2023年05月17日

Freddie Hubbard『Windjammer』

Bob Jamesをプロデューサーに迎えた問題作☆Freddie Hubbard『Windjammer』

発表年:1976年
ez的ジャンル:名トランぺッター系ジャズ・ファンク/フュージョン
気分は... :問題作だからこそ面白い!

今回は名トランぺッターFreddie Hubbard『Windjammer』(1976年)です。

これまで当ブログで紹介したFreddie Hubbard(1938-2008年)作品は以下の7枚。

 『Hub Tones』(1962年)
 『Breaking Point』(1964年)
 『Backlash』(1966年)
 『A Soul Experiment』(1969年)
 『The Black Angel』(1969年)
 『Red Clay』(1970年)
 『The Love Connection』(1979年)

本作『Windjammer』(1976年)は、『High Energy』(1974年)、『Liquid Love』(1975年)に続くColumbia移籍第3弾アルバムとなります。

『High Energy』(1974年)


『Liquid Love』(1975年)


Bob Jamesをプロデューサーに迎えた本作は、問題作と称されることも多く、必ずしも肯定的な評価ばかりではない作品です。それだけFreddie Hubbardらしからぬ1枚といえるかもしれません。でも反対に、そこが楽しむポイントかもしれませんね。

個人的にはアーティストが守りに走らず攻めた作品は好きなので、僕は楽しめました。

レコーディングにはFreddie Hubbard(tp)以下、Jon Faddis(tp)、Michael Brecker(ts)、Bob James(clavinet、syn)、George Cables(el-p、clavinet)、Hubert Laws(fl)、Steve Khan(g)、Richie Resnicoff(g)、David Spinozza(g)、Eric Gale(g)、Jerry Friedman(g)、Gary King(b)、Steve Gadd(ds)、Andy Newmark(ds)、Chris Parker(ds)、Ralph MacDonald(per)、Ray Mantilla(per)、Marvin Stamm(tp)、Bernie Glow(tp)、Lew Soloff(tp)、Wayne Andre(tb)、Dave Taylor(tb)、Alan Raph(tb)、George Marge(oboe、as)、Wally Kane(bassoon)、Phil Bodner(as)、Patti Austin(vo)、Vivian Cherry:(vo)、Gwen Guthrie(vo)、Zack Sanders(vo)、Frank Floyd(vo)等のミュージシャンが参加しています。

サンプリング・ソースにもなっている「Touch Me Baby」「Neo Terra (New Land)」「Windjammer」の3トラックが本作らしいのでは?

Hubert Lawsのフルートが印象的な「Rock Me Arms」、有名曲カヴァーの「Dream Weaver」「Feelings」も楽しめます。

問題作を楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Dream Weaver」
Gary Wright、1975年の大ヒット曲をジャズ・ファンク調にカヴァー(Gary Wright作)。ドラムブレイクが印象的なメロウ・ジャズ・ファンクに仕上がっています。Hubbardのトランペットも快調です。ソウルフルな女性コーラス隊が華やかに盛り上げてくれるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=8BLzvjg-ldk

「Feelings」
ブラジル人男性シンガーMorris Albertの世界的大ヒット曲をカヴァー(Loulou Gaste/Morris Albert作)。お馴染みの名曲を抑えたトーンの都会的なサウンドで聴かせてくれます。Hubbardのトランペットの優しい音色がいいですね。Bob Jamesプロデュースらしい仕上がりなのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=pNoi_JLbRb8

Shawty Pimp「Mackin' Ain't No Punk Shit」、Graymatter「Intravision」等のサンプリング・ソースとなっています。

「Rock Me Arms」
Ralph MacDonald/William Salter/Zachary Sanders/Fareil Glenn作。爽快に疾走するファンキー・グルーヴ。Hubbardのトランペット以上にHubert Lawsのフルートが印象的かもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=K9bA0GS_4q4

「Touch Me Baby」
Bob James作。ソウルフルな女性コーラス隊がいい感じのドープな都会的ファンキー・グルーヴ。個人的にN.Y.らしさを感じるかなり好きな演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=55nY-IBjL38

Shawty Pimp「Pimpin' Is Too Damn Thick」、Obie Trice feat. Trey Songz「Mama」、Supastition feat. Se7en「Blood Brothers」のサンプリング・ソースとなっています。
Shawty Pimp「Pimpin' Is Too Damn Thick」
 https://www.youtube.com/watch?v=YIS_cKuTGis
Obie Trice feat. Trey Songz「Mama」
 https://www.youtube.com/watch?v=mzPr9l6bsRw
Supastition feat. Se7en「Blood Brothers」
 https://www.youtube.com/watch?v=OZRfEKDKY84

「Neo Terra (New Land)」
Freddie Hubbard作。ミステリアスな雰囲気で始まりますが、本編はリズミックでソリッドな演奏です。Hubbardのトランペットの存在感も格別です。
https://www.youtube.com/watch?v=QOr5fX6at3U

Advanced Chemistry「Fremd Im Eigenen Land」、Masta Ace Incorporated「Ain't No Game」。8-Off Agallah「Alize for Dolo」、3rd Eye feat. Zone 7「Lyrical High」等のサンプリング・ソースとなっています。
Advanced Chemistry「Fremd Im Eigenen Land」
 https://www.youtube.com/watch?v=C9N0fo3vXMs
Masta Ace Incorporated「Ain't No Game」
 https://www.youtube.com/watch?v=DTcSl5jy1cY
8-Off Agallah「Alize for Dolo」
 https://www.youtube.com/watch?v=VHvRgXc1Cz8
3rd Eye feat. Zone 7「Lyrical High」
 https://www.youtube.com/watch?v=nyeHAYN2c_c

「Windjammer」
Freddie Hubbard作。タイトル曲は本作を象徴するジャズ・ファンク・チューン。Hubbardのトランペットに先導され、演奏全体がパワフルなのが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=UFKAGE1UaQg

Cool C「Takin' No Shorts (The Gambler)」、Fat Jon「Labyrinth Statistic」、Supastition「Chain Letters (Intro)」、Stalley「330」、Skyzoo feat. Talib Kweli「Spike Lee Was My Hero」のサンプリング・ソースとなっています。
Cool C「Takin' No Shorts (The Gambler)」
 https://www.youtube.com/watch?v=6j8ulejluLc
Fat Jon「Labyrinth Statistic」
 https://www.youtube.com/watch?v=zO7V37uOmn4
Supastition「Chain Letters (Intro)」
 https://www.youtube.com/watch?v=ZSK2CkpqOPA
Stalley「330」
 https://www.youtube.com/watch?v=8NzHh8Eg554
Skyzoo feat. Talib Kweli「Spike Lee Was My Hero」
 https://www.youtube.com/watch?v=gFGd2drY4OQ

Freddie Hubbardの過去記事もご参照下さい。

『Hub Tones』(1962年)
ハブ・トーンズ

『Breaking Point』(1964年)
Breaking Point

『Backlash』(1966年)
バックラッシュ

『A Soul Experiment』(1969年)
ア・ソウル・エクスペリメント<SHM-CD>

『The Black Angel』(1969年)
ブラック・エンジェル

『Red Clay』(1970年)
レッド・クレイ

『The Love Connection』(1979年)
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2023年04月26日

Richard "Groove" Holmes『Comin' On Home』

レア・グルーヴ人気作のオルガン・ジャズ・ファンク☆Richard "Groove" Holmes『Comin' On Home』

発表年:1971年
ez的ジャンル:オルガン・ジャズ・ファンク
気分は... :オルガン×エレピ!

巨漢ジャズ・オルガン奏者Richard "Groove" Holmesによるレア・グルーヴ人気作品『Comin' On Home』(1971年)です。

ニュージャージー出身のジャズ・オルガン奏者Richard "Groove" Holmes(1931-1991年)の紹介は、『Workin' On A Groovy Thing』(1969年)、Jimmy McGriffとの共演作Jimmy McGriff/Richard "Groove" Holmes『Giants Of The Organ In Concert』(1973年)に続き3回目となります。

『Comin' On Home』(1971年)は、レア・グルーヴ方面で再評価が高まった1枚です。

レコーディング・メンバーはRichard "Groove" Holmes(org)以下、Weldon Irvine(el-p)、Gerald Hubbard(g)、Jerry Jemmott(b)、Chuck Rainey(b)、Darryh Washington(ds)、Ray Armando(congas)、James Davis(per)という面々。何といってもWeldon Irvineの参加が注目です。

「Theme From Love Story (From the Paramount film "Love Story")」(Francis Lai)、「Wave」Antonio Carlos Jobim)、「This Here」Bobby Timmons)といった有名曲のカヴァーが収録されています。

ただし、レア・グルーヴ人気作としての本作の聴きどころはHolmesとWeldon Irvineによるオリジナルのジャズ・ファンク。

各種コンピでも人気の「Groovin' For Mr. G.」Weldon Irvine作の「Down Home Funk」「Mr. Clean」、James Davisの即興ヴォーカル入りの「Don't Mess With Me」という4曲です。

HolmesのオルガンとIrvineのエレピが混ざり合う独自のジャズ・ファンク・ワールドをご堪能あれ!

全曲紹介しときやす。

「Groovin' For Mr. G.」
Richard "Groove" Holmes作。各種コンピでも人気のオープニング。まさにグルーヴィーなHolmesのオルガンを満喫できるファンキー・チューン。レア・グルーヴ好きにはたまらない1曲なのでは?Weldon Irvineのエレピの響きもグッド!オルガンとエレピの音色の混ざり具合が何ともエキサイティング!
https://www.youtube.com/watch?v=5VGNV_TEgrg

「Theme From Love Story (From the Paramount film "Love Story")」
Francis Lai作。映画『Love Story(邦題:ある愛の詩)』のテーマ曲をカヴァー。当ブログではHubert Lawsのカヴァーも紹介済みです。この曲のみベースがChuck Raine。ロマンティックな愛のバラードをスウィンギーなオルガン・ジャズへと変貌させています。
https://www.youtube.com/watch?v=n5kgrJZfY9g

「Mr. Clean」
Weldon Irvine作。これはWeldon Irvine好きが喜びそうなコズミック・ファンクです。ここでもHolmesのオルガンとIrvineのエレピの混ざり具合が絶妙です。
https://www.youtube.com/watch?v=r4B6ixmyWJ4

「Down Home Funk」
Weldon Irvine作。Holmesのオルガン・ソロともに始まるジャズ・ファンク。個人的には本作のハイライト。骨太なのに熱くなりすぎないクールネスがあるのがWeldon Irvine作品らしいのでは?Darryh Washingtonによるブレイクも格好良いです!
https://www.youtube.com/watch?v=DNtgKRKz4D4

「Don't Mess With Me」
Richard "Groove" Holmes作。パーカッションのJames Davisの即興ヴォーカル入りのジャズ・ファンク。ソウルフル&ブルージーな味わいがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=rYWaClFC7BQ

「Wave」
Antonio Carlos Jobimのボサノヴァ名曲をカヴァー。メロウなボッサ・フィーリングながらもソウルフルなオルガン・ジャズの味わいも混じり、甘くなりすぎないのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=iY0GG0xacS0

「This Here」
Bobby Timmons作。オリジナルはBobby Timmons『This Here Is Bobby Timmons』(1960年)ヴァージョン。Lambert, Hendricks & Rossもレコーディングしています。ここではTimmonsのオリジナルを受け継ぐソウル・フィーリングの演奏です。ここでも熱くなりすぎず適度に軽やかなのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=XRU_SJXJ3Mk

Richard "Groove" Holmesの他作品もチェックを!

『Groove』(1961年)
グルーヴ

Richard Holmes & Gene Ammons 『Groovin' with Jug』(1961年)
Groovin' With Jug

『After Hours 』(1962年)
After Hours

『Soul Message』(1965年)
Soul Message: Rudy Van Gelder Remasters

『A Bowl of Soul』(1967年)
A BOWL OF SOUL

『American Pie』(1972年)
American Pie

『New Groove』(1974年)
ニュー・グルーヴ

Jimmy McGriff & Richard "Groove" Holmes『Giants Of The Organ Come Together』(1973年)
Giants Of The Organ Come Together

Jimmy McGriff/Richard "Groove" Holmes『Giants Of The Organ In Concert』(1973年)
ジャイアンツ・オブ・オルガン・イン・コンサート
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2023年04月12日

Ivan Lins『Deixa O Trem Seguir』

スタイル確立に向けて助走する2nd☆Ivan Lins『Deixa O Trem Seguir』

発表年:1971年
ez的ジャンル:稀代のメロディ・メイカー系MPB
気分は... :放っておいて!

今回はMPBの稀代のメロディ・メイカーIvan Linsの2ndアルバム『Deixa O Trem Seguir(邦題:汽車を見送りなよ)』(1971年)です。

MPBを代表する男性シンガー・ソングライターIvan Linsについて、これまで当ブログで紹介したのは以下の6枚。

 『Modo Livre』(1974年)
 『Chama Acesa』(1975年)
 『Somos Todos Iguais Nesta Noite』(1977年)
 『Nos Dias De Hoje』(1978年)
 『Novo Tempo』(1980年)
 『Awa Yio』(1991年)

『Deixa O Trem Seguir』(1971年)は、デビュー・アルバム『Agora』(1971年)に続く2ndアルバム。

『Agora』(1971年)と比較すると洗練され、後のIvan Linsスタイルの端緒を開いた1枚ではないかと思います。

プロデュースはPaulinho Tapajos
アレンジはArthur Verocai

楽曲はすべてIvan Linsのオリジナル。「Onde Batem As Ondas Do Teu Olhar」を除きRonaldo Monteiro de Souzaとの共作です。

Ivan Lins(p、vo、g)以下、Arthur Verocai(g、viola)、Pascoal Meirelles(ds)、Sergio Hinds(b、back vo)、Lucinha Lins(per、vo)、Hugo(org)、Jorge Amiden(g)、Sidney Mattos(g)、David Sion(per)、Oberdan Magalhaes(sax)、Marcio(tp)、Dorinha Tapajos(back vo)、Lizzie Bravo(back vo)、Quinteto Villa Lobos(strings)がレコーディングに参加しています。

感動的なタイトル曲「Deixa O Trem Seguir」Elis Reginaのカヴァー・ヒットでも知られる初期名曲「Me Deixa Em Paz」、名曲の誉れ高い「Longe」、USソウル×サンバ・ロックな「Que Pena Que Eu Tenho De Voce」Claudette Soaresもカヴァーした「Depois Do Fim」あたりがオススメです。

自分のスタイル確立に向けて助走する初期作品ならではのIvan Linsワールドを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Que Pena Que Eu Tenho De Voce」
邦題「お気の毒様」。USソウル×サンバ・ロックなオープニング。70年代初めのピースフルな雰囲気とIvan Linsならではの曲調を交互に楽しめる感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=mimpQIh8Uuw

「Deus E Dono」
邦題「支配するのは神様」。これはブラジル版カントリー・ロックですね。このあたりのUSシーンの動きをすかさず取り入れているのも興味深いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=BJ_j7XGXI5k

「Deixa O Trem Seguir」
邦題「汽車を見送りなよ」。タイトル曲はIvan Linsならではの少し愁いを帯びた曲調とArthur Verocaiの素晴らしいストリングス・アレンジの調和が見事です。感動ドラマを見終わったような気分になれる1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=X0gUf4D-8lI

「Depois Do Fim」
邦題「終わってしまった後で」。ブラジルのファンク・バンドBanda Black RioのリーダーOberdan Magalhaesがサックスで参加。美しくも切ない失恋バラードです。Claudette Soaresも「Depois」のタイトルで本作と同じ1971年にカヴァーしています。
https://www.youtube.com/watch?v=WDFYgY_KBCM

「Catedral」
当時は建設中であったリオデジャネイロ大聖堂のことを歌ったもの。マヤ文明のピラミッドがモデルとなったモダニズム建築として知られるリオデジャネイロ大聖堂ですが、そんな大聖堂をイメージさせるモダンなのに荘厳で神秘的というスケールの大きな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=xTP78V3mal0

「Pra Viver O Que Vivi」
邦題「自分が生きて来た道」。美しい曲調ですが、『Agora』の流れを汲む少し荒削りなIvanのヴォーカルが聴けるのが初期作品らしさですね。この曲でも少しカントリー・ロック・テイストのスパイスを効かせていまうs。
https://www.youtube.com/watch?v=SMId14mj1so

「Me Deixa Em Paz」
邦題「放っておいて」。本作をハイライトと呼べる初期名曲ですね。『Elis (1972)』(1972年)に収録されたElis Reginaのカヴァー・ヒットでも知られます。僕も最初に聴いたのはElisヴァージョンで、その時一発で好きになった楽曲です。そんなElisヴァージョンの印象が強い曲ですが、このオリジナルを聴くとやはりIvan Linsならではの楽曲だと再認識できます。
https://www.youtube.com/watch?v=oF8iVawoLlE

Elis Regina「Me Deixa Em Paz」
 https://www.youtube.com/watch?v=kvZ7KncSa-M

「Um Carro Enferrujado」
邦題「錆びた車」。Quinteto Villa Lobosの弦楽四重奏をフィーチャーした失恋バラード。でも湿っぽくなくカラッとした仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=xhdjfcALGDQ

「Oba」
ブラジル北東部のリズムを取り入れた楽曲。この頃はこうしたアプローチもまだまだ手探り感があるのが初期作品らしいかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=7WN71xpkoA4

「Longe」
邦題「遠く」。名曲の誉れ高い1曲。Arthur Verocaiのアレンジも相俟って聴く者が感動で包まれる名曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=SGL3eKOd9mM

「Onde Batem As Ondas Do Teu Olhar」
邦題「君の瞳の波が打っている場所」。序盤はピアノの弾き語り、その後ストリングスが加わった感動的な展開となり、熱唱ヴォーカルが少し青臭いのが初期作品ならではです。
https://www.youtube.com/watch?v=VQQ-HQk610A

「Oratorio No Mar Branco」
邦題「白い海の祈祷室」。本編ラストはQuinteto Villa Lobosの弦楽四重奏が加わった美しいピアノ・バラードで締め括ってくれます。録音のせいかMarcioのトランペット・ソロが少し唐突な感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=Hpl8QgU1ITs

ここから2曲は国内再発CDのボーナス・トラック。1971年にシングル・リリースされた2曲です。

「Bia, Bia, Beatriz」
テレビ・ドラマ用に提供した楽曲。ホーン&ストリングスを配したロック・テイストのミディアム・バラードをIvanが熱唱します。
https://www.youtube.com/watch?v=x5dtFJLfbwU

「Voce, Mulher Voce」
邦題「君、女性の君」。Jorge Benのバック・バンドTrio Mocotoが参加。Trio Mocotoとの共演らしいファンキー・サンバに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=1Kh5RBHg4_A

Ivan Linsの過去記事もチェックを!

『Modo Livre』(1974年)
Modo Livre

『Chama Acesa』(1975年)
シャーマ・アセーザ(期間生産限定盤)

『Somos Todos Iguais Nesta Noite』(1977年)
今宵楽しく

『Nos Dias De Hoje』(1978年)
ノス・ヂアス・ヂ・オージェ

『Novo Tempo』(1980年)
ノーヴォ・テンポ

『Awa Yio』(1991年)
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2023年03月22日

Osiris『O-Zone』

ワシントンD.C.のファンク・バンド☆Osiris『O-Zone』

発表年:1979年
ez的ジャンル:ワシントンD.C.産ファンク
気分は... :お尻ズはありません(笑)

ワシントンD.C.のファンク・バンドOsirisの2ndアルバム『O-Zone』(1979年)です。

Osirisは、リーダーのOsiris Marshを中心にワシントンD.C.で結成されたファンク・バンド。

『Since Before Our Time』(1978年)、『O-Zone』(1979年)、『Osiris The Band!』(1981年)、『War On The Bullshit』(1986年)という4枚のアルバムをリリースしています。

また、前身バンドThe Familyとしてもアルバム『Music-Let It Thru』(1977年)をリリースしています。

本作『O-Zone』(1979年)は、『Since Before Our Time』(1978年)に次ぐ2ndアルバムであり、T.K.傘下のMarlinからのリリースです。


本作におけるメンバーは、Osiris Marsh(vo)、Maceo Bond(key)、Tyrone Brunson(b)、Brent Mingle(g)、Tony Jones (b)、Kenny Jones(ds)、Jimmy "Sha-Sha" Stapelton(per)、Jill Wells(back vo)という8名。

プロデュースはOsiris Marsh

Fred Wesleyがホーン・アレンジを手掛けています。

そのFred Wesley(tb)をはじめ、Maceo Parker(sax)、Richard Griffith(tp)、Rick Gardner(tp)といったParliament/FunkadelicBootsy's Rubber Band を支えたホーン・セクションHorny Hornsのメンバーや、かつてのParliament/Funkadelicメンバーであり、
Mutiny名義の作品でも知られるJerome Brailey(ds)といったP-Funk好きの興味をそそるミュージシャンが参加しています。

全7曲。オリジナル・アナログ盤のA面とB面で内容が大きく異なります。

「Fantality」「Prelude (Is It Clear?)」「Say You Will」というA面の3曲はP-Funk全開であり、本作の魅力の80%以上はこのA面にあると言えるでしょう。

それに対してB面は好き/嫌いがかなり別れるかもしれません。個人的には「You And I」「Love In Your Heart」の2曲はOK、残りの2曲はスキップといった感じでしょうか。

とりあえずA面の3曲をチェックしてみましょう!

全曲紹介しときやす。

「Fantality」
Maceo Bond/Osiris Marsh作。P-Funkマナーのオープニング。Jerome Braileyの本家P-Funk仕込みのドラミング、印象的なピアノ・リフ、Osiris Marshの猥雑なヴォーカル、Jill Wellsの華のある女性コーラスはP-Funk好きにはたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=-K9Ocxq4SRQ

「Prelude (Is It Clear?)」
Maceo Bond/Osiris Marsh/Tony Jones作。これもP-Funkモードの全開!(多分Jerome Braileyの)格好良いドラム・ブレイクに続き、Horny Hornsによる鮮やかなホーン・サウンドが加わり、いきなりハイテンションになります。そんな中、Maceo Bondのピアノ・リフが少しオリエンタルな感じなのがいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=CyYRQhf-6o0

「Say You Will」
Jimmy Stapelton/Kenny Jones/Maceo Bond/Osiris Marsh/Paul "Pogo" Carter/Tony Jones作。これも漆黒のP-Funk。ゴリゴリとした重量感のあるファンク・グルーヴがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=rumjaRBMkOk

「You And I」
Greta Graham/Osiris Marsh作。ここからはオリジナル・アナログ盤のB面になりますが、A面のP-Funkモードが嘘のようなソフト・ファンクです。ギャップありすぎですが、このメロウな感じも嫌いじゃありません。
https://www.youtube.com/watch?v=JDu_QzZWoYo

「Travellin' Salesman」
Alfred Newman/Greta Graham/Osiris Marsh作。これはご愛嬌ですね。正直僕はスキップです。
https://www.youtube.com/watch?v=VHUrKPU9WCQ

「Love In Your Heart」
Alfred Newman/Osiris Marsh作。バカンス・モードのメロウ・ソウルなミディアム。Osiris Marshが熱唱し、ギター・ソロが盛り上げます。Horny Hornsによるムーディーなホーン・サウンドもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=oLeoMk1nfo4

「I'll Never Let You Go」
Maceo Bond/Osiris Marsh作。ラストは哀愁ソウル・バラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=EJHrVanBd7Y

いよいとWBC決勝ですね!仕事はしていますが・・・???
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2023年02月08日

Odyssey 5『First Time Around』

謎多き女性ソウル・グループ☆Odyssey 5『First Time Around』

発表年:1974年
ez的ジャンル:Brunswick系女性ソウル・グループ
気分は... :5人グループなのにメンバーが6人?

70年代女性ソウル・グループ作品からOdyssey 5『First Time Around』(1974年)です。

Odyssey 5は謎多き女性ソウル・グループ。ノースカロライナ出身のメンバーによるグループみたいです。

ジャケ写真やグループ名からすると5人グループのはずなのですが、メンバーとしてクレジットされているのは、Sylvania WilsonCarlotta SamuelsCatherine RiceGlenda WhartonJackie SinclairLinda McCraeという6名。このあたりは謎のままです。

そんな謎多き女性ソウル・グループの唯一のアルバムがシカゴ・ソウルの名門レーベルBrunswickからリリースされた本作『First Time Around』(1974年)です。

プロデュースはAlonzo Tucker

ピースフルなメロウ・ソウル「Peace Of Mind」Barbara Acklinのカヴァー「More Ways Than One」、ニューソウルなファンキー・グルーヴ「Everybody's Complaining」、ノーザン・ソウルな「Stop, I Don't Need No Sympathy」、軽快なポップ・ソウル「What's It Gonna Be」、グルーヴィー・ソウル「Got To Be An Answer」あたりが僕のオススメです。

シカゴ・ソウルの逸品をぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「Golden Dreams」
Alonzo Tucker/Linda McCrae作。雰囲気のあるミディアム・ソウルがオープニング。ストリングス&ホーン・アレンジも含めて華があるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=-y5ZX-CCqKU

「Master Plan」
Alonzo Tucker/Linda McCrae作。軽快かつエレガントなソウル・グルーヴ。リード・ヴォーカルが次々と変わり、ミュージカルの一場面のような気分になります。
https://www.youtube.com/watch?v=-slQoLaVw20

「My Best Friend」
Alonzo Tucker/George Fenley作。ドラマティックな展開のソウル・バラード。これもミュージカルの一場面のような雰囲気があります。
https://www.youtube.com/watch?v=hUnGRVO5Fgg

「Stop, I Don't Need No Sympathy」
同じBrunswickの女性ソウル・シンガーLyn Romanが1973年にシングル・リリースしていた楽曲をカヴァー(Carl Davis/William Sanders作)。Alma Fayeのディスコ・カヴァー(1977年)でも知られる曲です。僕もAlma Fayeヴァージョンの印象が強いのですが、ここではLyn Romanのオリジナルの雰囲気を受け継ぐノーザン・ソウル調の仕上がりです。Honey Coneがお好きな人は気に入るはず!
https://www.youtube.com/watch?v=thMLYOeTtGg

「What's It Gonna Be」
Dusty Springfield、1967年のシングル曲をカヴァー(Jerry Ragovoy/Mort Shuman作)。Barbara Acklinもカヴァーしていました。ここではロッキン・ギターも唸るビートを効かせた軽快なポップ・ソウルを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=pUl8mRPtBmQ

「Got To Be An Answer」
Tyrone Davisのカヴァー(Leo Graham/Raymond Haley作)。「Got To Be An Answer」と同じくオリジナルはアルバム『It's All In The Game』(1973年)収録。シカゴ・ソウル・マナーな躍動するグルーヴィー・ソウルで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=yvh3pnFM1WQ

「Happiness Is Being With You」
こちらもTyrone Davisのカヴァー(Raymond Haley/Richard Parker作)。オリジナルはアルバム『It's All In The Game』(1973年)収録。女性ソウル・グループらしいコーラスワークを楽しめるソウル・バラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=ZNirE0fKGQI

「More Ways Than One」
Barbara Acklinのカヴァー(Carl Davis/Eugene Record作)。オリジナルは『Someone Else's Arms』(1970年)収録。オリジナルの雰囲気を受け継いだメロウ・ソウルにグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=SQHTA0ItYV0

「Peace Of Mind」
Hubert Usher作。タイトルの通り、ピースフルなメロウ・ソウルは僕好み。ポジティブなヴァイヴがあっていいですね。Knxwledge.「Kloud6」のサンプリング・ソースとなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=V-Lq-iWxK1Y

「Everybody's Complaining」
Alonzo Tucker/Linda McCrae作。ラストはワウ・ギターとドラマティックなストリングス・アレンジにニューソウルを感じるファンキー・グルーヴで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=QeQRjyoXLF8

Odyssey 5が所属していたBrunswickレーベルの他作品の過去記事もチェックを!

Barbara Acklin『Love Makes a Woman』(1968年)


Barbara Acklin『Seven Days Of Night』(1969年)
セヴン・デイズ・オブ・ナイト

Willie Henderson & The Soul Explosions『Funky Chicken』(1970年)
ファンキー・チキン+7

The Chi-Lites『A Lonely Man』(1972年)


The Lost Generation『Young,Tough And Terrible』(1972年)


The Eliminators『Loving Explosion』(1974年)
ラヴィング・エクスプロージョン

Strutt『Time Moves On』(1975年)
タイム・ムーヴス・オン

Directions『Directions』(1975年)
ダイレクションズ(紙ジャケット仕様)

Maryann Farra & Satin Soul『Never Gonna Leave You』(1975年)
ネヴァー・ゴナ・リーヴ・ユー+1(期間限定価格盤)

Exit 9『Straight Up』(1975年)
ストレイト・アップ(紙ジャケット仕様)

Step By Step『I Always Wanted To Be In The Band』(1976年)
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