2023年10月18日

John Coltrane『OM』

アヴァンギャルド全開なフリー・ジャズ☆John Coltrane『OM』

録音年:1966年
ez的ジャンル:Coltrane流フリー・ジャズ
気分は... :複雑なものを複雑なままに・・・

久々にジャズの求道者John Coltrane(1926-1967年)です。
セレクトしたのは『OM』です。

これまで紹介してきたColtrane作品は以下の6枚。

 『Blue Train』(1957年)
 『My Favorite Things』(1960年)
 『Ballads』(1962年)
 『Impressions』(1961年、62年、63年)
 『Kulu Se Mama』(1965年)
 『Live At The Village Vanguard Again!』(1966年)

前回『Live At The Village Vanguard Again!』(1966年)のエントリーが2009年なので、14年ぶりのColtrane作品の紹介となります。

特段Coltrane作品を再び聴き直しているとかはないのですが、60年代ジャズから何か1枚とCD棚を眺めていたら、目に留まったのが『OM』でした。

本作『OM』は1966年にレコーディングされ、Coltraneの死後の1968年に未発表音源としてリリースされたフリー・ジャズ作品です。

タイトルの『OM』とは仏教用語でいう『南無(なむ)』のことであり、帰依を意味します。

収録曲は「OM」1曲のみ。LPではA面とB面でPart1,2に分割されていましたが、CDでは1トラックになっているので本来の演奏として楽しめます。

レコーディング・メンバーはJohn Coltrane(ts、ss)以下、Pharoah Sanders(ts)、McCoy Tyner(p)、Elvin Jones(ds)、Jimmy Garrison(b)、Donald Rafael Garrett(b、clarinet)、Joe Brazil(fl)という面々。

TikTokが流行し、タイパが重視され、何事もわかりやすさが過剰に強調される今の時代に、収録1曲のみの難解なフリー・ジャズのアルバムなど敬遠されがちなのかもしれませんね。

しかしそんな時代だからこそ、本作のような作品に価値があるのではないかなとも思います。

毎日聴きたい演奏ではないのは事実ですが、忘れた頃に聴くと創造力が刺激されるのでは?

全曲紹介しときやす。

「OM」
アヴァンギャルド全開なフリー・ジャズ。ColtraneとPharoahのフリーキーなサックスには聖なるエナジーが漲っています。最初聴くと、理解不能にも感じられるかもしれませんが、ちゃんと聴けばTynerのピアノやElvinのドラミングは意外にちゃんとジャズしていて、エネルギッシュなセッションとして楽しめるのでは?考えるな感じろ!というColtraneがサックスで主張しているようにも感じます。イントロとエンディングのスピリチュアル・ジャズな雰囲気も印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=GwrV0qCX1LU

John Coltraneの過去記事もご参照ください。

『Blue Train』(1957年)


『My Favorite Things』(1960年)


『Ballads』(1962年)


『Impressions』(1961年、62年、63年)


『Kulu Se Mama』(1965年)


『Live At The Village Vanguard Again!』(1966年)
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2023年08月16日

Lee Morgan『Caramba!』

後期Morganの快作☆Lee Morgan『Caramba!』

録音年:1968年
ez的ジャンル:天才ジャズ・トランペッター
気分は... :なんてこった!

今回は天才ジャズ・トランペッターLee Morgan(1938-1972年)の『Caramba!』(1968年)です。

当ブログでこれまで紹介してきたLee Morgan作品は以下の8枚(録音順)。

 『Lee Morgan Vol.3』(1957年)
 『Candy』(1958年)
 『The Sidewinder』(1963年)
 『The Rumproller』(1965年)
 『Cornbread』(1965年)
 『The Gigolo』(1965年)
 『Charisma』(1966年)
 『Lee Morgan(The Last Sessions)』(1971年)

『Caramba!』(1968年)は、意外に見落とされがちですが、後期Morganの魅力を満喫できる1枚です。
勿論Blue Noteからのリリースです。

レコーディング・メンバーはLee Morgan(tp)、Bennie Maupin(ts)、Cedar Walton(p)、Reggie Workman(b)、Billy Higgins(ds)というクインテット編成。

Cal Masseyがアレンジを務めています。

楽曲はすべてLee Morganのオリジナル。

Morganらしい開放的なファンキー・グルーヴを楽しめるタイトル曲「Caramba」、格好良く疾走する「Suicide City」「Cunning Lee」、ラテン乗りの陽気な「Soulita」、ブルージーな中に美学を感じる「Helen's Ritual」という5曲の構成です。

なかなか充実の5曲だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Caramba」
ラテン・ビートを取り入れたタイトル曲がオープニング。やはりLee Morgan作品のオープニングは「The Sidewinder」をはじめ、開放的なファンキー・グルーヴを期待してしまいますね。聴いているうちにクセになり脳内リピートしています。
https://www.youtube.com/watch?v=J7MEjOOx3Ec

「Suicide City」
MorganとMaupinの二管が格好良く疾走するアップテンポの演奏です。しかしながら、その二人以上にこの演奏を魅力的にしているのはWaltonのピアノのような気がします。
https://www.youtube.com/watch?v=i7M945EFM6M

「Cunning Lee」
この演奏も小粋な疾走感が心地よいです。Walton、Morgan、Maupin、Workmanの順でコンパクトなソロを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=rzD-yHseaCo

「Soulita」
ラテン乗りの陽気な演奏でリラックスさせてください。楽しげなMorganのソロがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=fisvxC0E19A

「Helen's Ritual」
ラストは少しブルージーな演奏ですが、落ち着いた雰囲気の中にも美学を感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=zKu1bADALS0

Lee Morgan作品の過去記事もご参照下さい。

『Lee Morgan Vol.3』(1957年)
リー・モーガン Vol.3

『Candy』(1958年)
Candy

『The Sidewinder』(1963年)
Sidewinder

『The Rumproller』(1965年)
ザ・ランプローラー+1

『Cornbread』(1965年)
Cornbread

『The Gigolo』(1965年)
ザ・ジゴロ+1

『Charisma』(1966年)
Charisma

『Lee Morgan(The Last Sessions)』(1971年)
The Last Session
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2023年06月21日

Bill Evans Trio『Moon Beams』

新たにChuck Israelsを迎えたトリオ作品☆Bill Evans Trio『Moon Beams』

録音年:1962年
ez的ジャンル:ジャズ・ピアノ・トリオ
気分は... :ひとすじの月光に照らされて…

今夜は落ち着きのあるジャズ・ピアノで静かなる夜を過ごしたい気分です。

偉大なジャズ・ピアニストBill Evans『Moon Beams』(1962年)です。

当ブログではこれまで紹介したBill Evans(1929-1980年)作品は以下の11枚。

 『Portrait In Jazz』(1959年)
 『Explorations』(1961年)
 『Waltz For Debby』(1961年) 
 『Sunday At The Village』(1961年)
 『Undercurrent』(1962年) ※Jim Hallとの共演
 『Waltz For Debby』(1964年) ※Monica Zetterlundとの共演
 『Alone』(1968年)
 『Alone (Again)』(1975年)
 『I Will Say Goodbye』(1977年)
 『You Must Believe In Spring』(1977年)
 『New Conversations』(1978年)

本作『Moon Beams』(1962年)は、『Portrait In Jazz』(1959年)、『Explorations』(1961年)、『Sunday At The Village』(1961年)、『Waltz For Debby』(1961年)といった名作を共に生んできた最強トリオのベーシストであったScott LaFaroが交通事故で急逝してしまい、その後任としてChuck Israelsをベーシストに迎えたピアノ・トリオ作品です。ドラムはこれまで通り、Paul Motianです。

また、本作と同じセッションを収めた別アルバムとして『How My Heart Sings!』(1964年)があります。

『How My Heart Sings!』(1964年)


個人的に数あるBill Evans作品のなかでも、2,3枚目に購入したのが本作『Moon Beams』だった記憶があります。

僕が購入に至ったのは魅力的な女性モデルが写るジャケのせいだったかもしれません。ジャケに写るこの女性は、後に『The Velvet Underground & Nico』(1967年)で音楽シーンに名を馳せることになるNicoです。

Scott LaFaro参加作品との比較で少し割を食っている感もあるアルバムですが、それらの作品群と同じようにエレガントかつリリカルなBill Evansワールドを楽しむことができます。

ひとすじの月光に照らされながら、静かなるジャズ・ピアノを堪能しましょう!

全曲紹介しときやす。

「Re: Person I Knew」
Bill Evans作。エレガントさと軽やかさを兼ね備えたオープニング。浮ついていない軽やかさがBill Evansらしいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=jnFFnuJrTIo

「Polka Dots and Moonbeams」
James Van Heusen/Johnny Burke作のスタンダードをカヴァー。当ブログではBasso Valdambrini QuintetStacey Kentのカヴァーも紹介済みです。さまざまな表情を見せるリリカルなピアノに惹かれます。
https://www.youtube.com/watch?v=SqtHYtp9qeE

「I Fall in Love Too Easily」
Frank Sinatra等でお馴染みのSammy Cahn/Jule Styne作のスタンダードをカヴァー。当ブログではAnita O'DayGregory PorterCande Y Pauloのカヴァーも紹介済みです。抑えたトーンで素敵なラブ・バラードを奏でます。全体的には抑えめですが、終盤に一瞬パッションが上がるのが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=J0qIfazTKGA

「Stairway to the Stars」
Mitchell Parish/Matty Malneck/Frank Signorelli作のスタンダード。Bill Evans & Jim Hall『Undercurrent』(1962年)でも取り上げていましたね。当ブログではそれ以外にDexter GordonMilt Jackson & Wes Montgomeryのカヴァーも紹介済みです。Evansの小粋なタッチに魅了されます。
https://www.youtube.com/watch?v=U2Ev4_H4EQw

「If You Could See Me Now」
Tadd Dameron/Carl Sigman作のスタンダードをカヴァー。当ブログではSheila Jordanのカヴァーも紹介済みです。Evansらしい美しいタッチの一音一音が伝わってくる感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=GzoMAL7CRWo

「It Might as Well Be Spring」
Oscar Hammerstein II/Richard Rodgers作。映画『State Fair』のために1945年に書かれ、アカデミー賞のBest Original Songを受賞した名曲をカヴァー。当ブログではLou DonaldsonJacky Terrasson & Cassandra WilsonStacey Kentのカヴァーも紹介済みです。Evansならではのリリカルな演奏を満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=HtZN-fEm96Y

Freddie Joachim「Autumn Rain」のサンプリング・ソースとなっています。
Freddie Joachim「Autumn Rain」
 https://www.youtube.com/watch?v=ijsQtWD8TDM

「In Love in Vain」
Leo Robin/Jerome Kern作のスタンダードをカヴァー。僕の好きな侘び寂びモードのEvansのピアノに優しく包まれる素敵なバラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=q5J-VipANq0

「Very Early」
Bill Evans作。ラストは美しさと軽やかなを兼ね備えた演奏で締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=RIJqPgf7gpE

Bill Evansの過去記事もご参照下さい。

『Portrait In Jazz』(1959年)
ポートレイト・イン・ジャズ+1

『Explorations』(1961年)
エクスプロレイションズ(紙ジャケット仕様)

『Waltz For Debby』(1961年)
ワルツ・フォー・デビイ+4

『Sunday At The Village』(1961年)
サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード+5
 
『Undercurrent』(1962年) ※Jim Hallとの共演
アンダーカレント

『Waltz For Debby』(1964年) ※Monica Zetterlundとの共演
ワルツ・フォー・デビー+6 [SHM-CD]

『Alone』(1968年)
ALONE

『Alone (Again)』(1975年)


『I Will Say Goodbye』(1977年)
アイ・ウィル・セイ・グッドバイ+2

『You Must Believe In Spring』(1977年)
You Must Believe in Spring by Bill Evans (2013-06-26)

『New Conversations』(1978年)
未知との対話-独白・対話・そして鼎談(ていだん)
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2023年05月03日

The Artistics『I'm Gonna Miss You』

Brunswickの男性ソウル・グループ☆The Artistics『I'm Gonna Miss You』

発表年:1967年
ez的ジャンル:Brunswick系シカゴ・ソウル
気分は... :GWですが・・・

世間はGWですがフツーに仕事してます(泣)

今回はシカゴ・ソウルの名門レーベルBrunswickThe Chi-Litesと並ぶ男性ソウル・グループであったThe ArtisticsのBrunswick第1弾アルバム『I'm Gonna Miss You』(1967年)です。

The Artisticsが結成されたのは1958年。

Major Lanceのバックを務めたことでプロデューサーCarl Davisに見出され、OKehからデビュー・シングル「I Need Your Love / What'll I Do」がリリースされたのは1963年。1966年にはデビュー・アルバム『Get My Hands On Some Lovin'』をリリース。

その後Carl Davisと共にシカゴ・ソウルの名門レーベルBrunswickへ移籍し、『I'm Gonna Miss You』(1967年)、『The Articulate Artistics』(1968年)、『What Happened』(1969年)、『I Want You To Make My Life Over』(1970年)、『Look Out』(1973年)という5枚のアルバムをリリースしています。

Brunswickからの第1弾アルバムとなった本作『I'm Gonna Miss You』(1967年)ですが、メンバー構成において多少事情があります。

アルバムに先行して1966年にシングル・リリースされた「I'm Gonna Miss You」(B面「Hope We Have」)のレコーディング・メンバーは、Marvin SmithLarry JohnsonJesse BolianAaron Floydという4名。

しかしながら、リード・ヴォーカルのMarvin Smithが並行してソロ名義のシングルをレコーディングしており(バック・コーラスはThe Artisticsの他メンバー)、そのままソロ・デビューしてしまったため、上記2曲以外は新メンバーのTommy Greenが加わっています。

勿論プロデュースはCarl Davis

ちなみにシングル「I'm Gonna Miss You』」はUSチャート第55位、同R&Bチャート第9位となり、グループ最大のヒット曲となりました。

そのシカゴ・ソウル名曲「I'm Gonna Miss You』」がハイライトかもしれませんが、個人的には「Sweeter Than Sugar」「Love Song」「Hope We Have」「Girl I Need You」「Why, Why, Why」といったグルーヴィーな曲がオススメです。

アルバム全体としても粒揃いのシカゴ・ソウル好盤だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Sweeter Than Sugar」
Bernard Reed/Daniel Reed/Jesse Bolian作。軽快なノーザン・ダンサーがオープニング。モッズ/スウィンギン・ロンドン好きの人も気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=FuU0dKXE6zY

「Glad I Met You」
Daniel Reed/Othie Wright/Tommy Green作。Tommy Greenのファルセット・ヴォーカルが映えるシカゴ・ソウルらしい味わいの仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=68QSSJIvE2A

「There Is No Sadness」
Jesse Bolian/Larry Johnson作。軽快なギターとホーン・サウンドがいい感じのグルーヴィー・ソウル。
https://www.youtube.com/watch?v=3SspghvkoIQ

「Love Song」
Carl Davis/Larry Johnson作。シングルにもなった曲。小気味よいノーザン・ソウル。途中から思わず一緒に口ずさんでしまうキャッチーさがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=7HyNPpMKWgk

「Hope We Have」
William E. Butler/Marvin Smith作。シングル「I'm Gonna Miss You」のB面曲であり、Marvin Smithがリード・ヴォーカルをとります。パーカッシヴなノーザン・ソウル。個人的にはアルバムで一番のお気に入り。漆黒の疾走感がたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=QQlN_M9Vtgo

「I'm Gonna Miss You」
Jesse Bolian/Larry Johnson/Marvin Smith作。前述のようにUSチャート第55位、同R&Bチャート第9位というグループ最大のヒット曲。Marvin Smithのリード・ヴォーカルを満喫できるミディアム。名曲の雰囲気がありますね。
https://www.youtube.com/watch?v=kst5L9CDyd4

「Girl I Need You」
Barbara Griffin/Daniel Reed/Tommy Green作。美しいストリングスと共に始まるグルーヴィー・ソウル。フリーソウル好きも取り込みそうな軽やかさが魅力です。
https://www.youtube.com/watch?v=8zVp_IjpEHI

「I'll Always Love You」
Carl Davis/Jesse Bolian作。グルーヴィーながらもヴォーカルワークを重視した仕上がり。緩急のつけ方がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=68QSSJIvE2A

「It's Gonna Be Alright」
Carl Davis/Larry Johnson作。溌剌としたシカゴ・ソウル。リラックスした雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=SLas_33XvNE

「Why, Why, Why」
Gerald Sims/Karl Tarleton作。キャッチーなシカゴ・ソウル。軽やかな中にも芳醇な味わいがあるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=iA_gJ_IeXCE

「You're Wonderful」
Bernard Reed/Daniel Reed/Gerald Sims作。スウィートな空気に包まれた素敵なソウル・バラード。オーセンティックな魅力があります。
https://www.youtube.com/watch?v=-mteMllQq0o

「On & On」
Daniel Reed/Earl Smith/Tommy Green作。ラストは美しいストリングスを配した素敵なミディアム・バラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=YGeYTrsQ1Gc

『I'm Gonna Miss You/The Articulate Artistics』(1967/1968年)


『The Best of the Artistics』
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2023年02月22日

Paulo Moura Quarteto『Paulo Moura Quarteto』

ブラジルを代表するサックス奏者☆Paulo Moura Quarteto『Paulo Moura Quarteto』

発表年:1968年
ez的ジャンル:ボッサ・ジャズ
気分は... :一難去ってまた一難・・・

今回はブラジルを代表するサックス/クラリネット奏者Paulo Mouraによるボッサ・ジャズ作品Paulo Moura Quarteto『Paulo Moura Quarteto』(1968年)です。

Paulo Mouraは1933年サンパウロ生まれ。1950年から2010年に逝去するまで数多くのレコーディング作品を残しています。

本作『Paulo Moura Quarteto』(1968年)はカルテット編成のボッサ・ジャズ作品。

レコーディング・メンバーは Paulo Moura(as)、Wagner Tiso(p)、Luiz Carlos(b)、Paschoal Meirelles(ds)。

ボッサ・ジャズ作品ですが、しっかりジャズしている演奏も数多く収められています。

「Meu Lugar」「Yardbird Suite」といったボッサ・ビートが目立つ演奏が人気かもしれません。「Pretty World」のタイトルでも知られる「Sa Marina」のカヴァーも聴きやすく人気なのでは?

個人的には「Aos Pes Da Santa Cruz」「Retrato De Benny Carter」「Razao」「Feitico De Oracao」といったムーディーな演奏にも惹かれます。

ムーディーなジャズでも聴きながら、優しく包まれたい・・・

全曲紹介しときやす。

「Lamento Do Morro」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Moraes作。オープニングは抑えたトーンのジャズ寄りのシブい演奏です。少しダーク&レイジーな雰囲気がいいですね。当ブログではDoris MonteiroGretchen Parlatoのカヴァーも紹介済みです。
https://www.youtube.com/watch?v=SCVP_aipADI

「Eu E A Brisa」
Johnny Alf作。当ブログではA Tresのカヴァーも紹介済みです。Mouraのムーディーなサックスに魅せられるスタンダード感のあるジャズ・バラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=uNbSq-c7Xxw

「Meu Lugar」
Danilo Caymmi/Fernando Brant/Luiz Fernando Werneck作。エレガントなイントロに続き、緩急自在のブラジリアン・ビートに乗って、Mouraのブロウがむせび泣きます。
https://www.youtube.com/watch?v=H2QWCOiJ_o0

「Aos Pes Da Santa Cruz」
Marino Pinto/Ze Da Silva作。軽いボッサ・リズムに乗ったムーディーなバラード。Mouraのサックスがオトナなボッサ・ジャズを演出します。
https://www.youtube.com/watch?v=VuMr8bvbLIc

「Yardbird Suite」
Charlie Parker作。ジャズ・ジャイアントCharlie Parkerの作品を軽やかなボッサ・ビートで聴かせてくれます。Mouraのサックスはしっかりジャズしていてバードの香りを醸しだします。
https://www.youtube.com/watch?v=fyBFaDCtC8o

「Sa Marina」
Tiberio Gaspar/Antonio Adolfo作。「Pretty World」のタイトルでも知られる名曲をカヴァー。当ブログではBirgit LystagerSergio Mendes & Brasil '66Luiz Eca Y La Sagrada Familiaのカヴァーも紹介済みです。Birgit LystagerSergio Mendes & Brasil '66の両ヴァージョンの印象が強い曲ですが、ムーディーなボッサ・ジャズの「Pretty World」も悪くありません。
https://www.youtube.com/watch?v=GDVQNRGCCDQ

「Retrato De Benny Carter」
Wagner Tiso作。Wagner Tisoの美しいピアノとムーディーなMouraのサックスが織り成す素敵なジャズ・バラード。実に雰囲気があります。
https://www.youtube.com/watch?v=BWaKdZuztsU

「Razao」
Alberto Arantes/Sergio Bittencourt作。ムーディーなボッサ・ジャズ。ボッサ・ジャズ/ブラジリアン・ジャズ好きの人であれば気に入るはず!
https://www.youtube.com/watch?v=pCAjaQNZtUk

「Feitico De Oracao」
Noel Rosa/Vadico作。当ブログではMarcelo Costaのカヴァーも紹介済みです。Wagner Tisoの美しいピアノと控えめなPaschoal Meirellesのビートがいい雰囲気のムーディーな演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=djnggjk64n8

「Terra」
Marcio H. Borges/Milton Nascimento作。ラストは繊細かつミステリアスな演奏で締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=u3W7dD2giHk

ご興味ある方は同時期のPaulo Moura作品もチェックしてみては?

『Fibra』(1971年)
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