2021年07月03日

Orquestra Imperial『Carnaval So No Ano Que Vem』

新世代ミュージシャンらによるビッグ・バンド☆Orquestra Imperial『Carnaval So No Ano Que Vem』

発表年:2007年
ez的ジャンル:ブラジル新世代ビッグバンド
気分は... :ノスタルジックで新しい!

今回はブラジル新世代ミュージシャンらによるビッグ・バンド・ユニットOrquestra Imperialの1stアルバム『Carnaval So No Ano Que Vem』(2007年)です。

Orquestra Imperialは古いサンバのカヴァーを演奏するガフェイラ・オーケストラとして2002年から活動開始。ライヴ活動を重ねるうちに、オリジナル作品を作るようになり、2007年に1stアルバム『Carnaval So No Ano Que Vem』、2012年に2ndアルバム『Fazendo As Pazes Com O Swing』をリリースしています。

第一弾となる本作『Carnaval So No Ano Que Vem』におけるメンバーは、Moreno Veloso(per、vo)、 Domenico Lancellotti(ds)、Kassin(b)、Pedro Sa(g)、Stephane Sanjuan(per)、Berna Ceppas(syn、per)、Nina Becker(vo)、Thalma de Freitas(vo)、Rodrigo Amarante(vo)、Max Sette(tp、flh)、Rubinho Jacobina(ley)、Nelson Jacobina(g)、Bartolo(g)、Felipe Pinaud(fl)、Bidu Cordeiro(tb)、Mauro Zacharias(tb)、Leo Monteiro(per)、Cesar Farias(per)、Wilson das Neves(per、vo)という19名。

まず+ 2ユニットで知られるMoreno VelosoDomenico LancellottiKassinというブラジル新世代を代表するミュージシャン3名が揃って参加しているのが目を引きます。

それ以外にCaetano Velosoとの活動やJTNC方面からも注目されたギタリストPedro SaDomenicoらと多国籍ユニット
Os Ritmistasを結成し、本作と同じ2007年にアルバム『Os Ritmistas』をリリースしたStephane Sanjuan、ブラジル音楽シーンの重鎮ドラマーWilson das Neves等注目のミュージシャンが参加しています。

プロデュースはKassinBerna Ceppas Mario Caldato Jr.

アルバムは全15曲。オリジナルが11曲、カヴァー4曲という構成です。

伝統的なブラジル音楽と現代のブラジル音楽、さらにはラテンのエッセンスまで取り入れた多様なサウンドで楽しませてくれます。

ノスタルジックとモダンをうまく両立させたブラジル音楽の真髄を満喫できる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Me Deixa Em Paz」
Ayrton Amorim/Monsueto作。名盤Milton Nascimento & Lo Borges『Clube Da Esquina』(1972年)収録曲としてお馴染みの楽曲のカヴァーがオープニング。Ivan Lins作品にも同じタイトルがありますが同名異曲です。ここではNina Beckerがヴォーカルをとります。ノスタルジックな香りを漂わせたダイナミックな演奏のサンバを楽しめます。Nina Beckerの華のあるヴォーカルもいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=6BTH4wbEeNs

「Sem Compromisso」
Chico BuarqueTania Mariaも取り上げたGeraldo Pereira/Nelson Trigueiro作品をカヴァー。ここでのヴォーカルはMoreno Veloso。少しノスタルジックで小気味よいサンバ演奏とMoreno Velosoの父Caetano Veloso譲りの線の細いヴォーカルがよくフィットしています。

「Obsessao」
Milton de Oliveira/Mirabeau作のサンバ名曲をカヴァー。オリジナルは1956年のJorge Veiga E Carmen Costaヴァージョン。ここではRodrigo Amaranteがヴォーカル。ブラジルのロック・バンドLos Hermanosの元メンバーであるRodrigo Amaranteの少ししゃがれたヴォーカルが、洗練されたメロウ・サンバにフィットしています。Max Setteがトランペット・ソロで盛り上げてくれます。

「Nao Foi Em Vao」
Thalma de Freitas作/ヴォーカル。Thalma de Freitasの艶やかなヴォーカルに魅せられる哀愁メロウ・サンバ。初期Maria Ritaがお好きな人ならば気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=Q9XACPsuO6U

「Erecao」
Max Sette/Domenico Lancellotti/Nina Becker/Pedro Sa/Rubinho Jacobina/Sandra De Sa作。
ヴォーカルは Max Sette。洗練されたモダン・ジャズ・サンバ。オーセンティックな雰囲気にエレクトロニクスなアクセントを加えるあたりがブラジル新世代らしいのでは?Bidu Cordeiroのトロンボーン・ソロがいい味出しています。
https://www.youtube.com/watch?v=oggt73ZCVYQ

「Salamaleque」
Rubinho Jacobina/Max Sette作。ヴォーカルは Max Sette。テンポの良い哀愁サンバ。ノスタルジックな味わいがいいですね。

「O Mar E O Ar」
Domenico Lancellotti/Kassin/Rodrigo Amarante作。ヴォーカルはRodrigo Amarante。開放的なサウンドと少しレイジーなRodrigoのヴォーカルの組み合わせがグッド!真夏の昼寝モードにピッタリな1曲なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=SGIiwXPFfbk

「Jardim De Ala」
Moreno Veloso/Quito Ribeiro作。ヴォーカルはMoreno Veloso。ここでも父Caetano譲りの線の細いMoreno oのヴォーカルが引き立つ、素敵なメロウ・ボッサに仕上がっています。

「Rue De Mes Souvenirs」
Wilson das Neves/Stephane Sanjuan作。ヴォーカルはThalma de Freitas。Thalma de Freitasの妖艶なヴォーカルに魅了される素敵なメロウ・チューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=X5_D7EnGQF8

「Era Bom」
Max Sette/Wilson das Neves作/ヴォーカル。味わいのあるメロウ・サンバ。ビール片手に寛ぎながら聴きたい演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=6_A5jr7WyOg

「Iara Iarucha」
Nelson Jacobina/Tavinho Paes作。ヴォーカルはRodrigo Amarante。海辺の鳥の鳴き声と共に始まります。寛いだラテン・モードの演奏はアルバムのいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=033GiSYL-l8

「Ela Rebola」
Jorge Mautner/Nelson Jacobina作。ヴォーカルはMoreno Veloso。前曲に続き、ラテン・サウンドで楽しませてくれます。

「Supermercado Do Amor」
Bartolo/Jorge Mautner作。ヴォーカルはNina Becker。次世代ミュージシャンらしい遊び心のあるサウンドで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=G_fqMaLGnTs

「Popcorn」
1972年にHot ButterがUSチャートやUKチャートでTop10ヒットさせたGershon-Kingsley作の有名曲をカヴァー。Marlon Setteのトロンボーン・ソロ、 Bartoloのギター・ソロを交えた新世代ビッグ・バンドらしいダイナミックな演奏を聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=B3fvi6T7XOQ

「De Um Amor Em Paz」
国内盤ボーナス・トラック。Domenico Lancellotti/Delcio Carvalho作。ヴォーカルはNina Becker。ミステリアスで妖艶な哀愁バラードは本編にない雰囲気です。

ご興味がある方は2nd『Fazendo As Pazes Com O Swing』(2012年)もチェックを!

『Fazendo As Pazes Com O Swing』(2012年)
posted by ez at 01:58| Comment(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月24日

Jesse Boykins III『The Beauty Created』

カリスマ的男性R&Bアーティストのデビュー・アルバム☆Jesse Boykins III『The Beauty Created』

発表年:2008年
ez的ジャンル:カリスマ系男性R&B
気分は... :非相称性の美学・・・

今回はカリスマ的存在感を放つ男性R&BアーティストJesse Boykins IIIのデビュー・アルバム『The Beauty Created』(2008年)です。

1985年シカゴ生まれの男性R&BアーティストJesse Boykins IIIの紹介は、『Love Apparatus』(2014年)、N.Y.出身のDJ/プロデューサー/ラッパーMelo-Xと共同名義でリリースした『Zulu Guru』(2012年)に続き3回目となります。

ニュースクール大学時代にはBilalRobert Glasperと交流を持っていたJesse Boykins III

デビューEP『Dopamine: My Life On My Back EP』(2008年)を経てリリースされたデビュー・アルバムとなる『The Beauty Created』(2008年)には、"ネオソウルの新星"として高い評価を得た1枚です。もっとも彼自身は"ネオソウルの新星"という称されるのを嫌ったようですが。

サウンド面では異なるかもしれませんが、D'Angeloに通じる孤高のカリスマ感があるアーティストですよね。

僕もそうですが、The Soulquarians好きの人は、このデビュー・アルバムにThe Soulquarians関連の諸作を重ねてしまうのでは?

レコーディングにはJeremy Most(instruments、prog)、Anthony Coleman II(key)、Earl Travis II(b)、Steve Wyreman(el-p、key、b、g、talkbox)、Jhair Sala(congas)、 James "Booya" Richards(b)、Basil Wajdowicz(key)、Rene Del Fierro(g、prog)、Marion Ross III(tp)、Irv Washington(org、vocoder)、Daniel Moran(key)、Nicholas Ryan Gant(back vo)、Tone Whitfield(key、b)、Steve McKie(ds)、Jeremy Most(strings)、A. Blatt(instruments)、Afta-1(instruments)といったミュージシャンが参加しています。

また人気プロデューサー88-Keys、当ブログでもアルバム『Vibes』(2014年)を紹介したラッパーTheophilus London等がフィーチャリングされています。

楽曲はすべてJesse Boykins IIIと参加ミュージシャンによるオリジナルです。

ダンサブルなトラックは殆どなく、ミディアム/バラード系中心ですが、才気と色気に満ちた独特の存在感でアルバム1枚飽きることなく聴かせてくれます。

セクシーな魅力を高い音楽性を併せ持った1枚をご堪能あれ!

全曲紹介しときやす。

「Fever」
やはり"ネオソウルの新星"と呼びたくなる、才気と色気に満ちたオープニング。The Soulquarians好きの人はグッとくるはず!
https://www.youtube.com/watch?v=9eHNs_SBWng

「Amorous」
憂いを帯びたヴォーカルに惹かれる哀愁メロウ。派手さはありませんがジワジワくる感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Vy5ajEoh8jk

「Come To My Room」
アコースティック・ギターの響きを活かしたメロウ・バラード。儚い夢のような切ないムードがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=tTTtUBjL3Go

「Whispers」
正にウィスパー・モードの短いラブ・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=U67fFDuLtd8

「Shine」
トークボックスも含めて80年代エレクトリック・ファンクのエッセンスを取り入れたミディアム。僕好みの1曲。
https://www.youtube.com/watch?v=AhK8YPREI9g

「Trust」
ネオソウル好きは気に入るであろう1曲。ジャジー・フィーリングとミステリアス・ムードをうまく融合させている感じがいいですね。ヴォコーダーによるアクセントも僕好み。
https://www.youtube.com/watch?v=KTMcFytpPRU

「Victoria」
Devin The Poet、Sinoriceをフィーチャー。インタールード的な美しくも儚いムードの小曲。
https://www.youtube.com/watch?v=SfoiO-BRWAk

「Pantyhose」
セクシー・モードのラブ・バラード。こういうエロエロな歌詞を歌っても似合ってしまうのが、この人のカリスマ性なのかも?
https://www.youtube.com/watch?v=VKi_xKRfljA

「Itis」
Steve McKieが生ドラムを叩くミディアム。ジャジー・トランペットも含めて、心地好いネオソウルに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=tUBKSU12qC8

「SunStar」
メロウ・ボッサ調のロマンティックなビューティフル・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=CKH4LN2WYT4

「Loopy」
A. Blattによる電脳モードのトラックが格好良い1曲。
https://www.youtube.com/watch?v=Eu8-CuLP5sw

「Connected」
人気プロデューサー88-KeysとTheophilus Londonをフィーチャー。J Dilla好きの人は気に入るであろうHip-Hopトラック。
https://www.youtube.com/watch?v=2y4f5_I2BiY

「Chanel」
Afta-1による煌びやかシンセを駆使したトラックがいい感じのミディアム。ネオソウルに止まらないJesse Boykins IIIワールドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=jvsfQL1HGDc

「Be All Truth」
ラストは映画『Inside A Change』(2009年)のサントラにも収録されたビューティフル・ラブ・バラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=uzliUpUhGts

国内盤CDには以下の2曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。

「Tabloids (Machine Drum Remix)」
『Dopamine: My Life On My Back EP』収録曲のリミックスその1。『Love Apparatus』のプロデュースも務めたMachinedrumによるリミックス。Machinedrumとの相性の良さを感じるエレクトリック色の強い仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=50xJjJglU7A

「Tabloids (Melo X /House Drum Remix)」
『Dopamine: My Life On My Back EP』収録曲のリミックスその2。後に『Zulu Guru』を共同名義でリリースするMeLo-Xによるリミックス。フロア仕様のダンサブル・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=ecQU_40Vk4w

Jesse Boykins IIIの他作品もチェックを!

Jesse Boykins III & MeLo-X『Zulu Guru』(2012年)
Zulu Guru [帯・解説付き・国内盤仕様 / 輸入盤] (BRZN191)

『Love Apparatus』(2014年)
LOVE APPARATUS [国内盤/解説付/ボーナス・トラック3曲収録]
posted by ez at 02:31| Comment(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月05日

Antibalas『Who Is This America?』

アフロビートの魅力をダイレクトに楽しめる1枚☆Antibalas『Who Is This America?』

発表年:2004年
ez的ジャンル:N.Y.産アフロビート
気分は... :Fela Kutiもご満悦!

今回はN.Y.のアフロビート・バンドAntibalasの3rdアルバム『Who Is This America?』(2004年)です。

1998年にN.Y.ブルックリンで結成された大所帯アフロビート・バンドAntibalas(Antibalas Afrobeat Orchestra)の紹介は『Antibalas』(2012年)、『Government Magic』(2006年)に続き3回目です。

3rdアルバムとなる本作『Who Is This America?』(2004年)は、彼らの作品の中でもアフロビートの元祖Fela Kutiからの影響がダイレクトに伝わってくる1枚です。

闘うアフロビートを感じるアルバム・タイトルからしてFela Kutiに通じるものがありますね。

本作におけるAntibalasのメンバーは、Amayo(vo、per)、Ernesto Abreu(vo、congas)、Victor Axelrod(el-p、org、clavinet)、Philip Ballman(ds)、Stuart Bogie(ts)、Dylan Fusillo(per)、Aaron Johnson(tb)、Jordan McLean(tp)、Nick Movshon(b)、Luke O'Malley(g)、Martin Perna(bs)、Gabe Roth(g)、Del Stribling(b)、Fernando Velez(congas)という14名。

メンバー以外にも10名のミュージシャンが参加しています。

プロデュースはAntibalas

全8曲で75分。10分以上の長尺も3曲という構成もアフロビートらしいですね。

「Who Is This America Dem Speak Of Today?」「Big Man」「Elephant」「Sister」をアフロビート/アフロ・ファンク好きを大満足させる演奏がズラリと並んでいます。

Antibalasというバンドの魅力をダイレクトに満喫できる、Antibalas入門編あるいはアフロビート入門編にも適した1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Who Is This America Dem Speak Of Today?」
タイトル曲はモロにFela Kutiしているアフロビート直球の演奏です。躍動するビート、覚醒的なオルガンの響き、軽快なギター・カッティング、豪快なホーン・アンサンブル、扇動的なヴォーカル、どこを切っても100%アフロビート全開の演奏に徹しています。アフロビート好きの人は、12分超のこのオープニングだけでも大満足するはず!
https://www.youtube.com/watch?v=IAoEZ0FEhgc

「Pay Back Africa」
不穏なイントロと共にスタートするアフロ・ファンク。彼らの素晴らしいホーン・アンサンブルを楽しめる演奏に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=yi8P0JIqo2Q

「Indictment」
ダビーなアフロ・ファンク。ダビーなエッセンスが加わることで第三世界的パワーが増しているのがいいですね。豪快さの中にも緻密さを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=zP13dbAEa_E

「Big Man」
直線的で前のめりなアフロビートらしいサウンドを存分に楽しめます。ダンスミュージックとしてのアフロビートを楽しみたい方にはフィットするはず!扇動的ビートとダイナミックなホーン・サウンドが格好良すぎます。
https://www.youtube.com/watch?v=5_JuwnUKbqI

「Obanla'e」
2分にも満たない短い演奏ですが、アフロ・パーカッション全開の演奏は僕好み。
https://www.youtube.com/watch?v=1iiysg-36mQ

「Elephant」
コレもアフロビート好きにはたまらない演奏です。ただし、ダビーなアクセントや洗練されたホーン・アンサンブルにFela Kutiのコピーに終わらないAntibalasらしさを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZhX6eYGL8a8

「Sister」
本編ラストは19分超の長尺。本作のアフロビートの徹底ぶりを満喫できる演奏です。大所帯バンドならではのスケールの大きなサウンドがいいですね。不穏なクラヴィネットの音色も僕好み。
https://www.youtube.com/watch?v=i_qtcQ4zPkY

「Na Fo Iyawo Mi」
国内盤ボーナス・トラック。開放的なアフロ・ファンク。テンション高い本編よりはリラックスして聴けるのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=5615ttjGqfw

Antibalasの他作品もチェックを!

『Albums Liberation Afrobeat』(2000年)
Liberation Afro Beat

『Talkatif』(2002年)
Talkatif

『Government Magic』(2006年)
ガバメント・マジック

『Security』(2007年)
Security (Dig)

『Antibalas』(2012年)
Antibalas

『Where the Gods Are in Peace』(2017年)


『Fu Chronicles』(2020年)
posted by ez at 05:41| Comment(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月26日

Lionel Loueke『In A Trance』

ベナン共和国出身のギタリスト☆Lionel Loueke『In A Trance』

発表年:2005年
ez的ジャンル:アフリカ系ジャズ・ギタリスト
気分は... :余白の味わい!

今回は西アフリカ、ベナン共和国出身のギタリストLionel Loueke『In A Trance』(2005年)です。

フランスとアメリカで音楽教育を受けた後、Herbie Hancockに見出されてプロとしてデビューしたギタリストLionel Louekeの紹介は、Robert Glasperプロデュースの下でリリースした『Heritage』(2012年)に続き2回目となります。

また、彼が組んだジャズ・トリオGilfemaの1stアルバム『Gilfema』(2005年)も紹介済みです。

Lionel Louekeの初期作品となる『In A Trance』(2005年)は、Louekeによるギターとヴォーカル、そしてギターを駆使した音をループさせたパーカッションのみの演奏を収めたアルバムです。

ジャズ・ギタリストとしてのテクニックを駆使しつつ、ルーツとなるアフリカのエッセンスも取り入れたLouekeならではのギター・ワールドを披露してくれます。

シンプルすぎる演奏に物足りなさを感じる人がいるかもしれませんが、余白が多いからこその味わいがあります。

たまにはこんな純度の高い音を聴いてみるのもいいのでは?

全曲紹介しときやす。

「Nonvignon」
アフリカン・フォーキーと呼びたくなる素朴な味わいのオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=6NZ6HhLP9FI

「Benny's Tune」
Louekeのジャズ・ギタリストとしてのセンスを感じる演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=-sGyFzdL16E

「In A Trance」
タイトル・チューンは1分に満たない演奏ですが、ジャズ・ギタリストらしさを示してくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=RNuSLp2XAAY

「Mivakpola」
アフリカをルーツにもつジャズ・ギタリストらしいパーカッシヴな演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=TdO5UEwSun4

「Gbeto」
アフリカのトラディショナルといった趣の演奏&ヴォーカルです。
https://www.youtube.com/watch?v=nbBcZLgXzXA

「Fifa」
バラード調の美しい演奏です。一人心を鎮めながら聴きたい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=ZM71TZKN1R4

「Nagbe」
ハンド・クラップのヴォーカルのみのトラック。
https://www.youtube.com/watch?v=PkVvz7wD1mc

「Okagbe」
インドのタブラのようなパーカッションを用いたミステリアスな演奏です。かなり僕好み。
https://www.youtube.com/watch?v=CCAnGcwY5vY

「Be-Nin-Bop」
ブルージーでアーシーなジャズ・ギターで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=7kWGeZz0Hh4

「Boum-Boum !!!」
アンプラグドなギターの格好良さを満喫できる演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=GXwmR1uO7oI

「Always Will Be」
サウンドスケープのような味わいのある演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=RZSMdRow36s

「A Prayer For Peace」
ラストは平和への祈りを込めたミステリアスな演奏で締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=6mbolIu1LM0

Lionel Louekeのソロ作やGilfema名義の作品もチェックを!

『Karibu』(2008年)
カリブ

『Mwaliko』(2010年)
Mwaliko

『Heritage』(2012年)
ヘリテッジ

Jeff Ballard Trio With Lionel Loueke & Miguel Zenon『Time's Tales』(2014年)
Time's Tales

『Virgin Forest』(2014年)
ヴァージン・フォレスト

『Gaia』(2015年)


『The Journey』(2018年)


『HH』(2020年)


Gilfema『Gilfema』(2005年)
GILFEMA

Gilfema『Gilfema +2』(2008年)
Gilfema Gilfema+2 Other Modern Jazz

『Three』(2020年)
posted by ez at 02:35| Comment(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月17日

Common『Electric Circus』

豪華ゲストを迎えた異色作☆Common『Electric Circus』

発表年:2002年
ez的ジャンル:Soulquarians系コンシャスHip-Hop
気分は... :異物はイノベーションの源泉!

シカゴ出身の人気ラッパーCommon『Electric Circus』(2002年)です。

これまで当ブログで紹介してきたCommon作品は以下の8枚(発売順)。

 『Resurrection』(1994年)
 『One Day It'll All Make Sense』(1997年)
 『Like Water For Chocolate』(2000年)
 『Be』(2005年)
 『Finding Forever』(2007年)
 『Universal Mind Control』(2008年)
 『The Dreamer, The Believer』(2011年)
 『Black America Again』(2016年)

リアルタイムでの僕の本作『Electric Circus』に対する印象はあまり良いものではありませんでした。

今でも僕にとってのCommonのフェイヴァリットは『Like Water For Chocolate』(2000年)と『Be』(2005年)の2枚です。

しかしながら、その2枚は直線で繋がっていません。その間には『Electric Circus』(2002年)という異物があったからです。タイトルの通り、エレクトリックな要素を強調した本作に『Like Water For Chocolate』(2000年)とのギャップを感じたファンも多かったのではないかと思います。僕もそんな一人でした。

それだけに次作『Be』(2005年)がリリースされたときには、これぞCommonワールドと歓喜したものです。

そのため、当時は『Electric Circus』という作品は回り道のように感じ、敬遠していました。しかしながら、今聴き直すと、きっと『Be』という傑作が生まれるためには、『Electric Circus』という実験が必要ではなかったのではないかと思えてきました。

今は豪華ゲストとエレクトリック・アプローチを楽しみながら本作を聴けるようになりました。

メイン・プロデュースは?uestloveThe Roots)、J DillaJames PoyserPino PalladinoというSoulquariansの面々。

それ以外にThe Neptunes(Chad Hugo/Pharrell Williams)、Karriem RigginsJeff Lee Johnsonがプロデュースを手掛けています。

Marie DaulneZap Mama)、Native TonguesメンバーのVinia MojicaBilalSonny SandovalP.O.D.)、OmarDart ChillzMary J. BligeLaetitia SadierStereolab)、PrincePharrell WilliamsCee-LoJill ScottErykah BaduLonnie "Pops" Lynn(Commonの父)という豪華な面々がフィーチャリングされています。

A Tribe Called Quest『Midnight Marauders』(1993年)、The Beatles『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』(1967年)の影響を感じるジャケにも注目です。

A Tribe Called Quest『Midnight Marauders』(1993年)
ミッドナイト・マローダーズ(紙ジャケット仕様)
The Beatles『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』(1967年)


豪華な参加メンバーの顔を見つけるのも楽しいのでは?ちなみにPrince殿下が一番上の左端に写っています。

他のCommon作品とは切り離して聴くべきだと思いますが、本作でしか聴けないアナザーCommonワールドを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Ferris Wheel」
Marie Daulne(Zap Mama)、Native TonguesメンバーのVinia Mojicaをフィーチャー。?uestlove/James Poyserプロデュース。アルバムの雰囲気を決定づけるエレクトリックなオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=fS9aByTRHN8

「Soul Power」
J Dilla/?uestlove/James Poyserプロデュース。Commonらしいフロウながらも本作ならではのビート感覚を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=GT2cHCI0szM

「Aquarius」
Soulquariansの盟友Bilalをフィーチャー。J Dilla/?uestlove/James Poyser/Pino Palladinoプロデュース。?uestloveらしいビートとミステリアスで少しサイケな上モノの組み合わせがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=e8wq6LkAwNw

「Electric Wire Hustler Flower」
サンディエゴ出身のハード・ロック/メタル・バンドSonny Sandoval(P.O.D.)をフィーチャー。J Dilla/James Poyserプロデュース。メタル×エレクトリックな組み合わせに当時は拒否反応もありましたが(笑)、今はチャレンジの1つとして楽しむようにしています。
https://www.youtube.com/watch?v=3eXCP4_fsnI

「The Hustle」
Common作品ではお馴染みのKarriem Rigginsのプロデュース。UKソウルの人気男性シンガーOmarとDart Chillzをフィーチャー。今ではジャズ・ドラマー/Hip-Hopプロデューサーとしての認知度も高いKarriem Rigginsですが、当時の僕の認知度は低く、彼の名を目にしても特に気にも留めていませんでした。当時の記憶は定かではありませんが、今聴くとKarriemのHip-Hopビートとエレクトリックな上モノに組み合わせが実にいい感じです。何よりOmarらしいUKソウル・ワールドをうまく取り込んでいるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=tuBN2oGEkyU

「Come Close」
シングルにもなった曲。当時人気プロデュース・チームとして勢いをつけつつあったThe Neptunesのプロデュース。R&BクイーンMary J. Bligeをフィーチャー。フューチャリスティックなエレクトリック色を出しつつも、メロウな仕上がりになっているのがいいですね。MJBのヴォーカルで華やかな雰囲気になっているのもいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=QSCVT_vMrkQ

「New Wave」
Laetitia Sadier(Stereolab)をフィーチャー。J Dilla/?uestlove/James Poyserプロデュース。Laetitia Sadierの参加はかなり意外ですね。少しダークなHip-Hopに突如としてLaetitiaのStereolab調ヴォーカルが現れる予想外の展開はかなり楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=lv7ft9NKh7g

「Star *69 (PS With Love)」
Prince殿下とBilalをフィーチャー。J Dilla/?uestlove/James Poyserプロデュース。正直、キーボード&ギターで参加のPrinceの存在感はあまり感じられませんが、実験的なサウンド自体は昔のPrinceを彷彿させる部分があります。
https://www.youtube.com/watch?v=XoIA6hWXh2w

「I Got A Right Ta」
The Neptunesプロデュース。Pharrell Williamsをフィーチャー。The Neptunesとのタッグ2曲目。エレクトリック&ロッキンな攻撃的トラックは本作ならではですね。当時このトラックは受け入れがたいものがありましたが(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=7AoO-zRu8rE

「Between Me, You & Liberation」
当時Goodie Mobの活動に加えて、ソロ活動を開始したCee-Loをフィーチャー。J Dilla/?uestlove/James Poyser/Pino Palladinoプロデュース。Bobbi Humphrey(fl)やLarry Gold(strings)も参加しています。エレクトリック色を出しつつ、CommonやSoulquariansらしい雰囲気を楽しめるトラックに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=FUOUL80PQZU

「I Am Music」
当時ネオ・フィリー期待の歌姫であったJill Scottをフィーチャー。J Dilla/?uestlove/James Poyser/Pino Palladino/Jef Lee Johnsonプロデュース。Jill Scottのヴォーカルを活かした軽快なジャズ・フィーチャリングの仕上がりが印象的です。Nicholas Payton(tp)、Vincent Gardner(tb)、Greg Tardy(cornet)も参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=VjEVW0kRPkc

「Jimi Was A Rock Star」
SoulquariansのクイーンErykah Baduをフィーチャー。J Dilla/?uestlove/James Poyser/Pino Palladino/Jef Lee Johnsonプロデュース。エレクトリック×トライバルな仕上がりですが、Erykah Baduもその後近未来的ハイパー・サウンドにもアプローチしたので、それを予感させるトラックですね。
https://www.youtube.com/watch?v=pN4TtgiO51M

「Heaven Somewhere」
Commonの父Lonnie "Pops" Lynnをはじめ、Cee-LoJill ScottMary J. BligeOmarをフィーチャー。?uestlove/James Poyser/Pino Palladinoプロデュース。豪華ゲストが天国への思いを歌い上げる10分半以上の大作です。最後は父Lonnie "Pops" Lynnの言葉で締め括られます。
https://www.youtube.com/watch?v=MiIVOh7Umrw

Common作品の過去記事もご参照下さい。

『Resurrection』(1994年)
レザレクション(紙ジャケット仕様)

『One Day It'll All Make Sense』(1997年)
ワン・デイ・イトゥル・オール・メイク・センス

『Like Water For Chocolate』(2000年)


『Be』(2005年)


『Finding Forever』(2007年)
ファインディング・フォーエヴァー

『Universal Mind Control』(2008年)
Universal Mind Control

『The Dreamer, The Believer』(2011年)
Dreamer the Believer

『Black America Again』(2016年)
Black America Again
posted by ez at 02:41| Comment(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする