Executioner Style」
 https://www.youtube.com/watch?v=9W9Mv3Ol3F4

「I Never Loved a Man (The Way I Love You)」
Aretha Franklin、1967年の大ヒット曲をカヴァー(Ronnie Shannon作)。オリジナルはアルバム『I Never Loved a Man the Way I Love You』(1967年)収録。ラストはGale、Hahnのツイン・ギターを従えたソウルフル&ブルージーな演奏で締め括ってくれます。抑えたトーンの演奏ですが、中盤で一度ギターがロッキンにスパークするのがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=HC_S0fNkX4U

Gary Burton『Good Vibes』の初期作品もチェックを!

『New Vibe Man in Town』(1962年)


『Who Is Gary Burton?』(1963年)


『Something's Coming!』(1964年)


The Gary Burton Quartet『Lofty Fake Anagram』(1967年)


The Gary Burton Quartet『Duster』(1967年)


『A Genuine Tong Funeral』(1968年)


The Gary Burton Quartet『Country Roads & Other Places』(1969年)


『Throb』(1969年)


Gary Burton & Keith Jarrett『Gary Burton & Keith Jarrett』(1971年)


『Alone at Last』(1972年)


Gary Burton & Stephane Grappelli『Paris Encounter』(1972年)


『The New Quartet』(1973年)


Gary Burton/Chick Corea『Crystal Silence』(1973年)


The Gary Burton Quintet With Eberhard Weber『Ring』(1974年)
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2023年10月25日

Jorge Dalto『Listen Up』

George Benson Bandのメンバーとレコーディング☆Jorge Dalto『Listen Up』

発表年:1988年
ez的ジャンル:ラテン・メロウ・フュージョン
気分は... :秋にも似合うラテン・メロウ...

アルゼンチン出身のキーボード奏者Jorge Dalto(1948-87年)の『Listen Up』(1988年)です。

リリースは彼の死後の1988年ですが、レコーディング自体は1978年なので1970年代カテゴリーに分類しておきます。

アルゼンチン出身のキーボード奏者Jorge Daltoの紹介は、再評価の高い人気盤『Chevere』(1976年)に続き2回目です。

Jorge Daltoといえば、どうしても『Chevere』(1976年)の印象が強いですよね。

まず聴くべきは『Chevere』(1976年)だと思いますが、それをクリアしたならば本作『Listen Up』を試してみでは?

本作『Listen Up』Versatileでレコーディングされたものです。

『Listen Up』の特徴は、当時George Bensonのバンド・メンバーであったJorge Daltoが、そのGeorge Benson Bandの面々とレコーディングしている点です。さらにはボスのGeorge Bensonも参加しています。

内容的には、夏に一番フィットするであろうラテン・メロウ・フュージョンですが、全曲インストなので意外にいつ聴いても違和感ないと思います。

レコーディングにはJorge Dalto(p)以下、George Benson(g)、Phil Upchurch(g)、Ronnie Foster(syn)、Stanley Banks(b)、Harvey Mason(ds)というGeorge BensonとGeorge Benson Bandの面々、さらにはAnthony Jackson(b)、Frankie Malabe(per)、Hubert Laws(fl)、Randy Brecker(tp、flh)、Michael Brecker(sax)が参加しています。

プロデュースはJorge DaltoVic Chirumbolo

軽快なサマー・フュージョンのタイトル曲「Listen Up」、各種コンピにもセレクトされているブラジリアン・フュージョン「Samba All Day Long」あたりが目立ちますが、僕のオススメは「Concentrate On You」「Sky」「La Costa」「Girl In Blue」といったメロウな演奏です。メロウながらもラテン・テイストを効かせているのがいいですね。

改めてJorge Daltoのピアノの魅力を再認識できる素敵な1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Listen Up」
タイトル曲はDaltoのピアノとBrecker Brothersのホーン・サウンドがバカンス・モードへ誘ってくれるサマー・フュージョン。聴いているだけで心が解放される疾走感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=rxvAUfUjn4A

「Samba All Day Long」
Jorge Dalto作。各種コンピにもセレクトされている軽快なブラジリアン・フュージョン。躍動するDaltoのピアノがいいですね。Hubert Lawsの涼しげなフルートがいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=C2Rvp80WXIQ

「Concentrate On You」
L.T.D.のカヴァー(Harold Johnson作)。オリジナルは当ブログでも紹介した『Togetherness』(1978年)収録。ここではDaltoのタッチは冴えるロマンティックなメロウ・ミディアムで魅せてくれます。インストならではのメロウネスがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=nyj_Cx9yal8

「Sky」
Ronnie Foster作。しっとりとしたバラードと思いきや途中からラテン・テイストが加わり、本作らしいメロウ・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=qxXMbPBPbHU

「Spanish Harlem」
Ben E. Kingのカヴァー(Jerry Lieber/Phil Spector作)。Aretha Franklinのヒットでも知られる曲ですね。疾走感があるのに、何処となく長閑な雰囲気があるサマー・フュージョン。George Bensonがギター・ソロで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=48oyI7ISh8U

「La Costa」
Natalie Coleのカヴァー(Linda Williams/Natalie Cole作)。オリジナルはアルバム『Thankful』(1977年)収録。サンセット・モードが似合いような演奏です。ロマンティックながらも適度にパーカッシヴなのが僕好み。Hubert Lawsのフルートがいい味出しています。Daltoはアルバム『Urban Oasis』(1985年)でも本曲を再演しています。
https://www.youtube.com/watch?v=BUVly2HPR2k

「Girl In Blue」
Onaje Allan Gumbs作。ラストはDaltoの素敵なピアノ・タッチを堪能できるバラードで締め括ってくれます。Daltoのピアノに寄り添うPhil Upchurchのギターにもグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=IJF9u6zexqQ

Jorge Daltoの他作品もチェックを!

『Chevere』(1976年)


Jorge Dalto & Super Friends『Rendez-vous』(1983年)


Jorge Dalto & Super Friends『New York Nightline』(1984年)


『Urban Oasis』(1985年)
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2023年10月11日

Isaac Hayes『The Isaac Hayes Movement』

『Hot Buttered Soul』に続く1枚☆Isaac Hayes『The Isaac Hayes Movement』

発表年:1970年
ez的ジャンル:シンフォニック・ニュー・ソウル
気分は... :偶然の飼いならし!

70年代前半に絶大な人気を誇った男性R&Bシンガー/キーボード奏者Isaac Hayesのヒット・アルバムの1枚『The Isaac Hayes Movement』(1970年)です。

Isaac Hayes(1942-2008年)の紹介は、『...To Be Continued』(1970年)、『Hot Buttered Soul』(1969年)に続き3回目となります。

『The Isaac Hayes Movement』(1970年)は、ヒットした『Hot Buttered Soul』(1969年)に続く作品であり、より統一感があるアルバムに仕上がっています。

アルバムはUSアルバム・チャート第8位、同R&Bアルバム・チャート第1位となっています。

『Hot Buttered Soul』(1969年)同様、全4曲構成。Isaac Hayes自身がプロデュース&アレンジを務め、前作と同じくThe Bar-Kaysメンバーがリズム・セクションを務めます。

Jerry Butlerのカヴァー「I Stand Accused」「One Big Unhappy Family」という前半の2曲はイナたさが魅力のバラード、Bacharach作品のカヴァー「I Just Don't Know What to Do with Myself」Beatles名曲カヴァー「Something」という後半2曲はHayesならではのシンフォニック・ソウルを楽しめます。

昔は全4曲という収録曲の少なさに物足りなさを感じていましたが、今聴くと全4曲ならではの統一感みたいなものが感じられ、Hayesワールドに浸りやすい気がします。

年を重ねて、段々とこのアルバムが僕に馴染んできたようです。

全曲紹介しときやす。

「I Stand Accused」
Jerry Butler、1964年のシングル曲をカヴァー(Jerry Butler/William Butler作)。感動ドラマのエンディング・テーマのようなソウル・バラードを11分超の長尺で聴かせてくれます。適度にイナたい雰囲気があるので長尺にも耐えうるのかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=RNTkiYAuRjU

The Diplomats「I Love You」、B-Tribe「La Unica Excusa」、Agency 1.9.9.4 feat. Donnie Darko「Devil's Bastard」等のサンプリング・ソースとなっています。

「One Big Unhappy Family」
Charles Chalmers/Sandra Rhodes作。これも「I Stand Accused」同様にイナたい郷愁感が印象的なバラード。Hayesのしみじみとしたヴォーカルが胸の奥に沁み渡ります。
https://www.youtube.com/watch?v=WnopjBYHB9Q

One Be Lo「Decepticons (Pete Rock Remix)」のサンプリング・ソースとなっています。
One Be Lo「Decepticons (Pete Rock Remix)」
 https://www.youtube.com/watch?v=w1NsL4l3LG4

「I Just Don't Know What to Do with Myself」
Dusty Springfieldのヒットなどで知られるBurt Bacharach/Hal David作品をカヴァー。Hayesならではの美学が貫かれたシンフォニック・ソウル・バラード。BacharachワールドとHayesワールドを見事に融合させています。黄昏モードで物思いに耽ながら聴きたいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=3puIefHREC8

Texta feat. Blumentopf「Bettgeschichten」のサンプリング・ソースとなっています。
Texta feat. Blumentopf「Bettgeschichten」
 https://www.youtube.com/watch?v=w7k3keis8JQ

「Something」
George Harrison作のBeatles名曲を12分近い長尺でカヴァー。オリジナルは『Abbey Road』に収録されています。お馴染みの名曲をHayesならではのシンフォニック・ソウルに変貌させています。後半は少しアヴァンギャルドな雰囲気もあって刺激的です。
https://www.youtube.com/watch?v=bbowCxFXLPc

R De Rumba feat. Kase.O and Kami「Quieres」のサンプリング・ソースとなっています。
R De Rumba feat. Kase.O and Kami「Quieres」
 https://www.youtube.com/watch?v=b5GBPpz8JjM

Isaac Hayesの他の初期作品もチェックを!

『Hot Buttered Soul』(1969年)


『...To Be Continued』(1970年)


『Shaft (motion picture soundtrack) 』(1971年)


『Black Moses』(1971年)


『Joy』(1973年)


『Chocolate Chip』(1975年)
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2023年09月20日

Carrie Lucas『Simply Carrie』

Solarのディスコ・クイーン☆Carrie Lucas『Simply Carrie』

発表年:1977年
ez的ジャンル:Solar系ディスコ・クイーン
気分は... :こっち側? あっち側?

人気レーベルSolarのディスコ・クイーンとして活躍したCarrie Lucasのデビュー・アルバム『Simply Carrie』(1977年)です。

Carrie Lucasは1945年カリフォルニア州生まれの女性シンガー。弟は人気キーボード奏者

当初はソングライター、D.J. RogersThe Whispersなどのバック・コーラスをしていましたが、公私のパートナーとなるSolarの設立者Dick Griffeyと出会ったことで、ソロ・シンガーとしてのチャンスを掴み、70年代後半から80年代前半にかけて6枚のアルバムをリリースしています。

デビュー・アルバムとなる本作『Simply Carrie』(1977年)はSolarの前身であるSoul Trainからのリリースです。

アルバムからは「I Gotta Keep Dancin'」がダンス・チャートでヒットしました。

プロデュースはDick GriffeyClarence McDonald

また、上記プロデューサー二人と共に、Jerry PetersGregg PhillinganesJohn Parrishがアレンジを手掛けています。

Nathan East(b)、Scott Edwards(b)、Ahaguna Sun(ds、per)、James Gadson(ds)、Raymond Pounds(ds)、Werner Schuchner(g、b)、Carl Lockett(g)、Glennis Jones(g)、Jay Graydon(g)、Marlo Henderson(g)、Clarence McDonald(key)、Gregg Phillinganes(key)、Fred Lewis(per)、Ernie Watts(sax)等がレコーディングに参加しています。

また、元Honey ConeCarolyn WillisD.J. RogersThe WhispersScott兄弟Walter & ScottyJim GilstrapDick Griffeyがバック・コーラスで参加しています。

ハイライトは前述のダンス・クラシック「I Gotta Keep Dancin'」。それ以外にも「Play By Your Rule」「I Gotta Get Away From Your Love」といったダンサブルなファンキー・グルーヴが僕のお気に入り。

また、The Emotionsの名バラード・カヴァー「Me For You」、アーバンなファンキー・メロウの「I'll Close Loves Door」「Men Kiss And Tell」あたりもオススメです。

全曲紹介しときやす。

「I Gotta Keep Dancin'」
Malcolm Anthony作。作者Malcolm AnthonyはCarrieの従兄弟です。前述のようにディスコ・ヒットしたダンス・クラシックがオープニング。エレガントなオーケストレーションと重心の低いグルーヴ、爽やかなCarrieが織り成すクラシックの風格漂う文句なしのダンス・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=GoGCE_yDQfY

「Me For You」
The Emotionsの名バラードをカヴァー(Malcolm Anthony/Fritz Baskett作)。オリジナルは『Flowers』(1976年)収録。当ブログではJohnny Mathis & Deniece Williamsヴァージョンも紹介済みです。オーセンティックなバラードを切々と歌い上げる感動バラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=W5oqKDZxjmw

「Play By Your Rule」
Carrie Lucas/Gregg Phillinganes作。クラヴィネットが煌めき、スラップ奏法のベースがブンブン唸るファンキー・グルーヴ。実にキャッチーです。開放的なホーン隊もいい仕事しています。
https://www.youtube.com/watch?v=VS5lewMWBHw

「Tender Interlude」
Malcolm Anthony/Wayne Bell作。Wayne BellもCarrieの従兄弟です。次曲のイントロ。

「Tender」
Malcolm Anthony/Wayne Bell作。7分超の大作バラード。ただし、個人的には少し退屈かも?Fly Anakin and Foisey. feat. Pink Siifu「Affirmations」のサンプリング・ソースとなっています。

「Jammin' Tenderly (Tender Part II)」
Wayne Bell作。副題で「Tender Part II」となっていますが、個人的には短いインスト・トラックであるこのパート2だけで十分です(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=m2cDR_fItPs

「I Gotta Get Away From Your Love」
Carrie Lucas/Gregg Phillinganes作。クラヴィネットが印象的なファンキー・ダンサー。華やかなアーバン・ナイトのダンス・チューンといった雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=V8XnyWqxw0Q

「I'll Close Loves Door」
Carrie Lucas作。Carrieのソングライターとしての才を確認できる哀愁ミディアム・バラード。アーバンなファンキー・メロウ・サウンドがよく似合います。
https://www.youtube.com/watch?v=Jn74oVy0a7w

「What's The Question」
Carrie Lucas作。この曲もCarrie単独で書いたバラード。品のあるビューティフル・バラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=PV1b2XYYf3g

「Men Kiss And Tell」
Carrie Lucas作。本編ラストは爽快ポップ・メロウで締め括ってくれます。さり気ないですが、アーバンなファンキー・メロウ・サウンドが実に心地好いです。
Ullanda McCulloughがカヴァーしています。
https://www.youtube.com/watch?v=0HWXg1GEkDo

僕の所有する再発CDには、「Keep Smilin' (Original 12" Rick Gianatos Remix)」「I Gotta Keep Dancin' (Original Single Version)」「I Gotta Get Away From Your Love (Original Single Version)」の3トラックがボーナス・トラックとして追加収録されています。

Carrie Lucasの他作品もチェックを!

『Street Corner Symphony』(1978年)


『In Danceland』(1979年)


『Portrait of Carrie』(1980年)


『Still in Love』(1982年)


『Horsin' Around』(1984年)
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